ただの人間やってました   作:書人

23 / 52
問22私は面倒を見る

ど……どうして!?

 

「いでっ!!?」

 

動揺する私の目の前には溝にはまっている人が居た。

 

「今日は良く転ぶなぁ……」

 

そう言って彼は夕暮れで少し赤みを帯びた金髪の髪を掻いていた。そう、私の目の前に見失ったはずの『跳ね馬ディーノ』が居た。

 

「おっワリィ!」

 

こっちに気が付いた!

 

「そこの女の子!ちょっと助けてくんねーか!?」

 

「えっと……はい」

 

とりあえず、手を差し出して溝から抜けるのを手伝う。汚い……。ディーノは相当泥まみれになっていた。

 

『汚い……』

 

千沙も同意見らしい。

 

「ありがとな……よっと」

 

「ツナ…沢田っつー奴の家探してるんだが、知らないか?」

 

「……」

 

やっぱりそうですよね。

 

「沢田君の家なら……確か、商店街を挟んで反対側ですよ?」

 

そう言って商店街指を指す。

 

「まじか」

 

全く逆に進もうとしていたディーノさんが止まる。…っていうか、今『ツナ』って言わなかった?という事は一回目来た時見逃したか……。そんな事を考えている間に、ディーノさんは商店街から遠ざかる道へ入ろうとしていた。

 

「すみません。そっちに行くと遠ざかりますよ」

 

「な゛っ!」

 

……はぁ。

 

「良かったら案内しますけど?」

 

「本当か!!?」

 

手を握って喜ぶディーノさん。手に泥がついていなくて助かった。

 

「あと、ついでに」

 

「?」

 

「商店街で服をどうにかしましょう」

 

「??」

 

ディーノさんは訳が分かっていないようだ。

 

「人の家を訪ねるのに泥んこのままで行くつもりですか?沢田君家が汚れますよ?」

 

さっきから少し泥が垂れてるし……。コレで家に入られると沢田君のお母さんが可哀想だ。掃除とか。

 

「うっ…わっワリィ、そーだよな」

 

ディーノさんはやっと自分の状況を省みたようだ。見失ったり迷子になると大変なので、私は服の綺麗なところを掴んでディーノさんを商店街へ引っ張っていった。

 

『私がディーノさん見張るから気にせず引っ張ってって』

 

そういって見張ってくれる千沙が居なかったら、部下が居なくダメダメなディーノさんを連れて行くのに、最高一時間はロスしたかもしれない。

 

 

 

 

「いらっしゃいま…どうされましたか?」

 

「また服見繕って欲しいかも……この人の」

 

そういってディーノを差し出した。本当は泥まみれのこの人を店の中に入れたくは無かったのだが、玄関先に一人にしてなにをしでかすか全くの未知数なので置いて行く訳にもいかなかった。

 

『このやり取り前にもしたよね』

 

服を汚す事に縁があるのか、もしくは服が汚れる人に縁があるのか……どちらにせよ嫌だ。

 

「店汚しちまってワリィな……」

 

<……ほんとごめん>

 

「いえ、別の店員にすぐ掃除させますから。こちらへどうぞ」

 

<大丈夫です。お気になさらず>

 

嫌な顔一つせずキレイに笑ってみせると他の店員さん(人間)に声をかけて、ディーノさんを連れ奥の特性試着室(泥が落ちても大丈夫なように新聞とビニールがまんべんなく敷いてあった)

に入っていった。

 

「こちらでお着替えください」

 

ディーノさんが出てくるのを待っていると、店員さんから脳内通信が来た。

 

<すみません>

 

<どうかした?>

 

<あの人って『跳ね馬』ですよね>

 

<そうだよ>

 

<……良いんですか?>

 

<こういうのも『風紀委員』の役目だよ…………きっと、うん>

 

店員さんに苦笑いされてしまった。顔は見えないけど。

 

『あ、あの服可愛い』

 

ん?

