◆カラテとサンドスターの高まりを感じる……!◆
フジキドが周りを見渡してみると、そこには広大なサバンナが広がっていた。青い空、朽ち果てた何らかの施設や看板、若い娘の楽しげな声……。ここにはこっかほうかい後のマッポーカリプス都市、ネオサイタマのサツバツ感がまるでない。
「ここは一体……」フジキドは状況判断のためニューロンを高速回転させる。(((サバンナ……ということはアフリカか?……いや、それにしてはアトモスフィアが違いすぎる……あの虹色の柱めいたものは一体……。まるで別の世界のような……)))
あまりに情報が少なすぎる。ナラクの声も聴こえ無い。一人で考えていてもラチがあかない。フジキドは己の疑惑を確認するため、獣耳を生やした娘に幾つか質問をした。「ここはどこですか?」「ここはジャパリパークだよ!不思議な格好してるんだね。あなたは何のフレンズ?」
「ネオサイタマではないのか?」「ねおさいたま?そんなちほーきいたことないなー」ナムアミダブツ!ここはネオサイタマではない!だが、フジキドはジャパリパークなどという場所は聞いたことがない。謎は深まるばかりだ。
「尻尾も耳も無いし、あなたももしかしてヒト?」「フレンズ……ヌゥーッ……!」まるで訳がわからぬ。獣、フレンズ、ジャパリパーク、何かの隠語なのか?「わからない事は"はかせ"達に教えてもらうと良いよ」獣耳の娘が手を差し伸べる。
「博士だと」(((リー先生のような人物がいるのか?ということはここはヨロシサンの施設?いや、考えていても仕方ない……直接会うしかなかろう)))フジキドは断片的な情報を元にニューロンを高速回転させる。だが、そんなフジキドに激痛が走る!「グワーッ!?」
ポータル暴走に巻き込まれた彼は実際無視できぬダメージを受けていた。そんなフジキドに少女は心配そうに声をかける。「君、本当に大丈夫!?凄い傷だよ?いっしょについていこうか?」
「いえ、大丈夫です。アリガトウゴザイマス。その"はかせ"の居場所を教えてもらえますか?」フジキドは奥ゆかしく誘いを断り、娘から博士なる人物の居場所を聞き出すとハンチング帽を深く被り、ゆっくりと歩き出した……。
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少女と別れたフジキドは、聞き出した情報を整理しながら"博士"のいる研究所を目指していた。(((私がここに来たのは間違いなくあのニンジャ達が動かしたポータルが原因だろう……私がここに飛ばされたということは奴らもここに来ている可能性が高い……)))
(((数分にも満たぬ会話だったが、ここの娘達は皆が互いを尊重し奥ゆかしく暮らしている…このような場所に邪悪なニンジャが居てはならない。必ずや見つけ出し、全員惨たらしく殺す!そしてネオサイタマに帰らねば)))「ニンジャ殺すべし」フジキドは呟いた。彼のジゴクめいて赤い瞳が赤黒い炎を灯し……消えた。
「たしかこの森を抜けた先の筈だが……」フジキドが森林へと足を踏み入れようとした。その時である!「アイエエエ!」「!?」突然の悲鳴。 次の瞬間、フジキドは色付きの風となり、声の方向へと走り出していた。
◆の◆の◆の◆の◆
「新種のセルリアン?」「ええ、ヒトの形をしてて武器を使うらしいわ」「まさかまた僕の絵が……」二人の少女と一人の少年が会話しながら森を歩いている。「とにかく強くて、皆同じ顔をしてるって聞いたわ」黒く、V字形の大きな耳に、橙色のスカートを履いた娘が言った。
「ワースゴーイナンカスゴーイ!でもあの絵は全部集めたんだよね?」黒と黄色の水玉模様が入ったスカート、縞模様の尻尾を持つ娘が首を傾げた。「まだ回収出来てない絵があったのかも……」青い服の少年は申し訳なさそうに言った。「まだそうと決まった訳じゃないでしょ、とにかくはかせたちの所に相談しにいきましょ」と橙色のフレンズ。
「たしか、この辺でセルリアンを見たらしいわ」「大丈夫?」「私は警戒心が強いから何処から来ようと平気よ、どんなやつでも私とサーバルなら一発なんだから安心なさい!」橙色のフレンズ……カラカルが自信ありげに言いかけた次の瞬間、
付近の茂みがガサガサと揺れ、何かが近づいてくる。「「「!」」」二人のフレンズは瞳を光らせ、油断無くカラテを構える。「キュルルちゃんは私達の後ろに」サーバルは少年に後ろに下がるように促した。
「「「ザッケンナコラー!」」」直後、茂みから飛び出したのは一つ目の怪物!セルリアンである!しかし、見よ、この異様なアトモスフィアを!黒いヤクザスーツにサイバーサングラス、額には大きな一つ目。同じ顔、同じ動き、まるで三つ子ではないか!その姿はヨロシサンのクローンヤクザY-14型そのものある! コワイ!
