転生したら悪魔の実のカルマノイズだった件   作:龍狐

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カルマノイズ、嘘と真実を語る

”それ、自分の仕業だよ”

 

 

そう書かれたプラカードを出した。

それに今度は俺に注目が行く。そして、了子さんは驚いた顔をしている。

 

 

「……どういうことだ?」

 

 

OTONAが俺に尋ねる。

 

 

”書けば長くなるので……紙芝居形式でやろう”

 

「「「「「「「「はぁッ!?」」」」」」」」

 

 

まぁそんな声出すよね。

そしてセレナちゃんも驚いてるし。まぁどうでもいいが、紙芝居は速攻で作ったために絵のクオリティがひどい。

 

そんな紙芝居をいつ書いたのかと言うと、【シロシロの実】の中で自分の分身に書かせました。まぁ結局は自分で書いてるんだけど。

 

 

”始まり始まり~~”

 

 

最初に書かれていたのはラボらしき場所にいる白衣を着た眼鏡の女性。だが絵が問題。

口も大きく空いてるし瞳がないクオリティの低い絵

 

 

「…これは了子君か?」

 

「白衣に眼鏡をかけているから、たぶんそうでしょうが……」

 

「翼ほどではないが、下手だな」

 

「ちょ、奏ッ!!?」

 

「(…即席で作りましたねこれ…)」

 

 

”昔、あるところに一人の自称天才考古学者がいました”

 

 

ちなみに、自称のところだけわざと大きく書いてます。

 

 

「(自称のところが大きく書かれてる…)」

 

「(口に出してはいけない…)」

 

「(言ったら確実に…)」

 

「(櫻井女史の蹴りが飛んでくる…)」

 

「(それだけは何としても避けなければ…)」

 

「(ていうか、命知らずなのこのノイズはッ!?)」

 

「……(ピク、ピク……)」

 

「(こ、この人、血管が浮き出てる…)」

 

 

「自称…??何言ってるのかしら?私は正真正銘の出来る女、櫻井了子よ?」

 

 

そのとき了子さんは、なぜか黒いオーラを纏っていた。

 

 

”自分で言うとか、マジで乙ww”

 

 

そう書いたプラカードを見せると、この部屋の温度が数度下がった気がする。

 

 

「あなた…死にたいの?」

 

”さて、続き続き”

 

 

さて、巫女いじりはこれくらいにして、紙芝居の続きをやろう。

 

 

”そして、そんな女性の部屋に一匹の謎の生き物が現れました”

 

 

次に進むと書いていたのはもちろん俺。

 

 

”謎の生き物は女性の部屋に一つの銀色の左腕を置いてその場を去っていきました”

 

 

銀色の左腕とはアガートラームことエンキの左腕である。

 

 

「その時点で、どうなったんだ?」

 

”部屋に戻ってきた女性は、その腕を見ると、目を輝かせました”

 

”不信感より好奇心の方が勝ってしまったのです”

 

 

そして再び了子さんに視線が行く。

どうせいつも通りだとでも思っているのだろう。

 

 

「「「「「「(いつも通りだ……)」」」」」」

 

”そして、女性はその腕から一つのペンダントを完成させました”

 

「シンフォギアだな」

 

「で、どうしてそれをアタシらに教えなかったんだよ了子さん?もしかして、教えられない理由があったりして…」

 

 

皆が了子さんを見るが、了子さんは戸惑っている。

そして、話の続き。

 

 

”ですが、そこに謎の生物が現れて、記憶を抜いてペンダントを取ってしまったのでした”

 

”おしまいおしまい”

 

 

軽い感じは話が終わるが、それを許さないのがここにいる人たち。

 

 

「待て待て待て待て!終わらすな!つまりなんだッ!?お前がやったってそういうことかッ!?」

 

”せやで。ずっと生きてれば聖遺物の一つや二つくらい簡単に見つけられる”

 

「それで、櫻井女史を利用したのかッ!?」

 

「それに、記憶を抜いたとはどういうことだ…?」

 

 

実際、【メモメモの実】という記憶を操作できる能力がある。

これがあったから作れた作り話なのさ。

 

 

”自分には、記憶を抜くことができるんですよ”

 

「いや、軽々しく言ってるけど、それすっごく重要なことだからねッ!?」

 

「なるほどね。道理で私の作ったことのないシンフォギアがあるのは、私の記憶を抜いたからなのね」

 

「そういうことか。記憶がないんなら最初からそう言ってくれれば……」

 

「いやいや、シンフォギアは私にしか作れないのよ?そんなこと言ってもあんな状態で奏ちゃんは信用してくれた?」

 

「う…それを言われると……」

 

「君はどうして、了子君にシンフォギアを作らせたんだ?」

 

”必要だった。あることに”

 

 

あることとは、月遺跡の中心部に行くことである。

でも、この話も作り話だから。いろんな事情が重なって本当に良かった。

 

 

「そのあることとは?」

 

”それはノーコメントで”

 

「……そうか。無理な詮索はしない」

 

 

さすがOTONA。心広ェ。

 

 

「そして話は変わるが、その聖遺物、アガートラームの適合者がセレナくんということだな?」

 

「まぁそういうことになります。とっさに話を作ってくれて、ありがとうございます

 

 

小声でお礼を言われた。なんてことないさ。

 

 

「では改めて、人類をノイズの脅威から守るために、俺たちに協力してくれないか?」

 

「私は別に構いません。カルマさんは?」

 

”いいよ。ただし、条件付きで”

 

「…その条件とは?」

 

”奏さん、翼さん。明日空いてます?”

