ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強   作:イニシエヲタクモドキ

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今回は結構やらかした感が作者的に否めないので、ご注意を。
ハジメさんマジ外道。


地下からの脱出=ウサギとの遭遇

時王side

オスカーの記録映像を見てから数か月…くらい?

オーマジオウのせいで見えなくなったハジメの右目や、ハジメが自分で食べたせいで無くなった左腕を原作通り義眼と義手という形で復活させ(俺が時間を戻しても元には戻るが、左腕は弱かったころのままになってしまうとのことでやめた)、原作通りに大量の兵器を作り、戦闘技術も向上させた。

衣類はユエが俺達の分を作ってくれたので、大量にある。

ハジメは原作通りの黒コートで、俺はソウゴの服の色を黒と金に変えた服装だ。

ユエのセンスに脱帽した瞬間でもあった。

因みに、ユエも原作と同じ服を着ている。

原作との違いと言えば、神結晶だろうか。

俺の逢魔の力のおかげで、半永久的に神水を生成できるようにしているので、神水の扱いが原作よりも贅沢になっている。

まぁいくら飲んでも尽きないのだから仕方ない。

「…じゃあそろそろ脱出しようか」

「そうだな」

ハジメとユエと一緒に、脱出用の魔法陣に乗る。

足元から光を放ち始めたところで、ユエが俺の腕にしがみついてきた。

「ん?どうしたユエ」

「…時王は私の、私は時王の。そうでしょ?」

「?まぁな。それがどうしt」

「いや…これからなんか残念なウサギとか駄龍とか女回復師とか女剣士とか王女とか…色んな悪い虫が時王に引っ付いてきそうな気がしたから…」

「…」

ダラダラと汗を流しながら、ユエの光を失った瞳から目をそらす。

なんだろう、原作ハジメヒロインだから大丈夫だとは思うが、万が一、億が一の確率で俺のヒロインになろうとしてきたりしたら…

チラッとユエの方に視線を戻す。

「ふふ、ふふふ…時王は私の…もう何度も愛し合ってる…好きだって言ってくれてる…今だって私と腕を組んでくれてる…愛してる時王、時王愛してる、好き好き好き好き好き…」

目から光がないばかりか、背中から黒いオーラが出ているような気もする。

ハジメの方に視線を移すと、俺の視線を回避するかのように目をそらした。

お、オンドゥルルラギッタンデスカー!!

