ありふれない時の王者と錬成の魔王は世界最強 作:イニシエヲタクモドキ
なんか無理矢理感が目立ちますが、一応作中では明かせないような裏設定がいろいろあるので、興味がある人はぜひ感想まで(露骨な感想稼ぎ)
時王side
突進してきたベヒモスを、咄嗟にハイリヒ王国最高戦力の人達が障壁を展開する。
「お前ら!あの骸骨…トラウムソルジャー共を蹴散らしてでも階段に向かえ!ベヒモスは俺達が片づける!」
「なっ!何を言ってるんですか!あの恐竜みたいなやつが一番やばそうじゃないですか!俺も戦います!」
「馬鹿野郎死にたいのか!アイツはかつて最強と言わしめた勇者ですら敗北した、正真正銘の化け物だぞ!?いくらお前が強いからって…っ!来るぞ!」
言い争っていたメルド団長と天之河の方に向かってベヒモスが突進してくる。
二人はなんとか咄嗟に回避できたが、他の生徒たちは衝撃波に襲われる。
そう言っている俺も衝撃波に襲われ、軽く吹き飛ばされてしまったわけだが。
「ハジメ!錬成を使ってトラウムソルジャーを橋の下まで落とせ!」
「どうやって!?」
「滑り台みたいに、地面を錬成して形を変えればいけるって!」
「…あー、もう。わかったよ!“錬成”!!」
どうにでもなれ、と言わんばかりに叫んだハジメだが、その錬成の効力は凄まじく、トラウムソルジャーを一度に複数体奈落の底へと落とした。
「俺は天之河共を連れてくるから!あとは任せたぞ!」
「わかった!僕もあとでそっちに行くよ!いい考えが思い浮かんだんだ!」
その名案が、後にハジメを絶望させることになるとは、当の本人すら気づいていないだろう。
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雫side
すでに何度かベヒモスの攻撃を受け、障壁は今にも砕け散りそうになっている。
香織たちがその場で何とか障壁の張り方を教えてもらい、何とか壊れないように修復しているが、ベヒモスの攻撃が何度かくれば、すぐに壊れてしまうだろう。
だが、それに気づいていないのか、光輝と龍太郎はメルド団長に向かって、自分たちだけが逃げるなんてできないだの、お前がやるなら俺もやるだの身勝手なことを言い続けている。
そこに、向こう側から時王くんが駆け寄ってきた。
「なっ!?時王!?」
「なんでテメェが…!?」
「と、常盤くん!?」
「今は驚いてる場合じゃねぇだろうが!」
何やらかなり苛立っているようだったが、どうしたのだろうか…って、わかりきっているか。
いつまでたっても駄々をこねて、ベヒモスと戦おうとしている光輝たちにいら立っているのだろう。
「でもっ…君はここに居ちゃいけないだろう!?早くみんなと一緒に逃げt」
「うるっせぇんだよ!!いつまで最強きどってやがんだ!」
言外に戦力がだと告げようとしていた光輝の顔面を思い切り殴りつけて怒鳴った時王くんに、みんな何が起こったのか分からないといった風に硬直する。
「…いっ、いきなり何を」
「周りが見えねぇのか!?ベヒモスみてぇな化け物相手にするよりも、もっとやるべきことがあるだろうが!向こうにいる他の奴等を見やがれ!!全く統率が取れてない。何でかわかるか!?それはリーダーがいないからだ!!天之河光輝って言う、みんなのリーダーが!!希望を与えて道を切り開く、そんな力を持ったお前がいないからみんな今にも死にそうなくらい追い詰められてたんだぞ!?それをお前自身のわがままで、勝てるかどうかすらわかんねぇような化け物に時間割いて、他の奴等に犠牲者でも出すつもりか!?」
「…常盤…ありがとう。目が覚めた。…すみませんメルド団長!俺達h」
「下がれぇー!!」
光輝の言葉を遮るように、障壁が砕け散る音と、メルド団長の悲鳴が上がる。
ベヒモスが、ついにとうとう障壁を破ったのだ。
「天之河!全員連れて逃げろ!」
「じゃあ常盤は!?」
「大丈夫だ、いいから早く!」
「時王ー!!」
「なっ、南雲!?どうして君が!?」
時王くんがベヒモスから目を離さずに光輝に答えると、後ろから南雲くんがやってきた。
なんで!?
