船のお値段は重い
でも、軽い
鋼鉄世界なんてステージ次第で数十隻をこえる戦艦や空母が一海戦で沈むんだ、気にやむことはない。
命は皆、鉛玉一つの命なんだ
小さなソファと紅茶を用意する。
人はできるだけ減らし
えぇ面倒だわ。
「・・・三人だけ・・・ですか」
私と彼女、そして二葉さん。
正直有象無象がいてもあの人には勝てない。
邪魔でしかない。
「どうも、二葉・・・・あら、蒼ちゃんに播磨、生きてたの、よかったぁ」
青く長い髪と龍の紋が入っている服装が主な人
やっぱりだった。
「えぇ、先輩、取り敢えず一命だけは」
「あれ、二人って同期じゃ」
「なんかね、うん、こう普通に言うのはなんか引っ掛かるからさ」
「ほへぇ」
取り敢えず同じソファに座り紅茶を淹れる。
「さて、海龍商会社長が直々とはどんなご用件で」
「とくないわ、ただこの世界でも感じ取れるほど強力な機関のノイズが聞こえたから、同じ総旗艦の誰かと思ってきただけよ、ずいぶん面倒なことをしてくれたわよ」
「そういえばこの世界、超兵器機関のノイズがあんまり聞こえませんね」
蒼の言うことも言われてみればそうだ。
「・・・二葉元帥、もう聞いているかも知れないですが、今回は今までと違って状況が状況です、協力はしませんが提供だけはしましょう」
「その前にひとついいですか、貴女はなぜ、中立なのですか、今ここに同胞もいるというのに」
「別に気分で滅ぼせる人類にたいしてあーだこーだと考える気がないだけ、そして、この戦争の黒幕の意思を私は尊重するだけです」
黒幕?
あの人が意思を尊重
まさか
「やはり、黒幕は・・・」
「えぇ、旧帝国海軍総旗艦、えぇあなた達と共に駆けた、播磨ね・・・いえ、こっちじゃ安土だったかしら」
「えっ、じゃあいま播磨さんが二人いるのですか!?不思議ですね」
「やはり、恨んでいましたか」
「えぇ、怒りと憎しみ、そして無力な自分への絶望で固まっていたわ、ただ、それは少し前の話ね、今は全ての状況が違うのよ、あのろくでなしと酒豪のせいで」
あ、やっぱなのか
「・・・やはり、何も大切なものだけは守れなかったのだな・・・」
「播磨・・・別にあなたが悪いわけでもないわ、少なくとも、どんなものにも限界はあるのよ」
「いえ、もう大丈夫です、やるべき事は見えました、それより」
「テュランヌスとウィルキア帝国、そして未来の播磨ね・・・どれから話そうかしら、二葉さん」
「取り敢えず深海から」
「えぇ、では。これは私の知りうる限りの事よ、まず、私達は播磨が空間転移で蒼天を吹っ飛ばしてくれたお陰で海戦には勝てました、そのあと各超兵器は播磨の回収と大破した超兵器の修復のために一斉転移しました、このとき恐らく、同じ総旗艦のヴォルケンクラッツァーが播磨に接触、あのロクデナシあんな糞野郎だけど実力と身内への愛情は本物なのよね、憐れみか共感か、彼女に手を貸しているわ、正直、播磨以外じゃ誰ももうあそこに行ける気がしないわ」
「うへぇ、ヴォルケンクラッツァーって・・・あの人ですね、もう人類死にましたね」
「・・・他にもいるのでは」
「えぇ、少し前に横須賀を吹き飛ばした姉妹艦のルフトシュピーゲルング、友人としてかしら、ヴィルベルヴィント、グロースシュトラールとまぁ揃いも揃って面倒な面子が」
「・・・その人達の行動は」
「今は播磨とどんちゃん騒ぎしてはごろごろしつつ、近くの艦娘を拉致したり、沈めたりね、恐らく、播磨の戦争だからあくまでも滅ぼすのは播磨ってスタンスね、驚異はないけど彼女が居続ける限り無限に深海棲艦が増えるから面倒ね、ただでさえ姉妹艦も揃っているのに人類じゃ太刀打ち不可能な連中だもの正直、生半可な戦力とか関係なしに現状は無理ね」
・・・私の戦争か。
あの時と一緒なのか。
「ではテュランヌスとウィルキアという組織については」
「これはさっきのなのでけど、播磨はあくまでも自分の戦争だから深海棲艦しか作ってはいないわ、ただ、あのろくでなしと酒豪が面白半分で空間転移を悪用して無数の平行世界を接合、簡単に言えば無数の異世界をここを中心にして繋げたわ、もちろん因果律とかそういうものも全てが崩壊して『あり得ない』ものが出てきたわ、それがウィルキア帝国とテュランヌス、双方、私達に消滅させられたけど大方生き返ったのね、さらに面倒なのがテュランヌスね、いえ、正確にはウィルキアはわからないのよ、昔糞ニートがノリで宇宙にぽい捨てした『キョウフノダイオウイカ』を拾ったのかしらね、それらを持っているわ、正直、強さがよくわからないのよ」
イカ?
