ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強 作:イニシエヲタクモドキ
やっぱり男書くより美少女のヤンデレ書いてた方が楽しいってはっきりわかんですね。
時王side
ハジメの武器の準備も終え(シュラーゲンを作成させた。なんかハジメの錬成力が高すぎて、サソリモドキの体から採れた素材を最大活用して、対物レールライフルガトリングなんていう子供がクレヨンで落書きした武器の設定みたいに滅茶苦茶なものが出来上がった)、俺の力でドンナーとシュラーゲンの弾丸を無限に生成したので(オーマジオウの、全てを創造する力を使用)、百階層に挑むことになった。
余談だが、ここまで来てユエさん、出番なしである。
魔法の使用は一度もなかったのだ。
「さてさて…ここが百階層だが…」
「なるほど、あの扉が俺たちの希望の扉というわけか…」
「…でも、絶対何かいる…」
順にハジメ、俺、ユエだ。
俺は最初から逢魔の力をフル活用(両手両足までできるようになった。クウガ一話のグローイングみたいだ)して階段を降り、ハジメはドンナーを構え、ユエは手を前に突き出し、いつでも魔法を撃てるように準備していた。
「…来るっ!」
「お得意の未来視か!了解した!」
「…」
俺の言葉に呼応するように、ハジメとユエが俺の見ている方向にドンナーと手を向けた。
すると、そこに巨大な赤黒い魔法陣が現れた。
「…ついにヒュドラのお出ましか!着地狩りしてやる…!」
「でかいのが来るな…シュラーゲンでいくか」
ドンナーをホルダーにしまい、ハジメはシュラーゲンを構える。
俺はいつでも突撃できるようにググッと体を屈め、右拳を引き絞っている
ユエも言葉には出していないが、手に濃密な魔力を集めている。
そして、そいつは現れた。
原作でも見た、あの凶悪な姿が。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
その鳴き声を聞いた瞬間、俺は白い頭の方を狙って飛び出し、全力で殴りつけた。
盾役の頭が助けようとする間も与えずに撲殺し、ヒュドラの回復能力を奪い、隙を作る。
それを見逃さずに、シュラーゲンを撃つハジメ。
電磁加速された無数の凶弾が、ヒュドラの体と頭を穿つ。
息も絶え絶えになったヒュドラの頭上から、巨大な蒼い炎の塊が落下していく。
「“蒼天”!」
ユエの魔法だ。
ユエの魔法が、ヒュドラに止めを刺した。
「やっ…た…!」
ペタン…とへたりこみながらユエが嬉しそうに言う。
ハジメも勝利したと確信してか力を抜く。
俺は原作を知っているから気を抜かずに、現れるだろう銀色の頭を撲殺する気でいたのだが…
見えた未来のせいで、硬直するしかなかった。
===================================================
炎の中から、人の姿をした何かが歩いてくる。
炎を抜け出した時に見えたその姿は、銀髪に青い目をした、西洋人形のような美男子だった。
その美男子は、呆然としているユエとハジメに向かって、その手のひらから極光を放ち、それを交わすことができずに受けた二人は…
===================================================
「こ、こいつは…?」
予期せぬ事態が訪れることに驚愕し、少し固まってしまうも、すぐに気を取り直して動き出す。
あの男が極光を放つ前に殺す!!
「おぉおおおおおおおおぁあああああ!!」
絶叫しながら炎から出てきた男に殴りつける。
回避できずに殴り飛ばされた男は、壁にぶつかってようやく動きを止めた。
「…ハジメ!ユエ!急いで離れろ!…ってユエは動けねぇのか…よっと…」
ハジメとゆえに忠告し、動けないユエを負ぶって、男が吹き飛んでいった壁から遠ざかる。
「お、おい…アイツはなんだ?」
「わからねぇ…だが…」
それだけ言って言葉を切る。
砂埃の中から、男が悠然と進んでくるのが見えたからだ。
故に素早く血を吸うように言い、男の方を睥睨しながら、俺の予想を伝える。
「アイツは恐らくヒュドラだ。さっきのヒュドラの首は本当は六つじゃなくて七つだったんだ。その七つ目の首は俺の未来で見えてた。でも、いきなり人型のアイツが現れた…正直、俺も訳がわからねぇ…」
「チッ…不確定要素にあふれた、はっきり言って迷惑な魔物ってわけか!」
ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!
