モブ厳な世界で時の王者やってます。   作:あんこパンパンチマン

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自分では誤字はないと確認しても届く誤字報告、ありがたいと思うと同時に申し訳ない。

そして2019/10/13日間ランキング入りしてました! 皆さんのおかげですありがとうございます!

そして報告の方もありがとうございます! 絶対自分じゃ気付いてませんでした!

 


モブ厳な世界で仮面の秘密。

 

──次々と迫りくるノイズに向けてジカンギレードを振り下ろして斬り裂き、消滅させて行く。

 

ボディを降り注ぐ雨で濡らしながら市街地を駆け回り、舗装路に出来た水溜を踏みつけて雨水を跳ねさせる。ノイズを振り切るように疾走し更に加速しても行く先々でノイズが現れて戦闘になる。

 

「ああもうっ! さっきからしつこい、何匹出てくるんだ!」

 

しかも市街地での戦闘だ、周囲への被害を考えると派手な戦い方は出来ない。

 

「くそッ! 一回しか言わねえぞ! 避けたきゃ右に避けろ!」

 

その言葉に従い振り向くように右側へと身体を動かすと、背後から放たれた赤色の矢の形状をしたエネルギー弾が、飛びかかってきたノイズを貫いて炭化させた。

 

「……おお、ありがとう」

 

援護してくれた雪音さんにサムズアップを向けてお礼を言うが、彼女はこちらに見向きもせず何かをぶつぶつ言っている。

 

「なんでアタシはこいつと一緒に戦ってんだよッ。そもそもこいつがいたからアタシは……あー、くそ! さっさと移動するぞ! またうじゃうじゃと来てやがる!」

 

ぶつぶつと呟いていた雪音さんが何かを振り払うように頭を振ると、そう言って駆け出して行く。俺もそれに続き走り出す……俺が抱えて走った方が速いんだけどそれやったら怒られたからなぁ。

 

というか雪音さんも響たちと同じシンフォギア装者とやらだったのか。

 

視線の先には響たちと似たボディスーツに機械仕掛けの赤い鎧、遠距離戦を得意としているのか先程からノイズとの戦闘は銃撃戦で手には赤いクロスボウのようなものが握られていた。

 

……しかし黄色のシンフォギアの響と奏、青色のシンフォギアの翼、そして赤色のシンフォギアの雪音さん、なんか並べたら信号機みたいだな。本人たちに言ったら怒られそうだけど。

 

「HaHa!さあッ! It's show time!」

 

目の前で雪音さんが歌いながら戦っている。手に持っていたクロスボウは巨大なガトリングに変形して飛翔型ノイズを蜂の巣にしていく……エグいな。

 

というか前から思ってたんだがシンフォギア装者の武器ってどうなってんだ、ガチャンガチャン変形しているのはカッコいいがどういう仕組みなんだあれ。翼の刀や奏の槍もガチャガチャ変形機能付いてたけど。

 

 

 

……ここまでの状況を説明すると、山間部に存在していた邸宅から抜け出した後、自分たちを追跡してきたノイズを斬り捨てながら山を駆け下りていた。そこで顔を青くした雪音さんに弱々しい声で下ろしてくれと頼まれた。

 

最初の方も恥ずかしがって下ろせと言って暴れていたがその時とはあまりにも違う様子なので何かあったのかと思い、追いかけてくるノイズから姿を隠して一度足を止めた。

 

すると雪音さんが木の影に蹲り、その……オロロと虹色に輝くシャワーを作っていた。

 

よくよく考えてみればジオウの走力は100mを5.0秒だ。片腕を使えるようにする為とは言え不安定な抱え方をして、その上デコボコで傾斜のキツい山道を全力疾走したんだ。こうなるのは当然というか……。

 

とりあえず雪音さんが落ち着くまで目を逸らしながら隣で背中を摩っておいた。気分の悪そうな少女の背中を摩り慌てている仮面ライダー、側から見ればかなり可笑しな光景だったと思う。

 

その後回復した彼女に思いっきり顔面を殴られたが、逆に殴った彼女の方が手を痛めて「お前の顔硬すぎるんだよ!」と更に怒っていた。

 

