黒子のバスケ キセキを討つ奇跡   作:のなめん

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こんばんは、のなめんです。 雨が強い地域が沢山ありますね、みなさん大丈夫でしょうか。私の住む地域は運良く雨にあっておりませんのでよかったです。皆さんのところも無事であることを祈ります。では本編です。


第2Q

「よく来てくれた、椿丘高校へようこそ」

 

当日、まず2人を出迎えてくれたのは監督の若林。就任して6年、うち4度インターハイ出場という優秀な監督だ。

 

「渋谷秀です、今日はよろしくお願いします」

 

「来栖黎です、お邪魔させていただきます」

 

「ああ、よろしく頼む。今日はスカウトしてきた新1年生を集めて練習に呼んでいるんだ、他の中学の人たちも来てるから、挨拶しておくといい」

 

2人は控え室に通された。

 

 

ーーーーーーーーー

 

「あれ、もしかして来栖くんと渋谷くん?」

 

「小野か?」

 

小野陽一、178cmのSG、スピードはあまりないが、しなやかな動きと柔らかいシュートタッチは本物で、スリーポイントシュートのスペシャリストだ。直接対戦したことはないが、お互い顔と名前くらいは知っている。

 

「2人も椿丘に?」

 

「一応誘われてな、黎連れてきてみたんだ」

 

「見てみたくなってな」

 

「そうなんだ、僕はもうここに決めたよ」

 

「おいおい、いいメンツ揃ってんじゃねえか」

 

声のした方を向くと、こちらも見た事のある顔であった。

 

「海江田くん」

 

海江田遼、186cmのSF、外はあまりないが、卓越したドリブルとスピードを活かすタイプのスコアラーだ。

 

「これは来年面白くなりそうだな」

 

続々とスカウトされた新1年生が集まってくる。

 

「いて!」

 

見ると、ドアの前で頭を抑えて立っている男がいた。

 

「もしかして熊谷?」

 

熊谷和人、202cmのC、持ち前の身長でインサイドを支配するプレイヤー。

 

「結構いいメンツ集めてんのな」

 

どうやら各地から有望な選手が集められているらしい。スカウト能力も高い高校のようだ。

 

「あー、じゃあそろそろ始めるんで、こっちついてきてもらっていいかな」

 

キャプテンの吉永が黎たちを呼びに来たので、彼について行き体育館へと向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

椿丘の練習は、効率的というのが1番似合うだろうか。ランメニューやフットワーク、基礎練習などはもちろん行うし、量もペースも強豪校のそれなのだが、あまり時間はかけない。そのような練習をそうそうに切り上げ、残りは実戦形式のメニューをこなす。練習中監督が指示をすることも少なく、プレーの中で選手が自分たちで話し合って課題を見つけ、改善に取り組んでいる。そのような練習のおかげもあってか、疲れはしても、とても充実した練習だと実感できた。そして

 

「よし、集合」

 

13時から始まった練習が15時で切り上げられ、監督が全員を集めて話をする。そこでその日の練習をみて監督が思ったこと、改善点を総ざらいする。そして、残った時間は自主練習に当てるらしい。

 

「高校バスケってのは、どれだけ長くやっても2年半と少しだ。その短い時間で結果を出すには、無駄なことは徹底的に排除しなければならない」

 

と若林は話す。なるほど、合理的であるし、練習環境としても悪くない。黎の中で椿丘高校に対する評価が着々と上昇していた。

 

「さて、せっかく来たんだ、うちのメンバーと試合していかないか?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

若林の一言で、スカウトされたメンバーと椿丘のレギュラーで試合をすることとなった。

 

椿丘 メンバー

吉永優斗 PG 180cm

重松恭弥 SG 179cm

白石雅史 SF185cm

川崎圭一 PF 190cm

森田康平 C 198cm

 

新1年生組 メンバー

渋谷秀 PG 170cm

小野陽一 SG 178cm

海江田遼 F 186cm

来栖黎 F 188cm

熊谷和人 C 202cm

 

「試合は10分1Qのみの一本勝負。レギュラーチームは負けたら新1年生のみんなに飯おごりな」

 

