Mystery of Nameless   作:hilite989

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LAST Mystery Report side SILENT LINE

 

 

 

 地球歴207年3月29日。

 

 

 

 筆者、ベインは未踏査地区――サイレントラインの境界線手前に来ていた。

 サイレントライン紛争終結から三年が経とうとしているが、未だに未踏査地区は立ち入り禁止区域に設定されている。

 

 三大企業による合同調査は今現在も慎重に進められており、この一帯が再開発されるのはまだまだ先のことだろう。

 

 そして、このサイレントライン紛争を終結に導いたレイヴンの消息は不明のままだ。

 私が把握している限りでは、サイレントライン紛争最初期にレイヴンとして活動。

 傭兵としてのキャリアを地道に積み重ねつつ、アリーナでもランカーと称されるほどの非凡な才能を発揮。

 

 サイレントライン紛争では軍事企業のパワーバランスをも左右するほどの実力を発揮し、同紛争を終結させた。 

 ここから先の映像コンテンツは、唯一私が入手することができた「彼女」の記録映像である。

 

 

 日時:地球歴204年1月31日(サイレントライン紛争終結まで残り1ヶ月半)

 

 場所:衛星砲内部

 

 補足:AI兵器の暴走事件と同時期にミラージュ社が掌握していた衛星砲は同社のコントロール下を離れてしまった。

 各軍事企業の施設や基地は衛星砲による掃射を受け、地上は甚大な被害を被ることなり、事態を重く見たミラージュ社は衛星砲の強制停止を行うため、内部に設けられたエネルギー増幅炉の破壊を多数のレイヴンに依頼する。

 

 Aランクランカーの「フォグシャドウ」も、同作戦に参加したレイヴンの一人だった。

 

 

「全設備へのエネルギー補充を開始 カウントダウンを開始します。全設備の起動再開まで5分」

 

「未確認部隊の侵入を確認。ガード部隊を起動します」

 

 衛星砲内部に到達すると館内アナウンスとともに内部の照明が非常灯に切り替わったのか、施設内がオレンジ色に染まる。

 フォグシャドウは操縦桿を握り締めながら、機敏に四肢を動かすとそれに連動して彼の愛機「ミスト」は両脚を交互に動かしながら前進し、施錠されたゲートの前で停止した。

 

 刻一刻と迫るタイムリミット――衛星砲の照準は地上及び地下のインフラ施設だと分析されており、もし施設に被害が出れば、「大破壊」の再来だと言われている。

 フォグシャドウはそんな「噂」に対して焦燥した気持ちを押さえるように、コントロールスティックを強く握る。

 

 ミストのAIが施錠されたゲートの通信端末にコンタクトを行ったのか、フォグシャドウの腰の位置に設置された9インチサイズのコンソールパネルに進捗状況が表示された。

 

 しばらくして、「COMPLETE」という文字が表記されると同時に、メインモニターを覆っていた頑丈なゲートがゆっくりと開放された。

 

「ゲートロック解除。このまま前進する。オペレータ、情報を頼む」

 

 フォグシャドウは状況を報告しながらミストを前進させ、ゲートを潜った。

 

「オペレーターよりミストへ。衛星砲内の地図はこちらで全て把握しており、ガイドビーコンに従って移動してください」

 

 作戦を指揮する統括オペレーター、エマ・シアーズから通信が入るとメインモニターに進行ルートのガイドラインが表示された。

 ミストはブースターを駆動させ、それに従って移動を開始。狭い連絡通路を駆けていくが、数十メートル先の天井から熱源反応が感知。

 

 格納されていた固定砲台が機関砲の砲口をこちらに向けるが、ミストのFCSがそれを捕捉。

 ロックオンマーカーと固定砲台が重なった瞬間、フォグシャドウは操縦桿に設けられたトリガーを引いた。

 

 ミストは両手に装備されたショットガンをやや上方に突き出すと同時に、砲口から面状に広がる散弾が発射された。

 無数の砲弾は綿を引き裂くように固定砲台を破壊。その残骸が床に落ちよりも早く、ミストはその直下を駆け抜ける。

 

