黒子のバスケ キセキを討つ奇跡   作:のなめん

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お久しぶりもお久しぶりです。リハビリがてら書きました。


第6Q

第2Q、やはり誠凛は日向で攻めるつもりのようだ。黒子は温存し、第1Qの最後と同じメンバーで臨んでいる。椿丘も同じメンバーだ。

最初のオフェンスは椿丘。ボールを持っているのは海江田だ。マークにつくのは土田。しかし土田では海江田を止めるには荷が重い。クロスオーバーであっさり抜かれてしまい、海江田の今日何度目かのペネトレイト。ここで水戸部が立ちはだかった。

 

(ならパスするだけだ…へえ)

 

海江田が熊谷の方に視線をやると、パスコースに日向が回り込んでいた。空いた小野には土田がマークについている。

 

(ローテーションが早くなってるな、ひとりじゃ止められないからチームディフェンスでってことか)

 

誠凛のメンバーは椿丘のメンバーとの1on1ではかなわない。よってディフェンスローテーションを早くし、チームディフェンスで守りきるしかないのだ。第2Qはその意識が高まり、全員で足を動かしてディフェンスをしている。海江田は水戸部のブロックを掻い潜るフローターを放つが、リングに弾かれてしまう。

 

「チッ!リバウンド!」

 

しかしリバウンドとなれば俄然有利なのは椿丘だ。202cmの熊谷がインサイドにおり、さらに水戸部はブロックに飛んでしまっている。しかし

 

(く…この人、俺を飛ばせないことだけに!)

 

日向は熊谷に対してフロントボックスアウトをしていた。リングから背を向け、熊谷に向き合ってのボックスアウト、自分がリバウンドを取れなくなる代わりに、自分のマークマンを封殺するボックスアウトだ。

 

「土田っ!!」

 

そこに飛び込んだのは土田。小野のマークをしていた土田が飛び込み、ディフェンスリバウンドをもぎ取った。

 

「ナイスリバン土田!速攻行くぞ!」

 

ボールを伊月が受け取り、誠凛の速攻になる。しかし椿丘の戻りも早い。黎と秀が最初に戻り、残りの3人もすぐに戻った。誠凛のファストブレイクは失敗に終わる。

 

「オッケー!1本きっちり取ろう!」

 

伊月が落ち着かせ、ハーフコートオフェンスに切り替える。日向に土田と水戸部のダブルスクリーンをかける。フリーになった日向がボールを受け取り、スリーポイントの体制に入る。

 

「させっか!」

 

しかしスイッチした黎が追いつき、スリーポイントを阻む。ボールはラインを割り、再び誠凛ボールになる。

 

「小野になら勝てると思って日向さんで攻めようって?甘いですよ」

 

〜〜〜インターバル中〜〜〜

 

「第2Q、誠凛は日向で攻めてくるだろう。」

 

そう言うのは若林。

 

「誠凛としては来栖と熊谷のいるところからは攻めたくないだろう。渋谷も平面のディフェンスは中々のものだ。こうなったら残りは日向しかない。土田に来栖がついてヘルプ意識を高めていこう」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

小野が狙われることは椿丘としては想定の範囲内。警戒しておけばさほど怖いオフェンスではなかった。誠凛のスローインでリスタートになる。しかし、誠凛のオフェンスパターンはこれだけではなかった。

 

「スクリーン!」

 

次は日向がハンドラーとなり、伊月が小野にスクリーンをかける。秀と小野がスイッチし、日向のマークが秀になった所で日向がスリーポイントの体勢。第1Qでも見られた高さのミスマッチを活かした攻め方だ。これが決まり、第2Q最初の得点は誠凛となる。

 

「ナイス日向!」

 

「おうよ!」

 

喜びを露わにする誠凛メンバー。しかしやはり問題はディフェンスだ。

 

「こい、来栖!」

 

ボールをつくのは黎。ロッカーモーションで左右に火神を揺さぶり、隙ができたところでステップバック、スリーポイントの体勢に入る。

 

「させねえ!!」

 

「!?」

 

しかし、振り切られたはずの火神のシュートチェックが間に合った。ブロックはできなかったが、黎のシュートはリングに弾かれる。

 

「リバウンド!」

 

ここでも水戸部がフロントボックスアウトで熊谷を封殺、土田がリバウンドを抑えて誠凛ボールになる。伊月が速攻を狙うが、セーフティを取っていた秀とシュートを撃った黎が戻っており、ファストブレイクでの得点はできない。誠凛は次の手を打った。