彼女の後をつけさせていたカンドロイドから得た情報である程度の事はわかっている。とりあえずあの女性が黒幕って事でいいんだろうか……そして雪音さんは利用されていたと。

 

意気消沈している彼女は戦える様子でもなく、武器であるソロモンの杖とネフシュタンの鎧はフィーネと呼ばれていた裸族で黄金聖闘士(ゴールドセイント)な女性が持っている。

 

ノイズとの戦闘を避けてやり過ごそうとしたのだが、フィーネの操るノイズたちが市街地に向けて駆け出したのだ。

 

俺と雪音さんを見失ったフィーネが俺たちを炙り出すためにノイズに指示したんだろう。当然無視できるわけないので戦闘再開。雪音さんを守るようにしながらノイズと戦っていたんだが、雪音さん見覚えのある赤いペンダントを握りしめて飛び出した。

 

歌を口ずさみ光に包まれると、そこには赤いシンフォギアを纏った雪音さんがいた。彼女は何も語らなかったが、一度こちらに目を向けてノイズへと向かっていった。

 

そして現在、彼女と協力しながら市街地に入り込んだノイズを殲滅している。

 

「鬱陶しいんだよ、ちょこまかとッ!」

 

「ちょ、タンマ! ミサイルはやり過ぎだって! そのうろちょろしてんのは俺がやるから空中にいる奴を銃で狙って!」

 

「こっちの方が、早えだろ!」

 

「ダメです!」

 

バランスボールに手足が生えたカエルのようなノイズの大群に向かって腰パーツのミサイルを放とうとする雪音さんを慌てて止めて、空を飛んでいるノイズを狙うよう頼む。

 

いくら数が多いからってこんな街中で、しかも地上にいるノイズを狙ってミサイルなんて使われたらたまったもんじゃない。

 

<ブレイド! ギリギリスラッシュ!>

 

「はああ……セイッ!」

 

飛び込んで来たカエルのようなノイズを蹴り飛ばしてジカンギレードにブレイドライドウォッチを装填、バチチチッと放電し迸る青白い電撃を刀身に纏わせてノイズたちの隙間を縫うように駆けてすれ違い様にノイズを斬り裂いて行く。

 

「これで、おおかた片付いたか……お疲れ様」

 

見渡す限りノイズの姿は無く炭素が転がっているだけ、また自分たちを追って出現した気配も感じない。息を切らしながらシンフォギアを解除した雪音さんへ声をかけるが、返事は返ってこない。

 

まあ、今まで戦っていた相手と共闘なんて複雑だし難しいかなんて考えていた。

 

「?……ッ雪音さん!」

 

様子のおかしい雪音さんに視線を向けていたその時、彼女が糸の切れた人形のように膝から崩れ落ちた。

 

地面に倒れ込みぶつかる前に慌てて彼女の身体を支える。様子を確認すると、どこか大きな怪我をした訳ではなく気絶しているだけだった。

 

疲労、なのか。精神的にも肉体的にも。

信じていた相手に裏切られて追い詰められ、それに昨日の夜から現在の早朝まで歌いながらぶっ続けで戦っていた。しかも途中から風雨に打たれながらだったからな、自分は大丈夫だったが彼女はかなり体力を持っていかれてるだろう。

 

「とりあえずどこかで休ませないと……」

 

ジクウドライバーからライドウォッチを引き抜き変身を解除すると、ジオウの装甲が光となって消える。ここは商店街だしそろそろ人が多くなってくる時間だ、変身したままじゃうろつけない。

 

気絶している雪音さんを背負って歩き出す……大丈夫だよねこれ。警察とかに話しかけられたりしないよね……とりあえず面倒ごとにならないようこっそりと行こう。

 

商店街を歩いていると雨が強くなってきた。まずいな、このままじゃ雪音さん風邪ひいちゃうぞ……もうオーロラカーテンで時計店に移動するか。

 

「……あれ、ソウゴさん?」

 

監視カメラのない路地裏に入ろうとして、背後から声を掛けられて身体がビクンと反応する。ゆっくりと振り返れば、そこには傘をさして学生鞄を持った制服姿の未来がいた。

 

な、なんで未来がここに。いくらこれから学校だとしても時間的にちょっと早くない?

