モブ厳な世界で時の王者やってます。   作:あんこパンパンチマン

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時間を見つけてちびちび執筆して作品を確認、そして驚愕。

お気に入り登録150件以上その上評価までつけてもらえた。み、皆さんジオウとシンフォギア好きですね、自分も好きですけど!
なんだか、変なプレッシャーが…。

こんな拙い文章ですが、皆さんありがとうございます! そして誤字報告も感謝です! 自分は基本、執筆→完成→投稿なのでストックとかはなく気長に待って頂ければ幸いです。

感想もありがとうございます! 返信は出来るタイミングでしていきたいと思っています。
そして今回いいキリどころが見つからず10000字を越えてしまいました。なにか他の小説を読んだりして上手い文章構成を勉強しなければ。




モブ厳な世界で頑張ってます。

オッス、俺ソウゴ!いやーなんかコンサート会場でオーマジオウの力で戦ってからなんか約一年くらいの時間が経ったみたい。

 

あの後短距離ワープの連続行使でその場から離れたんだけど間違えて別の時間軸に移動しちゃったみたいで戻ってくるのに苦労した。

 

俺のタイムマジーンはいま手元にはないから座標を入力して正確な時間軸へと時空転移するなんて事は出来ないのでオーマジオウの異次元移動と時空転移、そしてなぜか使えた仮面ライダーディケイド、門矢士の時空を超えるオーロラのカーテン…これらを駆使して漸く最初の座標に一番近い時間軸へ漸くと戻ってこれた。

 

今思えばいくら連続で迷子になったのと自分の能力がうまく扱えず焦っていたからって落ち着いて行動すれば直ぐに戻ってこれただろうと思い反省。

 

そして時の王者である常磐ソウゴは現在、

 

「ふぅ…よし、バッチリ。こんな感じでいいかな」

 

時計屋の店長をしています。

 

おじさん、俺働いてるよ…。

なぜ時計屋の店長をしているのかというと色々と理由がある。

 

この世界は自分がいた世界とは別の世界だ、おじさんやゲイツにウォズにツクヨミ、みんながいたクジゴジ堂は……俺の帰る場所はこの世界にない。だからこの世界に来てから行くあてもなくブラブラと彷徨っていた。

 

雪が降り積もる日、公園の隅のベンチで野宿をしているとこの時計屋の店長のおばあさん、(つる)さんに俺は拾われた。鶴さんは何も聞かず住むところも働く場所も用意してくれた。感謝しても仕切れない。

 

この時計屋は鶴さんのお爺さんが趣味でなんとなく始めたお店だそうだ。それを鶴さんが継いで本当は鶴さんの一人息子がこのお店を継ぐ筈だったらしいのだがコンサート会場で起きた特異災害ノイズの大量発生、あの時の一件で息子さんは……。

 

俺を助けてくれたのも、どこか自分の息子に似ていて放っておけなかったからと寂しそうに笑う鶴さんに、俺はなんて声を掛ければいいのかわからなかった。

 

そしてこの時計屋も、腰を悪くした鶴さん一人では切り盛りすることができなくなり、継げる者もいないとのことでたたんでしまう予定らしい。

 

そこでなぜか俺がこの時計屋を譲り受ける事になった。最初は助けてもらった恩もあり放っておけずお店の手伝いをしていただけのつもりだったが、ある日このお店の権利書を渡された。

 

資格とか個人情報とか必要な手続きは必要になってくるのだろうからとそれとなく断わったのだが、そこは鶴さんがなんとかしてしまった。何をしたのか気になったがニコニコと笑うだけの鶴さんに何も言えなかった。鶴さんはただ一言、コネはあるのよと言った。あんた一体何したんだ…。

 

そんなこんなで衣食住はどうにかなってる、時計の修理や知識なんかもクジゴジ堂でおじさんの手伝いをしたりしてたのでそれなりにできてる。

 

生活で特に困った事はない、が生活以外では困ってる事がある。

 

「……はあ、またか」

 

特異災害ノイズだ。避難警報とかが鳴り響く前に俺はノイズの気配を察知する事ができる。なぜかは知らないがオーマジオウの力を扱えるようになってからこの気配察知の能力が使えるようになった。

 

恐らく平成ライダーの誰かがこういう能力を扱えたのだろう。そして俺もそれが使える、なぜなら俺の力は全てのライダーの力だからな(ドヤァ

 

……自分でやっといてなんだがこれうざいな。

 

よし、行くか。

オーロラカーテンを発動させて気配を察知した場所まで一瞬で移動するとそこは街から離れた場所にある森林地帯だった。

 

