ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強   作:イニシエヲタクモドキ

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遅れたので初投稿です。
そして次回も初投稿です(先手)。
やばいですね。このままじゃブルックの町の一日だけで三話書くことになってしまいそうです。
やばいですね(他のキャラが闇堕ちする系のゲームの腹ペコキャラ風)。



ブルックの町

時王side

町の入り口付近にて、俺達は少々面倒くさいことになっていた。

「…な、なんだこのステータス…俺の目がどうかしちまってるのか?」

俺とハジメは、元々この世界で自分たちを偽ったりして生きていくような真似はしないということに決めている。

だから、ステータスプレートも隠蔽せずにすべての情報を見せてやろう…と思ったのだが、如何せんこの世界の連中が俺達と比べるとかなり弱くなるのだ。

メルド団長がこの世界でも強い方らしく、それでも300くらいだったから…ハジメの10000超えは、一般人でしかない検問の男からすれば…魔王の襲来と言った感じだろう。

「そ、そっちのあんたのは…?」

検問の男が、更なる禁忌に触れようとしてきた。

だから、俺は爽やかな笑みでステータスプレートを差し出し、本当の数値を見せた。

その瞬間、検問の男は、通っていいと一言言って、休憩所らしき場所にトボトボと歩いて行った。

残念、これは見間違いとか寝不足のせいとかじゃないんだよなぁ…ま、強く生きてね?

町に入ると、俺達は久しぶりの人混みに圧倒された。

国と呼ばれるほどの大きなところじゃないにせよ、その活気はすさまじく、筆舌にしがたい、といった感じだった。

「…取り敢えず、冒険者ギルド的な場所に向かおうか」

「そうだな。早めに漢方薬局的なところで胃薬を買いたいが…そのためにも金が欲しいしな」

胃薬。

それさえあれば、絶賛ストレスで荒れまくっている俺達の胃袋に平穏が訪れることになる…

「ユエさん、さも当然のように私のジオウさんの腕につかまろうとしませんでくれません?」

「私の?何を言っているの?時王は私にしか好きだって言っていない。だから…時王は私の。私は時王の。それだけ」

「まさかぁ!ジオウさんは、私()()のジオウさんですから」

「面白くもない冗談ばかり言っていると…死ぬことになる」

「ユエさん、ブーメランって知ってます?」

「ふふ、ふふふ…」

「あは、あははははは…」

「「死ね」」

「落ち着けお前ら」

少し目を離していただけでこの有様である。

魔力を溢れさせてきた二人を何とか落ち着かせて、少し早歩きでギルド的なところを目指す。

道中も、ユエとシアが喧嘩をし始めそうになり、それを落ち着かせている間に町の連中から奇異な目で見られたりと、散々だった。

ギルドに到着し、扉を開ける。

中は思った以上に清潔感に溢れていて、よく異世界物で見るような荒々しい酒場感はなかった。

見知らぬ四人組の登場に、中にいた冒険者たちが一斉にこちらを見てきた。

俺とハジメを強いかどうか品定めするような目を向けた後、俺の隣にいるユエとシアを見て、ほぅ…と声を漏らした冒険者たち。

まぁそれを一々気に留めているわけにもいかないので、無視して受付嬢がいるであろう場所まで向かう。

カウンターには、非常に恰幅のいい笑顔が素敵なおばちゃんがいた。

確か…キャサリンだっけ?

