私は呪われている   作:ゼノアplus+

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少女は譲歩する

3話

 

 

「……よろしくする気はないですが、どうも」

 

「ハッハッ、こいつは手厳しい」

 

 

特異災害対策機動部二課……通称、二課に来た響はなぜか熱烈な歓迎を受けていた。

 

 

「……単刀直入に聞きます。風鳴翼さんが言っていた()()とはなんですか?ノイズと戦える代物という事はもちろん分かっています」

 

「シンフォギアシステム。それは……」

 

 

櫻井了子からの一通りの説明を受けた響は、若干の謎を抱く。

 

 

「私、ガングニールなんていう聖遺物持ってないんですけど」

 

「そこなんだ。我々も、シンフォギアとして機能する聖遺物は管理しているはずなんだが……」

 

「まあ、そこは貴方方が管理ミスしただけなんでどうでもいいです」

 

「……」

 

 

バッサリと切り捨てた響だが、弦十郎は、元は一般人である響に正論をいわれ返す言葉もなくなっている。

 

 

「とりあえず聞きたい事は聞けたんで、次はそちらの番です。3つまで答えてあげます」

 

「3つか……なかなか難しいな」

 

「ああ、勘違いしないでくださいね。貴方で1つ、櫻井さんで1つ、風鳴翼さんで1つです」

 

「ぬぅ……」

 

 

割と好条件かと思った弦十郎だが、上げて落とす戦法を使った響によって一蹴される。

 

 

「じゃあ私から良いかしら?」

 

「櫻井さん……どうぞ」

 

「貴女が持っていた剣状の聖遺物、見せてもらえないかしら?研究者としては気になっててね〜」

 

「……」

 

『俺は許可するぜェ』

 

「……じゃあ、どうぞ」

 

 

手を突き出し、一瞬にしてダインスレイフを出現させた響。

 

 

「「「ッ!?!?」」」

 

「……あぁ、まあそうですよね」

 

 

弦十郎は非戦闘員の前に立ち、了子はその後ろに、翼はいつでもギアを纏えるように待機していて緒川に限っては、拳銃を構えている。……完全に警戒されている。

 

 

「それはっ……知らないわ、こんな聖遺物」

 

「なっ……了子君でもわからないのか……?」

 

「正確には、この聖遺物から発生しているアウフヴァッヘン波形の波形パターンを解析できない、ということね。……こんなこと初めてだわ」

 

『当たり前だァ……人間の積もりに積もった『呪い』を解析できるわけがねェんだよ』

 

(ダインにとってはなんちゃら波形って『呪い』でどうにかなるの……?)

 

 

シンフォギアシステムなど、異端技術において他の追随を許していない櫻井了子がいうほどの聖遺物。……一体なんなのだろうか……一体なんなのだろうか!(迫真)

 

 

「……とりあえず、収めて良いですか?この子が機嫌を損ねてここが地獄になっても知りませんよ?」

 

「ッ……それは、どういうこと?」

 

「……貴女の質問にはもう答えました。次は?」

 

「では、私が」

 

「風鳴翼さん、どうぞ」

 

 

職員達は警戒を解きまたパーティーを楽しんでいる。響の想像よりも精神がタフである。

 

 

「なぜ奏の……いえ、ガングニールを纏えるの?」

 

「……それは私も知りたいんですけど、う〜ん」

 

 

真顔で悩み始める響は、他者から見ると違和感しかない。

 

 

『前、シンフォギアを纏ったこいつらに助けられたって言ってたよなァ?……確か、槍を持ったアイドルの片割れが近くにいた』

 

(うん、天羽奏さん。ダインも知っている通り、私の中で生き続ける呪い。あの言葉を投げかけてくれた、私の……)

 

『あーやめやめ、ヒビキはその話になると長ぇんだよ。奏ってヤツがガングニールを纏ってたんだろ?だったら話が早いじゃねえか。大方、ソイツのギアの破片がお前の体の中に入ったんだろ?……まァ、今は俺が吸収したけどなァ』

 

(……その発想はなかった)

 

 

響は目を開ける。

 

 

「……私は2年前のあのライブの被害者です」

 

「「「「「「ッ!?!?!?」」」」」」

 