しかしここでタイミングよく魔法陣が今まで以上に光を放ち始めた。

「…ハジメ、ユエ」

「あん?」

「ん?」

「敵は多い、神だって敵だ。それでも…構わねぇか?」

「…はっ、何言ってんだ…俺はとっくの昔に敵か敵じゃ無いか関係なく殺すって決めてるんだよ。どれだけいようと変わらねぇな」

「…例えどれだけ敵がいても…私には時王がいるから」

「…そうだよな、今更聞くまでもなかったか。…なんとしてでも故郷に帰る。それだけだ」

「あぁ!」

「んっ!」

二人の力強い返事と同時に、魔法陣が今までで一番の輝きを見せ、俺達は地上へ転移した…

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時王side

「なんでやねん」

俺の隣で、エセ関西弁でツッコミを入れたハジメに、激しく同意する。

地上に出るかと思ったのに、いまだに俺達の眼前に広がるのは岩、岩、岩…

原作で知っていたが、実際自分が同じ立場に立つと、すごく嫌な感じだ。

「…ま、まぁここはあくまで隠れ家だからなぁ…見える場所には転移しないだろう」

「…それもそうだよなぁ…はぁ…」

溜息をつきながら、光の見える方まで歩いていくハジメ。

それに、俺とユエはゆっくりとついていく。

少しの間無言で歩き続けると、ついにとうとう洞窟の中から出れた。

光が俺達の視界を塗りつぶす。

新鮮な空気が、肺を満たす。

「…青空って…こんな感じだったっけか…」

空を見上げながら、ハジメが言う。

それに同意するように、俺は何も言わず頷く。

「…よっしゃぁああああああ!!!出たぁああああああ!!!」

しばらくの間無言を貫いていた俺だが、流石にこの感動を抑えきれず、隣にいたユエを抱きかかえて小躍りし始めた。

あまりにテンションが上がり過ぎて、石に躓き倒れこんでも、笑い続けていた。

「あー…腹痛ぇ…」

「ふふっ…時王、喜びすぎ」

「まったく…まぁ気持ちはわからんでもないがな」

二人に微笑まし気な瞳で見られるも、俺は気にせず笑顔でいた。

…が、そんな俺達の明るい雰囲気に、無粋な邪魔者が乱入してきた。

「グルァァァ…」

魔物の大群が、俺達の周囲を取り囲みながら、威嚇してくる。

それに剣呑な雰囲気を醸し出す俺とハジメ。

「せっかく人が気分よく笑ってたってのによぉ…」

「…邪魔してくれてんじゃねぇよ、雑魚共が」

俺が腕に金色のオーラを溜め、ハジメがドンナーとシュラークを構える。

「ユエ、ここは確か魔力消費が以上のはずだからな…お前は待機だ」

「…で、でも、普段の十倍くらい魔力を使えば…」

「適材適所だ、守られてろ」

それだけ言うと、俺とハジメはその場を一瞬で離脱し、近くにいた魔物をそれぞれ一撃で抹殺する。

極めて自然な流れで死体と化した自分の仲間を呆然と見やる魔物たち。

だがその隙を逃さない俺達ではなく、その数瞬の間にさらに数十匹殺す。

それでようやく俺達に対して意識を戻してくるが、もう遅い。

咆哮をあげようとした魔物たちは、一瞬で俺の拳とハジメの凶弾に苛まれ、命を落とした。

「…大体何秒くらいだ?」

「さぁ…ていうか電磁加速いらなかったな」

「俺とか触れる前に頭爆散しやがったぞ?衝撃波だけで倒すとか…アニメの強キャラかよ」

「それ自分で言うか?」

ハジメと戦闘の感想を言い合っていると、頬を膨らませて不機嫌そうにしているユエが視界に映った。

「…どうした」

「むぅ…私…出番なし」

「ここは魔力分解が働いてるから仕方ねぇだろ」

「それ言ったらハジメの武器だって魔法使ってる」

「どうやら外の魔物相手なら、纏雷はいらなそうだが」

「…むぅ~!!」

ユエの言葉に俺とハジメでマジレスしていたら、さらに頬を膨らませて不機嫌さを増されてしまった。

「あーもう、次戦わせてやるからいいだろ?」

「…いい。どうせ私なんて、役立たず」

不機嫌そうにしたまま言ったユエに、過剰に反応するハジメ。

役立たず、という言葉がハジメの心の闇に触れてしまったらしい。

「役立たず…?ふざけんなよ?俺は前までこういった周囲の状態関係なしで役立たずの無能だったんだぞ?どこに行っても使えないと罵倒されてきたんだぞ?それなのになんだよ、お前はただ今回魔法が仕えない場所だから戦闘を控えてただけじゃねぇか、ここから出ればお前は役立つじゃねぇか。前までの俺と違って、他のところなら優秀じゃねぇかオイ。いいよな強い奴は。いいよな魔法使える奴は。贅沢なことで悩んで機嫌悪くすんじゃねぇよ」

