妖怪専門探偵日誌   作:インドレント

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記念すべき十話目の投稿です。さて、話は一気に進みます。多分次回でこの事件も終わるかな?


第弐-2話 蛇の謎と微弱な妖気

その夜、岳川は警察からの電話で目を覚ました。

「もしもし。夜分遅くにすみません。警察なんですけれども、こちら岳川滋人さんのお電話でしょうか?」

「はい、そうですが。どうかされましたか?」

「あなた、淵森蓮子という女性を知ってますよね?」

「はい知ってます。彼女が何か。」

「詳しい事は高森病院で話します。来ていただけますか?」

「!?分かりました。すぐ向かいます。」

(まさか彼女が襲われるとは。しかし病院という事はまだ死んではいないということか。)そう考えると急いで病院へ向かった。

病院のロビーでは警察の人が二人待っていた。四十代くらいの男と二十代くらいの男だった。上司と部下という関係のようだ。

「お電話いただいた岳川です。一体彼女に何が。」

すると四十代くらいの男が名乗る。

「わざわざ来ていただきありがとうございます。私、捜査一課の信濃と言います。実は淵森蓮子が部屋の中で倒れているのが発見されまして。ただ今回は隣人の対応が良かった。何でも、夜寝ていたら何かに窓を叩かれるような音がしたので目が覚めたらしくて。それでベランダに出てみましたが何もおらず気のせいかと思い、部屋に戻ろうとしたら隣から物音と苦しげな声が聞こえてきて、すぐに救急車と警察に電話をしたそうです。その隣人の迅速な行動のお陰で彼女は一命は取り留めたらしいです。」

「そうですか。生きてるんですね。良かった。…ところで何故私の連絡を?」

「部屋を調べたらあなたの連絡先が書かれた紙が有りまして。それにこんなものも。」

そう言って懐から連絡先が書かれた紙とお守りを出した。しかしお守りは内側から破裂したように大きく穴が開いていた。…どうやら彼女を襲ったものは少なくとも妖気の様なものを纏っているらしい。

「ちなみにこのお守りはあなたが彼女に渡したのですか?」

「はい。昼間に渡しました。その時はお守りに穴は開いてませんでしたけど。」

「なるほど。いやね、まぁ私もこんな歳ですから妖怪やら幽霊やらは信じてはいないんですけど。神様ってのはいると思うんですよ。運良く助かったのも神様のお陰かなってこのお守りを見て思ったもんで。あなたもそう思いません?」

「えぇ、私も神様はいると思いますよ。」

少し場の空気が緩んだところで信濃は

「じゃあ、あなたと彼女の関係等について少し話していただけませんか?」

「はい。協力させていただきます」

そして岳川はこの事件を追うに至った経緯を信濃に説明した。…もちろん妖怪絡みなどとは言えるわけがなく、「自分は探偵であり、例の事件が起こったマンションには知り合いがいて、蛇が入ったなら何処から入ってきたのか調べてくれないかと頼まれた。ただ被害者は亡くなっているので、直前まで会っていたであろう彼女に彼はどのような部屋の状態で寝ていたのか聞きに行った。連絡先はその時に渡して、励ます意味も込めてお守りも一緒に渡した。」と説明した。

「なるほどね。確かに蛇が入ってきた所が分からないと不安だよな。了解しました。こんな夜遅くにお呼び立てしてすみません。こちらから聞きたい事は以上です。ご協力感謝します。」

岳川が帰路につこうとすると部下の刑事がやってきて

「信濃さん!被害者が意識を取り戻しました。」

「そうか!よし、意識を取り戻したばかりだからな、本格的に聞くのは日が昇ってからにするが、少しだけでも聞こう。」

そう言って二人は病室に消えていった。岳川も話を聞きたかったが大勢で押しかけるのはどうなのかと思い、ロビーで待っていた。十五分くらいで病室から二人が戻ってきた。岳川が声をかける

「信濃さん。彼女はなんと言っていたのですか。教えてください。」

岳川がそう言って頭を下げると信濃は少し悩んでから

「…いいだろう。あんたは我々に協力してくれたからな。彼女は混乱していた。まぁ突然だったようだから当然かもしれないが、ずっとある事を繰り返し言っていたよ。…大蛇が巻き付いてきて私の首を絞めたってな。そんな隙間は何処にもないはずなのにな。事件なのか事故なのか、ますます分からないよな。」