「残念だったねぇ受付嬢が美人じゃなくて。特にそっちの眼帯付けてる方の兄ちゃん」

「は、はて何のことやら」

「時王?まさか…浮気、とか…言わない?」

「言わない」

「ジオウさぁん…私がいるじゃないですかぁ…」

「それは悪いけど肯定できないかなぁ…主にユエとかユエとかユエとかがいるし」

もしこの場でシアの言葉を肯定なんてしたら…

ブルックの町が、ブルックの町跡地になるだろう。

いや、もしくは…トータスが、トータス跡地になるかもしれん。

「あ、あー…その、なんだ?素材の買取りをしてもらいに来たのだが…」

もう悟りを開こうとすらしていた俺の隣で、冷や汗を流しながらも話を進めようとしたハジメ。

ナイス。

「買取かい?じゃあステータスプレートを出してくれるかい?」

「え、素材の買取りにステータスプレートが必要なのか?」

おばちゃんの言葉に、遥か彼方まで去っていこうとしていた俺の意識を一瞬で蘇生させ、質問する。

原作での描写を覚えていない以上、小さなことでも質問していかなければならないのだ。

俺の質問に、「おや?」と意外そうな顔をしたおばちゃん。

その意外そうな顔をそのままに、俺達に説明を始める。

「あんた達冒険者じゃなかったのかい?ステータスプレートは別になくてもいいけど、冒険者だと分かれば、買取が一割増になるんだよ」

「なるほど…そんな事が」

「ほかにも、ギルドと連携している宿屋とか薬屋とか…そういう店でも冒険者ってのは恩恵を受けることが出来る」

「ほぉー…なぁハジメ、冒険者ってのも悪くないんじゃないか?」

「かもな…なぁ、登録には一体いくらかかるんだ?」

「一人千ルタだね」

一ルタ=一円なので、千円登録費に必要らしい。

…結構無料で登録させてくれる世界とかもあるんだけどねぇ…

ま、これがこの世界のルールなら仕方ない。傍若無人にふるまうだけが王ではないのだ。

「じゃあ登録させてもらおうか。生憎持ち合わせがないんで、これから出す魔物の素材の査定額から差っ引いてくれて構わない」

「そんな可愛い子二人連れて無一文なんて情けないね。査定額少し割り増ししてあげるから、その子らに不自由な思いさせるんじゃないよ」

おばちゃんがやけにかっこいい。

これができる女というやつだろうか。

そんな事を考えながら、俺はハジメと一緒にステータスプレートを差し出した。

「あ、そうだ。こいつ等のステータスプレートも一緒に発行してやってくれ」

「はいよ…ってなんだいこの数字」

俺達のステータスプレートに目を通した瞬間、一気に訝し気な目になって睨みつけてきたおばちゃん。

大方俺達がステータスを偽っていると思ったのだろう。

「別に嘘じゃない。逆に聞くが、どうしてここで俺達が態々ステータスを偽る必要がある?」

「…そ、それは…」

「ま、怪しむのも無理は無いだろうな…とにかく、俺達がこの町を如何こうとか、そういうつもりは無いってだけ言っとく」

「………はぁ…そうかい。深くは追及しないことにするよ」

眉間を揉みほぐしながら言ったおばちゃんの胃痛を心配しつつ(同じく胃がキリキリするタイプの人間としての心配である)登録を待つ。

流石に俺は鬼じゃないので、ユエとシアのステータスプレートは発行させないことにした。

その理由を聞かれたので、「俺達と同じものをもう二回みたいなら止めないけど…いいのか?」を言ったら素直に引き下がってくれた。

登録を終え、おばちゃんからいろいろ話を聞かせてもらったところで魔物の素材を差し出す。

流石に奈落の魔物の素材を出すわけにもいかず、親切心から唯一まともな素材である、樹海の魔物の素材を差し出した。

それでも驚いた表情をされたのだが。

「…なるほど、そこの子の案内かい?」

「…まぁそんなところだな。できる限り質のいいものだけ出したんだが…どうだ?」

「ま、かなりの値はつくだろうけど…いいのかい?もう少し中心地にあるギルドなら、もっと高く買い取ってくれるだろうけど…」

「それじゃあ登録費はどうなるんだ?言っておくが借金はあまりしたくないタイプだぞ」

「…なるほどね。わかったよ。大体…四十八万七千ルタってとこだね」

おばちゃんから金を受け取り、亜空間に収納する。

出来る限り周りの奴等には見られないようにしておいた。

もしこれで便利屋的な仕事を任せられたりしたら、俺はこの町を元の状態にとどめることが出来ない自信がある。

「…そうだ。門番の男から、ここで上質な地図がもらえると聞いたんだが…」

「あぁ、ちょっと待っといで…ほい」

それだけ言うと、カウンターの奥を少し漁ってから、かなり精巧で、とても見やすい地図を差し出してきた。

「いいのか?これくらい上質なものなら金をとってもいいと思うんだが…」

「いいんだよ。私の天職は書士だからね…これくらい落書きみたいなもんよ」

…俺達に驚愕していたが、本来驚愕されるべきはこのおばちゃんの方なのではないだろうか。

「ま、タダでもらえるならありがたくもらっていくけどよ…」

「ああ。…そうそう、金があるんだから、上質な宿に泊まった方がいいよ。ここの治安が悪いってわけじゃなくて、そこの二人のせいでバカをやらかすやつが出るだろうからね」

「…それもそうだな。そうさせてもらうよ」