「…ごめんなさい…」

「ハジメぇ…ユエ泣いちゃったじゃないか」

「…チッ…」

威圧を発動しながらドスの利いた声でユエにドンナーの銃口を向けながら言ったハジメを窘める。

舌打ちをして、すぐに宝物庫からあるものを取り出す。

魔力駆動二輪。

通称バイク。

「乗らねぇのか?」

「ん?さすがに三人乗りは無理だろ。だから俺は…」

ハジメの魔力駆動二輪の隣に、俺は玉座を召喚する。

ジオウ本編で、未来のソウゴ…逢魔時王が座っていた玉座だ。

「これで移動する」

「…動くのかよ、それ」

「お前のそれよりも早く移動できる」

「…そうかよ」

どことなく残念そうなハジメ。

「…そうだ、こんどサイドカーつけてくれよ。そしたら乗れるだろ?」

「…おう!」

フォローすると、先程とは対照的に明るくなったハジメ。

俺の膝の上にユエを乗せ、玉座を宙に浮かせる。

座り心地は中々よく、人をダメにするソファーに通じる何かを感じた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

時王side

しばらくの間移動していたところで、後ろの方から声が聞こえるようになってきた。

「…ユエ、聞こえるか?」

「ん…女?泣いてる声…?」

「ハジメ、気配探知に反応は?」

「もちろんあるぜ…こいつ、魔物に追われてやがる…」

…どうやらあの残念ウサギが来ているらしい。

結構移動してからこのイベント来たんだな…

「だずげでぐだざーい!!」

「うわきた」

「…何だあのウサミミ女」

「…後ろに魔物付き…」

涙と鼻水で顔を汚しながら、こちらに大声で駆け寄ってきたウサミミ少女を鬱陶し気に見る俺達。

「…見なかったことにするか」

「…ハジメもたまにはいいことを言う」

「あ?」

「落ち着けハジメ、今はここを脱することだけ考えよう」

「ちょ、えっ?み、見捨てるつもりですかぁ!?逃がしませんよ!!ようやく見つけたんですからぁあああああ危ないぃ!?も、もう少しで噛まれるところだっt…って待ってくださーい!!」

あまりに喚き散らしているウサミミに、ハジメが不快そうに眉をひそめる。

だが、ようやく見つけた、の言葉に反応を見せる。

「…もしかして…アイツも時王と同じ力が…?」

「さぁな?俺自身逢魔の力に関してはよくわかっていない」

「…一応話だけでも聞いてみる?」

「いや…魔物に追われてるやつを助けるなんて…自分にはなかった救いを誰かに与えるのは遺憾だ。さっさと行こう」

ウサミミ少女に対して少しばかり関心を寄せたハジメだったが、すぐに魔力駆動二輪の速度を上げた。

「ちょっ、ほ、本当に待ってくださいよぉ~!助けてくださいぃ~!!」

「…」

「え、あれっ?止まってくれない…?あのー!?本当に死にそうなんですけどぉー!!」

「…」

「お願いしますぅ~!!このままじゃ魔物にt」

「うるせぇんだよ!!!」

ドパンッ!!ドパンッ!!ドパンッ!!

泣きながら俺達の方に声をかけてきていたウサギに、ハジメの堪忍袋の緒が切れた。

連続して撃たれたドンナーの凶弾は、ウサミミ少女を追いかけまわす魔物…

ではなく、ウサミミ少女に向けて撃たれた。

「…ぇ?」

ウサミミ少女は、自分の頬を掠めて飛んでいった銃弾の方を呆然と見つめた。

そこに、舌打ちをしながらハジメが魔力駆動二輪…バイクから降りて威圧を発動しながら歩いて行った。

ウサミミ少女の前で立ち止まると、ウサミミ少女の額にドンナーの銃口を当て、ユエにキレている時のように言葉を発した。

「さっきから何なんだよテメェ。魔物に追いかけまわされただけで誰かに頼ってんじゃねぇよ。少しは死にかけてみろよ肩でも粉々にされてみろよもっと苦しんで見ろよ!!泣いて助けを乞う余裕があるくらいなら自分で何とかしろよ!!」

