・・・
他三人思いつかね
呉
無数のボロボロの艦娘が行ったり来たりをを繰り返し、まさに地獄ような有り様であった。
「・・・呉か・・・蒼はここの生まれだったか」
「えぇまぁ、元々はここで次世代型の実験駆逐艦でした・・・ヴォルケンさんのせいで真っ二つですが」
「あぁ、あれはひどかった、呉ごととはな・・・・ウィルキアにいるとき、何度かよったことはあるがここは風が気持ち良い・・」
気に入らない。
国の為に戦うというのに
世界はこんなものじゃないというのに
弱い弱すぎる
いったい未来の私は何を教えた。
力だけが全てではないのか?
「・・・播磨」
「わかってるわタイラント」
・・・・・・・・
何か変な感じだ。
人類はどうでもいい
世界なんてもう興味ない
でも
あぁそうか。
『私か』
おかしい原因は
「播磨さん!!」
刹那
いや、一呼吸もない
一瞬だ。
空から降ってきた白い甲冑の怪物が
私めがけて落ちてきた
「播磨さん!!」
一瞬だった。
私が探知をするよりも圧倒的に早く。
雷のような
龍のような
白い甲冑のあの人が
降りてきた。
私の知るあの人たちが
同じ刀で打ち合ったとき、それは綺麗な青白い雷が走り出した
「まずいっ!!」
とっさにその場を離れようとしたが何発か足を貫通し、焼き斬った。
「・・・あぁ、そうか、そんなに悲しいのか」
「」
私は所詮過去
あの人の未来に何があったかはわからない、でも、今警戒するのはそこではない、私は「播磨さん」の戦いに邪魔はできない、今こうやって合いまみえる二人を見たからこそだ。
「タイラントさん、どうやら、招いてもいない客が来たようですよ」
「・・・はぁ、所属は違えど同族なんですけどぉ」
「じゃあそのガトリング砲は?」
「ひひっ、どうやら、みんな自由にやってるんだ、『播磨』の戦いさえ邪魔しなければなにやってもいいってことだろ」
タイラントが私の足に手を当てると一瞬で傷が治り、弾薬も補充されていた。
「吾は暴君インテゲルタイラント、しかしその実ただの意思を持つ兵器、今上司は職務放棄、ならば誰につこうが吾の勝手、例え、摩天楼や蜃気楼、大光線に旋風だろうとね☆」
全く、この人は。
「ってわけでさぁ播磨ぁ!!未来の自分と決着つけるまで私、人類の味方するわぁ。ハハハハ」
「・・・そうか、勝手にしろ、そんな物好きがもう一人居るみたいだぞ」
もう一人?
あぁ、なるほど。
なんか空から降ってきますねこれ。
「ったく、戦力格差が酷すぎますね、まぁ、一杯の飯の恩義です、協力はしましょう」
空から降ってきた巨大な戦艦。
艦首には巨大なラム状のドリル
船体には巨大な回転ソー。
緑を主体とした装甲。
「アラハバキ・・・あんたどこで寝てた」
「いやぁ、アメリカのひゅーすとんだっけ、そこに突き刺さってたわ・・・近江がここまで運んでくれなきゃずっと逆立ち状態だったよ、あとさぁ、これ沖縄土産のさとうきび」
「さとうきびで味方するのかお前・・・」
小さい巫女服ヤクザ。
空には確かに巨大な双胴の船が無数の瓦礫や戦艦を浮かべて見下している。
「近江さんはまだ、迷っているようですね」
「あ、蒼天か、ありゃあむりもないよ、自分の姉が自分の姉を殺そうとするんだ、それも己の運命と向き合うためにな、無理もないさ」
周囲の艦娘もようやく追い付いたのかぞろぞろと群れをなして警戒をはじめだした。
「さてと、じゃあ、開戦前にぶりーてぃんぐといこうか」
「は?主砲で殴って追い返すそれだけでしょ」
「は?ドリルでどてっぱらに大穴開ければいいでしょ主砲ってなによ」
