IS【小さな少年は盾を構える】   作:屍モドキ

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 最近暑くてキレそう。
 お身体に気をつけて乗り切りましょう。






八十八話 鉄の人形と叛逆の盾

 鳴り止まない警報音。

 部屋中を照らす赤色灯が既に分かっている異常事態を知らせるが、最早その音は神経を逆撫でするだけの雑音でしかない。

 

「三年生は緊急停止装置の解除! 二年生は一年共の避難誘導をしておけ!!」

 

 指示を飛ばす織斑 千冬。

 痛む片腕を抑え、今尚アリーナ中央で敵機と応戦している四名の安否を祈る。そしてそんな事しか出来ない今の自分を恨んだ。

 あの不明な敵機が特殊な電磁波でISの絶対防御を阻害している事は分かっているが、電波妨害のせいでそれを全ての生徒に伝える術がない。今度もやむ無く生徒に戦わせているこの現状がこの上なく屈辱的だった。

 

 一夏の扱きで自分が潰れてさえいなければ、もしくは出撃していた。

 

 苦虫を噛み潰したように顔を歪め、身動きの出来ないまま、それでもできる事を全力でこなす。

 

 一夏……。

 

 

 

 

 アリーナの各控室に飛んでいった敵機。

 全身装甲に覆われているが、関節は球体関節が補っており、おおよそは人の形を保っているが、見方を変えれば人の形を模しているとも捉えられる。

 人体構造を逸脱した人形が律儀に人の動きを真似するはずもなく、不可解な態勢からでも攻撃を仕掛けてくるので、見た目からはもとよりその動きが更に不気味さを増していた。

 

 

「こンのォォオオ!!!!」

 

 雄叫びとともに鈴は振り被った青龍刀を敵機に叩き付け、肉薄した勢いのまま、両肩の専用ユニット『龍砲』を喰らわせる。

 超近距離からの衝撃砲をまともに受けて吹き飛び、バラバラになって控室の壁にめり込む敵機だったが、間もなくして散らばったパーツは一つに合体し、平然と立ち上がって肩と左腕のカノン砲を乱射する。

 

「ヤバっ!?」

「ブルー・ティアーズ!」

 

 同時に撃ち出される光線の横雨。

 敵機の全ての砲撃を撃ち落とし、簡単に無力化してしまった。

 そしてついでとばかりに敵機の頭を狙撃したセシリアは涼しい顔で髪を靡かせる。

 

「どんな芸当なのよそれ」

「ただ狙撃と早射ちの足し算をしただけですわ」

「簡単に言ってくれちゃって」

 

 鈴は二振りの青龍刀を連結させ、大型の双刃である『双天牙月』を起き上がった無人機に向かって構える。

 

「あの人形、どうやって倒す?」

「壊せば止まるかと」

「任せなさい、得意なのよ」

 

 二人の髪が風に揺れる。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 シャルロットとラウラの所へ落ちてきた無人機。

 会敵と同時にラウラへ飛び掛かった敵機は彼女の銀髪の頭を割らん限りの力で握り潰そうとするが、敵を見た瞬間二人はISを展開し、ラウラは自分の頭を掴んできた相手にプラズマ手刀を突き立てていた。

 

「ハァァッ!!」

 

 無人機の左腕に根本まで突き刺さるプラズマ手刀はそのまま敵機の左手を根本から切り落とす。

 更にラウラは左肩のレールカノンの照準を無人機に向け、盛大に撃鉄を下ろす。

 

 大口径の銃口から打ち出される物理弾は部屋中を照らすバレルフラッシュで半壊した控室を白く染めながら、何発も轟音を叩き鳴らす。

 

 弾倉の弾丸を撃ち尽くしたところで一瞬の静寂が漂う。

 だが、停止したと思われた無人機は火薬の煙幕の中からぬらりと現れ、右手のナイフを振り上げてラウラに襲いかかった。

 

「ラウラ、しゃがんで!!」

 

 シャルロットの指示と同時に、ラウラの頭の上をライフル弾が無人機の右腕を撥ねる。

 