 

 

 

 

「お待たせいたしました」

 

店員さんがディーノさんの服を見繕ってきたようだ。ディーノさんはジーパンに髑髏柄のTシャツを見繕ってもらっていた。

 

「オレの服なんだから俺が払うわ、女の子に払わせるなんて男として恥ずかしいしな」

 

私が財布を出すと、そう言ってディーノさんが財布を出す。この間と違って相手が大人だったし、私が泥まみれにしたわけでもないので私は大人しく引いた。

 

「あ゛っ……」

 

しかしディーノさんの財布にはユーロしか入っていなかった。

 

「レシートを渡しておきますので、また払いに来て下さったら構いません」

 

店員さんは微笑みながら、ディーノさんの財布にレシートを挟んだ。

 

<結構安いの見繕ったんだね>

 

こっそり値段を覗きました。

 

<不可抗力とは言え、『母様』のお客様ですから失礼は出来ません>

 

店員さんはディーノさんにばれないように、エッヘンと小さく胸を張る。私もディーノさんにばれないように、それに小さく微笑み返した。

 

 

 

 

沢田宅前

 

ピンポーン

 

「それじゃ。私はコレで」

 

「おう。ありがとな。ってもう暗くなるから部下に送らせるぜ。あそこまで戻った頃にはもう暗いだろ。女の子一人じゃあぶねえから」

 

ディーノさんはそう言ってニカッと笑う。

 

「かまいません。急いで帰るので」

 

私は笑い返してその場から走りだした。

 

……冗談じゃない!沢田君家来ただけでもヤバいのに!

 

「ちょっと待て!お前名前何て言うんだ!?」

 

あまりにも声が必死すぎて、今にもこちらへ走って来そうだったので、思わず止まって振り返った。

 

「『わだ』です」

 

そう言って私は今度こそその場を去った。

 

「オレはディーノだ!ほんとにありがとな!!」

 

後ろからそんな声が聞こえた。

 

 

 

 

「ディーノさん!!」

 

ツナが中から勢い良く出てきた。

 

「「ボス!」」

 

「何所に行ってたんですか!!探したんですよ?!」

 

「おう、ちょっとな」

 

「ダメダメなお前が、泥の一つも付いていないなんて珍しいな」

 

上からリボーンが降りてきた。

 

「何だよその言い方!!」

 

いつもの事だがリボーンの言い方はひどすぎる。

 

「そういえば、ディーノさんどうやってここまで来たんですか?」

 

「実を言うと迷子になってたんだが、優しいやつが案内してくれたんだよ」

 

決まりが悪くつい頭をかいた。

 

「この服もオレのが泥まみれだからって……あっ!」

 

そういえば代金。

 

「ロマーリオ」

 

「どうかしましたか?ボス」

 

「コレ」

 

そう言って財布に挟んであるレシートを渡す。

 

「これ払っておいてくれ。この服代だ」

 

「了解です」

 

「そいつの名前聞いてたろ?」

 

リボーンが聞いてきた。

 

「和田って言ってたぜ。多分ツナと同じくらいだな」

 

「和田って……まさか?」

 

「やっぱりそうだったか。さっき少し見えたが、あれはツナのクラスの『和田幸』だったぞ」

 

 

 

 

リボーン

やっぱりアイツだったか……。にしても服を新しく買ったとはいえ、その後一度として転んだ様子が無い。部下の前じゃないとあいつはダメダメなのに……。また『和田幸』か……。

 

ツナ

和田さんって良く分からないよ。風紀委員だし、ちょっと怖いし、だけど京子ちゃんたちとは普通に笑ってるよね……。普通に良い人……なのかな?

 

 

 

 

 

ディーノさんの部下の人がきちんと代金を払いに来たそうです。

お礼として異常なほど高額を払おうとするので、

断るのが大変だったそうです。

 




修正前と題名は変わらず、面倒を見る相手が変わって(笑)
何かと部下にディーノさんは思われていそうなので、お礼とか大げさにしそうだなぁ……と思いました。

そして主人公はキレイに沢田君達+リボーンとの接触を避けつつ周りを攻略(?)してます。
設定に『和田幸』の挿絵入れました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。