即答だった。
このインテリヤクザ
まともなことをいっているのにこれはひどい。
「ハバキさぁ、知的ぶっても結局突撃だよね、だからお子様なんだよ」
「んだとゴラァ、テメェさいっこうにベストな答えだってわからないの」
「・・・はぁ、ダメだなこれは」
狐のお面を被った白い
誰でしょう
「・・・誰ですか」
「・・・駿河」
「あぁ・・・っえ、なんですかそれ」
「なんとなくだ、あんまり、顔に血をつけたくないんだ、艦娘の指揮は私が二葉さんより貰っている、超兵器の足止めは頼む、深海はこっちで倒す」
わぁまとも。
空が雷雲に包まれ、海が荒れ始めた、もはや背後の二人を邪魔することはできない。
戦場
そんなものを体験するのは久方ぶりだ。
「・・・ねぇ、総旗艦、播磨だけを先行させてよかったの?正直、あの体じゃあ」
「別にいいわ、『魂』こそが大切なの、少なくとも・・・ね、ヴィル、貴女はさっさと敵の包囲を抜くことを考えなさい」
雷雲が集まり、空からの光を遮り出した。
暗い海を疾走する一隻の船
「・・・さてと、敵は蒼ちゃんに、タイラント、駿河、ハバキかぁ、よし、私一人でいこう・・・っか」
空のビール瓶を投げ捨てバズーカを背負った妹を私は飛び出させる前に足を引っ掻けて止めた。
「重力砲で吹き飛ばすつもりでしょうけどそれは許さないさ」
「なんでさぁ、別に人類はどうでもいいでしょ」
「いつもの感覚で乱射されると困るのよ、主に上空」
空から見下げている一隻の船
一隻一隻の能力なら私達総旗艦クラスならなんの痛手でもないけど今回は艦隊戦。
人類は結局空を飛ぶ羽虫には勝てなかった
問答無用で制空権を取れる近江の機関ははっきり言って酷い、ドーラ、アルケオや播磨でないと完全に対処不能の成層圏ギリギリからの砲撃。
唯一の救いは播磨護衛艦隊が居ないことね。
もしあれがいたら空から波動砲と100cm砲の砲撃や410mmガトリング砲の雨はうんざりよ。
「うわぁ、何あれ、エッフェル塔にビック・ベンに自由の女神像やビル郡が浮いてる・・・別に痛くないけどあれは深海のクソザコどもじゃあ無理かぁ」
取り敢えず近江がどちらにつくかで全てが決まる。
それぐらい『この戦争』は制空権が大事すぎる。
この戦争は私たちだけが殴りあってもなんの意味もない。
あくまでも彼女の戦争。
これを捨てたらあの娘は問答無用でしょうし。
「・・・敵包囲突破・・・流石に、300ノットも出せば追い付けないか・・遅い遅い」
「寧ろ300ノット出せる人類の船なんていたらたまったものじゃないわ」
人は星を望んだ
いや、宇宙だったか。
私にはわからない。
何故人は宇宙を望んだ
男の目には世界が写っていなかった。
ただ真っ直ぐ空を写し
そして、中身は腐り濁っていた。
私が変えた
私が突き動かした
ただ戦うだけの兵器
ただ逃げたいが為だけに
争いを引き起こすためにではなく
全てから逃げて
逃げて
逃げて
逃げて
なにもみたくない
逃げた
捨てた
でも
逃げ切れる気がしなかった。
彼は語った
「人はこのままだと滅ぶ、だから俺は人を見捨てる」
私は答えた
いや、答えてしまった。
「なら、あなたは何故『軍人』を」
と
そしたら答えた
「何となくだ」
私は笑ってしまった
人をなんとも思っていない奴が徴兵でもないのに一人の軍人として立っている。
国を思っていない奴が国のために命を落とす
あほらしい
だけどなんとなく、手元に置きたかった。
今思えば、これが『恋心』の切っ掛けだろうか。
嫌なものだ