 弾かれた無人機の右腕はロッカーを凹ませ、両手を無くした敵機はそれでも止まることなく肩の銃口を二人に向けて乱射する。 

 撃ち乱れる光線の嵐に耐えられず、二人は瓦礫の影に逃げ込みながら体制を立て直す算段を練る。

 

「ヤバイね、スキンバリアが消えて絶対防御も効かないよ」

「あぁ、おかげで髪が少し焦げた」

 

 チリチリに焦げた髪先を鬱陶しく弄りながら、ラウラは物陰からハイパーセンサーの知覚領域を広げて状況を見定める。

 

 敵機の動き自体は単調的だが、理性も痛覚も無いようだ。ただ単に無力化するのは難しいな。デタラメな出力でうまく近づけん。

 

「どうする、ラウラ」

「今考えている」

 

 身動きの出来ない状況に焦りそうになる二人。

 そんな傍らについ先程無人機から切り落とした巨腕の左手が、ひとりでに二人のもとへ這いよってきた。

 気味悪く感じた瞬間、それはガバリと開いて銃口を晒し、眩い光を漏らす。

 

「しまっ────」

 

 けたたましい衝撃音が部屋中をかけめぐる。

 

 

 ◆

 

 

 

「なんだァ、てめェ?」

「ファンって感じでも無さそうスね」

 

 襲来と同時に砲撃を仕掛けてきた敵機に、ダリルとフォルテの二人は瞬時にISを展開して左右それぞれに別れ、回避する。

 

 彼女の専用機、『ヘル・ハウンドver.2.5』で小さな火球を数発、物言わぬ敵機へ撃ち込んだダリルだが、それらの火の玉は敵機の目前で一瞬にしてかき消された。奴のシールドビットで防がれたのだ。

 

「へぇ、ただのデクって訳じゃないのか」

 

 火球を撃ち落とした敵機は角の生えた頭をもたげて床を踏ん張り、ダリルに向かって飛び上がろうとして、失敗する。

 見れば敵機の足は膝のあたりまで凍り付いており、それはもう一人の少々、フォルテ・サファイアの専用機『コールド・ブラッド』の単一仕様の能力であった。

 

「ナイスだフォルテ」

「うっす」

 

 身動きの出来ない敵機に向かって双刃を振り被るダリル。

 炎を纏わせた刃はちりちりと彼女の柔肌を焼きながら、轟音を立てて敵機に突き刺さった。

 

「オォラッ!!」

 

 だが相手は人の入っていない無人機。いくら急所を狙い、致命傷を与えた所で人の理で動いていない機械人形は、悲鳴一つ上げずにまた立ち上がり、全身の凶器を嬉々と掲げて襲い掛かる。

 

「鬱陶しいなァ、コイツはよォ!!」

「だったらもう一度凍らせるッスよ!!」

 

 火炎弾と氷結弾が無人機の光弾を相殺する。

 その間も無人機は一歩、また一歩、二人に向かって距離を縮めてくる。

 敵は右手のナイフを展開し、左手の砲門を広げ、チャージを開始している。

 

「どうします? ダリル」

「仕方ねぇ、派手に決めるぜ」

「了解ッス」

 

 二手に別れ、少女たちはその手にそれぞれ灼熱と極寒のエネルギーを溜める。

 

 危機を察知した無人機はすぐ様シールドビットを展開し、防御態勢に入るが、そんなものは忽ち吹き飛ばされた。

 

 眩い光と伴う轟音が、アリーナの一室を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 ◆

 

 

アリーナの地下。

 そこには結の部屋である物置部屋があった。

 未だズタボロの部屋の中で一人、少年が膝を抱えて寝転んでいる。

 

 部屋全体が外からの振動で揺れ、疎らに築かれた瓦礫の山がごろごろと崩れ落ちる。

 

『ウルセェナァ』

 

 そうしていると、一際大きな振動が部屋全体を強く揺らす。

 埃が舞い、瓦礫があちこちに散乱していく。部屋の照明が切れ、赤色灯に切り替わると同時に、通路から警告音がけたたましく鳴り響いてくる。

 