 

「スクリーン!」

 

先ほどと同じく日向がボールマンとなり、次は火神がスクリーンをかける。海江田と小野がマークチェンジし、火神対小野の構図ができあがる。ここで火神にボールが渡った。

 

「よっしゃ、いくぜ!」

 

火神は小野を抜き去り、ペイントエリアに侵入。ここで黎がヘルプに出る。しかし、その黎に次は水戸部がスクリーンをかけ、黎のマークをはがすと、火神はレイアップの体勢に入った。

 

「させん!」

 

熊谷がブロックに飛ぶが、火神はダブルクラッチで熊谷をかわし、ボールをリングに沈めた。

 

椿丘36-26誠凛

 

一気に10点差まで追い上げた誠凛、さらに勢いに乗りたいところだが、依然としてディフェンスは不利なままだ。

 

(こういうチームは調子づかせると厄介だ、なら…)

 

「黎!」

 

秀から黎にボールが渡り、ほかの4人は逆サイドに寄る。アイソレーションだ。

 

「次も止めてやる!来いよ来栖!」

 

「1本外させたくらいで威勢がいいな火神、やってみろよ」

 

沈黙の後、右から一気に抜きにかかる。火神が付いてきているのを確認してから急停止、ステップバックを散々見せられてきた火神にはそれだけで十分なフェイクになる。火神の動きが止まった瞬間に逆方向へクロスオーバー、火神を一気に抜き去った。そのままペイントエリアに侵入し、シュートモーションに入る。

 

「打たせねえ!!」

 

しかしここで火神が後ろからブロックに飛んできた。火神のサイズとスピード、そして跳躍力があればこそのブロックだ。

 

「相変わらずたけえな、でももう慣れたわ」

 

黎はシュートは打たず、両手で真後ろにパスをさばいた。そこにはいつの間にか秀が待ち受けている。

 

「ナイスパス!」

 

「しまった!」

 

伊月が気づいた頃にはボールは秀の手に収まり、フリーの秀が確実にスリーポイントを沈めた。

 

「1on1だけがバスケじゃねえ、こっちには点をとる手段なんざいくらでもあるんだ」

 

黎の1on1で来ると決めつけていた誠凛メンバー全体への挑発とも取れる発言。あくまで黎は強気な姿勢を崩さない。

 

「上等だ、いくぞ!!」

 

日向がそれに応えるように誠凛メンバーを鼓舞し、攻めあがってくる。

次のボールマンは伊月、スクリーナーは水戸部だった。秀と熊谷、PGとCでのスイッチはできれば避けたい椿丘側、秀はマークを交換せずにファイトオーバーで付いていく。しかしこれは伊月も想定の範囲内だった。もう1度スクリーンをかけ、今度は秀も引っかかる。これでスイッチしてしまえば高さとスピードのミスマッチが2箇所できあがる。そこに

 

「スイッチするな!ドロップでいい!」

 

黎が熊谷に指示を出した。ドロップ、つまりそのままマークを交換するスイッチではなく、後に下がってハンドラーを待ち構える守り方だ。スリーポイントやロングツーを狙われやすくなるが、その分ペネトレイトを防ぐことが出来る。外を得意としていない伊月には有効なディフェンスだ。伊月が攻めあぐね、時間が出来たところで秀が伊月の、熊谷が水戸部のマークに戻る。このスクリーンオフェンスは失敗だ。

 

「くそっ!」

 

ショットクロックが迫ってきたため、伊月が苦し紛れのスリーポイントを放つが、リングに嫌われてしまう。こぼれたボールを黎が抑え、椿丘の速攻だ。

 

「海江田!!」

 

黎から海江田にロングパスが通り、海江田のワンマン速攻になる。そのままレイアップを沈めようとしたその時。

 

「何度もやらすかよ!!」

 

火神のチェイスダウンブロックが決まった。リバウンドを戻ってきた伊月が抑え、速攻は失敗に終わる。

 

(ここに来て動きのキレが増してきたな…)

 

黎の危惧は当たっていた。火神のエンジンもかかってきており、次の誠凛のオフェンスでは火神が海江田を振り切り、黎のヘルプが来る前にミドルシュートを沈めた。

 

「へえ、なるほどね」

 

それを見ていた黎がポツリとつぶやく。そして海江田に告げた。

 

「次からマーク代わろうか、俺があいつを抑える」

 

続く椿丘のオフェンス。ボールマンは黎だ。今度は椿丘もスクリーンオフェンスに打って出る。火神に秀がスクリーンをかけた。小さい選手が大きい選手にスクリーンをかける、いわゆるインバートスクリーンだ。

スイッチしてしまえば伊月と黎のミスマッチができあがる。しかしファイトオーバーでついて行くには秀と黎の連携は隙が無さすぎるため、簡単に置いていかれてしまう。やむなくスイッチを選択した。

 

(俺にこいつを止められるのか…?火神でもついていくのがやっとの相手を…?)

