ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強   作:イニシエヲタクモドキ

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遅れます(謝罪の意、無し)
追記:アンケの内容がおかしかったので直しました。許してください。


しぶとい奴/ブルックの町再び

時王side

「…」

ミレディを抹消し、迷宮の最奥の部屋に到達した俺達は、部屋の中の光景に硬直していた。

「あれれ~?どうしたの~?感動の再会だよ?」

相変わらずのうざい声で俺の周りをウロチョロしてくる小型ゴーレムに、悪い意味で現実に戻される。

…なんで、なんでこいつは…

「なんでお前は生きてんだ!?ミレディ・ライセン!!」

「え~?何その失礼な発言~…ていうかぁ…いつから私が死んだと錯覚していた?」

ぷくく、という風に口元を抑えるようなポーズをとりながら笑っていたミレディは、最後の言葉を言うときだけマジトーンで決めポーズまで取りやがった。

端的に言えば、かなり腹立たしい。

一瞬だけハジメたちを横目で見てみれば、そちらもそちらでかなり苛立っていた。

そりゃね、もはや神敵レベルのウザさだもんね。

「…まぁいい、生きていようが生きていなかろうが関係ないからな。さっさと神代魔法と珍しい鉱石とかその他雑貨寄越せ」

「え、なんか君の連れの白髪に眼帯の厨二くん…性格悪くない?」

「うるせぇ。もう一回ぶっ殺されてぇか?あぁ?」

かなり理不尽な言動のハジメから目を逸らし、部屋を見渡す。

うーむ、俺の中のかすかな原作知識が語っている。

この部屋は、何か俺達に屈辱感を与える仕掛けがあったはずだと。

「…うぅ~、わかったよぉ…はい、重力魔法ー!」

何故か言い方がどっかの猫型ロボット…いや、青狸に寄せられていたがそこはスルー。

どうやらおれたちは重力操作系の能力を与えられたらしい。

…別にそんなの無くてもニュートン魂とかサゴーゾとかあるし…

い、いやきっと重力魔法にしかできないことがあるんだ。あるに違いない。

「うーん、そこの金髪の子と君以外は適正ないねー。それはもうこっちがドン引きするくらいに」

「ん?俺って魔法の適正低いはずだけど」

「時王、適正がほとんどなかった俺ですら生成魔法は適性抜群だったんだ。きっとお前に合った能力なんだろ」

「そうなのか…?」

首をかしげながらも親友の言う事が正しいだろうと思考をストップして別の事を考える。

特にこの能力を組み込んだ戦闘についてとか。

もしこれが仮にニュートン魂とかサゴーゾとかよりも使い勝手がいいのだとしたら、実践使用だってある。

まぁ変身してない状態なら、ライダーの力をつくために一々ライドウォッチを押す必要があるし、すぐに使えるのならば重力魔法を重宝するだろう。

「……そこの金髪の君、胸に重力かけても大きくはならないよ」

「……」

「やめてそんな深淵みたいな目でこっち見ないで」

すごくショックを受けたような目でミレディを見詰めているユエの頭を慰めるように撫でつつ、話を進める。

「で、他に何か俺達の役に立ちそうなものは?」

「え、君もカツアゲする気かい…?」

「いや、オスカーは快くくれたがな…と」

快くくれたというのは少しばかり語弊がある気もするが、あながち間違いではないからよし。

「えぇ…しょうがないなぁ…でも鉱石とかくらいしか渡せるものなんてないよ?」

「俺が錬成師だからな。鉱石だけでも十分だ」

「へいへい。あと攻略の証にこれもね☆」

相変わらずのムカつく動作と共に、俺達の手の中にオスカーの指輪のような物が投げ渡された。

「…これで二個目、か」

「後少なくとも二個は必要だが…まぁ全部の迷宮を手当たり次第に調べていくわけだし、別に構わないか」

攻略の証を亜空間と宝物庫にそれぞれしまい込んで、俺達は迷宮を後にしようとして…

気づいた。

「…なぁ、これってショートカットとかないのか?」

「え?ショートカット?…あぁ、攻略後のアレね?これは私もわかってないけど…本当はここから離れたところの岩陰に魔法陣が用意してあったんだけど、馬鹿みたいな魔力のせいで地形とか魔法陣とか変えられちゃってね?君たちが来る前に見てみたけど…何か家みたいな感じにされてたよ?」

