ただの人間やってました   作:書人

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前回一度投稿した後、字数のバランスの都合で一度後半部分を削除しています。
前書きに再投稿しましたと言う記述を見ていない方は、最初が大体前と同じになります。
申し訳ございません。


問43僕は説明する

「骸様、彼らは……」

 

「僕が巡った中に『天界道』と言うものがあるという話しはしましたね」

 

二人共が頷く。

 

「彼らはそこに住まう天人……いや、彼らの名乗るファミリー名に会わせて『子供達』と呼ぶべきでしょうか。僕ら『人間』とは異なる存在であり、土地神・ツクモ神と呼べる『モノ』です」

 

「なっ!!?」

 

2人は目を見開いた。信じられないと表情が語っていたが仕方が無い。僕も、信じるまでに相当時間がかかりましたし。

 

「その主な存在目的は『世界の創造と維持の補助』になります。彼らがマフィアを語っている理由は知りませんが、おそらくBambini(かれらの)ファミリーには『人間』が居ないのでしょうね。

それと、『子供達』は人を殺すことが出来ません。元々そういう仕組みなのだそうです。そんな彼らをマフィアと呼んでいいのやら。まぁ、それが僕がこの話を受けた大きな理由の一つでもありますが」

 

「彼女も……ですか?」

 

「あぁ、彼女は唯一の人間ですよ。彼らに『母』と呼ばれています。彼らが『子供達』を名乗っているのはそれに合わせてでしょう。そして実質的な世界の創造と維持は、彼女が行っているんです。『子供達』はあくまで補助のための『モノ』ですから」

 

人の想像する都合の良い『神様』を必死で演じる少女。

 

「まぁ、彼女こそが『神』と呼ばれるべき者なのでしょう……本人は余り自覚が無いようですが」

 

「……自覚無しで神様できるんれすか?」

 

半分呆れも入った声で、犬が訪ねてきた。

 

「僕らが生きているのですから出来るのでしょうね」

 

おそらくそう言う事は『千沙』が肩代わりしているのでしょう。

 

「『神』……」

 

「千種、一応言っておきますが、僕らの今までについて彼女を恨むのは全くのお門違いです。むしろ、一度死してなお『他人の幸せ』を願い動き続ける彼女に、何もしない僕らが何かを言う資格はありません」

 

「……死ん、で?」

 

僕の言った『死して』の言葉に、2人は息を飲んで絶句した。

 

「一度死に、その代償として『神としての力』を得ながらなお、他人の幸せを願う。それが僕が知り得た『母』である彼女……『和田 幸(わだ さち)』という少女です」

 

 

 

 

一息ついた後。僕はもう一つ、言っておかなければならないであろう話を切り出した。

 

「2人に言っておきます。今なら貴方達が望めば、この闇がうごめく(マフィア)の世界から、完全に抜け出すことが出来ます」

 

最初にそう僕は口を開いた。

 

「「!?」」

 

「彼女にはそれだけの力と権限がありますから。頼めばきっと迷う事無く『分かった』と言うでしょうね」

 

きっと……あの陽だまりの様な笑顔を向けて。

 

「普通の一般人の普通の人間(・・・・・)としてマフィアとなんら関係の無い『日常』へ戻れるでしょう。あの忌まわしい実験による、貴方達の体の異状さえも元に戻して。それを望むのなら」

 

あの時、僕らにはそんな選択肢は無かった。裏の世界で逃げ延びるか、何もせずに捕まって死ぬか。それだけだった。

 

「骸様は……?」

 

「僕は彼女から受けた『借り』を返すだけです」

 

例え、それが一生かかっても返せないものだと分かっていても。

 

借り(・・)を作るのは僕の性分には合いませんから」

 

『人』はどれだけ尽くそうと彼女に借りを返せはしない。それを僕は、彼女(ちさ)を通して知ってしまった。

 

「二人はどうしますか?」

 

これはあくまで僕自身の意思。この二人を巻き込むことも無い。当たり前の日常が、すぐ手の届く所あるのだから。

 

「骸様に付いて行きます。何所(どこ)までも」

 

千種がこちらを真直ぐ見て答えた。

 

「あー!!柿ピー俺の台詞取るなビョン!!」

 

それに犬が千種を指差して叫ぶ。それから僕を見ながら笑った。

 

「俺も骸さんについていくビョン!」

 

「……分かりました」

 

もっと、考えなくていいのか。そんな言葉は必要ない。二人の目には覚悟がある。

 

それは、ただの『仲間(なかよし)』なんかで(くく)ることの出来ない。もっと強い信頼………。

 

……まぁ、口には出しませんが。

 

 

 

 

コンコン

 

「入って良い?」

 

少し高い声が小さく響いた。

 

「……どうぞ」

 

ガラガラ……

 

「私達の話は聞けたみたいだね」

 

犬と千種の反応を見て、千種を治療した少女は言った。

 

「それじゃあとりあえず自己紹介しておこうかな。私は並中(なみなか)(ひな)、担当は並盛町全体で、並盛中学校のツクモ神やってるから。呼ぶなら雛で。この名前気に入ってるから」

 

そう言って(かのじょ)は笑った。

 




あれ?あの骸が雛を名前呼び捨て……?
そんな風に思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、その認識は間違っていません。

これも本人の無自覚な千沙の影響……?
かと思いきや、どちらかと言うと『天界道』を巡った人物の記憶の影響だったり。

実は『子供達』は骸にとって……?
と言うのも設定で公開しようかな、と思ってます。
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