 

「なんで傘もささずに、びしょ濡れじゃないですか! ってあれ……その子は?」

 

俺に背負われてる雪音さんの存在に気がついた未来が、驚いて目を見開いている。変な誤解をされなければいいのだが。

 

「い、いや別に何か怪しい事してた訳じゃなくて。そこで知り合いが倒れてたから拾ったと言うかなんと言うか」

 

「拾ったって……そんな猫みたいに」

 

「このまま彼女風邪ひいちゃいそうだから、とりあえず時計店に避難させようかなと」

 

「ここから時計店までじゃ少し遠いしソウゴさんだって風邪ひいちゃいますよ! すぐそこのふらわーの方がいいですよ、説明すればおばちゃんも手伝ってくれますから」

 

そう言うと隣に並び傘を差し出してくれる。既に全身びちょびちょだがこれ以上濡れる事はなくなった。未来に歩幅を合わせて足を進める。

 

「手伝ってくれるのはありがたいけど、学校は大丈夫なの? 何か用事があって早く登校してたんじゃ」

 

「……はい、大丈夫です。ちょっと早起きしただけですから」

 

「………そっか」

 

どこか暗い表情でそう言った未来。何か嫌な事でもあったのかと思い、今はこれ以上の事は聞かなかった。

 

ふらわーに着くと、開店準備をしていたおばちゃんが慌てて迎えてくれた。びしょ濡れの俺と雪音さんが店に入って来たときはすごい驚いていた。

 

裏の部屋や布団をわざわざ貸してくれた。びしょ濡れで冷え切っている雪音さんの身体をお湯で濡らしたタオルで軽く拭いて着替えさせて寝かせるとの事で、そこは女性陣の二人に任せた。

 

俺も濡れているからシャワーを浴びたいのと着替えたいのとで一度時計店に戻った。雨が酷いので未来の傘を無理やり持たされたが、オーロラカーテンで移動するつもりだったからなんだか申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、響と喧嘩した……未来が?」

 

「……はい」

 

ソウゴさんが連れていた少女の濡れた身体をタオルで拭き、着替えさせておばちゃんから借りた布団に寝かせた後。

 

着替えと諸々を済ませてふらわーに戻ってきたソウゴさんに何かあったのかと聞かれた。最初はそれとなく誤魔化そうとしたが、そんな泣きそうな顔で言われても説得力がないと言われてしまった。

 

少し遠回しに、ソウゴさんは響の隠し事を知っているのか確認してみたが、知らない様子だった。特異災害対策機動部二課の人たちに言われた機密保持の事などは伏せて、ポツリポツリと語っていった。

 

響が私にしていた隠し事。前に一度話した時に響に何か隠し事はしていないかと聞いた、それに対して何も隠し事なんてないと言っていた。少し様子が変だったけれど、自分の考えすぎだと判断して彼女の言葉を信じた。

 

けど響は私に嘘をついていた。私は響に対して隠し事もしないし嘘もつかないって約束したのに、それはすごく辛い事だからと話したのに。

 

ソウゴさんは私の話を何も言わずに黙って聞いていてくれた。少しだけ話していただけなのに長い時間話していた気がする。

 

「……そっか。それで、後悔してるの?」

 

私が話終えるとソウゴさんはただ一言そう言った。

 

「……私、響に沢山ひどい事言いました」

 

後悔していないと言ったら、それは絶対嘘になる。

 

響には響の事情があった。ノイズと戦うことのできる力。簡単に人に言えるような秘密じゃなくて、二課の人たちから巻き込まないようにと口止めされていた。

 

ただの一般人である私には規模の大きすぎる話だ。響が機密保持の為に私に隠していた事。それは仕方のない事なのに、理解しているのに納得出来なくて。それで私は裏切られたという気持ちになって響との間に壁を作っていった。

 

そしてすぐに後悔する。隠し事をして一番苦しんでいたのは響のはずなのに、申し訳なさそうな顔をする彼女を見ると胸が張り裂けそうになった。

 

「なら響にごめんねって謝ればいい。響ならすぐに許してくれると思うよ」

 