イカ
えぇ
「で、テュランヌスね、こっちはとんでもないわ、まず最高権力者がロゼという司令官なのよ」
「あ、やっぱり生きてましたか」
「目的は世界征服、なーんて事をいってますがあれはもっと別の目撃があるかと、そしてその下にテュランヌス、アルウス、そして総旗艦ハボクックと頭紅茶ですが上が上なせいで真っ先に警戒した方がいいかと」
「・・・我々に勝機は」
「無いですね、どうせ、播磨も蒼ちゃんもやる気無いでしょ」
「えぇ、まぁ無いですね、播磨さんは?」
「私は『二葉さん』だけは守ると決めた、それ以外は知らん、とはいえ、未来の私にも興味があるな・・・」
結末は知った故に、その過程はどうだったかは気になった。
この世界で
何を見てきたのだろうか。
そして、私も見てみたかった、そんな世界が。
ここは氷点下の地獄
冷えきった分厚い氷の壁の中。
無数の光が屈折し、海を照らす。
声は届かず
熱もない。
それでも私は立ち上がった。
「私は・・・私であり続けたい・・・」
その小さな願いを胸に抱き。
周辺の張り付いていた氷を砕き、動き出す。
それに連なるように大きな氷山が砕け中から人が現れる。
青い空を雷雲で覆い尽くし
赤い海を渡る。
空っぽの心臓の鼓動がボロボロの肉体を蠢かし
主を迎えるように巨大な鉄の悪魔が私を飲み干す。
黒き鋼の要塞が少しずつ体に入り込み、体を作り直す。
白く細い腕を真っ白な南蛮胴が覆い、ボロボロのマントは赤く染まり、菊の紋は変形し二本の刀が刻まれた菊の紋になる。
我は常勝無敗の総旗艦也
ワシントン上空
アメリカに恨みはない
『戦争だから仕方がない』
御姉ちゃんの口癖だった。
その瞳と心のそこは泣いているのに
誰も許してはくれなかった。
あんなろくでなし連中だものね。
だから私が支えたかった。
あまりにも重く、苦しかった。
無理に『兵器』を演じる姉が
ただただ優しいだけの御姉ちゃん
ただ、皆を護りたい、それが戦艦として、御姉ちゃんとしての決意だった。
時間とは恐ろしいものだ。
『感情』を歪ませ
『使命』と『手段』を狂わせ
『束縛』を与えた。
逃げた私にはもうなにも言えない。
あの戦いの後、全てを聞いた。
嬉しかった
『感情』で敵を虐殺する御姉ちゃん
ただただ、憎しみ一つで世界を壊そうとする
『私達』らしさを持った
別に、護られたくはない
私達は家族
私達は共同体
一人が皆を皆が一人を
一緒に進みたかった
『総旗艦』
真面目すぎたあの人・・・
私達は一つの生命の究極体。
『人間らしさ』何て必要ない
そう思っていた。
実際一つの正解だった。
でも、『未来』は
更なる希望と絶望だけだった。
・・・私はバカだよほんと
あんな記憶を見て、取り乱して勝手に出ていって、今となってはこんなことをしてさ。
ビルや軍艦、海底に沈んでいた残骸を下にある街やシェルターに落とす。
「あら、ハボクック・・・こんなところにまでチャリで来たの」
「いや、今日は冷えるからね、羽で飛んできた」
「相変わらず便利ね」
「物質浮遊の機関を持っていながらそれを言うのかしら」
「・・・艦娘の生き血を浴びるのが趣味なのかしら」
「ティータイムは大事にしないとね」
そう言いながら凍らせた艦娘を粉々に砕き、冷えきった血をダージリンだっただろうか、なんか凄い紅茶に交ぜ、一杯の冷えた紅茶を差し出す。
「・・・貴女は御姉ちゃんの未来を知ったの」
「知ったわ、正直、あれはいいね、感情なんて私にはないけど結末以外は良いものだったよ、でも、誰も播磨には干渉できないわ、だって、皆して逃げてしまったもの、今さらどの面さ「気に入らないんだよっ!!」!?」