 

伊月の迷いを黎は見逃さない。左右に高速で振り、伊月の体勢が崩れた瞬間にもはや十八番であるステップバック、シュート体制に入った。

 

「させねえ!」

 

そこへ火神が飛び込んでくる。伊月が振り切られることを予測していた火神は、いつでもヘルプに出られるよう備えてあった。

 

「あめえよ!」

 

だが、備えていたのは火神だけではなかった。火神がヘルプに来ることを読んでいた黎はシュートモーションから秀へパスをさばく。その後カットインで伊月と火神を振り切り秀からボールをもらい直した。そして確実にミドルレンジを沈める。続く誠凛のオフェンス。

 

「きたな、来栖…!」

 

ボールを受けた火神の前に立ちはだかるのは黎。今日初めて真っ向から火神のディフェンスにつく。

 

(ぶち抜いて一気に流れを取りに行ってやる!)

 

勢いよく右へとドライブする火神。当然黎はついてくる。左右に揺さぶりをかけるが、簡単には釣られない黎。

 

(平面で抜くのは厳しいか、なら!)

 

火神は1度ボールを伊月に戻し、ハイポストでポジションをとった。ポストアップした火神にボールが再度渡り、再び黎がディフェンスにつく。

 

(サイズとパワーは俺の方が上なはずだ、ならそこをつくしかねえ!)

 

黎を背中に背負い、パワードリブルでジリジリと黎を押し込む火神。火神の予想通り、パワーでは火神が黎を上回っていた。

 

(これならいける!)

 

「食らえ来栖!!」

 

ローポストまで押し込み、スピンムーブからダンクの体勢。しかし

 

(な!?届かねえ…!?)

 

火神のダンクがリングに届くことは無かった。火神のダンクは空を切り、そのまま着地してしまったことでトラベリングになる。

 

「火神がダンクミス…?」

 

日向を始め誠凛メンバーに動揺が走る。ここで黎が口を開いた。

 

「俺がただ押し込まれてるだけだと思ったか?ポストアップしたお前がゴール下でフィニッシュに来ることは読めてたんだよ、だからその瞬間までは大人しく押されといてやった。最後の一押しだけ抵抗する力を強めて、お前が想定してた距離に届かないようにしたのさ」

 

(確かに最後だけ押し込む感触が違った、こいつ、マジで最初からそこまで考えてやがったのかよ…!)

 

唖然とするしかない火神。黎から得点を奪い、流れを持ってこようとした矢先のターンオーバーは逆に椿丘に流れをもたらした。オフェンスでは元々有利だった椿丘は、その後も順調に得点を重ねる。誠凛もスクリーンオフェンスで追いすがるが、やはり椿丘ほどの安定性はない。スリーポイントの数が誠凛の方が多いため大差をつけられてはいないが、内容は椿丘が完全に試合を支配していた。第2Q残り3分で黒子が投入されたことでオフェンス強化に繋がり、なんとかついて行っている誠凛。そして前半終了を迎えた。

 

第2Q終了

 

椿丘55-誠凛44

 

椿丘side

 

「11点差か、よし、お前達の力はよくわかった。悪くない内容だったぞ、ご苦労さん。後半からはスタメンも使っていくからそのつもりでな」

 

若林が試合に出ていた5人を労い、後半以降は吉永たちも起用することを告げる。これを受けて吉永や白石を始めとする主力メンバーはアップを始めた。

 

誠凛side

 

「今吉永君たちがアップをしているってことは、おそらく後半から出てくるわ、うちはどちらにしろディフェンスでは不利だから、ガンガン攻めていきましょう」

 

「相手を止められないならそれより点を取るしかねえ、後半はもっと走ってくぞ!」

 

リコ指示に日向が同調し、誠凛の後半の方針が決まった。

 

試合はいよいよ後半戦に移る。




不定期更新とは書いてますがガチの不定期ですね
実は就職活動をしてまして、無事第1志望の企業から内定をいただき、NBAを見ていたらこれを書きたくなったので書いた、という流れになります。次もいつかあげます、いつか
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