そう言うと信濃はパトカーに向かって行った。すると乗る前に

「そう言えば、妙な事を言ってたな。」

「妙な事…ですか?」

「あぁ、確かに蛇なんだが日本の蛇じゃないんじゃないかってな。普通の蛇にしては平らだった気がするってさ。俺はそこまで蛇に詳しくないが海外にはそんな蛇がいるのか?…まぁあんたも気をつけなよ。」

そう言って去って行った。(普通の蛇にしては平らだった?これは重要なヒントなのかもしれない。)そう思いながら、岳川も帰路につく。

次の日の昼、岳川は蓮子が行っていた日本舞踊の教室へ情報を聞きに行った。普段は夕方にやっているらしいが今日は休日なので昼間に繰り上げしての稽古だそうだ。岳川は尋ねる

「最後に彼女に会ったのはいつですか?」

「あの、例のマンションの事件が起こる前日の稽古の時ですね。あの子は稽古には休まず来ていたので。」

「彼女は普段どんな人ですか?」

「…稽古には真面目に打ち込んでました。ただ少し周りを見下すような発言があったのも事実です。それにお金持ちらしくて何着も着物を持っているようでした。」

「そうですか。…この中で例の事件で亡くなったのが彼女の彼氏であったと事件前に知っていた方はいますか?」

ほとんどがあの事件があってから知ったようだったが一人だけ、

「あの…私、事件前に彼氏が居たことを知っていました。」

「あなた、お名前は?」

「帯元夢子と言います。」

(何だ?この人から僅かにだけど妖気みたいなものを感じるぞ…。)

「少し手を握ってもらっていいですか?」

「えっ、…こうですか?」

(この感じ、この人は生きてる普通の人間だな。しかしだったら何だこの感じは?)

「質問に戻ります。いつ彼女に彼氏がいると知ったのですか?」

「事件前日の稽古終わりです。どうやら待ち合わせをしていたようで男性の方に彼女が向かっていき、その後腕を組んで歩いていました。」

「ちなみに男性の方と面識は?」

「…面識というか。私、稽古が終わると夕食をコンビニで買うんですがそのコンビニにいる店員さんとしては知ってます。笑顔が素敵な優しい店員さんでした…。個人的には結構好みのタイプでしたね。まあ、その稽古終わりまでは、まさかあの二人が付き合っているとは思いませんでしたけどね。」

(纏っている妖気が微妙ではあるが強くなった…?もしかして、今回の事件で本当に狙われていたのは最初の被害者である彼ではなくて彼女の方だったとしたら。…蛇…女…彼氏。分かったぞ。今回の妖怪は一体何か。…ただだとすると少しばかり厄介だな。今度は蓮子さんの半生についてもう少し調べる必要があるな。)

 

 

「みなさんご協力ありがとうございました。ですが、もしかしたら人がいる前では話さないようなこともあるかもしれませんのでこちらの紙に住所と住居の部屋番号を書いていただきたいのです。安心して下さい。悪用はしません。その住所を頼りに私が家に赴きますのでその際に何か言えなかったような事があれば仰ってください。」

そう言うと岳川は全員の前に一枚ずつ紙とペンを置いた。全員、渋々といった感じではあるが記入してくれた。

「ありがとうございます。ではみなさん長い間時間をとってしまい申し訳ありません。これで失礼させていただきます。」

 

 

 

岳川は一度自宅に戻ると淵森蓮子についての情報を集めた。そしてある程度情報が集まったのち、夕方になってから家を出て一人の人物の家へと向かう。この情報を伝えるために、そして妖怪を退治するために。家に着きインターホンを鳴らす。ピンポーンと軽快な音ともに誰かが出てくる。

「はい。…あなたは昼間の探偵さん?」

「はい。岳川です。…中で少しお話聞かせてもらえませんかね。」

 

 




読んでいただきありがとうございます。良いところで切りますよ。実は感想をくれた方で今回の妖怪の正体が分かったという人がいらっしゃいました。凄いですね。…少しヒント与えすぎたかな?笑。そんなこんなで投稿した話が十話になりました。これからも頑張りたいですね。では、また次回お会いしましょう。
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