目の前には出現したノイズの集団。

 

<ジクウドライバー!>

 

腰にジクウドライバーを装着し懐からライドウォッチを取り出してウォッチの能力開放弁『ウェイクベゼル』を90度回転させてアクティブ状態にして『ライドオンスターター』と呼ばれる起動スイッチを押し込み起動させる。

 

<ジオウ!>

 

起動した事で光を放つジオウライドウォッチをジクウドライバーの『D'9スロット』に装填。すると背後の空中に巨大な時計が出現しその中央には大きく“ライダー”の文字が浮かんでいる。

 

ベルト上部のスイッチ、ライドオンリューザーを手のひらで叩きロックを解除させ腰を落とし、左腕を右肩近くまで上げる。左腕を勢い良く振り下ろしてベルト本体を逆時計周りに回転させる。

 

その瞬間、世界が一回転する(・・・・・・・・)

 

「変身ッ!」

 

<ライダータイム! 仮面ライダー! ジオウ!>

 

背後の時計が分解され俺の身体を取り囲み回転するリングへと変形する。瞬く間に身体は黒いボディに時計のベルトを連想させるような銀の装甲に覆われて、時計の文字盤ような頭部、キャリバーAにライダーの文字が収まり、文字通りの変身が完了する。

 

ん? なんでオーマジオウじゃないのかって? いやあれはちょっと…。

ノイズを数秒で殲滅できるんだけど火力ありすぎて前に調子に乗ってノイズ殲滅しながら暴れたら加減できず更地になっちゃったから。だから基本フォームのジオウでノイズを殲滅してる、これでも十分すぎるほど対応できるしね。

 

<ジカンギレード! ケン!>

 

発光したジクウドライバーから飛び出すように現れた直剣、感覚を確かめるようにジカンギレードを握りしめ目標目掛けて走り出す。

 

「ふっ!ぜりゃあ!」

 

マスコットみたいなヘンテコボディを変形させながら弾丸のような速度で突進し攻撃を仕掛けてきたノイズを斬り払いながら前へと進み数を減らしていく。

 

背後から襲い掛かって来たノイズの一撃を回避しカウンターの要領で殴り飛ばす。ジオウのパンチ力は8.2t。さらに『ジオウリープハンド』の効果でパンチ時の破壊力はより引き上げられてる。

 

その一撃をもろに喰らったノイズは内側から破裂するように消滅しながら吹き飛んでいく。まあノイズが思ったよりも脆いって事もあるが、アナザーライダーやジオウの世界に出現した他の怪人との戦闘と比べてしまうとなんだか呆気ない。ここからはノイズをプチプチと潰していく作業ゲーみたいなものだ。

 

<フィニッシュタイム! タイムブレーク!>

 

「ふっ、ハアァッ!」

 

周囲にいたノイズを切り捨てて最後に残った巨大なノイズをライダーキックで消滅させる。数も少なかったからすぐ片付いたな。

 

「ふぃ〜。お掃除完了っと……おっと早めに移動するか」

 

ライドウォッチホルダーからバイクライドウォッチを取り外しスイッチを押して放り投げるとウォッチは変形、大型化し専用バイク、ライドストライカーへと姿を変える。

 

ライドストライカーへと搭乗し前方にオーロラカーテンを展開してからアクセルを捻って一気に加速する。オーロラカーテンの行き先は適当でとりあえず先程の戦闘した場所から離れた所にワープしてそこから更にバイクで距離をとる。

 

なぜこんな犯罪現場から逃げるような犯人みたいな事をしてるのかというと、あのままあの場所に留まっていたらコンサート会場で出会ったノイズと戦う事の出来る力を持つ女の人達と鉢合わせする事になってしまうからだ。

 

自分なりにコソコソ調べた結果、彼女たちの背後には組織があった。特異災害対策機動部、特異災害ノイズが出現した際に動く政府機関それが彼女たちの所属する組織。

 

その活動内容は主に、避難誘導やノイズの進路変更、さらには被害状況の処理といった所だ。そしていくら調べてもノイズと戦うアイドルの情報なんて一切出てこなかった。基本ノイズへの対策は逃げることと一定時間経ってから自壊を待つしかないとされている。ノイズを消滅させられる方法があるならそれは伝えられているはずだ。恐らくというか絶対こっちの情報については意図的に隠されてる。

 

なんというか怪しい…。向こうはノイズに対抗することが出来る力を持つ俺にどうにか接触しようとしているようだが、接触するにしても俺の直感がそれは今じゃない気がする、と伝えている。