「…あ、え」

「ムカつくんだよお前みたいなやつが!!あの金髪吸血鬼も同じだ!何助けを求めてんだよ!!よりにもよって俺に!魔物に襲われて見下されて…状況も絶望的だったところから抜け出してきた俺に!お前みたいなまだ何とかできそうな状況にいる奴が!絶望してないやつが!!何楽しようとしてるんだよ!!」

「ぐ、グルァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

ウサミミ少女に怒鳴りつけていたハジメに、恐怖心を打ち消すために声を張り上げながら、俺を無視するなとでも言いたげに噛み殺そうとした頭が二つあるティラノサウルスみたいな魔物。

「…あ?」

ドパンッ!!ドパンッ!!ドパンッ!!

そんな勇気を出して襲い掛かってきた魔物を鬱陶し気に睥睨し、なんの感慨もなしにドンナーの残っていた三発の銃弾を綺麗に頭、頭、心臓を狙って撃ち抜いたハジメ。

「チッ…雑魚が」

ハジメという新たな恐怖に遭遇したせいで、先程までとは別のベクトルでウサミミ少女が泣き始めたのを見計らって玉座ごと移動する。

「まぁまぁハジメ、落ち着けって」

「…でもよ」

「でもじゃねぇ、そしてさり気なくユエの事貶すな。半泣きじゃねぇか」

「…ぐすっ」

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!こういうのがムカつくってのによぉ!!」

俺の膝の上で涙を流しているユエの頭を撫でながら、ハジメに軽く注意する。

ハジメは頭を掻きむしりながらドンナーの銃弾を入れ替え、ユエの方を睨みつけた。

ここで、完全に空気になっていたウサミミ少女が俺の方に話かけてきた。

「あ、あの…」

「ん?あぁ、ハジメか?アイツの事はまぁ…気にしないでやってくれ」

「い、いえ…ありがとうございました。助けていただいて…」

「…助けたのは俺じゃなくて、一応ハジメのはずだが?」

「そうじゃなく…あのままじゃ、あのハジメって人に殺されそうでしたから…それで、助けてもらったって…」

オドオドしながら俺にはにかんだウサミミ少女の言い分に、なるほどと納得してしまう。

あのままじゃアイツ、確かにコイツの脳天ぶち抜いてただろうな…

「ま、魔物からは助けなかったし…気にすんな」

「…ありがとうございます」

顔を赤く染めながら俯いたウサミミ少女に、なぜか殺意の籠った瞳を向けているユエの頭を撫でながら、魔力消費の異常なこのライセン大峡谷で怒りのままに纏雷をまき散らしているハジメを注意する。