「そちらは大丈夫か?」

 

 別の地点で進行しているレイヴン、ローテーションから本作戦に参加しているレイヴンに向けて全体通信が入った。フォグシャドウは特に返事もせず、一刻も早くガイドラインの執着地点――エネルギー増幅器が設置されたエリアに向かう。

 

「ランデブーポイントを抜けて、目標地点に繋ぐ軌道回廊を進行中。敵と交戦中だが、問題はない」

 

 数秒ほど経った後、「彼女」からローテーションへの通信が入った。フォグシャドウはその声に少しだけ意識を向けつつ、ミストは彼女が進行ルートと同じ軌道回廊に繋ぐゲートに到達した。

 すぐにゲートのロックが解除されると、特殊樹脂で形成された透明な通路がモニターに映し出される。

 自分が居る場所が宇宙であることを実感してしまう、漆黒の空間と遥か彼方で輝く星々。

 

 感傷に浸りたくなる気持ちを追い払って、フォグシャドウはミストを前進させる。

 チューブ状の通路はある程度の法則性を持って張り巡らされており、その他のレイヴンが操縦するACも同様に進行しているのがレーダーやサブモニター上で表示されていた。

 

「くそ!敵が邪魔で進めない このままでは進めない!! オペレータ、どうなってる!?」

 

 別ルートで進行しているイディオットから苛立ちを隠しきれず、オペレーターに説明を求めた。

 そんな通信を聞き流しながら、S字に伸びている軌道回廊をミストは進む。しかし、その進路を可変型のガードメカが行く手を阻んだ。

 しかしフォグシャドウは歯牙にもかけず、ミストを操縦しながらトリガーを引く。

 背部兵装に搭載されたロケットランチャーからHEAT弾が立て続けに速射。

 折り畳まれた機体を展開し収納されたレーザーキャノンの砲身を展開及び射撃しようとしていた可変ガードメカに立て続けに砲弾が直撃した。

 

 爆散するガードメカをミストは飛び越えるようにブースターを駆動させるが、その先、数十メートル先にもう一機のガードメカが待ち構える。

 既にレーザーキャノンの砲身を展開しており、その砲口の照準をミストに向けてようとする。しかし、フォグシャドウはそれの動向を把握していた。

 

 ミストの両手に装備されたショットガンの雨あられがガードメカに吸い込まれていく。一瞬にして爆散するガードメカをミストはまた飛び越えるようにブースターを使って跳躍し、軌道回廊とエネルギー増幅器に繋ぐステーションのゲートを遠隔操作で解放した。

 

「敵を殲滅中、きりが無い!!」

 

 ローテーションからの焦りが伺える通信が入ると同時に、ゲートの向こう側には高性能MT「カイノスEO/2」が待ち構えていた。

 

 フォグシャドウは焦ることなくトリガーを引き、レーザーブレードによる斬撃を繰り出そうとしていたカイノスの胴体にミストはショットガンの砲弾を浴びせた。

 至近距離で放たれた砲弾に、カイノスの胴体は文字通り真っ二つに引き裂かれる。

 

「・・・機体の損傷が激しい。敵・・・!」

 

 ノイズが混じったローテーションの報告と同時に、彼のACを示す識別反応が消失した。

 仲間の消失にフォグシャドウは感傷的にならず、ミストは立ち止まることなく前進。進行ルートを進んでいく。

 

 再度、ゲートを抜けて通路を駆けていく道中、ガードメカや固定砲台がミストの進行を阻むが、フォグシャドウは歯牙にもかけない。

 目標地点を繋ぐゲートを抜けると、同時に「彼女」が操縦する軽量二脚ACも別方向のカーゴブロックに到達。どうやら、二人しか間に合わなかったらしい。

 

「衛星砲につながるエネルギー増幅器を全て破壊する」

 

 フォグシャドウは彼女に通信を行いながら、モニターに映し出される空間を睨みつけた。

 特殊樹脂で形成されたガラス越しに宇宙空間が映し出され、遥か遠くから太陽が浮かび上がる。

 眩しい光は自分たちと、高さ数十メートルの高台に等間隔で設置された筒状の物体――地上を焦土と化そうとしている衛星砲のエネルギー増幅器を照らしていた。

 

