ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強 作:イニシエヲタクモドキ
不定期に亀更新なので、根気よく(面白いと思った方は)見てくれれば嬉しいです。
時王side
原作通り、戦争に参加することになった。
すごく嫌です。
で、なんやかんやあって国王のところに行こう的な流れが出来たので、今イシュタルに連れられてロープウェイ的な魔法で下山し、聖教教会から王宮へと向かっている。
……みんなこの程度で騒ぐなよ……これだってただの演出みたいなもんだし。ていうかハジメの愉快な仲間たちに焼き払われるし。
長ったらしい演出とかを説明する気は毛頭ないので割愛。
国王的なおじさんがなんか言ってたね。おしまい。でいいと思う。
「時王、どう思う?」
「何がだ?」
「今日の事全部」
「胡散臭い面倒くさい関わりたくない。以上!」
「だーよねー!」
「「アハハハハハ!!」」
天蓋付きのベッドのある部屋で、俺とハジメは笑い合った。
それはもう、隣の部屋に誰かいたら説教しに来るだろうなぁというくらいに。
「もう終わってるよねこの国。もしくはこの世界」
「ほんとそれな。俺なんてイシュタルの手に国王がキスした時なんてもう絶望しすぎて白目剥いちゃったよ」
「それは誇張表現過ぎるよ時王〜」
「「あははは!!」」
ある程度笑い合って、明日も何とか乗り切ろうぜ的な会話をしてベッドに入る。
……寝心地いいなぁ……でも自宅のトゥルース●ーパーの方がいいなぁ……
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翌日。
早速訓練とか座学とか始まった。
『まず、集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
騎士団長が訓練に付きっきりでいいのかとも思ったが(思ってない)、対外的にも対内的にも〝勇者様一行〟を半端な者に預けるわけにはいかないということらしい。
メルド団長本人も、「むしろ面倒な雑事を副長(副団長のこと)に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫なのだろう。もっとも、副長さんは大丈夫ではないかもしれないが……
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだった』
……原作の文章を持ってきて少しだけ弄ったが、要約するとこれから例のステータスプレート事件(ハジメが馬鹿にされる事件)が始まるということだ。
ん?さっきからお前の説明はわかりにくい?そんなに言うならありふれのアニメ見てみろよ。……見た?ならアニメの端折り方と俺の説明放棄、どっちの方がマシよ?
……それはさておき。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
メルド団長の言葉に首をかしげる天之河。
その疑問にしっかりと答えてあげるメルド団長優しいなぁ……と思っていたら、なんかみんなプレートに血を塗りたくり始めてた。
説明終わるの早くね?
流石に何もしないのは駄目だろうということで、針を指の腹に刺し、プレートに擦りつける。
こういうのって触るだけでどうのこうのとか無いのかなぁ、って心から思う。
お、ステータスが出てきた。
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常盤時王 17歳 レベル:1
天職:【閲覧不可】
筋力:15
体力:15
耐性:15
敏捷:15
魔力:15
魔耐:15
技能:【閲覧不可】・言語理解
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……うっそだろお前なんだよ【閲覧不可】って。
これじゃハジメと一緒に檜山と不愉快な仲間たちにいじめられるじゃないか。
……全力で抵抗しよう。
なんか死んだ目になっていたら、ハジメが俺のところまで寄ってきた。
どうやら俺のステータスが気になるらしい。
それで見せてやると、少し嬉しそうな顔をしやがった。
まさかお前俺より数字がでかいなんてこと……
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
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なかった。
「……何で嬉しそうなんだよ」
「時王の数字も僕と似た感じだし……僕が特別低いわけじゃないのかなぁ……って」
「……それで、この世界の人間の平均は大体10くらいだ!まぁ異世界から来た勇者のお前らは100くらいいっててもおかしくはないな」
「……ぼ、僕たちもしかしてだけど……」
「いや明らかに微妙だろ。錬成師と【閲覧不可】だぞ?天職からして残念だろ」
「だ、だよねー……」
メルド団長の言葉を聞いて、一気に顔色を悪くしたハジメ。
俺はまぁ、こうなることは原作読破してるから知ってるし。
アニメ版もしっかり見てるし、コミックスも……
おっと、これはどうでもよかった。
俺たちが話してるうちに、天之河のステータスがすごいすごい言われ終わったらしく、その後の数人も褒められたらしい。
それでとうとう俺らの番になったのだが……
「よーし、次はハジメと……ジオウ……だっけ?変わった名前だな!はは!それでステータスは……あっ」
「何かを察したような反応はやめてください団長。今の俺達にはダメージがでかすぎる」
先程までのすごいステータスと比べてかなり劣ったステータスを見たせいか、一気にテンションが下がるメルド団長。
……心が痛いよ。
「れ、錬成師は……まぁ、うん。鍛冶師になるやつの天職だな。鍛冶するときに便利だとか……それに時王の……なんだこれ?【閲覧不可】?これは……何ともいえん」
物凄く微妙な顔をしながらステータスプレートを返却してきたメルド団長。
心なしか瞳に憐憫が見られますがそれは……
「なんだよ南雲、常盤!錬成師に【閲覧不可】って!南雲なんて非戦闘職じゃねぇか!」
「【閲覧不可】とか何もわかんねぇじゃん!そんなんで戦う気かよ!!」
「錬成師ってすっげぇありきたりな天職じゃ無かったか?転移してきたくせに?」
……うざいなぁ……殴りたいなぁ……でも怒られるよなぁ……
心を無にするために瞑想しようと思っていたら、俺の手の中からステータスプレートが抜き取られた。
「……ぷっ、ぎゃはははは!!オイオイ見ろよ!こいつ等ステータス低過ぎね?」
「うーわマジだ。これじゃ役立たずどころじゃねぇな!」
「お前らいらないわー。いるだけ無駄だわー、肉壁にすらならねえわー」
……人のやつ勝手に盗っておいて何を笑っているのだろうか。
あまりにもムカついて殴り掛かりそうになったが、俺は良い人なのでそんなことはしなかった。
無視に限るよアイツらなんて。
キレてギャーギャー騒ぎ立てる檜山達を無視して、俺とハジメがお互いに哀れみ合っていると、我らが愛ちゃん先生がトテトテとこちらに歩み寄って、自分のステータスプレートを見せてきた。
「南雲君、常盤君。二人共気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。決して二人だけが低いわけじゃありませんからね!」
そう言った愛ちゃん先生のステータスプレートには、こう書かれていた。
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畑山愛子 25歳 女 レベル:1
天職:作農師
筋力:5
体力:10
耐性:10
敏捷:5
魔力:100
魔耐:10
技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解
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はい原作通りの別ベクトルでチートな女神スペックの開示ありがとうございました!
俺とハジメは微妙そうな顔(目はお互いに死んだ魚のような感じ)でお互いを見合うと、深いため息をついた。
「えっ、あれっ?どうしたんですか二人共?あれっ?あれぇ?」
愛ちゃん先生のステータスに書かれている農業系のスキル等は、戦争時においてとても優遇されるものだろうことは一目しなくても瞭然。
メルド団長も、愛ちゃん先生のステータスを見てかなり驚いている様子。
ハハハッ、もしかしたら原作と違って愛ちゃん先生も弱いかもと期待したのが間違いでした。
愛ちゃん先生のおかげでクラスの奴等からの嘲笑は無くなったが、俺達の傷は深いままだった。
主人公サイドだと、面倒くさい説明を省けるのでありがたいです。
読んでる人も、わかりきった説明を言い方変えただけで垂れ流されても嫌でしょう?