ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強   作:イニシエヲタクモドキ

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今回はかなり原作ブレイクできたと思います。
…まぁハウリアの魔改造イベントは逃れることなんてできないんですがね…
因みに、アルフレリックを老人と呼んでいるのは、主人公が成人姿のエルフ=百歳越えと考えているからです。
え?ユエ?
考えてみましょう、いきなり自分が病的なまでに愛している人からババア扱いされたヤンデレの末路を。
ね?駄目でしょう?



勝訴

時王side

亜人達に先導されながら移動する。

霧がいい加減にうざくなて来た頃、ようやく到着した。

「これはフェアドレン水晶というものでな。これで囲んだところには、霧や魔物が来なくなるんだ。フェアベルゲン周辺の集落もこの水晶で囲ってある。…まぁ魔物の方は比較的だが」

「ほー…」

老人の言葉を聞いて、フェアドレン水晶を興味ありげに睥睨したハジメ。

コイツ絶対盗んでいくつもりだな?

フェアドレン水晶で囲まれているところに入ると、そこは…

「おぉ…」

「綺麗…」

「中々いいじゃねぇか」

自然と街並みが見事に一体化した、もはや一種の芸術品とすら言っていいくらいの美しい景色が広がっていた。

「んんっ…気に入ってもらえたかな?」

どうやら無意識的に固まってしまっていた俺達を、わざとらしく咳払いして正気に戻した老人。

うーむ。やっぱりこういう大自然的な風景はいいな。

「あぁ。自然と一体化している…いいところだな。ここは」

「すごく…綺麗。空気もおいしい」

「日の光もいい味を出している。最高だと思うぞ」

「そ、そうか…」

俺達の純粋な評価に、まさかそんな正直に言ってくるとは思っていなかったのだろう、若干どもって答えた老人。

それを気にすることなく先に進む。

さっきまで固まっていたのは俺達の方なのだが。

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時王side

老人に連れて来られてきた場所で、俺達は老人と向き合って会話していた。

「…試練に神代魔法、そして狂った神の遊戯…そんなことがあるとは…」

「ま、信じられないだろうな」

一言一句誤魔化すようなことはせずにありのままを伝えた。

すると、少しの間考え込むように顎に手を当てるも、すぐに向き直って信じる旨を伝えてきた。

「そう簡単に信じてもらえるとはな…やっぱり、神がどうだろうと関係ないってか?」

「まぁそうだな。この世界は亜人に優しくない。それは変わらない事実だ。そんな自分たちを救おうとしないばかりか迫害することを勧める始末…そんな神に好印象を持って信心深くなるわけないだろう?」

「…それもそうか」

次は、老人の方が口伝について説明してくれた。

まぁそれは原作通りだった気がする(原作について覚えていることがほとんどないんだが)。

その話を聞き終え、ひと段落していたところで、下の階から怒声が聞こえてきた。

因みに、俺達は建物の最上階にいる。

老人と顔を見合わせてから急いで下の階に向かうと、地に伏せて涙目になっているシアと、拳を振り抜いた後のように残心している熊の亜人がいた。

その熊の亜人は、俺の方を見るなり、不機嫌そうに威圧をまき散らしながら(俺達からすればそよ風程度)こちらに近づいてきた。

「…何のつもりだ?」

俺にではなく、俺の後ろにいた老人に話かけた熊亜人。

「…口伝に従っただけだ。何一つ問題あるまい」

「貴様っ…そんな眉唾物の話を信じて、この国に悪影響を与えるだろう人間を招き入れたというのか!!口伝等、建国以来一度も施行されてないだろう!!」

「なら、これが最初の施行と言う事だな」

激昂しながら怒鳴る熊亜人に、飄々と答える老人。

まるで駄々をこねる子供を窘める親みたいだ…と思ったのは内緒だ。

「こんな…こんな貧弱そうな小僧共が敵対してはならない強者だと…?」

「そうだ。現にこの者達の話を伝えてきた者によれば、五人殺されたらしいじゃないか。その殺された者もかなりの精鋭だったらしい。そんな力を持っている時点で資格があると思うべきでは?」