「ナイスタイミングだハジメ!さっそくやってくれ!」
「任せて!“錬成”!!」
攻撃準備に入っていたベヒモスのすぐそばまで寄って、地面に手をあてて錬成を始めた南雲くん。
すると、ベヒモスの体が、地面に吸い込まれるように埋まっていった。
「メルド団長!“錬成”!僕がベヒモスを…“錬成”!こうやって動けないようにしておくので、トラウムソルジャーが片づけ終わっt“錬成”!たら!みんなでベヒモスに魔法を撃てるようにしてお“錬成”!いてください!」
「わ、わかった!坊主の言葉を聞いたか!!俺たちもトラウムソルジャーを片付けるぞ!」
南雲くんの必死の訴えを聞いて、メルド団長たちも他のみんなのところに向かって行った。
「俺達も行くぞ!」
「おう!」
「わかったわ!」
光輝の言葉に返事をして、階段側に走って行く。
どうしても時王くんが心配だが、それはぐっと堪えて走り去る。
お願い…どうか…死なないで。
その時の私は、この後時王があんなことになるなんて、まったく予想だにしていなかった。
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時王side
『王に…なりたいか?』
(…?何を言ってるんだ?お前は一体何者だ…?)
『力が欲しいか?理不尽に抗う力が。自分を襲う全てを薙ぎ払う力が』
(理不尽…?何のことだよ?)
『今わからなくても構わない。ただ、もうすぐでお前は望むはずだ。王としての力を。そして歩むはずだ。お前自身の覇道を』
(本当にお前誰だよ…ていうかさっきから何を…)
「…オウ、ジオウ!どうしたんだよ!?」
「…っ!?すまん、なんか…」
寝てた、とかそう言うわけではないが、夢を…夢のような物を見ていた気がする。
「どうでもいいけど、あまり気を抜かないでよ…っ!?“錬成”!」
回復薬を飲み干し、さらに錬成を発動するハジメ。
「わかってるさ…どうするんだ?まだまだアイツらは統率が取れてないみたいだ!魔力と回復薬は足りそうか?」
「足りないよ!ングッングッ…“錬成”!これで切れた!」
「最悪なお知らせありがとう!お前はベヒモスから離れた方がいいぞ!」
言われなくてもっ!といいながら、素早く後ろに下がったハジメ。
「グルァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!」
今まで身動きを封じてきた恨みと言わんばかりに雄叫びを上げ、兜に熱気をためていくベヒモス。
…くそっ!俺に力があれば、もう少し時間を稼げるのに…!
『欲したな?力を』
「…あぁん!?」
「どうしたのさ!!いきなり大声だして!?」
「声が聞こえるんだよさっきから!!」
『王になるための力を!お前は望んだ!ならば必要なものを与えよう!どうやら、まだ器は足りないらしいが…せめてこの場を切り抜ける程度の力を与えようか』
嬉しそうに笑う何者かの声が頭の中で響く。
力を与えようか、と言われた瞬間、俺の腰回りに何かが装着された。
『ジクウドライバー!』
「…嘘だろ?」
「時王…?何それ…?」
「グルァァァァァ…」
黒板をフォークでひっかいたような甲高い音を上げながら、兜がさらに光を増していく。
「…ジクウドライバーがあっても、ライドウォッチがねぇじゃねぇか…」
『言っただろう?切り抜ける程度の力を与えると。器の足りないお前に、本来の力の一端を与えたりなどしたら、体が木端微塵になるぞ?だから、今回はこれだけ貸してやる』
『ジカンギレード!』
俺の腰に装着されていたジクウドライバーから、ジカンギレードとサイキョーギレードが出現する。
「これって…」
『さぁ、存分に戦え!』
「じ、時王…?なんなの…それ…」
「…ま、詳しくはあとだ…なんか、行ける気がする!」
『サイキョー!』
『フィニッシュターイム!!』
サイキョーギレードをジカンギレードに合着させ、剣先を上空に向ける。
その瞬間、俺の剣からエネルギーが溢れ出し、ジオウサイキョウという文字が現れる。
文字の色はピンクではない。マゼンタだ。
「うぉおおおおおお!!」
『キング!ギリギリスラッシュ!』
思い切りベヒモスを切りつける。
その次の瞬間、ベヒモスの体が爆発四散し、途轍もない轟音と共に、橋が崩れ始める。
「…逃げるぞ!ハジメ!」
「う、うん!」
その場から急いで逃げ出そうとしたときに、それは起こった。
「…え?」
誰かが、その光景が信じられないというように声を出す。
それはこちらのセリフだ、と言いたい。
落下していく中で、俺は確かに見た。
次回はつなぎの回なので、あまり長くないです。
八重樫、壊れる。(ネタバレ)