鋼鉄の戦姫 東亜の戦神と極点の龍   作:(´・ω・)

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まだAステージ


Aー8 天の剣 空の船

私達が出発して約二時間後、呉鎮守府が消滅という報告が届いた。

 

送られて来た写真は恐らく、総力戦だから戻ってこずに進め、そう受け取って私たちは北極を目指している。

 

私にとって北極は恐怖でしかない。

 

あそこで何十何百どころじゃない同胞が沈んだ、たった一隻の超兵器にだ、そんなのが何隻も集合して砲を交えた。

 

万を越える最新のジェット戦闘機がアルケオさんに轢かれて砕けたりジュラヴリにローターなんかで落とされ、播磨さん率いる主力艦隊の対空砲撃で一瞬にして消えた。

 

もはや航空機何て意味をなさない環境にもなった。

 

海底が凍り潜水艦や水上艦は動くことも封じられ、またある潜水艦は水圧で押し潰された。

 

雷が豪雨のように降り注ぎ、大地も抉る光の柱が何十と通り抜けた。

 

空からは船の残骸や反物質爆弾、海底からも千を越える魚雷。

あの時までに生き残って居たものなんて全くいなかった。

 

数でどうこうなる存在じゃなかった。

できれば二度と行きたくなかった

 

でも、真実は欲しい。

 

 

「・・・オーロラ・・・オーロラ!?」

 

あり得ないことだ。

そして、それは起こり得ることでもあった。

 

「それは警告かしら、近江」

「警告?いいえ、命令よ、誰にももう傷つけさせない、だから今から帰るのなら許すわ」

 

瞳には何もなかった。

その瞳は本当に何もなかった。

 

一緒だ。

 

姉妹なだけはあった。

優しさと残虐性

理性と本能

嘘と本音

 

「もう、帰るところもありませんよ・・・えぇ、人類は進まないと詰みますね・・・ですから、退いてください」

 

機関を解放し、艤装を取り出す。

 

「あぁ・・・そうなんだ・・・じゃあ、真実にたどり着くといいわ・・・・『お母様』はお姉ちゃんの残骸の上よ、あなたの機関ならきっと見つけれるでしょうね・・・えぇ、『私達』を通り抜けれるなら」

 

 

そういうと空が一瞬にして黒く染まり。

 

 

鉄の雨が降り注いだ。

十や百ではなく万

 

その頃には近江も見えなくなった。

 

 

 

 

 

突如として降り注ぐ鉄の豪雨。

何十を越える大艦隊を覆い尽くす砲撃。

 

「クソがっ!!『大東亜艦隊』と『播磨直属艦隊』両方かよ、近江のヤツ成層圏に待機させてやがった」

 

「流石の私も自分を守るので無理ぽ、ねぇ、ハバキ、今すぐ播磨呼んで指揮権奪ってよ、このままじゃ私達以外全滅だよ」

 

「あ?やろうとしたらもうロクデナシどもと殺し合い始めて無理だってさ・・・その飾りのAGSで何とかしろ」

「成層圏相手はできらぁっ」

 

できる限り吹き飛んで機能しなくなった戦艦を盾にしつつ周辺の艦娘を回収する。

とはいえ、戦場の何処かに近江がいるのは確実。

 

隣の高速戦艦は対艦隊には強いけど対空は無理、いや、成層圏への砲撃何て人類がソユーズ落とすために作ったレールガンと総旗艦クラスぐらいだ。

 

考えを巡らせると

 

「ヒャァッホォォォォォォウゥ」

 

 

戦艦の装甲を簡単にぶち抜いて周辺に主砲を向ける

 

妹がいた。

 

「天照・・また、飲んだの」

 

「・・・ん。あぁ、いたいた、いやぁー、ウィキアがさぁ、くっそウマイイカを百匹単位で寄越してさぁかるーく捻り潰して酒と一緒に食べたら近江が飛んできてさぁ、播磨の瓢箪欲しくて居場所聞いたらここまで運ばれたんだよねぇ・・・じゃあ、死のうか」

 

そう冷徹にいい放った瞬間

無数の砲が数千の砲弾を吐き出し続け周囲の艦娘を撃ち抜き陣形が崩れ始める。

 

「・・・負けだな、あぁ、しょうがない、タイラントは後方の本隊に退却命令、退却プランを実行してウラジオストクに移動、私は蒼を連れて無理矢理強行突破する」

「流石にそれが正解だっ」

 

背中を合わせ一呼吸置いて突貫を始めようと瞬間砲撃が止み、空が光だした。

 

いや、巨大な光線が成層圏の艦隊を消し飛ばした。

 

 

「あっぶないなぁ、ギリギリ間に合ったかい?ねぇ、タイラント、ハバキ」

 

ひし形の巨大な浮遊物に座り巨大な大砲を抱える一人の紫髪の少女。

 

「・・・一体いつ居たのよ、ヘル・アーチェ」

「昔からいたさ、ただ素材がなくてね、あぁそうだ、天照・・・アンタはご主人の元にでも帰ってな」

 

周辺にあった無数の船と空から落ちてきた残骸が空中で分解し空を覆う一枚の盾になる。

同時に大地おも焼き払う巨砲は妹に砲口を向けた。

 