『コイツら、感情が豊か過ぎんだろ』

 

 

響の爆弾発言に場の空気が凍る。

 

 

「貴女も……あの場に」

 

「私が逃げようとした時、目の前にノイズが現れて死にかけ。その時天羽奏さんが来てノイズを倒してくれた」

 

「……あの時の少女か。確か……ノイズの攻撃を受け続けていた奏のギアは……ッ!?」

 

「そう、攻撃の勢いに耐えきれず破片として後ろにいた私に降り注いだんです。ここまで言えば、もう良いでしょう」

 

 

ヒビキは言い終わると、近くにあった紙コップにお茶を注ぎ自分を落ち着かせるように飲む。

 

 

「響ちゃんの体の中には……奏ちゃんのガングニールの破片が入っている、響ちゃんと融合しているのね。だからギアを纏えた。……奏ちゃんの、置き土産ね」

 

「ッ……奏……」

 

「……すまない、我々が至らないばかりに君に辛い思いをさせてしまった」

 

「辛いのはあの惨劇を生き残ってしまった全員です。私は……もうその感情の矛先を手に入れたので」

 

「……ノイズか」

 

 

弦十郎は、今までの響の戦闘においての発言などを頭で再生していた。『お前らのせいで私は』『消えろ』『駆逐してやる』

 

幾度も聞いてきたその言葉達に、弦十郎は響の想いの強さを知る。

 

 

「ふぅ……最後の質問に行きましょう。風鳴……弦十郎さんでしたっけ?どうぞ」

 

「……」

 

 

全員の、『何を聞くんだ?』という視線を一身に受ける弦十郎。少し経ってから、口を開いた。

 

 

「君の目的を聞かせてほしい」

 

「……ノイズの殲滅。アイツらを駆逐しきるまで、この内に秘める激情は収まることを知らないから。アイツらを潰せるなら、私は……進んで悪魔にでも魂を売ってやる」

 

「……そうか」

 

「叔父様!!良いのですか、この子は!!」

 

「翼」

 

「ッ……申し訳ありません(あんなの……出会ったばかりの頃の奏とッ!!)」

 

 

翼はこの空間から出て行く。流石に、今の翼の心境では耐えられない。

 

 

「身内がすまない」

 

「……甘いんですね」

 

「性分なんでな!!」

 

「……ふふ……そうですか」

 

『ヒビキ、お前笑ってるぞ』

 

(ッ……笑ってない。私が、こんなことで笑うわけがない)

 

『……そうかァ』

 

 

一瞬だが、響の顔が綻ぶ。その瞬間を、弦十郎は見逃さなかった。

 

 

(根は優しい子なんだろう。先の戦闘時にも、子供を守り続けていたらしいしな。……我々は、そんな子供をこうしてしまったのか。……不甲斐なさすぎる)

 

「質問には答えたので、帰っていいですか?もうとっくの昔に門限すぎてるんですが?」

 

「ダーメ♪さっきの話で貴女の体に聖遺物が入ってることがわかったし、メディカルチェックは受けてもらうわよ〜!!」

 

「……えぇ」

 

『今は、あの女に露骨な反抗をしないほうがいい。アイツからは……とんでもねェほどの()()()を感じる』

 

(……分かったよダイン)

 

「じゃあ……お願いします」

 

「あら?意外と素直じゃない♪じゃあ、そのためにも……」

 

「?」

 

「とりあえず、脱いで貰いましょうか?」

 

 

とても、渋々了承しました。みたいな顔をしている響を見て素直と認識できるのは櫻井了子しかいないだろう。

そして、了子と響も出て行く。響の顔は、テレビじゃお見せできないような顔になっている。

 

 

「司令……あの子の経歴や身辺調査をしたほうがよろしいかと。……危険すぎます」

 

「……そうだな。緒川、任せる」

 

「了解しました」

 

 

緒川も続いて出て行く。

 

 

「……響君がもしノイズを殲滅しきったら、彼女には一体何が残るのだろうか。いや……残っているものがあればいいのだが」

 

「「「「「「……」」」」」」

 

 

弦十郎の疑問に、残った職員達も言葉が出ない。皆が片付けを始めるまでに、少し時間がかかった。

 