「「「……」」」

俺とユエとシアは、ミレディの言葉ですべてを察した。

そのまま無言でハジメの方を見ると、その動きに合わせてハジメは俺達から目を逸らした。

「…な、なぁハジメ。俺の考えが間違ってなければ、転移先の陣を消滅させたのはその、お前なんじゃないかと」

「…や、やっちまったな!たははー!」

極めて棒読みで乾いた笑みを浮かべたハジメ。

どうやら予想外だったらしい。

「お困りのようだね!ならば私がもっといいショートカットを教えてあげよう!」

「……怪しいが聞かせてもらおうか」

むふふ、という笑い声を出しながら俺達を見てきたミレディから話を聞こうとする。

だが、次の瞬間にはそれを後悔することになった。

「えいっ☆」

「「「「は?」」」」

キラッ☆のような言い方をしながら突如として現れたロープをミレディが引っ張った瞬間、俺達の足元が抜け落ち、水が降ってきた。

その水量のすさまじさは、まるで壁が迫ってきているような感覚を覚えさせた。

だが、それよりも俺とハジメはあることに憤慨した。

この部屋の白さ、時折見られる変な凹凸。

これはまるで、まるで…

「「トイレじゃねぇか!!ふざけんな!!」」

「汚物は水洗だ~!なんてね♪」

叫んだ俺達を嘲笑うように手を振ってきたミレディに、怒りのままに俺達はあるものを投げつけた。

「…え?なにこれ」

「焼夷手榴弾」

「戦兎が美空に渡した自爆装置」

俺達が流される前に言った言葉の意味を最初は理解できてなかったのか硬直していたが、俺達がいなくなる瞬間見えた光景には、俺の自爆装置の爆発に巻き込まれ、それと一緒に爆発したハジメの焼夷手榴弾に焼かれているミレディの姿があった。

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時王side

「…まさかこんなことになるとはな…」

水の吹き出す勢いに乗せられて地面の上に叩きつけられた俺は、状況を確認しようと立ち上がった。

「…川…か。どの辺の川かはわからないが、そこはあまり問題じゃない、か?」

張り付いてきている服を見て、あることに気づく。

「う、うわぁ…流されてる最中にどっかに引っ掛かったのか?ボロボロじゃん…」

せっかくユエに作ってもらった最終回ソウゴくんの服(金と黒にカラーチェンジしたもの)がもはや服としての機能を成しているのか分からないくらいに破けてしまっているのを見て意気消沈。