「はぁ、たかが要塞の分際で・・・なによその体・・・・なぜアンタがその肉体を持っている!!!」

「はぁ?いいじゃない、これを誰が持っていようが、これはそういう『決定』よ」

 

「・・・・あぁそうかい、あの人も困ったものだ・・・・聞こえているんだろ近江ぃ、やめだやめ!さっさと例のものを回収するぞ!!」

 

「待ちなさい天照・・・あれってなによ」

「あぁ、あれ。面倒だから言うけどあれは『播磨の大切な人の肉体と魂』よ・・・どうでもしないと諦めさせれないでしょ、あの総旗艦」

 

 

そういった瞬間空へ飛んでいった妹を見失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

北極

 

 

吹雪が吹き始め周辺には無数の氷山があるなか一際大きい氷山の前に私はたっていた。

 

 

「・・・フィンブルヴィンテル・・・話があります、寝たフリは許されませんよ」

 

氷山の中にある無数の眼球が私を見続ける。

声に反応するように氷山の一部が割れ、一枚の扉が現れた。

 

「・・・」

 

はっきりいって逃げ出したい。

だが、それは自分が許せないのだろう。

今度こそ

 

だからあえて何も警戒せず中へ入った。

 

 

「あっち」

 

内装は近未来的なものではなく、ごく普通の

 

『人間の部屋』でしかなかった。

 

 

「蒼ちゃん、取り敢えず立ち話もあれだし今お餅を焼いているからどう?」

「ふざけないでください」

 

怒りはせずただ冷徹に、静かに答えた。

その対応に彼女は何一つ顔色を変えずに奥の冷蔵庫を開けた。

 

そこには二入の死体が冷凍保存されてあった。

 

「・・・・嘘」

「えぇ、嘘よ、そうであってほしかった嘘よ」

 

中には一人の体が銃弾で蜂の巣のように穴の空いた男と全身から血が流れていて酷いところは原型もとどめていないほど崩れている播磨さんの体だった。

 

「・・・私がここに来たのは実を言うと貴女たちより先なのよ、その時にこれは見付けたものよ・・・・人類という屑どもはここまでの事を平気でできるのよ・・・・いえ、人類だからね」

「これは・・・いくらなんでも」

「当然と言えば当然ね、命令無視、友好勢力への無断砲撃、戦争の継続、えぇ彼は神の視点からすれば国を救った英雄よ、でも人間は神では無いのよ、だから恐れたのよ、やったことが全て、いえ、運命全てが彼に味方したことに、連合と祖国は恐れたのよ、死神に愛されたからしらね、いや、壊れた兵器に預けてしまった、えぇ、最高の兵器に預けてしまったがゆえにね」

 

 

私はそっと二人を氷の壁越しに触る。

 

刹那

 

黒い

 

殺意が

 

 

 

意志が

 

 

 

飲み込んだ

 

 

 

 

 

「ごはぁっ・・・ううぅ」

「記憶旅行ご苦労様・・・・知ったでしょ」

「水を貰えますか」

「えぇ、それを見た艦娘は皆壊れて深海棲艦だかになって暴れる兵器になったけど何故かしらね・・・」

「これは意思とかじゃあ無いですよ・・・純粋に感情そのものをあの人に支配されたような感じです」

「それよそれ、そんなの、ただこの黒い意志が播磨ではなく『菊花』という男にあるのが厄介ね」

 

水をのみコップを投げ捨てて頭痛を押さえ込む。

自分自身が無くなりそうな

そんな感じを押さえて

 

「あの艦長さんですか」

「えぇ、せめてこの播磨の墓で一緒にいれてあげたくて持ってきたら生きてたのよ・・いや、魂だけがね・・・」

 

渡された爆薬で体を弾き飛ばして一度再生をしなおす。

直りきると全身を包んでいた悪意も消滅し頭痛もなくなった。

 

「ですけどこれは・・・・」

「えぇ、そうね、あの播磨は播磨として生きてはいるけどその中身は菊花という男の悪意と憎悪で動いているのよ・・・おかしいと思ったのよ、なぜ『本気で人類を恨んでなんていない』播磨が人類を滅ぼすのか、ちがうのよ、『寄り添えた唯一の愛人を奪われた』菊花が人類を恨んでいるのよ、六人の妹はこれをさわった後何をしたと思う?人類の味方としての自分を殺して彼に従ったわ、人類からしたらたまったもんじゃないでしょうね、唯一の対抗策が無くなったもの」

 

理解をしたと同時に私は一つの疑問ができた。

「なぜ、菊花艦長は播磨さんを殺したがっているのですか?」

「あぁ、あの戦いね、あれは怨霊よ、まともに見えてないわよ、まぁそれと『播磨本人が目覚めた』のが原因ね、今の彼女って多分、半分半分なのよ菊花と播磨で、だから菊花として播磨を苦しめた人類を殺し、播磨として、未来で今の自分を繰り返すのを防ぎ、そして過去に打ち勝って安土として生きるために播磨を殺そうとしているのよ、まぁ、気付いているのは親といっても過言ではない私とヴォル、ルフト、そして播磨本人だけね、案外小突けば言いそうね、じゃあ、真の本題に行きましょうか」




次回 菊と鬼と総旗艦

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