 

だから今はこうやって鉢合わせないように逃げてるってわけ。

 

「ここまでくれば大丈夫かなぁ…」

 

変身を解除しオーロラカーテンで何度か移動しながらバイクを走らせた。だいぶ離れた場所に来たはずだ。

 

喉が渇いたため、ライドストライカーを変形状態のまま停車させて近くの自動販売機でミネラルウォーターを購入して少し休憩する。あとはこのままオーロラカーテンを直接家に繋げて帰宅しよう。

 

「………?」

 

空になったペットボトルをゴミ箱へ捨ているとなにやら近くで物音が聞こえた。言い争うような声も。

 

音が聞こえる裏路地を覗き込んでみると、幾人もの少女がたった一人の少女を囲み、罵声を浴びせ、髪を引っ張り、身体を突き飛ばし、顔を叩いたりなどをしていた。その傍らには数人がかりで地面に抑え込まれている少女がいた、その少女はもうやめてと取り囲む少女達に叫び、痛ぶられている少女に泣きながら必死に声をかけていた。周りの少女達はそれを面白そうに眺めて下品な笑い声を上げていた。

 

……完っ全にいじめの現場だこれ。

 

ど、どうすれば、こういう時ってどうすればいいんだ? いや、見過ごせないからもちろん止めるつもりだけど、どうやって止めれば…。

 

相手が男性だったらやりようはいくらでもあるけど、目の前にいるのは自分よりも歳下の非力な女の子だ。それにいじめを止めるためとはいえ、暴力で解決するようなやり方はしたくない。平和的な方法だ。

 

どうする?こういう時、ゲイツなら……いやダメだゲイツは真っ直ぐすぎて暴走しそうだ。集団によるいじめとか絶対許さなそう。ならウォズは、ダメだウォズもウォズで話にならない…なんだかんだで解決してくれそうだが俺が求める解決法じゃない気がする。じゃあツクヨミは…ないな。ファイズフォンXで容赦なくいじめっ子全員気絶させそうだ。

 

「あれ……もしかして俺の仲間って全員ポンコツ? い、いやいやそんな事はない、よね?」

 

……仕方ない、俺だけでどうにかするしかない。

 

それにあの子、どこかで…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめてっ!」

 

小日向未来は考える。

どうして、なんでこうなってしまったのだろう。

すぐ目の前で、手を伸ばせば届くような距離で大切な大事な親友、立花響が虐げられている。今すぐにでも駆け寄って助けに行きたいのに自分を取り囲む幾人もの少女が力強く押さえつけて来てそれを許さない。

 

どれだけ声を張り上げてもその願いは届かず虚しく響き渡るだけ。どれだけ打ちのめされても歯をくいしばって耐えている。視線が合うと、響はごめんねと、大丈夫だからと、悲しそうに笑う。

 

全然大丈夫なんかじゃない、響はなにも悪くないのに。だからそんな泣きそうな表情で私に謝らないで。

 

「お願いもうやめてっ!」

 

「はぁ〜。小日向さ、さっきからそればっかじゃん。なに?それしか喋れないの?」

 

「なんでこんなことするのっ!響は何もしてないっ!何も悪くないのにっ!」

 

「…はぁ?何も悪くない? 何も悪くないわけないじゃん!この人殺しがッ!」

 

人殺し。その一言に響はビクリと肩を震わせて顔を真っ青にする。

 

「違う! 響は人殺しなんかじゃないッ! 誰も殺してなんかないッ! 響がいつもどんな気持ちで……響の事を何も知らないくせに勝手な事言わないでッ!」

 

「……未来」

 

「…なにそれ、うっざ。もういいや、あんたを押さえてれば立花も大人しくしてたし私たちの“粛清”を見てやめてやめて〜って叫ぶあんたの反応が面白かったから手は出さなかったけど……もういい」

 

響の事をまるでサンドバック代わりにするかのように殴る蹴るなどの暴行を加えていたリーダー格の少女が舌打ちをしてその場にしゃがみこみ足元にあった大きな石を拾いあげるとゆっくりと近づいてくる。

 

「立花で遊ぶのも飽きてきたし、次はあんたの番だよ小日向。人殺しなんか庇ってるんだから同罪、とーぜんだよね」

 

「なっ!? み、未来は関係ない! あぐっ!?」

 

「…ッ響!」

 

駆け寄ってきて助けに入ろうとしてくれた響が、取り囲んでいた子の一人に足蹴にされ大きく転んでしまう。

 