「なら、この妖刀を握りなさい、我が名は・・・・いえ、もういいわ」
ただただ見たかったのかもしれない。
この人っぽいなにか
結末は
どうだったか
「・・・・人に下らん記憶を見せつけるな、私」
飛んできた拳を避けることもできずそのまま吹っ飛ばされる。
例え100cmの砲でも傷付かない装甲も
あの質量には無理か。
ただ殴られただけで装甲を一撃で全て破壊され衝撃一つで海を抉る。
総旗艦播磨
絶対的火力と装甲
あぁそうだよ
私だからわかる。
勝てない
誰もあの殺戮兵器には勝てない。
でも負けてはいけない
過去も越えれないなら
「・・・・・私は諦めない、艦長・・・私は」
「やっぱりか、つまんね」
立ち上がろうとした瞬間空から二十発の砲弾が直撃し数発は体を貫通する。
足を撃ち抜かれたのか体勢も取れなくなった。
「・・・ねぇ、過去の私、私の後は人類?」
惨めだ。
今さら知っていることに確認なんて
「愚問ね、答えを知れば後は不要、この星は滅ぼす・・・当然でしょ『同じ者』なのだから」
やっぱりだ。
「そう・・・ね。じゃあまだ立ち上がらないと」
「・・・・はぁ、第二ラウンドは無しらしいな」
機関を回し周囲の魂を取り込んで肉体を再生させる。
ただ、妙な浮遊感を感じた。
いや浮いている。
空には・・・近江と・・・氷の塊
「あーあー、人類、艦娘、深海棲艦諸君聞こえるだろうか、我が名はハボクック、欧州艦隊総旗艦ハボクックである、総員停止し、話をぎゃああああ」
まあうん、ろくでなしなあの人なら波動砲打つよね、あの人基本的に自分より上空に居る奴嫌いだし。
「・・・・ありゃあ、近江のやつ、ずらしたな」
「ふぅふぅあぁ・・・体の三割が削れた・・・えぇいそこのろくでなし姉妹!!さっきから砲撃するんじゃない!!台無しでしょうが」
「んーあんだってぇーきこえんわぁなぁルフトォ」
「そうねぇ、ちょっと高すぎて聞こえないわぁねぇねぇさぁん」
色々しまらない。
うん、そう言う人たちだった。
「よし殺す、ロゼの思想なんか知ったこっちゃあねぇ、播磨回収して残り殺す」
そう言うと海が海底から凍り始め空に浮かんだ船体からは無数の氷の槍が空から降り注いできた。
「はーい播磨帰るわよ、あれは不味い」
「は、放せヴィル!!まだ」
「・・ヴィル、帰るなら投げるから足貸しなさい」
「え、いいの播磨」
「あぁ、どうせ試運転だろ、ちゃんと『決意』を持ってきてからじゃないと面白くないわ、だからじゃあね『幸せだった私』」
そう言うと全力で投げ捨てられそのまま氷のトンネルを抜け海底についた。
「よし、ドレッド、急速潜航、グロースは最小限でいいから氷を溶かして、一気に本拠まで逃げるわよ」
「上の二人は」
「徒歩で帰ってくるわ、さ、近江に引きずり出される前に脱出、急がないと総旗艦どもが潰しあい始めるわ」
無数の氷の槍が無差別に降り注いでくる。
別に刺さりもしない柔な氷だけど面倒くさい。
「ははは、はははっは、あはは」
なんとなく機関を全力で動かし周辺の電子を集め、体を電子に変換する。
なに人の戦いの邪魔してるんだよ、ぶっ殺す
「総員退避ィ!!」
「駿河・・・今からが本番の『戦争』じゃあないか、なに勝手に逃げてるのさ」
勝手に退却指示を出す妹の首を掴み引っ張る。
首に刺さった爪から血が流れ海に垂れていたから軽く雷で焼いて傷口を直す。
「いやっ、さすが・・・に艦娘は・・・あれは無理だって」
「・・・知らないわよ、引きずり下ろせばいいのでしょ?簡単じゃない」
艤装を変形させ山のような形にする。