しかたない。また新しいのを作ってもらおう。

そんなことを考えながら、俺は空から降ってきたユエをお姫様抱っこで受け止めた。

「大丈夫か?」

「…ん、問題ない………かぷっ」

いつも通りの無表情で返事をしてきたかと思えば、なんの脈絡もなしに首筋に歯を立ててきた。

どうやら空腹らしい。

「ちゅっ、じゅる…じゅる…」

「…この体温が下がった状態での吸血は中々来るものがあるな」

ただでさえ下がっていた体温を下げられ、俺は少しめまいがしていた。

「ごちそーさま…時王、服が」

「ん?あぁ、どっかに引っ掛かったみたいでな…また新しいの作ってもらっていいか?」

「…ん」

快く了承をいただけたので、ユエを下す。

そのまま次に降ってくるだろうハジメを待つ。

ハジメは受け止めなくても大丈夫だってわかってるので、着地点を作っておく。

すると、俺のすぐ隣にハジメが綺麗な二点着地を決めた。

「ここは…?」

「多分、迷宮の道中で見つけたあの川じゃないか?」

「…川なんてあったか?」

「あったぞ」

頭を振って水を適当にはらったハジメに話かけると、訝し気な目をされた。

だが、俺の記憶には川が残っていたので、その旨を伝えると分かってもらえた。

「…あれ?シアは?」

「あん?…そういやいないな…」

一応未来を見てみると、流されてくるのが見えた。

ただ、その映像の中のシアから力を感じられない。

…まるで、水死体のような…

「ちっ」

舌打ちして飛び込み、これからシアが来ると見えた場所まで向かう。

そこで少し待つと、シアが流れてきた。

シアの体を掴み、岸まで泳ぐ。

「おい、シア!しっかりしろ!」

いくら揺さぶっても、シアの様子は変わらなかった。

だが、脈はあった。

「まぁ死んでたとしても問題は無いんだがな。時間を戻せばいいだけの話」

シアの時間を逢魔の力で戻す。

一番健康だった時間へと。

「…ん、あ、あれ?ここは?」

「迷宮へ向かってた道中にあった川だ」

「あ、あれ?川なんてありましたっけ?」

「あったんだ」

有無を言わさぬ語調で告げると、少し声を詰まらせながらも色よい返事をしてきたシア。

それでいい。

「…さて、全員揃ったことだし移動開始とするか」

「いや待て。迷宮攻略に乗り出す前に作った拠点に忘れ物がないか確認しておかないとダメだろ」

「…それって俺の能力使えばよくね?」

「…それもそうか」

冷静に返事をした俺に、納得した表情を見せたハジメは何もなかったように宝物庫からバイクを取り出した。

因みに、忘れ物は無かった。

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時王side

「さて、帰って来たな…ブルックに」

「その言葉…日本ってところに帰ってから言うんじゃないの?」

「まぁジオウさんがいいと思う使い方をすればいいんじゃないですかね」

検問を終えて、町に入った俺達は、すぐにマサカの宿へ向かった。

ハジメの要望が、あの宿に数日泊まっていきたいだったからである。

「…すまねぇな。我が儘きかせちまって」

「いいって事よ。むしろ傍若無人にふるまう方がお前には似合うと思うぜ?」

「なんだよそれ」

不機嫌そうな顔で言いつつも、声は笑っていたハジメ。

どうやら気にするのはやめにしてくれたらしい。

「…私と初めて会った時もあれくらいいい態度をとってくれればよかったんですがねぇ」

「…ん、極めて同感…思い出すだけで怖い」

「言われてるぞハジメ」

「知らないな」

持ち前のスルースキルを発動し、シアとユエからの非難の目を回避したハジメは、迷うことなくマサカの宿へ向かっていた。

そうしてマサカの宿に到着した俺達は、宿の前で怪しい男を発見した。

どうにも様子がおかしかったのだ。目は虚ろだったし、唾液を垂らしながらブツブツと虚ろな目で何かを呟き続けながら宿の前でうずくまっていたのだ。

「…どうするハジメ」

「…こいつがソーナに何か悪影響があるようなら今すぐ殺してやってもいいが…ただの変なやつだったとしたら死体が入り口に転がっている宿とか言う悪評がこの宿についちまうかもしれないからな…放置しておこう」