「…取り敢えず…このウサギの話も聞きたいところだし、連れてくか」

「んだよ、助けるってのかよ?」

「お前が言うか?」

「…チッ」

舌打ちしながらバイクの方まで歩いていったハジメ。

それを尻目に、玉座をベンチサイズまで巨大化させ、ウサミミ少女も座れるようにする。

「ほら、座れ」

「…いいんですか?」

「構わねぇよ、ハルツィナ樹海まで送ればいいか?」

「はい…お願いします」

原作のあの明るさは何処へやら、ウサミミを萎れさせながら俺の隣に腰掛けたウサミミ少女。

「…ハジメー、ハルツィナ樹海ってどっち方向だっけ?」

「忘れたのかよ…あっちだ」

「りょーかい」

玉座の進行方向をハジメの指さした方向にし、移動させる。

「す、すごいです…動いてます…!!」

「まぁな、そう言う技能?だ」

一応派生技能として描かれているからいいとは思うが…なんでジオウのあのバイクじゃないんだろうか。

玉座の方が豪華そうだからだろうか。

動く椅子には初めて座ったのだろう、落ち込んでいたところから立ち直り、すごいすごいと笑顔を見せるウサミミ少女。

「…そういや、まだ名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」

「あ、私はシア…シア・ハウリアって言います。兎人族ハウリアの族長の娘です」

…やっぱ名前は原作通りか。

「そうか、俺は常盤時王…あぁいや、逢魔時王だ」

「おうま…じおう?変わった名前ですね」

「そうか?」

俺の名前を聞くと、不思議そうな顔をしたシアに、軽く笑いながら答える。

「私はユエ…時王が名前を付けてくれた」

なんか胸を張りながら名乗ったユエに、シアが驚いた顔をした。

「…娘さんなんですか…似てないですね」

「…私、娘じゃない…まず、私の方が年上…」

「えっでもユエさんはどう見ても幼じょ」

言い切る前に、ユエがシアの頭を殴りつけた。

ゴンッと鈍い音がシアの頭から聞こえた。

「痛いですぅ…」

「…当然の報い」

心底不機嫌そうに告げたユエに苦笑いする。

お子様扱いは不服だったらしい。

「…そう言えば、何で最初は見捨てようとしたんですか?」

「あん?」

話をそらそうと考えたのか、あの時の俺達の行動について問うてくるシア。

なんで見捨てようとしたか?

そりゃ原作通りだったらハジメがなんだかんだあって助けるはずだったし、二人が反対しているあの状況で俺が助けに行こうなんて言ったら不自然だったし…

「こんな美少女が助けを求めていたのに無視してどこかに行こうとするなんて…信じられませんでしたよ」

「お前自分に対する自信半端じゃないな」

原作でもこういうキャラだったような気がするが、実際に会ってみたらどうだろう。結構ムカつく。

ハジメが殺気怒鳴りつけたのもわからなくもない…かもしれん。

「あのなぁ…ハジメも言ってたが、初対面の奴を親切心で助けるようなことはもうしないんだ。俺だって酷い目に遭わされてきたクチだからな」

「…は、はぁ…」

先程のハジメの威圧を思い出したのか、若干震え気味になるシア。

「ま、アイツはあんだけ怒ってたが…ユエにも何度か怒ってるが、それでも殺すような真似はしなかったし、適当に俺が言いくるめておくから大丈夫だろ」

「…ありがとうございます…」

「…で、何でお前樹海じゃなくてここにいたんだ?兎人族は隠密とかの方が得意だから、視界の開けたところに居ないと聞いたんだが…」

嘘ではない。

実際図書館的なところで亜人族について調べてみたところ、種族的性質がまとめられているページにそうやって書いてあったのだ。

「…あなた達を探していたんです」

「…それはどうして?」

俺の膝の上で、ユエが尋ねる。

先程の見つけた発言と言い、気になるところがあるのだろう。

「…これは、私があなた達を探していた理由につながるんですが…」

そう言ってシアが語りだしたのは、原作でも聞いたあの話だった。

端的に言えば、自分という魔物の力を持って生まれた…いわゆる忌み子がハウリア族に生まれ、それが他の種族の奴等にバレたらまずいと隠して生きてきたが、生まれて十六年たってバレてしまい、北の山岳地帯まで逃げようかと画策したものの帝国兵に大多数が捕まり、樹海の中で隠れて生きているという事らしい。

いつの間にか玉座に座り込んでいたハジメが、その話を聞いて目を閉じていた。

助ける…なんて選択肢はコイツにないだろうし、他の事を考えているんだろう。

「私の未来を見る力さえなければ、私の魔力を操るこの力さえなければこんなことにはならなかったのかもしれません…だから、私は貴方たちが私たちを救ってくれるという未来を見て、助けを乞いに来たんです」

「…で?」

冷たく告げるハジメに、一瞬言葉を続けることを躊躇うも、すぐにキッと瞳を鋭くして俺達の方に向き直り頭を下げるシア。

「お願いします!都合のいいことを言っている自覚はあります、貴方たちのような壮絶な思いをしてきたなんて傲慢なことを言うつもりはありません!ですが!!私たちにはもうこれしかないんです!!助けて下さい!!私ならどうなっても構いません!!なのでどうか、どうか私の一族だけでも!!お助けください!!」

涙で玉座を濡らしながら、自分の体を好きにしても構わないから一族を救ってほしいと告げたシアに、ハジメは同情するかのような優しい瞳で、シアの方に手を置き、優しく声をかけた。

「…大変だったんだな。お前も…」

あれ?もしかしてこれって助けるパターン…?