「……そうかもしれません、けどそんな簡単に」

 

「簡単で、大事な事だよ。それにさ……未来は寂しかったんじゃないかな」

 

「さび、しい……私が」

 

顔を上げてソウゴさんを見ると、彼は真っ直ぐにこちらを見ていた。

 

寂しかった。その言葉と感情は、なんだか自分の中のなにかとガッチリと噛み合わさった気がした。

 

「響の隠し事やそれを知っていた翼と奏。響の隠し事の為に二人はフォローしてあげられるけど、それを知らない未来は眺めている事しか出来なかった。自分だけが置いてきぼりみたいで寂しかったんだ……あってるかな?」

 

「………」

 

私はゆっくりと頷く事しかできない。そうだ、日常生活で翼さんと奏さんが響をフォローしている時に私は見ている事しかできなかった。それが悔しくて悲しくて、寂しかった。

 

「なら謝ってそれを素直に伝えればいい。『寂しい時はちゃんと寂しいって言わないと』、自分の気持ちを言葉にするのって大事な事だからさ」

 

そう言ってどこか懐かしそうに優しく笑うソウゴさんの横顔に、私は見惚れていた。目が合うとなんだか恥ずかしくてバッと顔を逸らしてしまった。そんな私の様子にソウゴさんは不思議そうな顔している。

 

「……うぅっ」

 

その時ソウゴさんが連れてきた少女が目を覚ました。

 

ぼんやりと天井を眺めていた後、目を見開いて勢いよく起き上がった彼女は周囲を警戒するように周りを見渡している。

 

「おっと、目が覚めたみたいだから話はここまでかな。おはよう雪音さん」

 

「……アンタあの時の、ってなんだこの服」

 

「それは未来……こっちの子が貸してくれたんだ」

 

彼女の服は重く感じるほどびしょ濡れだった為、私の体操着を貸して着替えさせてもらった。勝手に着替えさせた事を謝りそれを説明しようとした時、少女が布団を蹴り飛ばすように立ち上がろうとした。

 

「な、勝手な事をっ!」

 

その時思い出した。彼女に貸したのは体操着一枚だけで、彼女が身につけていた衣服や下着は今おばちゃんが洗濯してくれている。つまり今彼女が身につけているのは私が貸した体操着だけだ。

 

時計店に戻っていたソウゴさんは、彼女が今どんな状態なのか知らない。目の前で立ち上がられたら、その、色々と見えてしまう……。

 

そこからの行動は自分でも驚くくらい早かった。

 

「見ちゃダメですソウゴさんッ!!」

 

「え? ぶへッ!?」

 

「……へ?」

 

ソウゴさんが彼女のあられもない姿を視界に入れるよりも早く強制的に横を向かせた。咄嗟の判断だった為に勢いが乗りすぎて、思いっきりビンタを喰らわせたような感じになってしまった。

 

起き上がった彼女は目の前の光景に目を丸くしている。

 

「あ、貴女も早く座るっ!」

 

「え……け、けどそいつ」

 

「いいから座るっ! い、色々見えちゃってるから!」

 

「は……〜〜っ!」

 

自分がどんな状態か気がついて、彼女は顔を赤くしながら布団にくるまるようにして座り込んだ。

 

チラリと隣見れば身体を投げ出すように床に倒れ込むソウゴさんの姿があった。先程からピクリとも動く気配がない……だ、大丈夫だよね。

 

「え、えっと……大丈夫ですかソウゴさん」

 

「っぅ……スナップの効いた良い一撃だったよ、正直顎が外れるかと思った」

 

「ご、ごごごめんなさいっ!」

 

「はは、大丈夫だよ。なんか目の前がチカチカするだけだし」

 

生まれたての子鹿にように身体を震わせながらソウゴさんが起き上がろうとする。大丈夫だよとソウゴさんは笑いながら言ってくれるが、その膝はガクガクと笑っていた。

 

そして布団に包まれている少女はまるで怪物を見つけたかのような目で私を見ている。や、やめて……そんな目で私を見ないで。

 

「未来ちゃん、お友達のお洋服の洗濯終わったよ……どうしたんだい?」

 