 

 

 

〜2時間ほど経ち〜

 

 

「……ただいま〜」

 

「あっ、おかえり響。今日はいつにも増して遅かったじゃない。どうしたの?」

 

「ちょっと……ね。学校の許可は貰ってるから、門限は大丈夫だったんだけど……疲れた〜」

 

 

あの後、体のいたるところを調べ尽くされた(医療的な意味で)響は、機密に関する諸々の注意を聞いて寮に戻ってきた。

 

 

「学校の許可が降りるくらいなんだから重要なことなんだろうけど、電話くらいしてほしかったな〜」

 

「それは……ごめん、未来」

 

「ふふっ、良いよ。響が出かけてるのはいつもの事だし。でも……今日はノイズの警報があったけど、大丈夫だったの?」

 

「ッ……大丈夫だったよ。その……見ちゃっただけで」

 

 

痛いところをつかれた響だが、事実を織り交ぜながら誤魔化す。この場合の響の『見ちゃった』は、人が炭化する瞬間を見た、となる。

 

 

「響、ご飯食べれる?」

 

「……シャワーだけ浴びて寝るよ」

 

 

そう言ってのそのそと響はバスルームに向かう。

 

 

「響……最近、『へいきへっちゃら』って言わなくなったね」

 

 

未来の言葉は誰にも届く事なく、消えていった。

 

その後はもちろん、2人で無意識にイチャイチャしながら寝た。

 

 

『……俺も変わったねェ。人間を気にかけるようになるとはなァ』

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

「面倒だなぁ……」

 

「もう!響、いつも赤点ギリギリに点数調節してるから先生怒ってたよ?」

 

「だって、高得点とったら目立つじゃん」

 

「こら〜!!……全く、せっかく勉強できるのに」

 

 

翌日、学校の小テストがあった響は目立ちたくないという理由で点数調整をしていた。……どうして立花響が、点数調整をできるほど頭がいいのか、ダインスレイフ以外に知るものはいない。

 

 

「ビッキー、ヒナ」

 

「「……ん?」」

 

 

声の方を向くと3人ほどのクラスメイトがいた。

 

 

(いつも真顔で面白みのない私とつるんでくれる優しい人達。……でも、私の中で優勢順位は下だ)

 

「これから『ふらわー』に行かない?」

 

「……フラワー?お花屋さん?」

 

「いえ、駅前のお好み焼き屋さんです。美味しいと評判ですよ!」

 

(安藤さん達がおススメならきっと美味しいんだろうなぁ……)

 

 

しかし、そうは問屋が卸さない。今日の響は、昨日了子から受けたメディカルチェックの結果を聞かねばならないからだ。

 

 

「……ごめん、今日は大切な用事があるんだ。今度、場所を教えてよ」

 

「また呼び出し?点数調整で先生から呼び出しだなんて、アニメみたいな生き方してるわね」

 

「あはは……返す言葉がないな〜」

 

「じゃあ行こっか。またねビッキー!」

 

「うん、またね」

 

 

未来を含めた4人が教室を出て行く。

 

 

「……わざわざ来なくても、1人で行けます」

 

「貴方なら、逃げると思ったのだけど?」

 

 

響がカバンの中身を片付けながら口に出す。その相手は、4人が出ていった後に教室に入ってきた風鳴翼だ。

 

 

「……変に逃げたら追ってくるでしょう。知ってます?闇の中から突然忍者が来るのって恐怖でしかないんですよ?」

 

 

以前、ノイズを殲滅し帰ろうとした時に、緒川が追って来た時のことだ。幸いにも曇っていたため、影縫いを使われることなく逃げ切ったが。

 

 

「……行きましょうか」

 

(露骨に目を逸らしたなこの人)

 

 

響は翼についていき、エレベーターで降りる。

 

 

(よくよく考えたら、私エレベーターの起動に必要なこの端末持ってなかったなぁ)

 

 

地下にある二課に到着し、今回の目的地である了子がいる場所に向かう。

 

 

「「………」」

 

 

一切の会話がないこの2人は、まず会話をする気もないのだろう。すれ違う職員も、2人の圧が怖いようで避けながら通っている。

 