「お前らも、俺達とは別ベクトルだが、壮絶な過去があったんだな…」

「…うっ、ひぐっ…」

極めて優し気な声で話し続けるハジメに、今までの苦しみを思い出し、さらに涙を流すシア。

そこにハジメは、俺の方にアイコンタクトを取り、ニッコリ笑ってこういった。

「…だが断る」

「…え…?」

先程までの優し気な雰囲気を霧散させ、シアの絶望した目を愉悦、と言わんばかりのゲス顔で眺めるハジメ。

「俺の一番好きなことを知ってるか?…そう言う絶望した顔だよ」

「…ぁ、ぅ…?」

「可哀そう?同情した?そう思ってる風に思ったろ?残念だがそれは無い。お前らが…見ず知らずの他人でしかないお前らがどうなろうと、俺は何の興味もねぇ」

光のない目でハジメを見つめるシア。

何を言っているのか理解しきれていないのか、口元は笑っているように歪んでいた。

「だから…勝手に死んでろ、滅びてろ。恨むなら…狙われる原因になったお前自身を恨めばいいさ。せいぜい死ぬまでは…お前のせいでいなくなっていった同胞の泣き顔でも思い出して罪悪感にまみれてろ」

それだけ言うと、なんの関心もなくなったという風にシアから離れて、もはやキングサイズのベッドのようになっている玉座に寝転がるハジメ。

シアの方を見れば、大声で泣いていた。

膝の上のユエが、汚い、流石ハジメきたないとか言ってた。

「…さすがに言い過ぎなんじゃねぇの?」

「知らね。アイツの人生だ。…それと、さっきのは純粋に俺が楽しみたかっただけだ」

「…ハジメなんか荒みすぎじゃね?」

「…そうだな。俺は…あの熊の前で、アイツの子供を殺した時から…生物の絶望する姿に喜びを得るようになっちまってんだ」

マジで何があったんだろうハジメ。

割かし本気で自分の親友の現状を不安に思いながら、シアの方に向く。

「…なぁ」

「…なん、ですか…?」

「…アイツはあぁ言ってたが…いや、アイツがあんなことしたからな。助けてやるよ」

「…え?」

「え?」

「あ?」

俺の言葉に、三者三葉の反応を見せてきた。

俺の膝の上から降ろされたユエと、起き上がって俺の方を文句ありげに睨みつけてきているハジメをスルーして、シアに話かける。

「俺は王だからな…生きている以上、俺の敵でない以上…民は守ろうじゃねぇか」

まぁ仮に敵対するようなら瞬殺だが。

「…いいん、ですか…?あの人も言ってましたけど…私の自業自得なんですよ…?」

「ばーか、そんなわけあるか。…それに、もし仮にお前が生まれてきたことが罪だって言うなら…生きることが背負うべき罰だ。そう言ってる人がいたしな」

別にここは食うか食われるかの世界ではないが、実際そんなところに居たことがあるから一概にそうではないと言い切れない。

「…本当に…ありがとう…ございます…っ!!」

今度は先ほどまでと違い、喜びで涙を流すシアを、俺は優しく抱きしめ頭をなでてやるのだった。

…その時、背後から濃密な殺気を感じたが、そこは気にしないようにしたい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

