ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強 作:イニシエヲタクモドキ
一体何が…
あ、ゼロワンの映画情報、また出ましたね。
楽しみです。
時王side
「…いいのか?別にもう少しここにいたって…」
「いいんだ。あんまりのんびりしてもいられない…俺達の目的は二つ。大迷宮を攻略して神を殺すこと。そして…日本に戻る事だけだ」
「…まぁ、お前がそれでいいならそれでいいんだけどよ」
ハジメからライセン大峡谷の探索に向かおうと言われたので、一応確認しておきたかったことを確認した。
ハジメがあの受付嬢の…ソーナだっけ?に少なからず好意を寄せているのは一目しなくても瞭然。
その癖なんの進展もなしに命がけのたびに逆戻りってのはあれじゃないか?と思ったんだが…
ハジメの目は確固たる意志を示していたし、俺自身あまりこの町に残りたいとは思えてなかったので(クリスタベルとか言う化け物の店に立ち寄ってしまった)あまり強く引き留めるようなことはしなかったのだが。
「…それと、昨日あんな感じになって渡せてなかったけど…これ」
「おぉ!銃じゃん!出来てたのか!!」
「あぁ。黒い方がシックサル。白い方がミトスだ」
「…えーっと、シックサルが運命で、ミトスが…神話?だっけ?」
「そう。お前に合ってる言葉を俺の数少ないボキャブラリーの中から探して決めたんだ」
「運命はともかく、神話は俺に合っているのかどうかよくわからねぇけどな」
「…いや、あれだ。神を殺す話、略して神話ってことで」
「なるほど」
神(を殺す)話か。いい言葉だ。
「使い方はまぁ…後でいいだろ。さっさと行こうぜ?」
「…あぁ。そうだな」
楽しそうに談笑していたユエとシアに声をかけ、部屋を出る。
一階のカウンターの前に行くと、奥の方から今行きまーすと声が聞こえてきた。
その声が聞こえた時、ハジメの表情が少し歪められたのを俺は見逃さなかった。
「すいませーん…っ!?」
手を拭きながら(皿洗いの手伝いでもしていたのだろう)こちらを見たソーナは、ハジメを視界に入れた瞬間に頬を真っ赤に染めた。
…ま、まさか…?
女の勘、というやつに頼るために俺の右隣にいたユエの方を見る。
俺の視線に気づいたユエは、視線で「あれは恋する乙女の顔」と言ってきた。
やはりか…!!
やったねハジメ、初恋成功しそうだよ。
心の中で祝福していると、ハジメが無言が続いていたこの状況を打破した。
「…えっと、チェックアウトに来たんだが…」
「ぁっ、はい…ご宿泊ありがとうございました…」
宿を出ていくことを告げたら、ソーナは露骨に悲しそうな顔をした。
その表情を見て、ハジメも暗い表情になった。
………あぁぁああああああ!!もう見てられねぇ!!
「…しばらくはこれないけど、またこの町に戻ってくるつもりだから…その時もここに泊めてもらっていいか?」
「…は、ハジメさんも来ますか?」
上目遣いで訪ねてきたソーナ。
うん、これはもう確定ですね。
「…おい、答えてやれ」
「えっ…あー、まぁ。うん…また、泊めてもらいたいな」
「っ!はい!!またのお越しをお待ちしております!!」
表情を明るいものに一転させ、元気に言い放ったソーナ。
朝食を食べていた一般の女性客が、「ソーナちゃん頑張って」みたいな暖かい目をしていた。
皆からも応援されているわけだし、後は俺の親友の鈍感野郎に自主的に想いに気づいてもらうだけだ。
…まぁもし本当にまずいなと思ったら俺もフォローに入ろう。
仮にも恋愛マスター(自称)だからな!
異世界の美少女二人から好意を寄せられるレベルだ!