おばちゃんに軽く会釈してから外に出る。

…さて、早速この地図に頼るとするかな。

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ハジメside

「ここか…」

時王の先導で向かっていた宿に到着した。

看板には、マサカの宿と書いてあった。

一体何に驚いているのだろうか。

「いらっしゃいませー!」

宿の扉を開くと、奥から少女の声が聞こえてきた。

恐らくここの宿を経営している人の娘だろう。

…まぁこれで俺達より年上って言われたら素直に謝罪しよう。心の中で。

「ご宿泊でしょうか?それともお食事だけですか?」

「宿泊だ。この地図を見てきたんだが…記載通りで大丈夫か?」

「あぁ、キャサリンさんの紹介ですね。書いてある通りで大丈夫ですよ。それで何泊でしょうか?」

時王と受付の少女の会話を聞き、遠い目をする。

あのおばちゃん、キャサリンって名前だったのかぁ…

なんだろう、なぜかショックだ。

それは時王も同じだったらしく、少し肩が強張っていた。

「…そうだな、取り敢えず一泊で頼む。食事と風呂も一緒に頼もう」

「お風呂は十五分百ルタです。今のところこのお時間が空いていますが…」

「じゃあ二時間で」

「えぇっ!?二時間もッ!?」

時王が二時間と言った瞬間に瞳を怪し気に輝かせた少女。

それに何やら不穏な雰囲気を感じ取ったのか少しばかり訝し気な目をする時王。

「え、え~っと…部屋はどうしますか?二人部屋二つと四人部屋一つがありますが…」

頬を染めながら好奇心にあふれた目を向けながら時王に質問した少女。

それに対して時王は、少し間を開けてから答えた。

「…四人部屋で」

「よっ!?四人でッ!?」

「お前絶対誤解してるだろ」

ついにとうとう本性を現した(?)少女に、時王が呆れ気味にツッコむ。

まぁしょうがないか?この世界の奴で風呂を態々二時間も入るやつはいないだろうし。

「四人部屋は駄目。二人部屋二つ」

「よっしざまぁ!!」

「振られてやんのこの勘違い野郎!」

「ばーかばーーか!」

時王と少女の間に割り込んで言葉を放ったユエに、宿屋の他の客が嬉しそうに言う。

どうやら、二人部屋二つというのが男と女で分けるものと勘違いしたらしい。

だが、その喜びも一瞬で終わり、絶望に変わる事になった。

「私と時王で二人部屋。他はいらない」

「なっ!?何彼女面して時王さんの隣に居座ろうとしてるんですかぁ!?」

「?言っている意味が分からない。時王の隣は私の専用席」

「専用席って言葉ってトータスにもあるんだな」

「おい時王現実から目を背けようとすんな」

死んだ魚のような目をしながら天井のシミの数を数え始めた時王を現実に引き戻す。

だが、その間にあのヤンデレ二人はやらかしてしまった。

「ふんっ!ユエさん程度じゃ時王さんは満足させれませんよ!そんな貧相な体じゃ!!」

「…死にたいの?所詮駄肉。胸にしか栄養が行かない雑種風情が調子に乗ったこと言わないで?」

「調子に乗ったことぉ?事実を言って何が悪いんですかぁ?」

「…時王は私以外の女を抱かない。何でそれがわからないの?」

「うーわ、身の程知らずはこれだから…時王さんが首輪をつけてくれたのは私だけなんですよ?つまり、「俺の奴隷()はシアだけだ」って言ったようなものなんです」

「身の程知らずはどっち?未だに一晩も愛されてないシアが、時王の奴隷()になれるわけないでしょ?」

「…」

「…」

「「死ね/死んでください」」

「いややめろよお前ら店の中だぞ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

時王side

攻撃を仕掛けた二人の間に、時間を停止させて割り込んで、攻撃を亜空間に取り込んだ。

時間を動かした瞬間、いきなり攻撃の手ごたえがなくなったことに驚愕している表情を見せた二人の脳天を殴る。

「っ!?」

「痛っ!?ですぅ!?」

頭を押さえてしゃがみこんだ二人を放置し、店の少女に話かける。

「…二人部屋二つだ」

「私の勝ち、今晩も時王は私と」

「まっさかぁ!私との時間を取ろうとしてくれて」

「男部屋女部屋だろうが」

「「そんな!?」」

万一にもあり得ないと思っていたのか、すごく驚いた顔をした二人。

いやこの流れでどちらか選べって…最悪俺後ろから殺られるぞ…?

「いや時王。俺は一人がいいから、お前ら三人で二人部屋使ってくれ」

「なっ!?」

「「ナイスジョブ/ナイスですぅ!」」

「さっ、三人で!?」

ハジメの一言に、一瞬で復活した二人と、その言葉を聞いて顔をより一層赤くした少女をみて、俺はもうすべてを諦めた。

ただ、ハジメを今度中二キャラ的な弄りをしてやることを決めて。

この後、少女があの手この手で俺達の情事を覗こうとしてきたり、ユエとシアが部屋で争ったりしたのは言うまでもあるまい。




最近デュエルマスターズに再びハマりました。
ですが、金が異常にありません。
なんでだろうなぁと思ったら、最近中古でDX系のおもちゃを買いあさっていたなぁと気づきました。
おのれ財団B!

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