「時間がない、急ぐぞ!」

 

 衛星砲の出力が回復するまで残り数分。焦る気持ちを思わずフォグシャドウは声に出しながら、ミストはエネルギー増幅器を破壊しようと前進する。

 しかし、AIがロックオン警告を告げるアラームをコクピットに響かせた。

 

 フォグシャドウは反射的にミストを後退させると、まるで振り落とされるかのようにリニア弾らしき砲弾が床に直撃する。

 

「無人ACを確認。ミラージュが残していった機体です!」

 

 ブースターを使って滞空行動をしながらこちらを見下ろす一機のACについて、オペレーターのエマが詳細を報告。二脚型だが、キャノン系ウェポンの空中制御――間違いなく強化ACだった。

 機体性能では通常のACであるミストでは分が悪いが、合理的な判断でしか行動しない無人AIとこちらはこの紛争を今日まで生き残っているレイヴンが二人。分が悪い勝負ではない。

 

 こちらの思惑を汲み取っているかのように、彼女のACはハイ・レーザーライフル「KARASAWA」の重量感ある銃身を前に突き出しながら、高熱量弾を射出。

 蒼く、そして白銀に輝く閃光は滞空している無人ACに飛来。しかしその頭上の遙か遠くを通り過ぎた。

 

「アクティブステルス。厄介だな」

 

 FCSによる自動照準と補正射撃に対して回避行動を取らずに、まるでこちらを見下すように滞空している無人ACの肩部に装着したアクティブステルス「MEST-MX/CROW」を起動させており、FCSとレーダーによる感知から逃れていた。

 

「全設備の起動再開まで3分」

 

 まるで煽り立てるかのように、衛星砲起動までのカウントダウンを告げる館内放送が受信される。

 無人ACのロジックはつまりステルスを起動して、時間を稼ぐ――性根の悪い戦術にフォグシャドウは歯軋りをしながらミストを前進させた。

 

「レイヴン、奴は時間を稼ぐつもりだ」

 

 フォグシャドウは彼女に通信を行いながら、ミストの両手に装備されたショットガンから散弾が射出。数十メートル先のエネルギー増幅器にそれらが直撃し、爆発する。

 

「俺はエネルギー増幅器を破壊していく。レイヴンは向こうの注意を引いてくれ」

 

 無人ACがそのロジックで動くならば、こちらは目標を破壊していくのみ。ミストは淡々とエネルギー増幅器を破壊しようとするが、ロックオン警告と共に砲弾がまるで雷雨の如く降り注いだ。

 いくつかの砲弾がミストに直撃し、AIがアラームをまくしたてる。

 

「どうやら目標の破壊も許してくれそうにないな」

 

 彼女は鼻で笑いながら、KARASAWAによる牽制射撃を開始。アクティブステルスの有効時間が超過したのか、無人ACはすぐさま後退。直撃はしなかったものの、ミストから無人ACを引き剝がした。

 

「数的有利はこちらにある。行くぞ」

 

 ミストの機体状況を一瞥し、特に支障はないと判断したフォグシャドウは両腕を機敏に動かす。

 それに連動したミストは小刻みにブースターを使った移動を行いながら、滞空行動を続けている無人ACの直下に向かった。

 

「了解した」

 

 彼女は返事をしながら、ミストの背後を追従。彼女のACはKARASAWAを構えながら、その砲口を無人ACに突きつける。

 前進するこちらに対して無人ACは一旦、降下。

 距離955メートル。ロックオン警告とともに背部兵装であるレーザーキャノンの折り畳まれた砲身を展開し、無人ACはミストに照準を合わせる。

 フォグシャドウはすぐさま回避行動を行い、ミストはゆらゆらと煙のように揺れ動いた。

 

 変則的かつ軽量二脚特有の高機動と相まって、FCSに「誤差」を生じるその軌道は――無人ACから放たれた高熱量弾をあらぬ方向へ向かわせるのに充分すぎるほどだった。

 お返しとばかりにミストは背部兵装のロケットランチャーに切り替え、HEAT弾を断続的に発射。

 