ニヤリと若林が告げたことで、レギュラーチームは苦笑いを漏らす。

 

「悪いけど負けられんな。じゃあ、始めよう」

 

吉永が笑って言う。しかし目は集中しており、それは他の9人も同じだった。

 

ーーーーーティップオフーーーーー

 

ジャンプボールを制したのは熊谷。ボールは秀の手に収まり、ゆっくりとボールを運ぶ。ディフェンスにつくのは吉永だ。

 

(さすが吉永さん、隙のねえディフェンスだな)

 

仕掛けるタイミングを見計らい、左右に揺さぶりをかけるが、吉永はつられない。

 

(なら…)

 

逆サイドで熊谷のスクリーンを利用してフリーになった小野にパスをさばく。小野はすかさずスリーポイントを放ち、沈めてみせた。

 

「ナイッシュ!」

 

「ナイスパスだったよ!」

 

先制は新1年生チームだ。

 

「…!来るぞ!」

 

黎が叫ぶ。ほかの4人が見ると、もうレギュラーチームはリスタートしており、速攻を仕掛けに来ていた。一瞬反応が遅れた黎以外の4人は、すぐに置き去りにされてしまう。

前を走るのは、吉永、白石、森田の3人。残り2人がその後ろを追随している。ハンドラーの吉永にチェックをかけに行くと、外で待ち構える白石へパス。白石がシュート体勢に入る。すかさず追いついてチェックに行くが、黎のブロックは届かない。

 

(おかしい、この軌道じゃ入らない…パスか!)

 

白石がニヤリと笑みを浮かべる。振り返る

と、走り込んだ森田が空中でボールをキャッチ、そのままリングへ叩き込んだ。

 

新1年生 3

レギュラー 2

 

「いきなりのスリーで主導権取りに来たみたいだけど、そうはいかねえよ」

 

目の前で白石が不敵に笑って告げる。

 

「さすが全国区っすね」

 

黎も笑って返す。簡単に勝たせてはくれなそうだ。

変わって新1年生チームのオフェンス。秀がゆっくりとボールを運ぶ。黎へのパスコースを探るが、川崎がうまくディナイでコースを塞いでいる。川崎はチーム1のディフェンダーだ。マークを外すのは容易ではない。

 

(しゃーねえな)

 

秀は黎に手でこちらに来いと合図、意図を察した黎が秀に近づき、ハンドオフをしようとする。2人が交錯する瞬間、逆に秀がスピードを上げ、ディフェンスを置き去りにする。ハンドオフフェイクだ。そのまま秀がペイントエリアに侵入、熊谷への合わせを試みるが、森田がうまくパスコースを塞いでいる。自分で行くしかないと判断した秀は、フリースローラインあたりで踏み切り、柔らかいタッチでフローターを放つ。上背のない秀がブロックをかわすために身につけたシュートだ。

 

「させん!」

 

しかし、森田がその巨体に似合わないスピードで秀との距離を一気に詰め、フローターをたたき落とす。

 

(マジかよ!)

 

フローターとは、ブロックをかわすために高いループで放つシュート。加えて、森田は直前まで熊谷をマークしていた。しかしブロックされた。森田のディフェンス力がうかがえるプレーだ。こぼれたボールを海江田がおさえ、手薄になったゴール下に侵入、ダンクを試みる。しかしこれも森田が追いつき、ダンクを阻んだ。これを吉永がおさえ、レギュラーチームの速攻になる。秀が吉永につくが、スピードに乗った吉永を止めるのは難しい。

吉永がレイアップの体勢に入ったあたりで黎が追いつくが、吉永は黎が後ろから追ってきていることに気づいており、冷静にリバースレイアップに切り替えてシュートを沈めた。

流れが掴めない新1年生チーム。逆にレギュラーチームは勢いに乗り、その差は徐々に開き始めた。そして残り2分

 

新1年生 13

レギュラー 25

 

12点差を1Qでつけられていた。レベルの違いが伺える点差だ。

 

「さて、そろそろ自分で点を取りに来たらどうだ?」

 

