妖怪専門探偵日誌   作:インドレント

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堂々の参話目です。…実は今回の妖怪、自分の中でも結構好きな妖怪です。では、どうぞ。


第参-0話 軟派男と女

ある山の中、「宇和島 茂」(うわしま しげる)は同僚の「城辺 現」(しろのべ げん)と共に釣りに来ていた。この山に来たきっかけは城辺の一言だった。宇和島は会社の中でも目立つような存在ではなく、仕事がとても出来たりするわけでもないような普通の地味な社員だった。一方で城辺はそこまで仕事が出来るわけではないが明るい、誰にでも話しかけるような奴だった。初めて会った時はこの人、苦手だなと感じたが、趣味の話をしていて城辺は釣りが趣味だと知ってからは、休日によく行動を共にするようになった。そんな城辺がつい先日

「なぁ、宇和島。お前、南木山って行った事あるか?」

「南木山?行った事ないな、どこだそれ?」

「この町から山一つ越えたとこにあるんだけど、そこの山の中に湖?沼?…どっちか忘れたけどそこで魚が釣れるんだと。今度の休みに行ってみないか?」

「いいな。行ってみるか。じゃあ、休日に各自、車で。待ち合わせは現地か?」

「いや、一回違うところで集まろうぜ。昼飯とか買わなきゃいけないし。」

「了解。じゃあ、あとで連絡するって事で。あー、休日楽しみだな。」

「俺もだ。その為にも仕事やらなきゃな。」

そんなこんなで、釣りをしに来た宇和島達。カーナビに山の場所を設定し、走る。しばらくして、山に入る道の前まで着いた。そこで停車するとエンジンを止めて車から降りる。

「ここからは歩きだな。」

「みたいだな。…何回か山の中の釣り場にも行ったけど、この釣り場に着くまでが疲れるよな。」

「そう言うなって。そこまで楽しんでこそだろ?…ま、疲れるのは認めるけどな。」

そんな事を言いながら山の中へと入って行く。取り留めのない話をしながらしばらく歩く。大分、山の中に入ってきたところで目の前に大きめの沼が現れた。

「ここか。思ってたより大分、大きいな。」

「あぁ、今日は案外釣りにはいい天気だからな。よし早速釣るか。」

確かに空は暗めの曇り空だが、釣りをするには良い天気だ。そう思うと宇和島も釣りの準備をし始めた。釣り糸を垂らし、釣れるまでは話をして合間を潰す。

「なぁ、宇和島。お前、丸山さんの事どう思う?」

「丸山さんって。うちの会社の後輩のか?…いや、どうも思わないけど?」

「実は俺狙ってみようかなって思うんだよね。」

「はぁ?お前確か一月前くらいに同期の立川さんと付き合ってるって言ってなかったか?まさか別れたのか?」

「いや、別れてないよ。ただね、飽きたんだよ。だから狙ってみよっかなって。」

「お前…相変わらず女癖悪いなぁ…。」

そう、宇和島は未だに一つだけ城辺に対し、苦手なところがあった。それは女癖の悪いことだった。気に入った女性がいれば今、誰かと付き合っていようがその女性の方にも行く。今まで見てきただけで軽く二桁の人数の女性と付き合って、別れてを繰り返している。

「しょうがねぇだろ。多分俺は惚れやすく、冷めやすいんだよ。…まぁ、俺はこんな性格でも幸せだから良いんだよ。」

そんな話をしながら釣りをしていた。時が経ち、時刻も夕方過ぎになり、周りが薄暗くなってきた。

「暗くなってきたな。時間も良いくらいだし、そろそろ帰るか。」

「そうだな。帰るか。…あー、結構楽しかったわ。」

そう言って釣りの用具を片付けて来た道を下って行った。下っている途中、城辺が声を上げる。

「おい、あそこに女が立ってないか?」

見ると山の中に一軒の山小屋が建っていて、その前に女がこちらに背中を向けて立っていた。

「何してるんだ?山小屋の人かな?」

「そうなのかな?…後ろ姿だけ見る限り美人そうだな。」

「おいおい…、まぁ、日が沈んできてるし、そろそろ家に入るところだろ。俺らも帰ろうぜ。」

「…俺、あの人ナンパしてくるわ。」

「おいおいおい、流石にそれはどうなんだよ。顔も分からない様な女性だぞ?やめた方がいいって。」

二人が言い合っているとその女性が少しこちらに振り向いた。それは横顔だけだったが、結構な美人だった。

「ほら、結構美人じゃん。お前は帰ってていいから、俺は行ってくる。もしかしたらロマンスが始まるかも知れないからな。」

「…分かったよ。俺はもう知らないからな。本当に帰っちまうぞ。」

そう言って、宇和島は車へ向かい先に帰った。流石の城辺でもあそこまでとは思わなかったし、本当に帰ってしまったと分かれば少しは反省すると思ったからである。

 

 

しかし、次の日から城辺は会社にも来なくなり、携帯も繋がらない。

心配になった宇和島はあの山小屋があったところまで行ってみた。すると、山小屋の前に城辺の釣り用具がそのまま置かれていた。携帯も近くに落ちていた鞄から発見されたのでそこに何か残してないかと漁ったが何も無かった。他にも何か落ちていないかと探していて気づいた。何故か太めの釣り針が何本か落ちていた。(何だ?こんなところで釣りでもしようと思ったのか?でもこんな水もないところでか?)

と思い、拾おうと触れた時、バチッと強めの静電気の様な刺激が走った。一度自分の手を見て何事もない事を確認してから再び、針に触れた。今度は普通に触る事が出来た。それはまるでマグロを釣る時の鉤を一回り太くした様な鉤だった。(こんなの持ってたかな?いつの間にあいつこんなの買ったんだ?)と考えていたが、肝心の城辺がいない事を思い出し、その付近を探した。しかし、見つかる事は無く、城辺は行方不明になった。警察も山の中を探したらしいが見つからなかったそうだ。

宇和島は何であの時あいつを置いて行ったんだと後悔した。その時の光景を思い出していると違和感がある。…山の中で着物を着る物だろうか?そう考えたとき背筋がゾッとした。もしかしてあの女は会ってはいけない様な存在だったのではないか。

…だとしたら、城辺はこの山のどこかにいるのではないか。いわゆる一種の神隠し的なものになっているのではないか。だとしたら誰かに相談するべきなのでは?ここまで考えて、宇和島は冷静になった。待て待て、こんな話誰が信じる?神隠しなんて伝説の中だけの話…のはずだ。そう考え、インターネットの検索エンジンに「妖怪 神隠し」と打った。出て来たのは大体が伝説、民話だった。当たり前だ。そりゃそうだよなと思い、閉じようと思った宇和島の目にこんな記事が入って来た。「妖怪事件専門の探偵」。少し考えた後、宇和島は賭けてみるかと車に乗り込み、ホームページに載っていた住所へと向かった。

 

 

 

 

ここまでの犠牲者: 一人




読んでいただきありがとうございます。自分、この妖怪好きなんですよね。まぁ一位ってほどではないんですが。七位くらいかな?さて、今回の妖怪、分かりますかね?では、また次回お会いしましょう。
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