洗濯を終えたおばちゃんが部屋の前を通ると目を点にしている。若干怯えるように私を見る少女と、その近くで身体を震わせ膝をつくソウゴさん。いくらおばちゃんでも流石にこの状況は理解できないだろう。

 

「お、おばちゃん! 洗濯もの干すの手伝うね!」

 

なんだか恥ずかしさでいたたまれなくて、おばちゃんの洗濯カゴを奪うように部屋の外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

「どうかな。おばちゃんのお好み焼き美味しいでしょ?」

 

「わ、悪くはねえな。はむぅ、んく……お、おかわり」

 

「はは、いい食べっぷりじゃないかクリスちゃん。はい、追加のお好み焼きだよ」

 

色々と助けてもらったお礼としてふらわーの開店準備を手伝っていると、洗濯して乾かし終えた洋服に着替えた雪音さんと、彼女の手伝いをしていた未来がお店の方へと戻ってきた。

 

雪音さんの事を何か訳ありと判断したおばちゃんは、彼女について深くは聞かずにいてくれた。それからサービスと言って無料でお好み焼きをご馳走してくれている。因みに俺はお手伝いで調理側です。

 

裏の部屋で何かあったのか、未来と雪音さんは少し仲良くなったようで親しげに話している。店の方に戻ってきた雪音さんに自分を拾った時近くに黒い姿の時計のような変な奴は居なかったかと聞かれたが、見ていないと答えるとなんだか複雑そうな顔をしていた。

 

「はい未来。おかわりのお好み焼きどうぞ」

 

「ありがとうございますソウゴさ……あ、あの、なんかこのお好み焼きすごい赤いしドロドロしてるんですけど。しかもなんか目が痛くなってくるんですけど」

 

「いや、なんか色々食材があったからヤバそうなやつをいっぱい使って未来の為に作ってみたんだ。別にさっきいきなりビンタされた事を根に持ってるとかそんなんじゃないよ?」

 

「絶対根に持ってるじゃないですか!?」

 

ハバネロに唐辛子に鷹の爪、その他にもこれ本当にお好み焼きに使うのかって食材が沢山あったので、それらをふんだんに使用してお好み焼きを一枚焼いた。

 

未来が許しを乞うように見上げてくるが、俺は無言で笑顔を浮かべる。次に雪音さんに助けを求めるように視線を向けるが、雪音さんは全力で顔を逸らしている。

 

未来は顔を引きつらせながら恐る恐るお好み焼きを口に運ぶと、目を見開いて。

 

「………美味しい」

 

「えっ」

 

「……うっそだろ」

 

そのままパクパクと真っ赤なお好み焼きを美味しそうに食べ進めていく。痩せ我慢している様子などはなく、本当に美味しそうに食べている様子を、おばちゃんは笑って、俺と雪音さんは愕然として見ていた。

 

その後も談笑しながら食事をしていると、それは突然やってきた。背筋にピリつくような感覚が走った。反射的に弾かれたように店の外に目を向ける。そんな俺の様子に未来と雪音さんとおばちゃんは怪訝な表情を浮かべている。

 

次の瞬間けたたましいサイレンの音が鳴り響き渡った。

 

ノイズの出現を知らせる警戒警報だ。エプロンを脱ぎ捨て店を飛び出して外の様子を確認すると、次々と店や家の中から人が慌てた様子で姿を見せて全員同じ方向へと走って行っている。

 

「な、なんの騒ぎだいったい?」

 

「なんの騒ぎって、ノイズが現れたんだよ! 警戒警報を知らないの!?」

 

目の前の状況を理解できていない雪音さんは呆然とした表情を浮かべていたが、未来の言葉を聞いて歯を食いしばるように表情を歪める。

 

「……っ!」

 

「ちょ、クリス!?」

 

「な、未来! あーもう、ごめん! おばちゃんは先にシェルターに避難しておいて! 後で未来を向かわせるから!」

 

そして雪音さんは逃げ惑う人々とは逆方向に駆け出した。未来は雪音さんの行動に驚きながらすぐにその後を追って走り出し、人混みによって見えなくなった。

 