時王side

「落ち着いたか?」

「…はい、ありがとうございました…」

泣き止んでしばらくたったので、シアの様子を窺うと、笑顔で感謝を伝えてきた。

「ならよかった」

「あっ…」

抱きしめるのをやめ、玉座(?)に寝転がる。

そこにすかさずユエが飛びついてきて、俺の体にスリスリと自分の体を寄せてきた。

何故だか、マーキングという言葉が脳裏に浮かんだ。

空を仰いでいると、シアが俺の顔を覗き込むようにしてきた。

「…どうかしたのか?」

緩慢な動作で起き上がる。

すると、数瞬躊躇うような素振りを見せると、シアは民族衣装のような露出度の高い服をはだけさせた。

「…おい、何やってるんだ?」

「…た、助けてもらう以上…何かお返しをしなくてはと思いまして…私にできることなんて、私の初めてを捧げるしか…」

「調子に乗るな、ウサミミ」

顔を赤くしながら胸元を強調してきた姿はとても煽情的だったが、俺の隣から聞こえてきた底冷えするような声に、俺とシアの顔が蒼白になる。

「…ゆ、ユエ?」

震えながらユエの方を見ると、その瞳からハイライトが消え、背後からは黒いオーラが出ていた。

「…時王を誘惑しようとしないで…時王には私がいる、時王は私にメロメロだから」

なんか言葉が支離滅裂な気もするが…まぁメロメロ、と言うのもあながち間違いではないから訂正する気はないが。

「残念ウサギ、例えあなたにウサミミがあろうと…私の虜でしかない時王には無意味。諦めてそこらへんの男に股でも開けばいい」

「なんかいきなり口悪くないですかねユエさん」

落ち着いて、という風にユエの頭をポンポンと軽く叩くが、目の光は消えず、シアに対して放たれる殺意は強いままだった。

しばし呆然としていたシアだったが、ユエの言葉に女として譲れないものでもあったのか、震えながら…されど怒っている風に言い放った。

否、言い放ってしまった。

ユエに対しての…禁句を。

「…さ、さっきから失礼ですね!!虜とか言ってますけど、そんなのできないような幼児体系じゃないですかこのぺったんこ!!平地!まな板!断崖絶壁!いやいっそクレーt」

「死ね、“蒼天”」

禁句をまくし立てるように言い連ねたシアに、最上級魔法を容赦なく向けるユエ。

原作のように、殺傷能力低めの魔法を使うとかそう言う優しさは無いらしい。

流石にマズイと思った俺は、何とか時間を制御して魔法を消し去り、シアと玉座の危機を救った。

死ぬかと思った…という風におびえているシアを一瞥すると、俺の方に身を乗り出して、ハイライトがオフのままこう質問してきた。

「…時王」

「ハイ」

「おっきい方が…好き?」

…これは、どう答えるべきなんだろう。

空に浮かぶ雲の数を数えながら、しばし現実逃避をしてから答えた。

「…個人的に小さい方が好きだが…本能的には大きいのも好きだ、な」

「どちらかと言えば?」

「小さい方」

間違ってはいない。

万乳引力なるものが働いているせいで、本能的に興味を持ってしまうが、実際俺は小さい方が好きだ。

ハジメの父さんがよく俺にゲームのキャラの原案を訪ねてきたときも、ロリキャラしか答えてこなかったくらいだし。

俺の答えを聞いて、若干複雑そうにしているユエ。

まぁ小さい方がすき、と言われても、自分が小さいことを暗に告げられたことに変わりはないのだから、それも仕方ないのだろうが…

これは多分、二人きりになったら搾られるな。

空を再び仰ぎながら、これから来るだろうユエとの情事に若干の期待と不安を感じるのだった。




主人公は、金髪ロリが大好きです。
なので、好み的な意味でも、ユエと相性抜群なんですね。
それを知った時の他ヒロイン…どうなるんでしょうか(震え声)
シアをどうやってヤンデレ化させるか考えた結果、時王以外の誰か、もしくは何かの減少で落として、時王が爆上げする方向にしました。
陳腐ですが、それしか思いつきませんでした。
まぁもしかしたら路線変更もあり得るので、続きをお楽しみに。
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