そして(おそらく医務室であろう)部屋に入った響は、了子から説明を聞く。

 

 

「異常でしかない。この一言に尽きるわ」

 

「……はぁ」

 

 

いつもおちゃらけていそうな雰囲気の了子が真面目な顔と声のトーンで言うその一言。響は興味なさそうに返す。

 

 

「全身の、人間である部分が未知のエネルギーに侵されている。それなのに、響ちゃんの意識にはなんの支障もなく発作なども見られない。影響があるとすれば、普段ノイズとの戦闘時に見ている生身でのあの身体能力くらいかしらね」

 

「……身体能力に関してあれでも低いのでは?ここの人おかしいですし、貴方や風鳴翼さんもなんでしょう」

 

「あれはこの2人だけよ。私達は一般人レベル、翼ちゃんは剣の達人だけどね」

 

((何かとても失礼なことを言われたな))

 

 

緒川と弦十郎は心の中で密かに思うが、話の腰を折るようなことはしない。

 

 

「で?今は特に問題なさそうですし、帰っていいですか?」

 

「まだダメよ。響ちゃんの体については大方、貴方の所持している聖遺物のせいなんでしょうね。……でも、もっと重要なことがあるわ」

 

「「「「「「……?」」」」」」

 

 

了子を除く、この部屋にいる全ての人が了子の言葉を待つ。

 

 

「響ちゃんの体から、ガングニールの欠片は検出されなかったわ。……正直、どうして響ちゃんがガングニールを纏えるのかわからないわ」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「……まあそうでしょうね」

 

 

響以外は驚きを隠せない。ダインスレイフがガングニールの欠片を吸収しているのを響は知っているため、驚くことはない。

 

 

「理由を知っているの!?」

 

「……はい。ちょっと離れててくださいね。……ッ」

 

 

響はダインスレイフを出現させ右手に持つ。

 

 

『ん?……出番にはまだ時間があるがァ?』

 

(ガングニールのこと言っていいよね?……答えは聞いてないけど)

 

『じゃあ確認取らなくていいじゃねえか……まあ、いいんだがなァ』

 

「……この子が吸収しましたよ。契約時に邪魔だったんで」

 

「……ッ、契約というのは?」

 

「それは……」

 

 

響が言葉を切って、何かを待つと同時に……

 

 

ブー!!ブー!!

 

 

 

「アイツらを殲滅してからですね、じゃ、そういうことで」

 

「響ちゃんッ!?」

 

 

響は部屋を出て司令室まで走り、昨日チラッと見えていた緊急用エレベーターを拝借する。

 

 

「……これ、お借りしますね」

 

 

突然の出来事に固まっていた職員たちだが、すぐに動き出した。

 

 

医療室では……

 

 

「翼!!」

 

「出動します!!」

 

(響君は、まるでノイズが出現するのを分かっていたようだ。……一体どうやって)

 

 

 

〜リディアンの近く〜

 

 

 

 

 

「……消えろ」

 

 

バイザーを被り、右手にダインスレイフを持ちノイズを殲滅する。いつも通りの行動をとる響はとても冷静だった。

 

その時、複数のノイズが融合し、巨大な黄緑色のノイズになった。

 

 

「……デカイだけだ」

 

 

ノイズは咆哮するも響は怯まない。響は、切っ先に『呪い』のエネルギーを集め跳躍する。

 

ノイズは背中の方からブーメランのような物を射出するも全てダインスレイフに弾かれる。

 

 

「ノイズ如きが……私を炭化できると思うなァァァァァ!!」

 

 

シンフォギアを纏っていない響は、ノイズに触れれば炭化してしまうがその隙を見せない。それどころか、シンフォギアなど必要ないと言わんばかりにノイズを倒している。

 

響の叫びと同時にダインスレイフのエネルギーをためレーザーを打ち出そうとする。……が、

 

 

「はあ!!」

 

『千ノ落涙』

 

「ッ……!!邪魔してくれる!!」

 

 

この一撃で決めようと思っていた響だが、横から現れた翼の広範囲攻撃によって後退せざるを得ない。

 

 

「邪魔をしないで!!コイツは……私の獲物だ!!」

 