俺もおばちゃんに避難するように伝えてから、人混みをかき分け走り出す。出現したノイズがソロモンの杖によって呼び出されたものなら、恐らく狙いは俺と雪音さんだろう。今の状況で未来が標的となっている雪音さんの近くにいるのはまずいっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ……はあ……っ!」

 

クリスは人混みを掻き分けて人気のない場所まで走っていた。

 

「(バカだ……何やってんだアタシはッ! フィーネの狙いはアタシだ、それなのに関係のない人間まで巻き込んでっ!)」

 

息を切らしながら走り続けて商店街を抜けると、開けた大通りに出た。乱れた呼吸を整えていると、獲物を見つけたノイズが建物の影から姿を覗かせて少しずつゾロゾロとクリスに詰め寄ってくる

 

「アタシがやりたかった事は……こんな事じゃない、なんでアタシがやる事はいつもいつもッ」

 

どれだけ争いを無くしたいと願い行動してもその全てが空回りしてしまう。フィーネの言った自分のやり方じゃ争いを一つ潰して新たな火種を二つ三つばら撒く、その言葉が事実だと突きつけられているようで彼女を苦しめる。

 

街の人々が逃げ惑うこの状況の原因は、フィーネの標的であるクリスなのだから。

 

「これ以上、関係のない奴に手を出すなよッ!」

 

鋭い眼光でノイズを睨みつけると、胸元の赤いペンダントを握り締めた。

 

クリスを射程距離に捉えたノイズたちが一斉に駆け出してその命を刈り取ろうとする。クリスは慌てる事なく聖詠を口ずさみシンフォギアシステムを起動させようとするが、前日からの連戦によるダメージが抜け切っておらず、痛めた喉のせいで動きを止めてしまう。

 

怯んだクリスに向かってノイズが飛びかかる。

 

「危ないッ!」

 

「ッ!……なっ!?」

 

しかしすんでのところでクリスを追いかけて来ていた未来がクリスを押し倒し、ノイズの一撃を回避した。クリスは背中を地面に打ち付けた痛みに表情を歪めながら、未来を睨みつける。

 

「バカッ! なんでついて来たッ!」

 

「バカはそっちでしょッ! 一人でこんな所に逃げて、今だって危なかったじゃないっ!」

 

「あ、アタシは別に……ッ! 避けるぞ!」

 

「え、きゃああ!?」

 

倒れ込んでいるクリスと未来に追い討ちをかけるように、ノイズたちが叩きつけるような攻撃を仕掛けてくる。それに気がついたクリスが未来の制服の掴んで地面を転がり、ギリギリで回避する。

 

急いで立ち上がり距離を取ろうとするが、ノイズがそれを許さない。

 

「(やばい、避け……いや間に合わないっ!)」

 

クリスと未来を踏み潰そうとノイズが跳び上がり、二人に向かって落下して行く。回避もシンフォギアを纏うのも間に合わないと判断したクリスがせめて巻き込んでしまった未来だけでも逃がそうと突き飛ばそうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身ッ!」

 

<ライダータイム! 仮面ライダー! ジオウ!>

 

その瞬間、二人に追いついたソウゴがドライバーを回転させてその身を変身させながらノイズを殴り飛ばした。

 

ノイズは重力に逆らうように吹き飛ぶと他のノイズを巻き込むように消滅した。

 

「え……ソウ、ゴさん……」

 

「嘘だろ……なんで、アンタなんだよッ」

 

そして地面に倒れ込んでいた二人の少女は青年の変わりゆくその姿をしっかりと目に焼き付けていた。

 

 

 





ディケイドライドウォッチにカブトライドウォッチを装填すれば中間フォームがないからハイパーフォームになると思うんですけどキバの場合はどうなるんでしょう?

てんこ盛りのドガバキは中間フォーム扱いでいいのかそれともエンペラーフォームになるのか。これが自分の中で謎になっている。

そしてゲイツマジェスティ、マントとか全体のデザインは好きだしパーツの流用は仕方ないけどライドウォッチを直接貼り付けるのはどうにかならなかったのかしら。絶対ポロリしちゃうでしょ。

アナザーディエンドはなんとなく予想してました、はい。

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