 程なくし、部屋の壁を切り裂いて赤銅色のISが無造作に侵入してきた。

 そのISは角の生えた頭部をもたげて少年を視認すると、足元の有象無象を踏み潰しながらまっすぐ少年のもとまでやってくる。

 

『ハッ、無人機カ』

 

 部屋に侵入者が現れようと、その子供は尚も動かず、無人機に背を向けたまま寝転んでいる。

 

 無人機は少年の前で立ち止まると、左腕のナイフを物々しく展開し、鈍色に光るそれを高々と持ち上げる。

 そしてモーションが定まったのか、がちりと1拍置いて掲げたナイフを真っ直ぐ、少年の脳天目掛けて振り下ろす。

 

 だがナイフは少年の頭をかち割る事はなく、激しい金属の衝撃音を鳴らして止まった。

 少年の頭上から2cm上。瞬間で展開された小型のシールドビットが無人機のナイフを受け止めていた。

 

『ッ───』

 

 更に二枚の盾が展開され、三枚の小型盾は無人機の周りを旋回しながら無人機を袋叩きにしていく。たとえ一枚が捕まったとしても別の二枚が反撃し、拘束を解いてまた峰打ちを繰り返す。

 

『敵ダ、結。戦ウゾ』

「(……やだ、何もしたくない)」

 

 亡霊は内なるもう一人の人格に問い掛ける。

 

 だが返答は拒絶。

 

 目の前ではナイフとレーザーの抵抗を圧倒しながら、三枚の盾が無人機と格闘している。その様はまるで見えない生き物が機械人形に絡みついているようでもあった。

 

『ソレジャア、ヤラレチマウゾ』

「(どうでもいい……)」

 

 無気力に倒れ伏す少年の心は完全に閉じ切っていた。

 殻に閉じこもり、これ以上傷付きたくないと塞いでしまっている。

 

「(もう、何もしたくないんだ……何もしたくないのに……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 またあの夢を見た。

 あれから毎晩のように、あの子達が夢の中に現れては虚ろな目でじっと見詰めてきて怨み言を延々と囁かれる。

 

 

 

「ぼく、どうしたらいいんだろう」

 

 部屋の中で盾と戯れる無人機をハイパーセンサーの全方位機能で視認しながら、結は独白を続ける。

 ただでさえ寝不足気味の少年にとってここ最近続いて見る悪夢に魘され更に睡眠不足に陥り、まともに寝たのはいつだったか忘れてしまった。

 

「あの子達が、言うんだ。死んでしまえって、いなくなれって。フーが言うんだ。オレに変われって……」

 

 縮こまる背中は小刻みに震え、死に誘う彼等と同じ眼孔の色を瞳の奥に灯し、夢現の頭で正常さを欠いた思考にまともな判断は下せず、最早この身体を、意思を、誰かに委ねてしまいたくなった。

 

 もう聞きたくない忌み事は鮮明な雑音で耳にへばりつき、いつか共に過ごした施設で嗅いだ血肉の臭いは鼻の奥でこびりついて離れない。

 

 

 今も鳴り響いている警報のブザーは昔施設にいた頃の、検査開始の合図と重なり、思い出さないようにしていたあの日の記憶が蘇る。

 

 鉄のぶつかる音、発砲音、硝煙の臭い、空気が焼ける臭い。

 

 

 

 彼等と殺し合った思イ出。

 

 

 

 忘れたいあの日々の思イ出が記憶の底からずるずると起き上がり、体の震えは途端に止んだ。

 

 扉を隔てて一夏達を見詰める結は冷たい床を一歩一歩危うい足取りで踏みしめながらパーカーを脱ぎ、項のISを露にする。

 

 

 

『「検査ノ時間ダ……」』

 

 

 

 項のランプは赤く点滅していた。

 

 

 

 ◆

 

 ラウラの前で弾けた無人機の左腕。

 途轍もない爆音を轟かせてアリーナの一角を吹き飛ばすものかと思われたが、その衝撃がラウラ達に届くことはなかった。

 

「ッ……結のシールドか!?」

 

 突然現れた二枚の小型シールドが無人機の光線を防いだ。

 

