ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強   作:イニシエヲタクモドキ

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注意、今回はかなり三人称がふざけています。
それでもいいという人はゆっくりしていってね!


恋病少女達二ヨル悪夢ノ蹂躙

三人称視点

時王がサソリを氷川さんの豆腐の如く粉々にしたのと同日、光輝たち勇者組はオルクス大迷宮に来ていた。

ハジメと時王の死という巨大な事件のせいで大半の生徒は心を折ってしまったが、光輝たちは諦めず、訓練を続けて迷宮に再挑戦しに来たのだ。

「クンカクンカ…スー…ハー…はぁ、はぁ…時王くんの匂い…時王くんの温もり…」

「香織、なに私の時王の服の匂いを嗅いで下半身に手を向けているの?迷宮内よ。もう少し考えて行動しなさい」

「シズシズ、目がやばいよ?あとその着てるワイシャツ常盤くんのじゃ…」

時王の制服に顔をうずめながら空いた手で下半身をまさぐろうとしていた香織に、雫がキリッとしながら注意をする。

だが、雫の目には嫉妬の二文字しか書かれていないばかりか、そんな雫も時王のワイシャツに身を包み、今すぐにでも自分の想い人の物を汚す親友…いや、敵を切り落とそうと剣に手を伸ばしている。

それを見た鈴は、おびえながらもなんとか窘めようとした。

「…愛はあそこまで人を狂わせるんだな…そんな俺も、とっくの昔に恵里のせいで狂っちゃったよ」

「えへへ…僕も天之河くんが好きすぎて、狂っちゃった♡」

「…団長、俺、帰っていいっすか?」

「落ち着け龍太郎。俺も気持ちは同じだ」

ヤンデレ、ヤンデレ、バカップル、ちみっこ…そんなキャラの大渋滞に放置された一般召喚勇者坂上龍太郎は、涙目で帰りたがっていた。

かつての根性論は、その辺の養豚場の「豚の餌ぁ~~~~!!」にしたらしい。

そんなカオスの後ろを歩いているのは、小物感満載の我らが笑いの王(笑)檜山大介と不愉快な仲間たちである。

「チッ…常盤め…」

「お、おい…檜山?大丈夫か?最近おかしいぞ…?」

「…うるせぇ、俺は王だぞ…」

「な、なんだって?」

「チッ…なんでもねぇよ…」

碌に笑えるギャグを作れなくて苦悩しているのか(棒読み)目元に酷い隈が出来ている笑いの王(笑)。

さて、王(笑)は放置して、前の勇者一行に話を戻そう。

「カオリン、大丈夫だよ!」

「クンカクンカ…何が?スーハー…」

匂いを嗅ぐのを徹底してやめずに、鈴に質問する香織。

「もし仮に常盤くんが死んでいたとしたら、エリリンの降霊術で侍らせちゃえばいいんだもん!」

「えへへ…天之河くん…昨日は気持ちよかったn…ちょ、ちょっと鈴、なんてことを…」

なんてことをはこちらのセリフだ、といいたくなるが、そこは読者の皆さんも抑えていただきたい。

恍惚とした表情で、昨晩の天之河との交わりを思い出していた恵里は、いきなり爆弾発言しやがったちみっこに向かって遅れながらも注意した。

恵里は恐れていたのである。

この服の匂いですらイってしまいそうになっている痴女(ヤンデレ)が、死んでいたら的なデリカシー皆無発言で怒らないはずがない、と。

だが、その予想はいい意味で裏切られる。

「降霊術で…私の物に?…万が一にも、時王くんが私以外の人に目を向けたとして、万が一、億が一、兆が一にも他の女…いや、他の虫に取られたとしたら…その時は…ふふっ、魂まで私のモノ…えへへ…」