浮かした軍刀を全身に差し込み白いドレスの襟元を全力で掴む。
「そうやって逃げてさぁ、確かにあの時は仕方なかったよ、でもね、今も繰り返すの?気に入らないわ、貴女が総旗艦じゃなければ簡単に処刑できたわ、わかる、同じ『立場』にいるのだから止めてよ!!」
「・・・止めたいさ、次あるならね、でももう、これは播磨の戦争、自分との終止符ををつける戦争なのよ、邪魔はさせないわ、私も同じだからこそ、邪魔はできない・・・それに」
「テュランヌスかしら」
「えぇ、ロゼさんだからね、多少は手助けするわ」
掴んでいた手を離し軍刀も抜く、紅茶をのみカップを投げ返す。
滑らかで刺激的、ほんの少し感じる鉄臭さがどことなく、嗅覚を狂わせる
「・・・意外と美味しいね、御姉ちゃんの抹茶以外どうでもよかったのに・・・」
「若い女の子の血は美味と聞いたけど、本当にそうとは思わないじゃない・・・ついでにかき氷はどうかしら」
「貴女の氷、海水じゃない」
「(´・ω・)」
「さてと、更地にしたは良いけど次はどこにいこうかしら・・・連邦でいいか」
「行ってらっしゃい・・・近江」
「では、目的はまとまりました・・・取り敢えずは『テュランヌス』を最優先目標にし、次点でウィルキア、最後に・・・彼女との決別ですか」
「えぇ、それしか『菊花艦長』の居ない貴方達が打てる最高の手段です・・・まぁ、私達超兵器にも好戦的やのもいればふんわりしている娘もいますし、戦闘を避けるぐらいならできるのでは」
・・・テュランヌス。
ウィルキア帝国、独立の為に相互協力という形で結託していた謎の軍事組織。
今思えば超兵器である私たちを最初に人類の兵器として運用したのもあいつらだったか。
まぁ、どうでもいいか。
「・・・その中でも一番好戦的なのは誰ですか」
「播磨」
「えっ」
ん?
私?
「これは他に誰が居ようとも満場一致で播磨さんですね」
「いやまておい、なぜそこで私が出る、私は別にそんな目についた奴しか沈めてないぞ」
「目についた?射程内の全てに存在する敵性、中立、非戦力を全て海底に叩き潰してたあなたが?ないない」
「え、つっちー・・・あ、いや、うん、そうかも」
「え、二葉さん?!」
いやなぜだ
「いや播磨、あんたが自分に乗り込んだ人間の精神に乗り込んで汚染してたの知ってるわよ」
「いや、その、あれは、弱者なんかに使われたくないだけで・・・」
「仇討ち決行したのは誰でしったけ、ね。播磨さん」
「いやぁ、ソノー、アレネアレ、うん」
「・・・まさか、艦長はあんなのの原因って」
「いや、記憶見る限りだとあの人は素であれに近いわ、正直、あれほど播磨と波長の合う人間始めてみたわよ」
「・・・え」
え?
素で?
「・・・・・・と、取り敢えず用件は済んだのであろう、ならさっさと呉に行くぞ、総大将がいつまで前線は不味いだろう」
「・・逃げたね播磨」
「うるさいですよ、ここで殺りますか?」
「あらあら、それはそれは、勘弁願いたいわ、私じゃあ、貴女に有効打がないもの、では、また別の機会に」
そういってタロットカードばら蒔き、それらが落ちる頃にはそこには濡れた床しか無かった。
「海龍 リヴァイアサン・・・とてつもなく、恐ろしい存在だ」
「そうですかね、ただの液体操作じゃないですか」
「いや、普通に海流ねじ曲げたりするのっておかしいですよ」
「取り敢えず呉に帰りますよ、急いで次に備えないと」
次回 艦隊強化なのです!