 二枚の盾は何も言わず、ただ耽々と無人機を前に立ち塞がる。

 そして無音のまま空中に浮遊する盾達はバキリと亀裂が入り、節のない四肢を伸ばす。簡易的な変形を繰り返し、人型に近いシルエットへと姿を変えていく。

 

 盾の防御面が上下二枚ずつに割れ、縦長の中心軸に併せて上下とも左右に別れる。五本の板で全身を構成された機体には肘膝などの関節は無く、単調な人形の兵士達は敵の無人機と同じ色のバイザーを光らせ、宙を蹴って無人機に向かって飛びかかった。

 

『──ッ!』

 

 一撃の威力は皆無に等しいだろう。だが軽さゆえの俊敏性と機動力で無人機を翻弄する兵士は赤銅色の機体を足止めする。そして不意を突いた一撃で無人機の足を掬い、その場に転倒させた。

 

 そして二人の前に降り立ち、シールドの形態へ戻ってそれぞれの機体に装備される。

 

「シンクロ率があがった!?」

「ジャミングも無効にしてしまった」 

 

 盾はセシリアが使用した時と同じような効果を発揮し、さらに無人機の妨害電波まで跳ね返してしまった。好機を得た二人は胸を借りる思いで盾を担ぎ、ラウラはブレードワイヤーとA.I.Cで無人機を拘束。シャルロットはハンドガンで関節を撃ち抜く。

 

「まだまだッ!」

 

 高速切替をしたシャルロットの狙撃銃が無人機の頭を撃ち抜き、対物ライフルの威力を優に超える弾丸は無人機の頭を吹き飛ばした。

 

『―――ッ!!?』

 

 センサーカメラを失った敵機はその場でたたらを踏み、姿勢制御がままならずに千鳥足になっている。

 そこへダメ押しとばかりにシャルロットが畳み掛け、左腕に装備された六九口径パイルバンカー『灰色の鱗殻(グレースケール)』を無人機の鳩尾に撃ち込む。

 堪らず吹き飛んだ無人機をラウラはブレードワイヤーで吊し上げながら無人機を放り投げ、プラズマ手刀でコアを貫いた。

 

 無人機は生気を失って力なく横たわる。

 無力化の確認が取れるや否やシールドビットは二人の機体から剥がれ、何処かへと飛んで行ってしまった。

 それを見送りなら二人はやっと繋がった通信に応答する。

 

「こちらボーデヴィッヒ、敵機討伐完了。これより他生徒と合流します」

『了解した。気を付けていけ』

 

 

 

 ◇

 

 

 

 これで何度目かの衝突音。

 無人機の豪腕と凶器の猛攻を両手で握った厳つい双刃と両肩の砲門で捌いている鈴だったが、それでも相手の光線までは手が回らない。

 

「チッ……!」

 

 目の前で眩く煌めく砲口を見せつけられて、その度に肝を潰す思いで逃げ出したくなるが、避けるよりも前に発射された光弾を、自分の背後から弧を描いて飛んできたレーザーが敵機の光弾を撃ち落とす。

 

 ブワリと煙幕を突き抜けて、鈴は振りかぶった双刃で無人機の丸太のような左腕を弾き、超至近距離で両肩の『龍砲』を喰らわせる。

 ガガン、と金属板を叩く音が響き、無人機の脚が床から若干浮いた。だがその程度では止まってくれない。

 鈴は左半身からの殺気を感じて側転しながら回避する。ついさっきまで自分がいたところを無人機のナイフを展開した右腕が海老反りした姿勢から繰り出され、空を掠めていた。

 

 そのままバク転しながらセシリアの横まで後退した鈴は内心ひやひやしながら毒づく。

 

「まったく、危ないったらありゃしない。まともに近付けないし!」

「こうも狭いとビットもまともに動かせません」

 

 次の作戦を練っていると、どこからかガタガタと音がする。

 何かが通気口を這っているような音だ。

 

 まさか猫かネズミが迷い込んだのでは?