当然、標的が私に変わるのは予想していたし覚悟もしていた。けど凶器を片手に目の前でニヤニヤと笑う彼女の姿を見てやはり恐怖を隠せない。

 

「なに? ビビってんの? アタシは優しいから人殺しを庇ってごめんなさいって泣いて謝れば許してあげてもいいけど…なにその目つき」

 

「…ッ。あなたなんて怖くないし絶対に謝らないっ!!」

 

けど響はもっと痛かったはずだ、怖かったはずだ。だから私は絶対こんな人に屈したりしない。

 

「……あっそ、じゃあいいや」

 

「ダメっ!未来ッ!」

 

凶器を握った右腕が高く上がり振り下ろされる。振り下ろされた腕が真っ直ぐに勢い良く私の顔を狙って加速してくる。身体を押さえられているせいで避ける事は出来ない。

 

目の前の景色がなにもかも制止したかのようにゆっくりと動いているように感じる。訓練されたボクサーや事故にあった瞬間の人間には、一瞬が何秒にも何分にも感じられると聞いた事があった。これがそれだろうか。

 

言い表せないような悲痛な表情を浮かべている響にむかって安心させられるような笑みを浮かべてから、数秒後に襲いかかって来るであろう痛みに耐えるように目を瞑り歯を食い縛る。へいき、へっちゃら、なんかじゃないかも、まともに受ければ私はきっと死んじゃうだろう。

 

…死にたくないなぁ、なんてそう思ってももう遅い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは流石にダメだよ、やめた方がいい。この子の為にも…君の為にも」

 

突然横から伸びて来た大きな手が振り下ろされる腕を止める。

 

驚いて手の伸びて来た方へと顔を向けると、いつのまにか私の隣にいた見知らぬ男性がリーダー格の少女の腕をガッチリと掴んでいた。かなり強い力で腕を掴んでいるのだろう、腕を掴まれているリーダー格の少女はニヤニヤと浮かべていた気味の悪い笑みを腕の痛みからか酷く歪めていた。

 

気がつけば私を押さえつけていた少女達は離れていて拘束は解かれていた。リーダー格の少女は男性の腕を無理矢理振り払う(というより男性が離した)と赤くなった腕を押さえバッと弾かれるように後ろに下がった。

 

「痛ってえな!なにすんだお前、邪魔すんなよ!お前も人殺しの味方するのかよッ!」

 

「強く掴んだ事は謝るよ、ごめん。けど教えてくれないかな。なんでこの子達によってたかってこんなことしたの?」

 

男性の言葉に、リーダー格の少女は虚をつかれたかのようにポカンとした表情を浮かべた後、いつものような下品な笑い声あげた。

 

「はあ?なに言っちゃってんのあんた。ノイズが大量発生したあの事件でこいつは他の人を見殺しにして生き残った!こいつは、こいつの家族は人殺しなの!それを庇うそいつも同罪!なに?あんたテレビとかネット見ない人?皆そう言ってるよ、これくらい常識だっての!」

 

「………」

 

「その上こいつは国からお金までもらってる。いいよねノイズに襲われたってだけで沢山お金がもらえて、他人を犠牲にして国からもらったお金でのうのうと暮らせて!そんなの許せるわけないじゃん!だからなにもできない法に変わって私達が『正義』を執行してる!」

 

自分たちに正義があると半狂乱に主張するリーダー格の少女。周りの子達もそれの主張に同意するように声を上げる。

 

「──もういいよ。黙れ」

 

それはとても低くて凍えるような冷たい声だった。男性の無機質な瞳がギロリとリーダー格の少女を射抜くと彼女はビクッと身体震わせ一歩後ずさった。

 

「…さっき警察を呼んだ」

 

「は?け、警察!? な、なに勝手なことしてるんだよ!ふざけんな!……そうだ、警察がなんだ。正当防衛って事にすれば良い。あんた達たった三人の主張とあたし達全員の主張、警察はどっちを信じると思う?」

 

「ふざけてないよ。それとこれ、なんだと思う?」

 

男性がズボンのポケットから取り出した携帯端末を取り出し何か操作をしてから彼女達に画面を見せるように掲げた。

 

『うっ!あぐっ!?』

『お願いもうやめてっ!』

『はぁ〜。小日向さ、さっきからそればっかじゃん。なに?それしか喋れないの?』

『なんでこんなことするのっ!響は何もしてないっ!何も悪くないのにっ!』

『…はぁ?何も悪くない? 何も悪くないわけないじゃん!この人殺しがッ!』

『違う! 響は人殺しなんかじゃないッ! 誰も殺してなんかないッ! 響がいつもどんな気持ちで……響の事を何も知らないくせに勝手な事言わないでッ!』

 