真っ先にソーナを気にかけるような発言をしたハジメ。バレないように顔を隠しながら笑みを浮かべる。

何だよハジメさん。青春してんじゃねぇか。

目を逸らした先では、ユエとシアもニヤニヤしてハジメを見ていた。

当の本人は俺達のこの態度に気づいていないらしく、表情を崩すこともなく宿に入っていった。

「いらっしゃいませー!…って、あ」

「よ、また来たぜ」

「は、ハジメさん…来てくれたんですね…」

俺達が隣にいるにもかかわらず、ソーナの方はハジメしか見ていなかった。

これはどう考えても、ね。露骨すぎて呆れますよ。

さて肝心なハジメは…

「あぁ、約束したからな」

優し気な瞳で返答した。

…変心して以来、俺以外に全く向けられてこなかった瞳だ。

「……今回は何泊にしますか?」

「そうだな…一日…い、いや。武器の調整とかもあるし、数日間いてもいいだろうな。うん。時王もいいだろ?」

「あぁ。構わないぞ」

言いたいことはいろいろあったのだろう。だが、ソーナはそれを飲み込んで事務的な話をした。

最初ハジメが一日と言った瞬間、ソーナが目に見えて悲し気な表情をしたため、ハジメは自分の意見を物凄い速度で変えた。

これまたいつものハジメならあり得ないことだ。

…うん。さっさと結婚しろよお前ら。

その後も事務的な会話が続いた。

俺達はいまだにソーナの意識の中に入っていないらしく、会話は全てハジメに向けられていた。

「…時王さん、部屋もわかったことですし先に行きませんか?」

「ん、このままいたら二人の邪魔になる…かも?」

「そうだな。ハジメ、先に行ってるぞ」

「ん?わかった」

ハジメに一言言って、俺達はその場を後にした。

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ハジメside

手続きを終え、ソーナと少しばかり雑談をしたので部屋に戻ることにしようとしたとき、ソーナに呼び止められてしまった。

一体どうしたんだ?時王と違って俺は服が破れてたりなんてしないんだが…

「あの…その…」

言いたいことはあるが、中々言い出しにくい、といった感じである。

これがもし時王以外の奴だったら即ドンナーなんだが…なんだろうか、ソーナは待ってていいと思ってしまう。

「あ、あの…もしよろしければ………私と!デートしてもらっていいですか!!」

少したって意を決し多様な表情で叫んだソーナに俺は硬直してしまった。

で、デート?ソーナは今デートって言ったのか?

聞き間違いかと思ったが、周りの奴等は俺達を生暖かい目で見ていた…恐らく、初々しいカップルのように見えているのだろう。

別に付き合って居たりはしないが…と、これはどうでもよかった。

俺の方を見ることなく頭を下げ続けているソーナに、すぐにでも答えねばと気持ちをせかされてテンパってしまう。

え、これってどうやって返事すべきなんだ!?

自称恋愛マスターの時王と違い、女性とこういったことが今まで一度もなかった俺は、どうするべきかまるで分らなかった。

それで…

「あ、あぁ。俺なんかでよければ…?」

「っ!本当ですか!やったぁ!!」

何故か疑問文で答えた俺の言葉を聞き、嬉しそうにその場で飛び跳ね始めたソーナ。

その様子から、心の底から俺とのデートを喜んでいることが察せられた。

「じゃ、じゃあ!明日中心部の噴水前で!」

「お、おう…」

押され気味になりながらも返事をした。

その返事を聞くや否や、ソーナはくるくる踊りながらカウンターを後にした。

「……ハジメさん…いや、ハジメ君」

「おぁっ!?え、えーっと」

呆然としていた俺に、ソーナの両親が話しかけに来た。

…あれ?俺って相手の親がいるところでデートに誘われたのか!?

再びフリーズしかけていた俺に、二人は明るい表情で告げてきた。

「ソーナを…家の娘を…不束者だが、よろしく頼む」

「あの子、とってもいい子だから…大事にしてあげてくださいね?」

「え、あ、はい」

突然まるで結婚前に挨拶に行った後かのようなことを言われたのだが、俺はテンパりまくっていたせいか、敬語で肯定の返事をしてしまった。

そのまま夢遊病者のようにおぼつかない足取りで呆然と部屋まで歩いて行った俺は、一息ついてようやく思った。

「…どうしてこうなった!?」




次回、(非リアが書く)デート回。
期待値、0。

現在のハジメからソーナへの好感度:すっごく気になるあの子。でも恋をしたことなんてないからこれが恋かなんてわからない。デートに誘われて、実はかなり嬉しい。
現在のソーナからハジメへの好感度:彼の事しか眼中にない。恋を知らないはずだが、これが恋だと自覚できるレベルで好き。デートの最期で告白する気満々。
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