「ならなおさらだ!!五人も同胞を殺したんだぞ!?」

「なぁ、同胞とか言ったけどさ」

「あぁ!?」

キレている熊亜人に話かけると、メンチをきられた。

ちょっとイライラするなぁ…

「虎の亜人でも、熊の亜人であるお前にとっては同胞なのか?」

「当たり前だろう!!」

「じゃあハウリアは?」

「…なに?」

「同じ亜人だろう?何が悪いんだ?」

「それはっ…こいつらが忌み子をかくまっていたからで…」

「いやその理屈はおかしい」

「…どういうことだ?」

わからないのか、冷静になって質問してきた熊亜人。

それに、俺は心底丁寧に解説してやる。

「忌み子と言ったな?」

「あぁ」

「まぁ魔物の力を持っているのは確かに忌むべき存在なのかもしれない。だが…」

「だが?」

「そんな忌むべき存在だったシアを、ハウリア族の奴等は家族と呼んで愛した。だから匿った…違うか?」

「そうです」

俺の言葉に返事をしたカム。

それを一瞥し、熊亜人の方に向き直る。

「…ハウリアも、お前らは忌み子のシアが生まれるまでは同胞として手を取り合い、助け合ってきたわけだろう?」

「ま、まぁそうだが…」

「じゃあその同胞が家族と呼ぶ子を、お前らの勝手な都合で忌み子扱いして殺そうとして、挙句家族として愛情を注いでいたことが罪だと喚き、その元同胞すらも殺そうとした…だろ?」

「い、いや…それは…」

「それともあれか?お前らはハウリア以外の種族でも、生まれてきた子供に何かがあったら、その子供を愛してきた親も、兄弟、姉妹も、友人も恋人も…全部殺すというわけか?」

「そ、そんな事…」

「ないってか?でもおかしいな。お前らが普通にやってきたことを、少し生まれながら違うところがあるだけの子にやっただけで罪だって言って殺そうとしているじゃないか」

「…ぐっ、ぐぅ…」

「それでなんだ?同胞の家族の娘を殴ったのか?いいご身分だな。お前はあれか?他の同胞の子供も殴って来たのか?ん?」

「…」

完全に沈黙したのを確認し、シアの方に歩み寄る。

頬が赤紫色に変色しているのが痛々しい。

優しく手を頬にそえ、時を戻す。

傷が一瞬で消滅し、シアの肌を若干若返らせた。

「…もう痛くないか?」

「…………………ふぇっ!?あっ…はいぃ…///」

長い間呆けてから、顔を真っ赤にして目をそらして答えたシアの頭をポンポンと手のひらで優しく叩き、再び熊亜人の方を向く。

「…で?何か言う事はあるか?」

「…確かにお前の言う事は…正しい…」

「だろ?」

「だ、だが…」

「あれか?生理的に受け入れられないってか?」

「…い、いや…」

「図星か。なら例え話をしようか」

「た、たとえ話…?」

「そ、もし仮にお前に新しく女の子が生まれたとしよう。だが、その子の顔はとても醜悪だった。見るものすべてが不快感を覚えるような…な?」

「うむ…?」

「そんな子供が生きているのが許せないと、他の長老が言ったとしよう」

「う、む?」

「お前にとっては見た目は酷くとも、可愛い娘。だが周りの奴等は醜悪なお前の娘を殺そうとする…それをお前ならどうする?」

「もちろん匿うし、なんなら戦ってでも娘を守るに決まっているだろう」

「それをハウリア族とシアに置き換えて考えてみようか」

そう言うと、苦々し気な顔をした熊亜人。

どうやらわかってくれたらしい。

やれやれ、人に説明するというのも大変だなぁ…

果たして他の長老たちもこれでわかってくれただろうか…

「…お前の言いたいことはわかった。それと…ハウリアたちの味わってきた辛さも、なんとなくだがわかった…」

そう言うと、カムの方に俯きながら歩いて行った熊亜人。

ハウリアたちは何が起こるのだろうと戦々恐々として一か所に固まった。

そんなハウリアを無視して、熊亜人は…

「すまなかったッ!!」

大きな声で謝罪して、ハウリアたちに向かって土下座をした。

「…え?」

状況が把握しきれないのか、間抜けな声を出したカム。

他のハウリアもみんな同じような反応をしていた。

「私は…いや、我々は!一方的にシア・ハウリアを忌み子とし迫害したばかりか!ともに過ごしてきた同胞たちであるハウリア族の皆すらも反逆の意志ありと勝手にみなし!殺意を向けてきた!!とても許されることで無いことはわかっている!お前たちの苦しみを理解したなんていうつもりはない!!だが!謝罪させてほしい!!すまなかった!!」

頭を下げ、謝罪し始めた熊亜人に、周りの亜人たちはとても驚いていた。

ようやく状況を理解したのか、慌てて頭を上げるように告げたカム。

「そ、そんなおやめください!隠してきた私たちが悪かったのです!」

「…いや、そんな…」

お互いがお互いに謝り合うという不毛な争いをしているカムと虎亜人。

しばらくの間はハジメも俺も静観していたが、途中であまりにも長すぎてストレスが溜まってきた。

「…なぁもういいんじゃないか?お互いに許し合っているみたいだし」

「いえっ、ですから私どもの方が…」

「そんなこと…」

「いや話聞けや」

俺の言葉を無視して、謝り続ける二人。

いい加減に…キレても…いいよね?