 こんな非常事態でそんなものを助けている暇はない。

 

 諦めて放っておくか、そんな事を考えている間にも、音は段々と近付いてくる。更に激しさを増す音源が、やがて空気供給管のカバーにぶち当たると音がした。

 

 明らかに上記を逸した衝突音は猫などのそれではなく、まともな動物ではなさそうに思える。

 

 更にもう一回、激しい衝突音が甲高く鳴り響いたと思ったら、部屋上部に備え付けられた通気口から二枚の盾が飛び出してきた。

 

「はあっ!?」

「なんです!?」

 

 盾は飛び出した勢いのまま無人機の顔面に突撃し、一際大きな音を立てて跳ね返る。

 飛び跳ねた二枚の盾は、例によって簡易な人形の兵器へと姿を変えて再び無人機へと飛び掛かっていく。

 

「あれ、結の盾よね」

「はい。間違いありませんわ」

 

 二体の兵士は無人機の攻撃を巧みに躱しながらコマの様に回転して動きを封じている。

 元が盾である事もあり、その頑丈さから繰り出される一撃は微々たるものだが確実にダメージを与えている。更に無人機からの攻撃にも耐え、光線が来ようものなら盾へ戻って防ぐ。

 

「どきなさい!」

『──ッ』

 

 鈴の掛け声と同時に、無人機に向かって飛んでいったのは分厚い二振りの青龍刀『双天牙月』。

 重たく風を切る音を立てて飛来した刀はすぐ様飛び退いた盾達をすり抜けて、置いてきぼりにされた無人機の両肩に突き刺さった。

 

 束の間の無力化を確認した盾達はシールド形態に戻り、二人の機体に装備されて妨害電波を無効、そしてそれぞれの機体シンクロ率を上昇させる。

 

「これは……」

「一枚でも相当な効力ですこと」

 

 出力の上限を一時的に突破した二人の機体。

 それぞれ砲撃装備を展開し、全ての砲口を無人機へ向ける。

 

「ブルー・ティアーズ!!」

甲龍(シェンロン)!!」

 

 ライフルビット四基と光線銃、追加武装込みの衝撃砲四門。その全てが上限突破された出力での砲撃に備え、力強いチャージに入る。

 

 なんとか回避しようともがいている無人機だが、それよりも早くにチャージは終了し、一斉に発射された五本の光線と四つの火球、その無慈悲な大火力が控室の一角ごと無人機を消し去った。

 開いた穴の先で瓦礫に埋もれる無人機がついにエネルギー切れで停止する。それを確認するやいなやシールドビットはまたも二人から剥がれ、開いた大穴から飛んでいった。

 

「ふぅーーーっ、やったわね!」

「エレガントではありませんでしたが」

 

 腰に手を当てて快活な笑顔を浮かべる鈴に対して、ブロンドの長髪を払いながらセシリアが澄まし顔で毒を吐く。

 

 やっと繋がった通信からその他大勢の生徒の安否とまだ戦闘中のチームがある事を知らされた二人は、吹き抜けになった控室を飛び出した。

 

 

 ◆

 

 

 部屋の半分が損壊している。

 あたりの破損部分は奇妙な状態で、半分は赤熱するほど焼け焦げているのに対して、もう半分は氷柱が並び立つほど凍り付いていた。

 

 被害が一番大きいのは壁に叩き付けられて芋虫のように藻掻いている無人機で、装甲の殆どは溶解と凍結が折混ざったような状態で破損し、内部の配線や機械部品等がはみ出していた。

 

「げほ、ヤリ過ぎたか」

「ま、倒したのでヨシってコトで」

 

 無人機を機能停止まで追い込んだ事で、ISの機能が回復したのを確認した二人は、煙たい空間から逃れる様に外へ出る。

 

「ん、コイツは」

 

 外にはこちらの様子を伺っていたらしいシールドビットが二基。

 自分のたちの安否を確認するやいなや、二枚の盾は何も言わず去っていった。

 

「なんスか、あれ?」

「ほっとけ。ひとまず合流するぞ」

「ウス」

 

 まるで観察でもされていたような感触。

 ダリルはわだかまりを抱えて、今目の前の問題に取り掛かるよう努める。

 

 面倒がなけりゃいいな。

 

 

 







 次回、一夏達の回。あとついでに結も出したいな。

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 ではでは。
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