…ほかに俺に好意を寄せてきた奴なんていなかったが。
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時王side
「…さて、こっからは本当に気を引き締めてかないとな」
「ハジメ…まだやる気だしてなかったのか」
「すまんすまん…もう大丈夫だ」
瞳を殺意に染め、ドンナーを構えたハジメに、久しぶりに戻ったな…と少しばかり懐かしさを感じた。
「…それでシア、未来視の調子はどうだ?」
「えぇ!ばっちりですよぉ!前までは一回で行動不能になっていましたが…三回目までは使えます!!」
「ならよし。ユエ、この間渡したアレの調子はどうだ?」
「ん。ベストコンディション」
「よし」
シックサルとミトスを手慰みにガンスピンしながら、周囲を見渡す。
魔力放出を最大限広げながら、迷宮の入り口らしきものを探索する。
中々抵抗がすごいな…いつもよりも広がり難い…
ハジメも俺に倣って魔力を放出させていた。
「…どうだハジメ、見つかったか?」
「いや…見当たらないな。隠蔽されているかもしれねぇ」
「…だったらこの岩肌全部ぶっ壊せばいいんじゃないですか?」
「…もしそれで大迷宮の入り口が見つかったとしても、そこが一般の人まで入れるようになって、これから私たちと敵対することになる人まで力を手に入れることになったら面倒」
「あー…私としたことが…」
「まぁまだ決まってない未来がわかるわけでもあるまいし、気にすることじゃねぇさ…ハジメ、あの魔力二輪駆動…シュタイフ?出してもらえねぇかな」
「玉座じゃなくていいのか?」
「あっちだと魔力分解の影響がシュタイフよりも強くなる」
「なるほど。魔力で構成されてるわけだし…」
納得した表情をして、宝物庫からシュタイフを取り出したハジメ。
サイドカーをつけてもらい、運転してもらう。
まぁ最悪俺でも運転はできるが、バイクは見る方が楽しいから態々運転させてもらおうとは思わない。
移動を開始して数分。
襲ってくる敵は基本的に俺が相手していた。
まぁ俺がシックサルとミトスを使って戦う練習をしておきたいって言って自分からやってるんだけどね。
「…今のどうだ?」
「…少しずれてましたね」
「チッ…じゃあこれでどうだ!」
「むむ…さっきよりはいいですが…まだまだですね」
シアの魔力による視力の強化の練習もかねて、俺が狙ったところに寸分違わず当てられるかの確認をしてもらっている。
最初はビギナーズラック的なもので綺麗にあたったが、その次からは惜しいところにしか行かなくなってしまった。
「……日が暮れてきたし、そろそろ野宿しねぇか?」
「ちょっと待ってくれないかハジメ。あと一匹なんだ…」
ドパンッ!!
乾いた炸裂音が響き、敵の頭部が吹き飛んだ。
「シア!どうだった!?」
「完璧でした!クリーンヒット!」
「よっしゃ!!この調子で頑張るか!…っと、野宿か。テントなんて持ってねぇけど?」
「錬成で岩屋に加工すればいいだろ」
「魔力分解を忘れたのかお前」
「…まぁなんとかなるだろ」
目を逸らしてシュタイフを宝物庫に収納して岩肌に手を当てたハジメ。
紅いスパークが迸るが、空気中に出た瞬間消滅する。
やはり魔力分解が…
「チッ…クソがぁあ!!」
ミシッ!!と音が鳴るくらい力強く岩肌を握ったハジメ。
その声が大きくなっていくにつれ、魔力放出量も増えていった。
そしてついに、岩壁がグニャリと歪み、姿を変え始めた。
しばらくの間グネグネ蠢いていた岩壁は、屋根のような物が出来上がった所で動きを止め、綺麗な形になった。
「…どうだ!!」
「…お疲れさん」
労いの言葉をかけながら神水を手渡す。
それを一気に飲み干し、ファイト一発な飲み物を飲んだ後のような反応を見せたハジメを尻目に、完成した岩屋の内部を確認する。
「…おぉ…随分造形の手が凝ってるじゃねぇか…もしかして結構余裕だった?」
「まさか…今はもう神水のおかげで元気だが、飲む前までは死ぬかと思ってたくらいだぞ…」
未だ顔が青い状態で返答してきたハジメ。
神水を飲んでもそんな様子になるくらい辛かったんだろうが、やはり内装がかなりこだわりを感じられる。
自分が苦しまない道を選ぶのではなく、自分が満足いくようなものを作る道を選んだんだろうか。
「ベッドはまぁ、時王の玉座でいいか?」
「おう。最近複数個作れるようになったんだ」
「そりゃありがたいな…同じベッドでお楽しみなんかされてたら寝不足になっちまう」
「…俺がそこまで無節操だと思ってんのか?」
「いや、ユエとかシアとか…やりかねないな、と」
「…」
ハジメの言葉を聞いて、ユエとシアの方を見る。俺達とは離れたところで、室内がどんな感じか確認していた。
その目は、例えるなら獲物を狙う捕食者のような感じだった。
「…ハジメ、耳栓でも錬成しておいた方がいいぞ」
「まずやらない努力をしようぜ」
「やだよ。態々断る理由もないし…シアの方は、ユエに殺されそうだから断ってるけど」
「…もう気にせず二人共抱けばいいじゃねぇの?」
「致している最中に喧嘩なんてされたら一生立ち上がれなくなる自信がある」
「それは…そうか」
死んだ目で告げると、若干引きながらも理解を示してくれたハジメ。
深く追求しようとしないところがありがたい。
「…まぁ気にしたら終わりってやつだな、うん。頑張れよ」
「…おう」
「……あ、そうだ。シックサルとミトスはどうだった?使いやすかったか?」
「あぁ。最高だったよ。リロードの速さも予想以上だし。…どうやって宝物庫に直接接続できるようにしたんだ?」