流石に攻撃してやろうかと思ったが、俺よりも早くハジメが動いた。

ドパンッ!!と乾いた大きな音が響いて、二人の口論(という名の謝り合い)を途切れさせた。

何事?とハジメの方を同時に見た二人。

それに、こめかみに青筋を浮かべながらドンナーを上に向けたまま硬直しているハジメ。

その口元は笑っているように歪んでいたが、その癖怒気が溢れていた。

「…お ま え ら」

「「アイエッ!?」」

「イ い カ げ ん 二 シ ろ ヨ ?」

「「アッ、ハイ」」

待たされたストレスが、奈落で小さくなってしまったハジメの器から零れたのだろう。

全身から赤黒い瘴気が漏れ出ていた。

ハジメの殺気で、ようやく話を終えた二人。

まったく…長かったな。

「…その…勝手に言ってしまったが…こ、こいつらを…ハウリア達を…見逃してやっては…」

「…構わんよ。私も一人の娘を持つ身…何故子を思う気持ちをわかってやれなかったかと疑問なくらいだ」

「僕も問題ないよ。彼の例えがあまりにもわかりやすすぎてね…想像からの絶望、余裕だったよ」

「儂もいいぞ。聞いてようやくわかる事と言うのもあるんだなと思ったわ。…何より、他ならぬジンが言ったのだからな」

「私も構わない」

「ッ…かたじけない…ッ」

全員に色よい返事をもらい、涙を流しながら頭を下げた熊亜人。

もはや我がことのように感じているように見えた。

そんな熊亜人の姿に胸をうたれたのか、涙を流しているものまでいるハウリア族達。

しばらくの間感動的な空気に包まれていたが、老人…いやもう面倒くせぇ。アルフレリックが咳払いして話を進めた。

「…それでは…逢魔時王及び南雲ハジメ、ユエの、資格を持つ三人の滞在を許可し…忌み子を匿っていた罪を問われていたハウリア族達の罪は帳消し。並びにシア・ハウリアは忌み子ではなく、他の兎人族と同じく同胞として扱うことにする…そして、資格者である逢魔時王、南雲ハジメ、ユエの三人を真なる大迷宮の可能性が高いとされる大樹への案内をハウリア族が担当することとする。以上で問題ないか?」

「あぁ。…お前らはいいか?」

「はい…ありがとうございます…本当に…ありがとうございます…ッ!」

俺の言葉に、涙を流しながら答えたカム。

窮地を脱することができたのが嬉しかったようだ。

「ジオウさん!」

「うぉっ…どうしたシア?いきなり飛び掛かってきたりなんかしやがって…」

これまた涙で顔を濡らしながら、俺に突進してきたシアを受け止めながら、殺気のせいで来ているコートの端の部分が浮き始めているユエを目線で落ち着かせようと奮闘する。

あっ、待ってユエさん魔法使おうとしないで?

そんな思いを込めてユエに視線を送ると、何かを納得したように、嬉しそうな顔をして舌なめずりし始めたユエ。

…絶対何か勘違いしてますよね?まぁいいけど。

諦めも肝心だと思いながら、いまだ俺に抱き着いているシアを引っぺがし、話を聞く。

一体何用だってばよ。

「いえっ…そのっ…重ね重ね、ありがとうございます…っ」

「…おう、どういたしまして」

気にするな、と言おうと思ったが、ここは素直に受け止めておくべき場面だということに気づいたので、しっかり返事をする。

しばらく俺の胸元に顔をうずめていたシアも、すぐに顔を上げて(ついでに俺の服で顔を拭いて)笑顔になった。

俺は、泣いている間(というよりも俺の胸元に顔をうずめている間)に、再び目の色を消して、最上級魔法を発動しようとしたユエが何とか落ち着いたことしか頭に無いんだが。

「…じゃあ、お前さんたちを泊める場所まで案内しよう」

ついでにハウリア族全員もそこに宿泊するといい…と言って、アルフレリックが部屋から出た。

有難くついて行った宿は…何というか、その…ツリーハウスだった。

中々いい感じだと思ったが、そんな狭い小屋に全員入るかと不安になった。

まぁ実際は見た目に反して中身が広かったからよかったのだが。

「…じゃ、寝ようか」

「あぁ。明日はどうする?」

「…霧の中の戦闘訓練でもする?」

「あー…視界が悪い場所での戦闘は俺の能力で簡単になっているが…まぁ、やっておくに越したことは無いか」

「それもそうだなぁ…俺はブランクライドウォッチをライドウォッチにするための何かを掴んでおくのも必要だろうしな」

それだけ話合うと、俺達は二人と一人で寝ることにした。

もちろん俺とユエが二人で、ハジメが一人だ。

…その晩、隣のベッドにハジメがいるにも関わらず、ユエが求めてきたのはいい思い出だ。




まさかの熊亜人生存ルート(まぁ原作でも死にかけただけで死んではいないのですが…)。
熊亜人が襲ってくるというイベントが無い状態での魔改造…ウサギたちの末路が目に見えm(首が転がる音)
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