吉永が黎に向けて挑発を送る。黎はまだ外からのシュートを1本決めただけで、まともにオフェンスをしていない。有効な局面にパスをさばいているだけであった。

 

「そうですね、このままやられっぱなしもいやですし、取りに行きましょうか」

 

秀からバックコートでボールを受け、そのまま運んでいく。手で味方に指示を出し、アイソレーションの形をとる。黎につくのは川崎。チーム1のディフェンダーである。黎は川崎を背中に背負い、ジリジリとゴールに向けて迫る。しかし川崎がただ押し込まれているだけなわけもなく、スリーポイントラインを超えたあたりで重心を落とし、黎を押し返す。その力が背中に伝わった瞬間、つまり川崎の力が前に向いた瞬間、高速バックロールターンで川崎を振り切る。そのままリングへ向かい、ダンクの体勢。しかしやはり森田が黙っていない。川崎が抜かれたタイミングでヘルプディフェンスに動き、黎のダンクを阻みに来る。しかし黎にとってこれは予想の範囲内であり、ダンクに向かった腕を下げて腹に抱え込み、ダブルクラッチで森田をかわしてシュートを決めた。

 

「ちっ!やるな!」

 

「味方が何本もブロックされてるの見てますから!」

 

「速攻!」

 

吉永の声に合わせるようにレギュラーチームが速攻を決めようとあがってくる。しかし新1年生チームも学習し、全員が戻っている。しかし吉永はお構い無し、秀を緩急を使って抜き去り、ゴールに迫る。黎がヘルプに飛び出し、2人は同じタイミングで踏み切った。

 

「早いヘルプだ、でも俺は止められない!」

 

吉永は空中で体をひねって黎をかわし、そのままシュートを沈めようとする。しかし

 

「いいんですよ、その体勢になったらこっちの勝ちです」

 

吉永の前に熊谷があらわれ、ブロックに飛ぶ。体をひねってシュート体勢をとっている吉永は、もうパスに切り替えることが出来ない。そして無理な体勢なので202cmの熊谷のブロックを掻い潜るようなシュートも打てない。

 

「ちっ!やられた!」

 

ブロックされると分かっていてもシュートを放つしかない。案の定熊谷がボールをはたき、リバウンドを黎がおさえる。そのまま一気に駆け上がる。吉永が簡単にブロックされると思っていなかったレギュラーチームは虚をつかれ、一瞬反応が遅れてしまう。スリーポイントラインあたりで川崎が追いつくが、黎はそれを見てレッグスルーで急停止、川崎はこれに反応できず、フリーでスリーポイントを放つ。ボールは綺麗にリングの中央を射抜いた。

 

「っしゃあ!!」

 

黎が右手を突き上げる。これで連続得点、一気に5点を縮めた。

 

残り1分半

新1年生 18

レギュラー 25

 

「あたるぞ!」

 

黎の声に合わせ、新1年生チームはオールコートゾーンプレスを敷く。2-2-1だ。先頭を連携の取れる秀と黎が務め、残りの3人がぶっつけではあるが2人に合わせる。ハンドラーの吉永にダブルチームをしかけ、ボールを優に運ばせない。黎と秀、両方が優れたディフェンダーで、なおかつ連携もうまい。さすがの吉永と言えど攻めあぐねている。加えて、サイドライン側を秀が守り、コートの内側を黎が守ることで、パスコースも塞いでいる。このままでは8秒になってしまう。吉永は秀の方から強引に突破を試みる。しかし、黎が長い腕を活かして吉永の隙をつき、ボールを弾く。こぼれたボールを秀が拾い、新1年生チームの逆速攻になる。ゴール下に走り込んでいる黎に秀がバスを出す。吉永が自分のミスを取り返そうと黎に迫る。黎はここでボールを止め、反転して外の秀にリターン。フリーになった秀が落ち着いてスリーポイントを沈める。

 

「ナイッシュ!」

 

「これで4点差!」

 