俺の言葉を聞くと、すぐさまドンナーを男に向かって撃ったハジメ。
だが、男の歩みは止まらなかった。
「頑丈すぎんだろ…傷一つついてねぇとか…」
ドンナーをさらに三発撃ち、空薬莢を排出し、すぐさま再装填するハジメ。
警戒しながら銀髪の男の方を見るが、今度は何もすることなくその場で止まったままだった。
「ユエ、血はもう大丈夫か?」
「ん…敵が迫ってきてる以上、贅沢はできない…」
一応ユエに確認を取っておく。
もう少し飲んでおきたかったらしいが、流石に自重したらしい。
『我は…オルクス大迷宮の最後の守護者にして…解放者達の英知の結晶である…』
脳裏に直接響くような声で、銀髪の男が厳かに告げる。
「解放者?何言ってやがるんだ?ここは反逆者の住処だろうが」
『反逆者、とも呼ばれている…だが、本当は違う。この迷宮を作ったオスカー・オルクス様も、他の迷宮を作った皆様も…狂った神による仕組まれた惨劇からの解放を掲げて戦った、栄光ある戦士たちなのだ』
…それは知っている。
だがお前は知らない。
本当なら、ただのヒュドラの頭のはずだろうに…
『この迷宮は、全迷宮の中でも一番戦闘力を必要とされている迷宮…他の全迷宮を攻略してから訪れるべき場所…なのになぜ、お前らのような者がいる?』
「…聞いてもわかんねぇだろ?俺達の味わった苦しみも…屈辱も。お前はただの人工物なんじゃねぇか」
『ふむ…なら言葉は不要。我を倒し、この扉の先に進む資格を手に入れるか…ここで死ぬかだ』
それだけ言うと、銀髪の男は俺…ではなく俺の隣にいるユエに殴り掛かった。
だが、隣にいた俺に、オーマジオウの腕でラリアットを喰らい、吹き飛ばされる。
『ぎ、ギッギッギギギ…深刻な破損…修復…完了』
一気に機械的な声を出した銀髪の男に薄気味悪さを感じつつも、ユエを抱きかかえる。
恐らく奴は、後衛向きのユエを先に潰すことにしたんだろう。
確かに合理的で、テストなら百点貰えそうな戦略だ。
「だが無意味だ。俺がいる以上、ユエに攻撃は届かねぇ」
それだけ言うと、操り人形のような変な動きをしている銀髪の男に殴りつける。
左によるジャブ(普通の人間で言う会心の一撃レベルの威力)の連打。
そして渾身の右ストレート。
壁に思い切り叩きつけられた銀髪の男は、ガクガクと痙攣してから、いきなり姿を消した。
「っ!…ハジメ!五秒後に左側に発砲!全弾撃ちきれ!」
「お、おう!」
俺の言葉に反応し、五秒数えたと同時、左側に向けてドンナーを乱射したハジメ。
すると、突然現れた銀髪の男がドンナーの凶弾に連続して襲われ、威力により吹き飛ばされた。
「ユエ!最上級を当ててやれ!」
「んっ!“蒼天”!」
ユエの放った最上級魔法で、銀髪の男を限界まで追い込む。
だがそれだけでは終わらせない。
炎を逢魔の力で消し飛ばし、銀髪の男をさらに殴りつける。
「終、わ、り、だぁああああああ!!!」
全力で振るわれたオーマジオウの腕を交わすことなく受けた銀髪の男は、ついに動きを停止させた。
「…よっしゃー!!やったぜハジメ!ユエ!」
「あぁ!これでここから出られる!」
「んっ!」
『いいや、まだ終わらんよ』
俺達が笑顔で喜び合っていると、今度は別の声が辺り一帯に響いた。
その声は、とても聞き覚えのある声だった。
その声は、俺に力を与えた声だった。
その声は、よく俺の脳裏に響いていた。
「…ま、まさか…」