 重装甲を施したフレームパーツで構成された無人ACとはいえ、致命傷とは言わないまでも一定の損傷を受けるロケットランチャーの砲撃に右方向へ滑り込むように回避。

 だがその移動先を彼女のACがKARASAWAによる一撃を叩きこもうとする。

 

「――アクティブステルス。間の良いタイミング」

 

 舌打ち交じりに彼女が報告するとともに無人ACはアクティブステルスを起動。胴体(コア)に内蔵されたイクシード・オービット(EO)を展開しながら、ミストに対して一気に距離を詰める。

 前進する無人ACからジェネレーターによるバッテリー供給の範囲内で射出されるEOの低熱量弾と、マシンガンによる弾幕がミストに襲い掛かった。

 

「ダメージコントロールを開始します」

 

 機動力と反比例するかのように装甲を削ぎ落したミストの機体に損傷が蓄積したのか、AIが即座にダメージコントロールを開始。

 エネルギー供給の調整や破損個所の取捨選択をAIが報告し、騙し騙しでミストの機体制御を行った。

 

「全設備の起動再開まで1分」

 

 タイムリミットを告げる館内アナウンスが一帯に響き渡った。

 六十秒後には衛星砲の掃射が開始されるという現実を突きつけられるが、フォグシャドウは冷静だった。無人ACはロジックを変更したのか、手負いのミストを仕留めようと前進。

 

 それに対してミストは後退をしながら、がむしゃらにショットガンのトリガーを引いた。

 でたらめな方向に発射される散弾は無人ACには掠りもせず、その向こう側――増幅器に直撃。後方から援護射撃をしている名目だった彼女のACも、発射されるKARASAWAの高熱量弾は端にある増幅器を狙撃していた。

 次々と破壊されていく増幅器に無人ACは状況を理解したのか、ミストへの追撃を中断。

 

 後退しつつ、こちらを見下ろせる高度まで滞空しながら、背部兵装のリニアキャノンを発射モードに移行。中距離から狙撃を行う。標的は、KARASAWAを装備している彼女のACだった。

 ミストは背部兵装のロケットランチャーに火器管制を切り替える。フォグシャドウはメインモニターに表示された照準ガイドを大雑把に無人ACに合わせると、トリガーを引いた。

 

 断続的に発射される砲弾は無人ACの周囲を横切り、そのまま天井に向かって行く。一方、彼女のACはリニアキャノンによる砲撃に晒されながらも回避行動を取りつつ、KARASAWAによる反撃を開始。

 

 無人ACはアクティブステルスを起動し、KARASAWAから放たれた高熱量弾は直撃もかなわずにその頭上を飛来した。

 しかし、フォグシャドウと彼女は半ば自暴自棄ともいえるような、がむしゃらにロケットランチャーとKARASAWAによる射撃を続けていた。

 特殊樹脂で形成されたガラス天井に続々と砲弾、高熱量弾が直撃。

 

 大破壊後の地上の技術では再現できない特殊樹脂とはいえ、立て続けに着弾していく衝撃に耐えきれなかったのか、破裂音と同時にぽっかりと天井に穴が穿たれた。

 

「緊急事態発生。施設内の気圧の低下及び障壁に損傷を確認。サプライドローンによる修復作業を開始します」

 

 館内アナウンスと同時にアラームが鳴り響き、フォグシャドウと彼女が仕組んでいた状況が発生する。

 限りなくゼロに近い気圧である宇宙空間と、1気圧の空間が衝突しあう特異点。

 圧力が高いスフォグシャドウたちが居る空間の空気が、圧力の低い宇宙空間に向かって猛烈な勢いで流れていく。

 

 破壊された箇所に一番近い場所で滞空している無人ACも例外ではなかった。宇宙空間に吸い込まれていくのをなんとかブースターを使って機体を制御するものの、埒があかない。

 その瞬間をフォグシャドウと彼女が見過ごさなかった。

 