いつの間に撮っていたのだろうか。携帯端末には集団で暴力を振るわれる響と押さえつけられている私、そして楽しそうに響を殴りつける彼女達の一部始終が映し撮られた映像が流れていた。

 

それを見たリーダー格の少女は表情を引き攣らせ周りの子達の様子がオドオドと変わったのが目に見えてわかる。もう男性の独壇場だった。

 

「確かに意見が食い違った時に多数で主張されるのは厄介だ。けど証拠さえちゃんと押さえとけば問題ないよね」

 

「な…と、盗撮だ!盗撮は犯罪だぞ!今すぐ消せ、このっ!」

 

「犯罪か、よく言うよ。そういえばさっき『正義』どうとか言ってたけど、『正義』っていうものは、振りかざして相手を傷つける為のものじゃない。お前に、お前達に『正義』なんて何一つないよ」

 

その時けたたましいパトカーのサイレンが聞こえてきた。そのサイレンの音を聞いた周りの子達は慌てながら蜘蛛の子を散らすように一人、また一人と姿を消していく。

 

その中でリーダー格の少女はただ一人震えながら男性を睨みつけていた。

 

「…君も逃げてもいいよ。変なプライドにこだわってこの場に残るのも構わないけど、君には何もできないと思うよ。警察の人に怒られて、多分そのまま連れてかれちゃうだろうね」

 

「……ッ!」

 

「いやなら、さっさと失せろ!」

 

男性のビリビリと空気を震わせ芯に響くような怒鳴り声に大きく肩を震わせた後、リーダー格の少女は走ってどこかへ行ってしまった。

 

この場には私と響と見知らぬ男性に三人が残った。とりあえず助けてもらったお礼を言おうと思ったら。

 

「あ、あの〜…」

 

「……あー!何やってんだよ俺!いくらなんでもやり過ぎだろ!怖がってる女の子に対して怒鳴りつけるとかないだろ! 歳下だぞ!? 王様としてとか以前に男としてダメだろ!」

 

急に男性は頭を抱えてしゃがみこんでしまった。

ど、どうかしたんだろうか?一人頭を抱え込んでよくわからないことを言っている。男性にどう声をかけるべきか悩んでいると。

 

「未来っ!」

 

「きゃ!」

 

呆然としていたあと正気に戻って動けるようになりまるで大砲のように飛んできた響を受け止めるが、受け止めきれずに尻餅をついてしまう。

 

「未来大丈夫!? どこも怪我してない!? どこか痛いところは!?」

 

「だ、大丈夫だから。って怪我してるのは響の方でしょ!」

 

「怪我してないでよかったよ未来〜!……本当に、よかった」

 

抱きついてきたままお腹にグリグリと頭を押し付けてくる響を引き剥がそうとする。しかしなかなか力が強くて引き剥がせずにいると、突然力が弱まり全身の力が抜けたみたいに身体をこちらに預けてきた。

 

どうかしたのかと驚いて響の顔を覗き込むとスヤスヤと心地好さそうに眠っていた。どうやら怪我がひどくて気絶したとかではないようだ。

 

「安心したのかな、眠ったみたいだね」

 

「え、そ、そうですね」

 

いつの間にか隣で男性も覗き込んでいた。

 

「とりあえず話が聞きたいから時間いいかな?」

 

「あ、はい。大丈夫です…けど警察の人には、事情聴取とかは?」

 

「ああ、あれは嘘だから大丈夫大丈夫。サイレンの音も向こうに仕掛けた端末でネットから適当に拾ったやつを音量高くして流してただけだから」

 

「え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな怪我はなく眠っている立花さんを軽く自己紹介をしながら家に送り届けると、お母さんとお婆ちゃんが慌てた様子で迎えてくれた。最初は見知らぬ俺が原因かと疑われたが、隣にいた小日向さんが何があったのかをしっかりと説明してくれたおかげで助かった。お母さんとお婆ちゃんからは土下座するような勢いで謝罪され、お礼を言われた。

 

それから場所を少し離れた公園へと移して、屋根付きベンチに腰を下ろし俺は小日向さんから話を聞いていた。

 

正直言って、聞いていて気分のいいものではなかった。あの事件で1万人を越える犠牲者が出た。これだけでどれだけの規模の事故だったのかわかるだろう。しかしノイズによる被災で亡くなったのは全体の1/3程度であり、残りの死者の大半は人の手によるものだった。

 