 

「明日?どうだったっけ…?」

 

「緒川さん。どうですか?」

 

「明日は……特に予定はありません。オフの日ですね」

 

”そうかそうか。それはよかった。”

 

 

二人にはぜひ見せたいものがある。

そう、人の悪意というものをね……。

 

…話が脱線したな。

 

 

「ちょっといいかしら?あなた、少し私とOHANASHIしない?」

 

”え?”

 

 

案の定で了子さんが俺をすごい力で引っ張る。

たーすーけーてー。

 

 

 

そして、しばらく引っ張られて、ラボらしき場所に行くと、了子さんの雰囲気が変わる。

 

 

 

 

「貴様…一体何者だ?」

 

”名乗らせる前に、まず自分から正体明かした方がいいよ”

 

”先史文明時代の巫女、フィーネ

 

「貴様…どこまで知っている?」

 

 

 

さてさて、一期のラスボスとの対面だ。

やっぱ緊張するな。

 

 

”全部、何もかも知っている”

 

「何もかも、だと……?」

 

”五千年ほど前……バラルの呪詛が月にかけられた”

 

「そこまで…いや、その言動からすると、お前はすでにその時生きていたのか…ッ!?」

 

”いや、さらにに昔。ノイズが誕生する前から俺はいる”

 

「なんだとッ!?ノイズは先史文明時代の人間が作り出した殺戮兵器‼それが誕生する前に存在していただとッ!?」

 

”正解。にしても、あんたも可哀そうだよ”

 

「なんだと…?」

 

”エンキと結ばれたかったんでしょ?”

 

「ッ!?なぜあの方の名前をッ!?答えろ‼」

 

”答える義理はない。それに、シェム・ハもホントやってくれたね”

 

「シェム・ハ…?」

 

 

おっと、ついネタバレを…

もう潰す勢いでやったほうがいいかな?

一期さえも。

 

 

”シェム・ハとは、エンキが必死の思いで倒したアヌンナキ”

 

”地球を支配しようとしていた存在”

 

「あの方が…ッ!?」

 

”ヒント、統一言語という脳波ネットワークが存在する”

 

「脳波ネットワーク…?」

 

”シェム・ハはそのデータ断章から何回でも復活できる”

 

「ッ‼⁉」

 

”ここまで書けば、もうわかるだろう。じゃあね”

 

 

そうして、俺は部屋から出て行ったが、フィーネはただ固まっただけだった。

フィーネもバカじゃない。これだけ言えばもうわかるだろう。

 

 

さて、明日に備えてもう寝るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あのノイズの言っていたことは本当なのか?

 

 

あの方が……月に【バラルの呪詛】をかけた理由。

それは人類を守るため?

 

一見作り話にも聞こえるが、作り話にしては出来すぎている。

 

あのノイズが連れていた女…セレナと言ったが、それはおそらく私が保険のためにアメリカの施設の【レセプターチルドレン】の一人。確か報告では黒いノイズ――絶対ヤツだが、あいつの隣で瓦礫に埋もれて死亡と聞いていたが…まさか生きていたとは思わなかった。

 

 

しかも、あのアガートラームを出されたときは冷汗しか出てこなかった。シンフォギアは本来私にしか作れないもの。アガートラームは日本政府に報告していない品物。シンフォギアは政府の最高機密。だからアガートラームの存在が知られた時点で私が疑われるのは目に見えていた。

 

 

だが、私をそんな危険な状態にしたにも関わらず、あのノイズは適当に辻褄を合わせたのだ。

私を危険な状況にしておきながら私を助けるとは、あいつは一体何を考えているのかさっぱり理解できない。

 

 

……それにもし、月に行けばあのお方に再び会えるだろうか?

あのお方は私を拒んだんじゃない。あのお方はシェム・ハという者から人間を助けるために月にバラルの呪詛をかけた。

そう考えれば……

 

 

私は、一旦落ち着くために、コーヒーを飲んだ。

 

 

そのコーヒーはブラックだったが、この時は、とても甘く、おいしく感じられた。

……クリスや天羽奏になんて言えばいいのかしら?利用してきた手前、かける言葉がわからない…。

 

 

 


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