 照準スティックを撫でるように動かすと、それに連動してモニター上の照準ガイドラインが無人ACと重なり合う。その瞬間、フォグシャドウはトリガーを引いた。

 ロケットランチャーから速射される砲弾は寸分の狂いなく、真っすぐに無人ACの胴体に直撃した。

 

 断続的な爆発とともに重装甲を施したコアブロックや腕部が破損するものの、五体満足で無人ACは健在だった。

 だが無情にもKARASAWAから放たれる蒼白の閃光が、無人ACのコアブロックを貫く。

 

「月まで吹っ飛んで行くんだな」

 

 その場で爆散する無人ACの残骸が、まるで掃除機で吸い取られるゴミのように宇宙空間へと放出されるのを見ながら、フォグシャドウは思わず悪態を突いた。

 すると衛星砲の周囲で巡回していたサプライドローンが続々と集結し、破損した天井を瞬く間に修復していく。

 フォグシャドウはそれを見届ける余裕もなく、彼女のACと協同してエネルギー増幅器を破壊していった。

 

「目標の撃破を確認、お疲れ様。帰還しましょう」

 

 すべての増幅器を破壊できたのか、オペレーターのエマが作戦が無事に完遂できたことを労いの言葉とともに送る。

 それを聞いたフォグシャドウは大きく息を吸い込み、そして吐き出しながら――コントロールスティックから両手を離した。

 

「よくやってくれた。次はアリーナで戦いたいものだな」

 

 ミストの背後で直立不動のまま一歩も動かない軽量二脚AC、そのパイロットである彼女にフォグシャドウは言葉を投げかけた。

 トップランカーとしての「壁」である自分の目前に迫る彼女の活躍はどうやら嘘ではないと、この作戦をもって思い知った。

 はたして彼女がアリーナのチャンピオンであるメビウスリングを倒せるのか、あるいは断念してしまうのか――その試金石としての役割をフォグシャドウは自負している。

 

「そのつもりだ」

 

 短くも、力強い口調で彼女からの返事を聞き、フォグシャドウは鼻で笑う。

 これ以上の問答は野暮だ――そう思った彼はもう一度深呼吸をしながら、コントロールスティックを握った。

 

 

 

 以上が恐らく現存する「彼女」の記録映像である。フォグシャドウ氏とのインタビューをもちろん行ったが、氏の意向でその内容は非公開であるとあらかじめ断っておく。

 確認されている情報を照らし合わせると、未踏査地区に存在していた第二のレイヤードの機能を停止させたのは彼女だということは公然の事実だ。

 その後、彼女はアリーナのチャンピオンとして君臨し――あのネームレスと戦った。

 

 当時活動していたレイヴンたちは彼女のことを、新たな時代を切り開いた「イレギュラー」と呼んだ

 少なくともネームレスはイレギュラーと称された彼女の実力を図るために現れた人物、といって過言ではないだろう。

 

 そして、彼女の行方を知る者は居ない。

 

 ネームレスの正体は恐らくイレギュラーである「彼女」の実力を確かめるために存在した、名もなきレイヴンなのか、それとも第二のレイヤードの管理者が遺したAIなのか――断定ではできない。

 しかし、ネームレスは確実に存在した。

 

 名無しの謎について、私は取材を終えようと思う。

 

 

 この著書を、ベイン・クロフォードに捧げます。

 

 

 

 ベイン・クロフォード

 

 

 

 地球歴207年12月未明。取材中に戦闘に巻き込まれ、死亡。

 

 

 

 この著書はベイン氏の意向を汲み取り、本人と交友がありカメラマンであるムラカミ氏及びグローバルコーテックス社が編集校正をして発刊致しました。

 

 著書の売り上げはベイン氏が在籍していた軍事ジャーナリスト協会に寄付されています。

 

 執筆者:ベイン・クロフォード

 取材協力:クレスト社、ミラージュ社、キサラギ社、グローバルコーテックス社。

 

*当コンテンツは地球暦209年~211年にグローバルコーテックス発刊の機関紙「ヒストリー・コーテックス」にて連載された「名無しの謎」に加筆修正を加えたものとなっております。

 

 

 

 

 

 






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 差出人:名無し
 件名:ネームレス
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