機動戦士ガンダム外伝 オペレーション・スカイダイバー   作:抜殻

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モーロン・ラベ 上

宇宙世紀0079.3月

北米 デビスモンサン空軍基地

地球連邦太平洋方面軍第19戦闘飛行隊 ダグラス・ミリアウッド大尉

 

 眼下の大地には、色あせた絨毯のような砂色が広がっている。前任地のハワイ基地は美しい海に囲まれていて今とは対照的だったが、私にはどちらの空からも故郷のオーストラリアを思い出させてくれた。

「こちらエレパイオ1。各機、機体の具合はどうか」

「こちらエレパイオ3。計器正常、悪くない。最初見た時はガラクタかと思いましたが、整備兵はいい仕事をしてくれたようです」

「こちらエレパイオ2。通信状態も良好。隊長、一曲歌っても?」

「こちらエレパイオ1。許可できない。ペルコンテ少尉が歌い始めたら全員両手で耳を抑えちまうからな」

「了解。不時着(サボり)の口実にしてあげようと思ったんですけどね」

「あー、こちら管制塔だが、こっち(メインランド)じゃ不時着してもサーフィンは出来ないから気を付けな。火傷覚悟の日光浴か脱水でお花畑を見るくらいしか娯楽がない」

 だからさっさと帰って来いと伝えると管制官は通信を切った。

 風防(キャノピー)の上では太陽がさんさんと輝いている。太陽の強烈な白から目を逸らすと天の青と海の青が地平線の彼方で溶け合っていた。

 

×

 

 コロニーが地球を襲ったあの日、我々がいたハワイはコロニー落としの余波によって生まれた高潮で壊滅的な被害を被った。ハワイに駐留していた艦隊と飛行場は高潮に飲まれ、基地機能は停止して機材も流されるか塩まみれになって使い物にならなくなった。高潮はハワイの港や市街地にも被害を出し、新年のバカンスに浮かれていた人々にも犠牲を出した。

 その後救助や復興作業に駆り出された我々だったが、二月以降ミサイル基地へのマスドライバー攻撃など地球への直接侵攻の可能性が高まり、基地としての機能を失って手持ち無沙汰のハワイ基地の人員はジャブロー防衛力強化の一環として北米へと派遣されたのだった。

 我々パイロットは新しい機体を受領するためにここデビスモンサンに配属された。ここは一線を退いた予備役機の他にも、スクラップ同然に近い退役機の残骸が取り残された戦闘機の墓場だった。整備兵たちは昼夜を問わずこれらのガラクタを稼働状態に復活させる仕事に追われた。

 元々連邦軍は防衛地域のわりに規模の小さい軍隊だ。連邦政府という統一政権の下で、我々は治安維持を目的とした対テロ部隊として運用されてきた。平和な時代に軍隊はいらない、という世間の声に負けて政治家はいつも軍備縮小を命題に抱えていたし、実際にジオンが軍備を整えている間も、我々の予算はギリギリで回されていた。しかもその大半は宇宙軍に持っていかれ、地上軍にはろくに回ってこないのが実情だった。

 戦闘機は帰投すればミサイルに至るまで精密に整備される。空中での事故はパイロットの生死にかかわる。だが予算のせいで修理パーツが回らずに格納庫で眠り、そしてそのまま退役を迎える機体も多い。そうして再利用案を抱えたままこの戦闘機の墓場へ運ばれてくるのである。

 ジオンとの戦端が開かれた現在、連邦政府は軍事費を莫大に投入して戦力の増強を図っているが、新しい機体を作るのにも時間がかかる。ジオン軍の地球降下作戦が一週間ほど前に遂に始まり、この修繕作業も急ピッチで進められるようになった。そうして蘇った機体が、我々の乗機になる。整備兵たちは今も斜陽に染まる滑走路の中を懸命に走り回り、影絵の中をひょこひょこと出入りするように残骸から使えるパーツを取り出している。

 傍らにそびえる乗機を見上げる。オレンジの陽光に照らされて、煤臭いエンジンの香りを漂わせるこの「フライ(空飛ぶ)・マンタ」が、炎の中から蘇った不死鳥のように思えた。

 




遅くなりましたがようやく新しい話を投稿できます。書くのが遅い……

そういえばTwitterアカウントを開設しました。死亡寸前のアカウントですが日記(不意に辞める)とか小説の投稿とかのお知らせに使ってます。よろしければ。

戦闘の推移はハードグラフを参考にしましたが独自で適当にした部分もあります。
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