逃走中の将棋倒しによる圧死や、避難路の確保を争った末の暴行による傷害致死であることが週刊誌に掲載されて、一部の世論に変化が生じ始めたらしい。

 

生存者に向けられたバッシング。被災者や遺族に国庫からの補償金が支払われたことからさらに事態は加速していった。

 

そして立花 響の環境。ライブ会場の被害者の一人に、立花さんと小日向さんの通っている中学校の男子生徒の一人がいたらしい。そこまで聞いてなんとなく予想ができた。

 

なんで彼は死んで貴女なんかが生き残ったのか、男子生徒と仲の良かった女子生徒が立花さんを叫び責め立てた。

 

一人の生徒から始まった攻撃が全校生徒へと広がり、そこから彼女は、正義の暴力、謂れのない陰口を、クラスメイト……いや学校全体から受けている。恐らく近所の人からも責められているのだろう。立花さんを家に送り届けた時に感じた視線、彼女の家もペンキやカラースプレーで突き刺すような心無い言葉が書かれていた。

 

その事を俺に話してくれた小日向さんは途中からぼろぼろと涙を流していた。もちろん全員が全員立花さんを悪く言う訳じゃないと、けど誰も助けてはくれないと。何より一番驚いたのは学校側がそれを黙認している事だ。

 

「響、最近は笑う事が少なくなって……響は何も悪くないのに、仲の良かったクラスの子まで響を責めるんです。部活の先輩もお父さんとお母さんまでも響に関わるなって言うんです。もう、何がなんだか訳がわからなくなってきてっ」

 

「……小日向さんと立花さんは大事な友達、親友、なんでしょ?」

 

「は、はい。響は大切な、私の親友です」

 

「そっか。俺にもね、大事な親友がいるんだ。いや、いたんだ。そいつとはもう、会えない」

 

「……えっ」

 

酷く驚いたような表情浮かべている小日向さんに苦笑いを浮かべ、俺は無意識のうちに強く拳を握っていた。

 

「そいつはすっごい真っ直ぐな奴で、それですっごい不器用な奴でさ。最初の出会い方は最悪だったし意見が合わなくてしょっちゅう喧嘩してた。けど気がつけばそいつが隣に居るのが当たり前になってたんだ」

 

「……えっと、その人は、ノイズの一件で?」

 

「違うよ、ノイズじゃない。原因があるとすれば、弱かった……俺のせいかな」

 

わかっていたから細心の注意を払っていた、油断なんてしてなかった。わかっていた筈なのに気を付けていた筈なのに、力の差から俺は焦って決定的な隙を晒してやられかけた。

 

そのせいでゲイツは俺を庇いスウォルツの一撃を受けて死んだ。

 

犠牲の上での勝利、この結果だけはなんとしても絶対に変えようとしていたのに変えることなんてできなかった。

 

「死んでしまった人の事を嘆く気持ちはわかる、けどだからといって今を必死に生きている人を、関係のない人を責めるのは間違ってる」

 

「…………」

 

「だからそうだなぁ。周りの人がどれだけ立花さんの事を悪く言ってもそれ以上に立花さんの良いところを君が教えてあげればいい……あとは立花さんに『生きていてくれてありがとう』って伝えればいいよ」

 

「……っはい」

 

そう伝えると小日向さんはまたぼろぼろと泣き出してしまった。ちょ、さっきも思ってたけど絵面的にまずくない?なんか俺が泣かしたみたいじゃんこれ。通報されないよね。あ、そこ犬と散歩してるおばさん、疑うような目で俺を見ないで。

 

泣き止んだ小日向さんを連れて帰路につく。夕焼けで赤く染まっていた空も暗くなり始めていた。帰り際に色々な事を話した。俺の学生時代の話、小日向さんが立花さんと遠出して遊びに行った時の話、お互いに自分の親友の話をした。

 

話し込んでいるとあっという間に小日向さんの家の前に到着した。

 

「常盤さん、ここまで送ってくれてありがとうございました。話も聞いてくれありがとうございます。なんか、スッキリしちゃいました」

 

「気にしないでいいよ、暗い時間に女の子を一人で帰らせるの危ないしね。それに俺も話せてよかったよ。あ、そうだこれ。なんかあったら連絡してよ」

 

そう言って取り出した時計屋の連絡先が書かれた名刺を手渡す。それを受け取ると驚いた表情で小日向さんは目をパチクリさせていた。

 

「…常盤さんって変わってますよね」

 

「え、なんで? どうしたの急に。」

 

「だって普通は面倒事はごめんだってこういうことに関わろうとなんてしませんよ」

 