嫌な予感がしたので後ろに振り向くと、銀髪の男がゆらり…と立ち上がっていた。
『ちょうどいい依り代もあるわけだし…最後の試練を行おうか常盤時王…いや、ここは真名で呼ぶべきかな?』
それだけ言うと、愉快そうに口元を歪めた銀髪の男…いや、銀髪の男だった何者か。
『なぁ、逢魔時王』
「あ…?」
俺の脳裏でよく響いていた声が告げた名前に、俺は思考を停止させた。
いや、させてしまった。
その次の瞬間、鐘が響くような低い音が鳴り響き、銀髪の男だったモノの腰回りに何かが装着された。
金色の、何かが。
まるで操られるように腕を”何か”の前で交差させ、銀髪の男だったモノは告げた。
『変身』
その瞬間、地面に亀裂がはしり、溶岩のような物が円周型の溝を流れ始めた。
それも束の間、すぐに銀髪の男だった者の周囲を巨大な金色の…腕時計のバンドのような物が回転し始め、凶悪な声が聞こえ始めた。
『祝福の時!最低!最悪!最大!最強王!逢魔時王ゥ!!!!!!』
ライダーの文字が銀髪の男だった物…いや、オーマジオウの顔に張り付くと、金色のオーラが俺達を苛んだ。
「ぐぁっ…!」
「うぉっ!?」
「んっ…!!」
俺達が衝撃に耐えるために目を閉じ、目を開けたときには、隣に黒い服を着た男が現れていた。
その男はとても見覚えがあって、それで…
「祝え!時空を超え、過去と未来をしろしめす究極の時の王者!! その名もオーマジオウ!!その力を継ぐ資格を持つ者に、試練を与える瞬間である!」
傲慢に、不敵に、突然召喚された玉座に腰掛け見下すようなポーズをとったオーマジオウの隣で、歯車が無数に点在する本を持った
「突然現れてわけわかんねぇこと言いやがって…俺の邪魔をするなら敵だ!敵は…殺す!!」
ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!
六連発で撃たれた弾丸が、オーマジオウを襲う。
だが…
「外道!」
弾丸の射線上に現れたウォズが、ドンナーの凶弾をすべてマフラーで跳ね返し、ハジメに打ち返す。
「お前ごときが、我が魔王による試練を妨害するなど烏滸がましいにもほどがある!」
怒りを露わにしたウォズの圧に、流石のハジメも後ずさった。
『ウォズ、別に何をされようと関係ない。お前はただ、新たな王の誕生を祝う準備をするか、もしくは我の勝利を祝う準備をするか…まぁどちらにせよ、すぐに祝福できるようにしておけばいい』
それだけ言うと、オーマジオウは玉座から立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた。
「ならば我が魔王…存分に戦われよ」
恭しく頭をさげ、オーマジオウを送り出すウォズ。
俺は直ぐに両手両足両目に逢魔の力を宿し、構える。
『さて…全員でかかってこい、数がいくらあろうと、関係なからな』
傲慢に告げたオーマジオウに、俺とハジメは直ぐに駆け出した。
ウォズ語録を調べるために、この話はジオウの録画を見ながら書きました。
いやー、奥野さんの成長がすごくてびっくり。
最後の祝福の時なんて、どっかの食うか食われるかの世界の読モみたいなシャウトでしたね。
あ、この話に出てきたオーマジオウ…敵の方のオーマジオウの変身音は、原作と違い最高最善最大最強王ではなく、最低最悪最大最強王にしました。
なんかそっちの方がしっくり来たんですよね。