差を一気に縮め、勢いに乗る新1年生チームはゾーンプレスを継続。しかし中学生の同じ手に2度もかかる椿丘レギュラー陣ではない。吉永の近くまで白石がボールをもらいに行き、すんでのところでそのパスが通る。白石がボールを運び、まず目の前の小野を左右の揺さぶりでかわす。ついで海江田を前後の揺さぶりと緩急で抜き去り、スリーポイントラインの少し手前で森田にパスフェイクを入れる。これによって白石のチェックに出ようとした熊谷がそちらにつられ、白石が完全にフリーとなる。距離のあるディープスリーだが、白石は落ち着いて決めてみせた。

 

残り45秒

新1年生 21

レギュラー 28

 

もう勝利は難しい、しかし勝負を投げるわけにはいかない。黎がリスタートしたボールを受け取り、時間を惜しむように駆け上がる。再びアイソレーションの形。黎は前後左右、そして緩急で川崎を揺さぶる。そして隙を見てステップパックでスリーポイントラインの外に出た。

 

「打たすか!」

 

川崎が早い反応を見せ、シュートチェックに行く。しかし次の瞬間、しまったという表情になる。そう、黎はシュート体勢に入っていなければ、ボールを持ってもいない。ヘジテーションで川崎を騙してみせた。そのままペネトレイトし、エルボーあたりでプルアップジャンパーの体勢に入る。それを見て森田がブロックに飛ぶ。

 

「何本も連続でやらすか!」

 

ただ高さに任せるだけでなく、シュートコースをうまく塞いだいいブロックだ。

 

「これじゃシュートはできないですね、でも…」

 

ボールはブロックに伸ばした手の横を通る。つまりリングにまっすぐ向かっていない。

 

「パスはできます、しょっぱなにやられたプレーのお返しです」

 

ボールはジャンプしている熊谷の手に収まり、そのまま熊谷がアリウープを叩き込む。

 

残り30秒

新1年生 23

レギュラー 28

 

みたび新1年生チームはオールコートゾーンプレスであたるが、吉永が今度はボールをしっかりキープ。時間をじっくりと使う。

 

「くそっ!」

 

焦ってスティールを狙いに来た秀をかわし、フロントコートに侵入。これで24秒全て使い切れば勝利が確定する。

 

「1回くらい出し抜せてもらいますよ!」

 

黎が吉永にあたっている後ろから秀が再び吉永に迫る。今度はボールをティップすることに成功する。

 

「速攻!!」

 

黎がルーズボールをおさえ、前を向くと、海江田が前を走っている。海江田にボールを託す。パスを受け取った海江田がトップスピードであがるが、吉永が追いついてくる。海江田はクロスオーバーやロール、ヘジテーションで吉永を揺さぶるが、抜くことができない。

 

「ヘイ!!」

 

そこへ、黎が走り込み、ゴールへ向けて指を指す。意図を理解した海江田は、リングに向けて柔らかくボールを放り投げる。そのボールを黎が空中でキャッチし、そのまま腕を一回転させてウィンドミルでアリウープを叩き込む。

 

『おおおおおお!!』

 

試合を見ていた人たちから歓声があがる。しかし反撃もここまで、このゴールを最後に、両チームのスコアが動くことは無かった。

 

試合終了

新1年生 25

レギュラー 28

 

「お疲れさん、レギュラーチームは後でダッシュな」

 

勝ったとはいえ、ギリギリだったレギュラーチームに、若林はダッシュを命じた。そして新1年生チームに向き直る。

 

「いいものを見せてもらった。やはり君たちは優秀な選手だ。君たちさえよければ、椿丘に入って同じ仲間として全国の頂点を目指してほしい。」

 

ーーーーーーーーー

 

「黎、どうするんだ?」

 

帰り道、秀が黎に尋ねる。

 

「…行こうと思う」

 

「ほんとか!」

 

黎の答えに秀が嬉しげな反応を示す。

 

「先輩たちのレベルは想像以上に高かったし、練習の雰囲気もいい。監督もよかったし、いい環境だと思うんだ。」

 




前回が少し見にくいかと思いましたので、今回すこしスペースを広めに取ってみました。今後はこれでいこうかと思います。では続きはまたいつか。ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
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