「うーん。普通ならそうなのかもね。でもさ、俺の憧れている先輩の一人が言ってたんだ、『手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬ程後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ』……って。だから俺も手を伸ばしたいんだ、まあ俺の自己満足だよ」

 

俺の自己満足。立花さんを助けたいと思ったのも、小日向さんの力になりたいと思ったのも。魔王になる為の旅をしてきた中で、色んな人達に、英雄達に出会って俺は彼らの温かくて力強いその在り方に憧れを抱いた。俺の知る彼らなら絶対に彼女達を助けようとするはずだ。

 

俺が目指す王様は最高最善で優しい王様。だから理不尽に虐げられてる立花さんや小日向さん、他の人達も見捨てる事なんて出来ない。

 

「それに俺は王様を目指してるからね、困ってる民がいるのなら助けなきゃ」

 

「王様ですか? ……っふふ、やっぱり変わってますよソウゴ(・・・)さんって。本当に、ありがとうございます。何かあれば必ず連絡しますね」

 

そう言って小日向さんは深く頭を下げてから笑顔を浮かべて家の中に入っていった。

 

それを見送ってから引っ張ってきたライドストライカーに搭乗してヘルメットを被り発進する。俺も俺にできる事をやらせてもらいますか。その為にも少しだけ力を貸してもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これで終わりっと。おつかれさま翼、大丈夫か?」

 

「奏こそ、病み上がりなのに、身体の調子は大丈夫なの?」

 

「平気平気、これくらい全然大丈夫だって。まったく、心配症だな〜翼は」

 

ひとけのないとある森林地帯。そこには二人のシンフォギア装者の天羽 奏と風鳴 翼の二人が、出現したノイズの殲滅にあたっていた。

 

あのツヴァイウィングのコンサートの惨劇から約一年という時間が経過した。奏は活動限界を越えた無茶な戦闘による疲労からしばらくの間戦線離脱していた。その間、翼が一人でノイズの殲滅にあたっていたが今回は奏も付いてきていた。

 

先天的に適合係数の高い翼と違って、適合係数の低さからシンフォギアの装者たりえなかった奏だが、二課技術主任でありノイズに対抗しうる装備であるシンフォギア・システムの生みの親ともいえる櫻井了子の開発した制御薬「LiNKER」の過剰投与により、適合係数を高め装者としての力を振るっている。

 

「LiNKER」使用による負荷、活動限界を越えた戦闘、本来なら大事をとってまだ休んでいなければならない奏だが、二課司令官の風鳴弦十郎に頼み込み出動させてもらっていた。

 

「今回は現場にノイズがいたけど、最近ノイズの発生が多い割には現場に到着するともぬけの殻状態が多いな、どうなってんだ?」

 

「…叔父様や櫻井女史に聞いてもわからないって、一瞬反応がしたと思ったらすぐに消えて、機械の故障じゃないかって……でも私はもしかしたら」

 

「あの時現れた未確認(・・・)の仕業じゃないかって? 奇遇だな、あたしもそう思ってたんだ」

 

未確認。残された少ないデータから特異災害対策機動部二課がそう名づけた存在。戦場と化したコンサート会場に突如として現れて大量発生したノイズを瞬く間に全滅させ、その強大な力を見せつけて姿を消した未知なる存在。

 

その存在について、二課では様々な推測が立てられている。別組織が送り込んだシンフォギアのような装備を纏った戦士、偶然覚醒した自立型の聖遺物、強力な力を持つノイズとはまた別の生命体、などなど。

 

「奏は未確認についてどう思う?」

 

「……そうだなぁ。あれだけの力を持つ存在を旦那たちが警戒するのはわかるけど、あたしは悪い奴ではないんじゃないかなーってぐらいに思ってる」

 

「それはどうして?」

 

「今こうしてあたしが翼の隣に居られるのは、未確認のおかげでもあるからな。それに未確認は会場にいた子供を守ってくれてたしな。だから悪い奴じゃないって信じてみてもいいかな」

 

奏には、翼や二課の人間に話していない小さな秘密があった。絶唱を放った時に味わった奇妙な出来事、自分を抱きかかえ涙を流す翼、身体が朽ちてゆく感覚、目の前が真っ暗になり自分の死を悟った瞬間、何事もなかったかのように全てが切り変わった。

 

まるで時間が巻き戻ったかのような出来事。何が起きたのかまったくわからないが、自分は確かに未確認に救われたのだと奏は理解した。

 