「ノイズの殲滅は私の任務。貴方こそ、邪魔をしないでほしいわね」

 

「「……」」

 

 

ノイズが目の前にいるというのに、2人ともお互いを牽制する。

 

 

「ガァァァァァァ!!」

 

「「うるさいッ!!」」

 

『千ノ落涙』

 

 

哀れノイズ。最悪のタイミングで、俺を無視するなと言わんばかりの咆哮をしてしまったノイズは翼の剣と響のレーザーによって消滅した。

 

 

「……所属はしませんが最低限の手伝いはしてあげます。護国災害派遣法でしたっけ?どうせ、私の存在自体が法に引っかかるんでしょうし。それで妥協してください」

 

「……出来ない相談だわ。私は、引きずってでも貴女を連れて帰り話を聞かないといけない」

 

「……私は、自分に害をなす人間にも容赦しません。それでも戦りますか?」

 

「「……」」

 

 

無言は肯定。少しの沈黙の後、響はダインスレイフに『呪い』を纏わせ、翼は両足のブレードを展開させ剣を構える。

 

「参る!!」「潰す!!」

 

 

2人が叫びお互いに突進しようとしたその時……

 

 

ズドォォン!!

 

 

「「ッ!?」」

 

 

響と翼がぶつかるはずだった場所に()()()が降ってきた。

 

 

「全く、元気なのはいいがもう少し弁えろ!!」

 

 

2人がいた道路を砕いたソレ……風鳴弦十郎は、両腕を2人に向けながらそう言う。

 

 

「……化け物」

 

『全くだなァ……今までこんなやつ見たことがない』

 

「司令……立花響には、聞かなければいけない事が沢山あります」

 

「彼女は、彼女なりの最大限の譲歩をしてくれた。これ以上は、響君の気持ちを優先するべきだと思う」

 

 

弦十郎は響を横目に見ながら翼にそう言う。

 

 

「……話が早いですね。じゃあ、今日は帰らせてもらいます」

 

「立花響君」

 

「……まだなんかあるんですか?」

 

「頼りたくなったり、1人ではどうにもできない事があったらいつでも二課に来るといい。俺たちはいつでも君を待っている。君用の端末を渡しておこう」

 

 

弦十郎は笑顔で響にそう言い、二課用の端末を渡す。

 

 

「……コレは受け取っておきます。……ですが、ノイズの殲滅は私がします。風鳴翼さんには、救助を主にさせてください。先ほどのことから分かるように、ノイズの感知は私の方が上なのですから」

 

 

そう言い終わると、響は『呪い』を纏い、闇夜に姿を消した。

 

 

「叔父様……私は……」

 

「翼、帰るぞ。……今日は休め」

 

「いえ、仕事がありますので」

 

「……そうか」

 

 

この世界のOTONAは、少し間が悪い。




〜二課の了子の研究室〜


(おかしい……あれは封印されていたはず……)


コーヒーを飲みながら、その部屋の主である櫻井了子……いや、フィーネは考える。もちろん、立花響と彼女が持つ聖遺物についてだ。


(呪われし魔剣ダインスレイフ、一度鞘から抜かれれば犠牲者の血を啜るまで鞘に収まらないと言われたあの危険物。剣から放たれる『呪い』は相手を蝕み、破壊衝動に襲われるという……)


先史文明期の巫女であるフィーネは、当然その存在を知っていた。アウフヴァッヘン波形を未知のエネルギーのせいで解析できなかったことも気づいた理由の一つだろう。


(切っ先が欠けているから、完全聖遺物ではなかったが十分危険だ。今まで観測されていたエネルギーはおそらくダインスレイフ由来の『呪い』だろう。私や、弦十郎のような強靭な精神にも作用するのかは分からないが野放しにしておくのは不味い……いや、飼い慣らそうとして逆に喉元に噛み付かれるのも不味い……暫くは様子見が妥当か。クリスを早めに出すのも手だな)


「フフフ…」


フィーネは不気味に笑いながら、コレからの事を考えていた。

オリジナル聖遺物で最もヤバイ能力は?

  • 自在に姿を隠す
  • 空気操作
  • 純粋な身体能力向上
  • 視界の共有
  • 空間作成
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