「「「スッゾコラー!」」」ヤクザセルリアンの右手にはドスダガー!サーバル達に切りかかる!「ウミャーッ!」サーバルは持ち前のジャンプ力で回避!空ぶったヤクザセルリアンの横へ回り込んだカラカルが右フック!「グワーッ!」「硬い!」撃破ならず!
「ウミャーッ!」落下の勢いをつけたサーバルがもう別のヤクザセルリアンに向けて爪を振り下ろす!ヤクザセルリアンは紙一重回避し、着々したサーバルの腹部へケリ・キック!「テメッコラー!」「ンアーッ!」
「このッ!」サーバルに追い討ちをかけようとするセルリアンにカラカルが飛びかかる!「チェラッコラー!」しかし、ナムアミダブツ!ヤクザセルリアンが懐から取り出したのはチャカ・ガンである!「アブナイ!」キュルルが叫ぶが、BLAM!BLAM!容赦なく発砲!「ンアーッ!」かろうじて直撃を回避したカラカルであったが右腕を負傷!
銃撃による右腕の傷口からはキラキラと輝く虹色の粒子が漏れ出す。「カラカル!」キュルルが駆け寄る!「来ちゃダメ!」「「ワメッコラー!」」ヤクザセルリアンはキュルルに標的を定めチャカ・ガンを構える。
「アイエエエ!」キュルルは尻餅をつき、ブザマに悲鳴を上げる。逃げようにも腰が抜け、立つことすらままならぬ!ああ、ナムアミダブツ。もうだめなのか、その時である!
「イヤーッ!」「グワーッ!」今まさにトリガを引こうとしたヤクザセルリアンの腕にスリケンが突き刺さり、手首を切り裂く。そう、スリケン!傷口からスプリンクラーめいて体液を散らすセルリアン!
刹那、トレンチコートにハンチング帽を被った男がエントリーし、ヤクザセルリアンの顔面へ飛び膝蹴りを食らわせる!「イヤーッ!」「アバーッ!?」顔面を粉砕!「「ダッテメコラー!?」」残りのヤクザセルリアン2体がチャカ・ガンを抜き構える!遅い!
「イヤーッ!」「グワーッ!?」トレンチコートの男は一瞬の内スリケンを二枚投擲し、チャカを破壊。さらににヤクザセルリアンの懐に入り込みチョップで右腕をケジメし蹴り飛ばす!さらにもう一体のヤクザセルリアンに正拳突きを繰り出す!ヤクザセルリアンはキューブ状に砕け、即死!サツバツ!
片腕を失った残りのヤクザセルリアンは状況不利と判断したのか踵を返し逃げ去っていった…。トレンチコートの男は追い討ちをかけようとしたが……止めた。怪我人の保護が先決である。
男はキュルルの方を向いて言った。「立てるか」「う、うん……でもカラカルが」キュルルが心配そうにカラカルを見た。「このくらいかすり傷よ……誰だか知らないけど助かったわ。ありがとう」「いえ」トレンチコートの男はそれだけ言うとすぐにその場から立ち去ろうとする。
「スッゴーイ!」声を上げ、男を引き留めたのは黄黒のフレンズ……サーバルだ。「助けてくれてありがとう!あなたすっごく強いんだね!背もおっきい!何のフレンズ?お友だちになろうよ!」「私は国際探偵だ」怒濤の質問攻めにフジキドは冷静に答える。
サーバルは小首をかしげる。「こくさいたんてい?そんなけものいたかなー?」「探偵っていうのは以来を受けて、調べたり探したりする人のことだよ」
「へー、じゃあこのこもヒトなんだ!キュルルちゃん達と一緒だね!」「すみません、もう、宜しいでしょうか。研究所に行かなくてはならないので」フジキドはサーバル言葉を遮り、立ち去ろうとする。"情にサスマタを突き刺せばメイルストロームに流される"必要以上に他人に関わるべきでは無い。江戸時代の哲学剣士ミヤモトマサシのコトワザである。コトワザの九割は彼が作ったとも言われている。「もしかしてかばん=サンの所?僕達もそこに向かってるんだ」「何だと」キュルルの言葉を聞いたフジキドは足を止めた。
「それなら一緒に行こうよ!私はサーバル!こっちはカラカルでこの子は「僕はキュルル」君のお名前は?」サーバルが問う。ブッダ!彼女達は研究所の場所を知っている!「ブッダも怒る」誘いを何度も断るのはシツレイだ。先ほどのようなヤクザがまた現れるやもしれぬ。
そう判断したフジキドは同行を決め、手を合わせオジギをし、奥ゆかしくアイサツをした。「ドーモ、サーバル=サン、カラカル=サン、キュルル=サン、イチロー・モリタです」「よろしくね!モリタちゃん!」
【ブライトネスオブアニンジャアンドフレンズ】#3おわり#4につづく