シンフォギアを解除し現場の情報処理班と帰りの迎えを待っているとゾクッと空気が重くなったのを奏と翼は肌で感じとった。

 

本能から飛び跳ねるように距離をとり背後を確認すると、突如出現した灰色のオーロラから姿を現わす者がいた。

 

「……未確認っ!?」

 

「なっ!?」

 

全身を漆黒と黄金で統一した見覚えのある鎧姿、一度目にすれば忘れられないであろう圧倒的な存在感。コンサート会場で姿を消した未確認がその姿を見せた。

 

恐怖にも似た感情から翼はペンダントを握りギアを纏おうとしたがそれを奏が手で制した。驚いたような表情で翼が見つめるが、奏はいつものような笑みを浮かべるだけだった。

 

「ンンッ……『お前たちからしたら久しぶり、というべきかこの場合』

 

「……やっぱり意思疎通は出来るみたいだな」

 

『当然だ、()はお前たちと同じように思考して判断し行動する』

 

「何か、私たちに用でもあるのか?」

 

押し潰すようなプレッシャーを感じながらも臆することなく奏は普段通りに振る舞い対話する。

 

『安心しろ、事を荒立てるつもりはない。今日はお前たちに渡したいものがあるだけだ』

 

「……は? 渡したいもの?」

 

未確認はその手に持っていた何かを奏に投げつけると奏は慌ててそれをキャッチする。それは黒いUSBメモリだった。なぜこんなものを渡されたのか理解できず奏は頭を傾げていると、

 

『〇〇市〇〇区、△△町……』

 

「……え? は?」

 

『そこにはあの日お前が命を賭して救った少女がいる。そして、その少女はいま理不尽に虐げられてる。そのメモリのデータと実際に現地を調べてみろ。……惨いものだ、このままではいずれ心の方が死ぬぞ……』

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 意味がわからない、どういうことだ!」

 

『……意味はすぐにわかる。何か聞きたい事があるのなら他の事にしろ、一つだけなら答えてやる』

 

「え、は、マジ? じゃあえっと、ええっと……」

 

未確認の情報が手に入る思わぬビッグチャンス、奏は突然の連続に混乱する頭で考えに考えた結果。

 

「あ、アンタは一体何者なんだ? 名前とかはあるのか?」

 

『……なるほど、私が何者なのか……か。そうだな、私の名はオーマジオウ。生まれながらの王にして……私こそ、最高最善の魔王だ』

 

「オーマジオウ……魔王……ッ! じゃ、じゃあ最近ノイズを消滅させてるのはアンタなのか?」

 

『一つだけと言ったはずだが……まあいい、そうだな。最近のノイズ……俺であり私ではない、とだけ答えておこう』

 

「……はあ? それってどういう」

 

『これ以上の問答は、終わりだ。ではさらばだ』

 

踵を返しこの場を去ろうとする魔王を名乗った者を、奏は思い出したかのように慌てて呼び止めた。未確認は振り返ることはなくその歩みを止めた。

 

「あ、待ってくれ! あの日何が目的でどうしてあの場にアンタはいたのかはわからない。けど、あたしがアンタに救われたのは紛れも無い事実だ。だから、ありがとう!」

 

『…………そうか』

 

未確認、オーマジオウは灰色のオーロラへとその身を沈ませ今度こそ姿を消した。圧倒的なプレッシャーは解かれ、その場には呆然とする翼とその様子を見て笑う奏の二人が残された。

 

後に笑われて拗ねた翼に必死に謝る奏の姿が二課本部で確認された。

 

 

 

 

 

 

 

 




〜ここのソウゴの最終決戦はこんな感じ〜
オーマジオウ、覚醒

スウォルツ「ふふ、フハハ!俺はこの時を待っていた!この為に俺は」
そうご「スウォルツゥゥゥ!…シィッッ!」(目からビーム)
スウォルツ「ぶげは!? き、貴様、俺がまだ喋って」
そうご「黙れ!知るかそんなこと!」(ワープで接近ダークライダー撃破)
スウォルツ「なんという力だ、その力さえあれば俺はひでぶ!?」
そうご「これはウールの分!これはオーラの分!これは白ウォズの分!これはツクヨミの分!アンタ妹に何してんだ兄貴だろ!でこれはミハルの分!そして、これは、ゲイツの分だ!あと色んな人の分!さらにこれは、これもこれも、俺の分!」(最高速度で接近し殴り飛ばしてその先にワープして殴り飛ばしてさらにワープして殴るの繰り返し)
スウォルツ「ぶっ!ばっ!がっ!げっ!じっ!ぶげっ!あべしっ!」


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