妖怪専門探偵日誌   作:インドレント

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今回が壱話のラストです。まさか数日で出来たことに自分で驚きを隠せません。


第壱-4話 事件の真相と戻った平穏

次の日、連夜は岳川の屋敷へと向かった。屋敷の前に着き、インターホンを鳴らす。少ししてから「はい」と岳川が出る。

「連夜です。昨日の話の続きを聞きに来ました。」

「おお、今開けるよ。」

しばらくして、玄関の引き戸が開き、上がるように言われる。

前と同じ部屋へ通され、

「飲み物は何がいいかな?アイス?ホット?」

「前と同じアイスコーヒーで。」

そう頼むと前と同じセットが出てきた。

一息ついてから連夜が話を聞く

「じゃあ、聞きます。何故今になって妖怪がでてきたのでしょう?」

「やっぱりね。聞いてくると思ったよ。少し長くなるよ。恐らく百年くらい前にこの町に松の木が贈られた理由は封印のためだったのだろう。当時の和歌山県としては初めはよそに贈るなんてつもりはなかったとは思うけどね。当時の和歌山県の中で釣瓶落としの被害があったのかもしれない。それで県内の該当する樹木を封印する事になったんだが、予想していたより該当する数が多くて和歌山県の霊能者だけじゃ何本かは見る事が出来ないものが出てしまう。もちろん該当するとされたもの全てに釣瓶落としがあるわけではないにしても万が一ということもある。そこで、別の県の信頼できる者に事情を説明し、預かってもらうという考えに至った。その中に海南神社の神主と知り合いの者が居たのだろう。相談を持ちかけた。神主は悩んだが覚悟を決めて請け負うことにした。他にも何本かは違う県にあるのかもしれないが、怪しい事件の話は聞かないから何の変哲も無いただの松の木だったのかもしれない。そしてこの町に贈られた松の木は運悪く『ホンモノ』だったってわけだよ。そこからは資料にあった通りだよ。封印の札を貼り、何か異常があれば貼り直しといった処置を続けた。それこそ命か尽きるまでね。しかし神主が亡くなり、貼り替える者が居なくなった封印の札は時間経過とともにボロボロに朽ち果ててしまった。ただ、ここで運が良かったのは新しい道が出来たことでその道を通る者が居なくなったことだ。しかし時は過ぎ、今から一月前に工事が行われ始めた。その影響で今まで使われていなかったこちらの道が再び使われ始めることになる。今まで人の気配など無かった道に人の気配が出始めた。この状況を釣瓶落としはこのように考えただろう。

『気付いたら昔みたいに目の前を餌が通り始めた。厄介だった封印も無くなった。…長い間何も喰えなかったから腹が減った。まずは腹ごしらえからだな。』と。

そう思い出した頃に件の先輩が通りかかった。釣瓶落としは音を鳴らしてこっちに興味を引かせて根元にある光る桶まで来てもらい、覗き込んだのを見計らって上に持ち上げて木の上の方でゆっくり喰おうと思っていた。しかし、ギリギリのところで先輩に逃げられてしまった。なら次に来る獲物は逃がさないようにしよう。どうやって逃がさないようにするか。そして釣瓶落としは思いつく。…そうだ、光を使って催眠状態にして身体の自由を奪ってから食べよう。こうして朋也君は光に誘われてそのまま…。

第一の被害者の場合も酷いが第二の被害者の場合はもっと酷い。まず第一の被害者を食べた釣瓶落としは後二、三日は食べなくても大丈夫になった。その上で夜になったら光る桶を根元に置いておく。ほとんど人は気づかないか、怪しくて寄らなかったのかもしれない。ただこの女性は寄ってしまった。食べなくてもいい場合にかかった餌はどうするか。一回限りの遊び道具になる。何故一回限りかそれは桶で上まで上げた後叩き落とすのが遊びだからね。普通の釣瓶落としはここまで露骨に待機しないから、今回の奴がたちが悪かったのさ。」

静かに話を聞いていたが、正直背筋がゾッとしている。朋也が喰われた時もショックだったが、第二の被害者は遊びだったとは。

「まぁ今回の奴は説得出来ないから滅してから封印したけど、邪悪な奴じゃない限り説得から入るよ。あっそうだ君にあれ渡さなきゃ。」

そういうと部屋を出て行き数分で戻ってきた。手にはお守りを持っている。

「妖怪にあってるからね。多分、一年くらいこの世のものではない奴の姿が若干見えやすくなるかもしれないからお守りだよ。」

全ての事情を説明された連夜は時計を見ながら

「さて、そろそろ行きます。」

「あぁ、また何かあったら連絡かここに来なさい。じゃあ、気を付けて」

「はい。今回は本当にありがとうございました。でもできればあまり会わない方が嬉しいような。」

笑いながら言ってから彼はある場所へ向かう。

 

その場所は墓場だった。数多くある墓石。その中の一つに花と線香を供える。

「無事終わったぞ。これで安心して成仏できるな。…もう成仏してるかもしれないがな。ま、ゆっくり眠ってくれや。」

それだけ言うと彼は帰路についた。これから先の人生を。妖怪に会ったことがあるという体験とともに彼は生きて行く。

 

 

 

 

 

今回の妖怪解説

〔釣瓶落とし〕

和歌山県海南市黒江に伝わる元禄年間の妖怪譚。古い松の大木の根元にある釣瓶を通行人が覗くと光る物があり、小判かと思って手を伸ばすと釣瓶の中へ引き込まれて木の上へ引き上げられ、木の上に住む釣瓶落としに脅かされたり、そのまま食い殺されたり、地面に叩きつけられて命を落としたという。




堂々の第壱話完結です。読んでいただきありがとうございます。今回の妖怪は釣瓶落としでした。県によっては大きな顔が落ちてくるなどのパターンがあり、「ゲゲゲの鬼太郎」では大きな顔の姿で登場しているのでそっちだったら分かるという方もいるのではないでしょうか。さて自分は今、無事終われたことに感動してます。これからも気力と気分が続く限りは書きます。今のところ気分が乗ってるのでもしかしたらすぐに次回の話が投稿出来るかもですが。まぁ気分次第なんで結局は不定期って事でご容赦ください。何かリクエストの妖怪がいれば感想の欄に書いていただければ、すぐに出すという訳にはいきませんが後々登場させると思います。
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