「だーかーらぁ、総旗艦クラスと私達通常艦と艦娘じゃあ、天と地ほどの性能差があるのよ、戦場にいることそのものが危険なんだって」
「・・・へーきへーき、どうせ氷の槍をぶっぱなしてくるだけじゃない、まだ海から氷の巨人とか龍とか出てないしへーきへーき、たかが成層圏じゃない」
「姉さん、成層圏ってのはね、誰でも・・・うん、姉さん今できちゃってるね」
腕に電流を集め一本の矢にする。
「・・・今ここには三隻の総旗艦・・・そして三つの勢力、なら殺し合うしかないでしょう♪」
一矢、矢を放ち真っ直ぐ上空の氷に着弾した瞬間空を覆うように雷が広がった後に無数の落雷が海も船も弾も飛行機も焼き払う。
同時に実体を雷に変換してハボの船体に腕を差し込んでそのまま氷に差し込みながら登る。
「よいちょっと、えい」
甲板に上った直後直ぐに甲板を殴ってへし折る。
へし
へし
折れない
「・・・・拳が・・・浮いている」
「あっぶないわねぇ」
甲板が一瞬にして凍りつき足に氷が張り付く。
蒼白いドレス
紅茶
うん
「・・・数ヵ月ぶりね・・」
「ついさっきまでナチュラルに殺しに来てたわよね貴女」
「良いじゃないか、何処につこうが私たちの勝手じゃない」
煎餅を投げ紅茶のポットを貰う
取り敢えず足の氷を焼いて席に座る。
「あら、ティータイムかしら?私もご一緒してよろしいかしら」
「ハァ、どうぞ、なにいっても座るじゃない貴女」
あきれるのも仕方がないか、このろくでなし、気に入らないとすぐ波動砲ぶっぱなす
いくら不死身でも再生するのは面倒なものだ
「リヴァが居ないのはまぁ良いでしょう、で?ハボクック、ロゼの真意はなにかしら、あの科学者かぶれ、あのときからそこが見えないのよ変に権力を求めていないと言うか」
「・・・無いよ、何も」
無い?
「・・・無いのに、播磨を狙う理由は?」
「・・・わからない、だから播磨、聞かせてほしい、ロゼの言っていた『ラグナログ』ってなに」
『ラグナログ』
あぁ
なるほど
あの女、世界を消して何がしたい
「・・・恐らく、フィンブルヴィンテル・・・お母様の完全覚醒ね」
「・・・え?何よそれ、今始めて聞いたわ」
紅茶をのみ、一つの部品を出す
「当然よ、これを知っているのは私とお母様、後はそこの角砂糖食ってるろくでなしだけよ」
「あっま・・・紅茶ない」
「さて、本題ね、まずお母様を起こすためには近くで超兵器機関を持ってこないといけない・・・のりで起きる人だけど・・・まぁ私ってほら、本来の場所はお母様の周辺海域じゃない、だからどうしようもなくなったら、無理矢理起こす方法あるのよ」
「そう、じゃあ、もう彼女もいないことだろうし帰るわ・・・」
「は?もうちょっとしましょうよ、ここら辺が更地になるぐらいさ」
首をつかもうとすると腕から氷が生えて凍りつく。
一瞬肩を掴んだがなんか飽きたから手を放し残った紅茶を飲む。
「・・・わかったわよ」
席をたち、飛び降りる
少しずつ崩れ去る氷塊を見上げながらそっと手を差しのべる
何も見えなかった。
記憶とは悲しいものだ。
まぁどうでもいい。
ただ
「近江・・・貴女は・・・どおしてそこまで悩むの・・・そんな・・・無理に」
顔も見せず・・・ただ悩むだけ
答えなんて不要
ただ、自分に素直にしなさい
海面に落ちる。
まだ氷が溶けきっていないのかそこは冷たく、少し明るかった。
肌の冷たい感触
歪む視界
嗤う心
この無音の海原を
駆けたのだろうか
私は
取り敢えず
この戦いは長く続きそうね
次回 艦隊演習