訂正、時王にとっては悪い意味だった模様。

舌なめずりしながらハイライトを消したクラスの女神()は、だらしなく口元を歪め、妄想世界へ行ってしまった。

「…ウソン」

まさか自分の発言でこんなことになるとは思っていなかったちみっこ鈴は、涙を流しながらつぶやいた。

「…恵里、今日もその…帰ったら…」

「うふふ、もちろん…いーっぱい愛し合おうねぇ?」

「団長、こいつ等殴っていいですか?」

「ダメだ、落ち着け龍太郎」

メルド団長の歯を食いしばる音と、龍太郎の拳をガンガンぶつける…まるで二十一歳のあの男のような動きによって奏でられた音が、やけに迷宮内に響いたのだった。

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ある程度進むと、六十五階層に到達した。

「みんな気を付けろ!何があるかわからん!」

振り返りながらみんなに忠告するメルド団長。

流石に香織や雫も匂いを嗅ぐのをやめ、武器を構え始めた。

広間に到着すると、いきなり床に赤黒い魔法陣が現れた。

みんなが忘れもしない、あの魔法陣である。

「…これは…アイツの…!!」

無意識のうちに隣にいた恵里を力強く抱きしめた光輝に恍惚とした表情で抱きしめ返す恵里。

魔法陣を瞳に移した瞬間、ハイライトを消し去り、武器を構え詠唱を開始し始めた少女二人。

すると、魔法陣の輝きが段々と強くなっていって、そして…

「グゥルルルゥァ!!」

ベヒモスが現れた。

「お前ら!逃げるぞ!!」

「いえ!戦います!俺達はもうあの時の弱いままじゃn」

光輝が別の作品なら主人公やってそうなくらいかっこいいセリフを言おうとしている最中に、二つの影がベヒモスのすぐそばまで特攻した。

「…”爆光殺”」

「”絶殺”」

白崎香織(執着+自傷型ヤンデレ)と、八重樫雫(妄想+独占型ヤンデレ)である。

香織が使ったオリジナル魔法、爆光殺は、相手も自分も殺す技。

フレンドリーファイア?なにそれおいしいの?というような全方位無差別攻撃魔法で、光で出来たガラスの破片を爆風で吹き飛ばし、相手にあてる技。

この技の特殊性は、その光で出来たガラスにある。

なんとこのガラス、内臓のみを傷つけるのだ。

防御してもすべてを貫通し、攻撃範囲にいる生物全ての内臓を襲う魔法だ。

絶殺は、雫が編み出した剣技。

名前の通り、相手を絶対に殺す技で、命中精度は1%である。

命中精度、というのはこの場合、相手を殺せる場所に攻撃するという意味での命中精度である。

別に攻撃そのものは当てられるが、天性の洞察力でみつけた相手の弱点に、確実に寸分の狂いもなく当てるというのがかなり難しく、場合によっては相手に防がれ、カウンターすら喰らいかねない危険な技である。

だが、今回は成功したらしく、ベヒモスは断末魔すら上げず死んでいった。

ゴホッゴホッと血を吐きながら、腹部を擦る香織。

「ゲホッ…ふふ、まーた傷ついちゃったー…ねーえ、時王くん。私、怪我しちゃったよ?慰めて?」

虚空を見ながら言う香織の顔は、本来なら苦痛に歪んでいるはずなのに、とてもいい笑顔だった。

「…ねぇ、時王。どうだった?今の技…すごいでしょ?キャッ、頭撫でるなら、ちゃんと先にいってよ…あ、やめてなんて言ってないじゃない…もっと撫でて?」

剣を懐にしまい、見えない時王に頭を撫でてもらう妄想をしながら一人で壁に話しかける雫。

正直言って怖い。

「はは…二人だけで十分だったみたいだね…」

「そうだねぇ…天之河くん、こっちみて?」

「ん?どうしたんだ恵里…」

「んっ」

チュッ…と、いきなり光輝の唇に自分の唇を重ねた恵里。

なんとこいつ等、迷宮の中でラブコメを始めようとしているのである。

「…もうやだ帰りたい」

「…帰ろう、俺達だけで」

後には、その光景を見て嘆く龍太郎とメルド団長の声だけが響いた。




光輝×恵里流行らせこら!
そんな気持ちで作りました。
タグに原作死亡キャラ生存が書きたいのですが、それを書くと他のタグがなくなることになるので…どうすればいいんでしょうか?
あと、香織と雫のヤンデレタイプに不満があるなら、どんなキャラがいいのか教えてください。作者が読んで、それも悪くないなぁ…って思うんで。
え?作品に反映?
流石にヤンデレのタイプまでは譲れません。
ごめんなさい。

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