「生成魔法の練習中にちょっとな…宝物庫の原理を調べといて正解だった、って感じか?」
指の宝物庫を見ながら懐かしむような表情をしたハジメ。
すごいなぁ…俺ならそんな事やろうと思わねぇし、思ったとしても成功するまでやり遂げるような精神力もない。
ハジメを心の中で称賛しつつ、俺はユエとシアをどうするかという目下最大の問題を頭の片隅に放り投げるのであった。
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時王side
なんだかんだあって飯も終わり、俺とハジメは外に出ていた。
「…結局こうやって歩いて探した方が効率いいよな」
「そうだな」
もしかしたら移動中に見落としていたかもしれないということで、俺達二人だけで探索に乗り出したのだ。
「そういやハジメ。俺ずっと前から気になってたことがあるんだけど」
「ん?」
「魔物っていつ眠るんだろうな」
「…あー。迷宮の魔物はどのタイミングでも活動してたからな…地上なら時間の感覚もあるだろうし、寝てる魔物だっていてもおかしくはない、か…だったらしばらくは昼間寝て夜間に活動したほうがいいか?」
「昼夜逆転はトラウマが…」
「寝坊とかねぇんだからいいだろ?」
「でもよぉ…」
泣き言言ってたらハジメに苦笑いされた。
いやしかし、これは日本にいた時の経験が…
まぁ詳しく語るほどの事でもないからいいんだけどさぁ…
「というより、アイツら放置でよかったのか?」
「大丈夫だろ。ユエがかなり嫌がってたけど、すぐ戻るって言っておいたし」
「…いいならいいが…」
何かを恐れているような目をしたハジメに首をかしげるが、すぐに何でもないという風に手を振ってきたので考えることを止める。
ある程度歩くと、変なものが視界に映った。
「…なぁハジメ、さっきの壁のところに文字が見えたんだが…」
「いやそれをすぐに言おうぜ」
数歩戻って壁を見る。
足元には岩石が沢山散らばっていて、岩肌には銃痕のような物があった。
どうやら俺が魔物を殺した時の弾丸が、勢い余って壁を破壊したらしい。
「…っと、文字文字…あった」
「…これか。この…何というか…アレな感じの」
「あぁ…これは迷宮確定だな」
「確かになぁ…でもなぁ…もうこの迷宮放置でよくないか?」
「ハジメ、現実から逃げようとするな」
「だけどよ…こんな…こんなふざけた文章書くような奴だぞ?碌な迷宮なはずがねぇ」
「それは極めて同感」
目尻をヒクヒクさせながら踵をかえそうとしたハジメの肩を掴みながら壁に書かれている字を見る。
そこには、【おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク☆大迷宮へ♪】と書かれていた。
…原作知識(と言ってもほとんど残っていない)が告げていた。
この迷宮はやばいところだと。
主に精神的な意味で。
「…取り敢えずアイツらを呼びに行くか」
「そうだな…そしてそのままブルックに戻ろう」
「落ち着けハジメ、明らかに面倒くさい雰囲気を出していると言ってそれが俺達が妥協していい理由にはならない」
ハジメの肩を揺さぶり、正気に戻らせようとする。
ハジメの目は死んだままで、明らかに面倒事は避けて通りたいという感じを醸し出していた。
「関わり合いになりたくないのは俺も同じだ。だがな。こんなところで妥協してたら…アイツらに復讐するなんてできないぞ!?」
「っ………だな。ありがとな時王…大事なことを忘れるところだった」
俺の言葉を聞いて、衝撃を受けた表情をしたハジメ。
次の瞬間には、瞳をどす黒く染めて迷宮の方を向いた。
「…例えどんな奴が相手でも、どんな場所が戦場になろうと…やることは一つ。殺すだけ…それだけだったな」
それだけ言って、ハジメはホルスターからドンナーを取り出して発砲した。
書かれていた文字を吹き飛ばし、壁の奥底にめり込んだ銃弾は、そのまま奥の方へ飛んで行って…
「…なぁハジメ、俺の勘違いじゃなかったら…」
「あぁ。どうやらあの壁が迷宮に直接つながっているらしいな…取り敢えず、俺は他に何かないか探しておくから、お前はあの二人を連れてこい」
「了解。先に入るとかやめろよ?」
「わかってるさ」
それだけ言うと、ハジメは迷宮の入り口(だろう場所)付近の探索を開始し、俺は拠点についた、という結果だけ残して時間を飛ばした。
この後、起こしたユエとシアにベッドに引きずり込まれたのは言うまでもあるまい。
最近知り合いが東方projectにハマったと言ってきたので、好きな曲はなんだ、と聞いたときの会話
「U.N.オーエンは彼女なのか?かなー、やっぱ」
「あー。いい曲だよなぁ…俺はやっぱりクレイジーバックダンサーズかなぁ…」
「…ん?」
「妖々夢の広有射怪鳥事もいいよなぁ…でもサニーミルクの紅霧異変とかもいいよなぁ…あ、パンデモニックプラネットもいいゾ…」
「自分知ってますアピールかそれは」
「別に?好きな曲言ってただけだし」
「…俺みたいなにわかに語るなよ…最近知ったばっかりなんだからさぁ…」
「…貴様、キャノンボールか(某埼玉に飛ぶ映画風)」
「そうだよ(便乗)」
「…俺キャノンボール二回もデータ飛んだんだけど」
「え、何それは(困惑)」
「まずうちさぁ…紅魔郷、あんだけど…やってみない?」
「あぁ、いいっすねぇ」
こんなことがありました。
因みに、データが二回失われたのは事実です。
それ以来僕はキャノンボールをやっていません。今日も一人寂しく紅魔郷とか鬼形獣とかやります。楽しい。