◆けものフレンズ2×ニンジャスレイヤー◆   作:ネオイ

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【ブライトネス・オブ・ア・ニンジャ・アンド・フレンズ】#6

の◆の◆の◆の◆

 

……昼過ぎ。パーク巡回を終え、「らいぶすてーじ」を後にしたかばんは、背後から尾行してくる足音に気づいた。フレンズ?否、アトモスフィアが違いすぎる。かばんはアクセルを踏み、バスの速度をあげる。

 

「らいぶすてーじ」のマーゲイは、キョウシュウ・スゴイオオキイユウエンチの惨劇を生き延びた数少ないフレンズだ。彼女の情報コネクションは実際スゴイ級。必ずやモリタが帰るための手がかりも掴んでくれるだろう。

 

かばんは入り組んだ森の中へ入った。昨日の奇妙なセルリアンの仲間か?否、それなら既に仕掛けてきている筈だ。この追跡者には知能がある。

 

かばんはさらにアクセルを踏み、角を曲がるが、足跡はまだかばんを追ってくる。かばんは深く考えるのを止めた。かばんはバスを止め、車から降り、言った。「何の用?」

 

「アイエエエ……」「貴方は…イエイヌ=サン」かばんは振り返った。そこに立っていたのは、イエイヌである。その体はタールめいた黒い液体に濡れている。「どうしてここに……」「アバッ……ドーモ、かばん=サン、私はウツス・ニンジャ、デュプリケイターです」イエイヌは口を開いた。

 

ブッダ!そこから黒い液体が流れ出し、ヒトの形を形成して行く。アイサツをしたニンジャは額についた大きな目でかばんを見据えた。「いや、バックパック=サンと呼んだ方がいいかね?」

 

「……ドーモ、デュプリケイター=サン。なんでその名前を……イエイヌ=サンに何を!」かばんはボーを構え、叫んだ。デュプリケイターが笑った。「そりゃあ、全部見たからな」「……!」かばんは身構えた。デュプリケイターは倒れたイエイヌを捨て置き、かばんに近づく。

 

白い髪、デーモンじみた六本の角、オブシダンめいた黒い半流体のボディが形成するニンジャ装束、額には巨大な目がある。コワイ!「会えて光栄だよ、バックパック=サン」

 

「やめてください」「君のことはなんでも知っているぞ、スゴイオオキイユウエンチの生き残り。ヒトのフレンズ、ジャパリパーク唯一のニンジャ。色々なフレンズに聞いてまわったんだ、脳髄をちょっと覗けばこのとおり!」デュプリケイターは獣じみたギザギザの歯を見せて笑った。

 

かばんは激昂した。「何者ですか!デュプリケイター=サン!ただのセルリアンではないな!」一方、デュプリケイターはかばんの怒りに少しも動じる様子は無い。「私も君と同じニンジャだよ。君と取引がしたいんだ。なぁ、バックパック=サン」「誰があなたなんかと!」かばんはボーを握り締める。

 

デュプリケイターは続けた。「君に殺して欲しい奴がいるんだ。名はサツバツナイト。知っているかね?もしかしたら別の名前を名乗ってるかもな」「!?」デュプリケイターはセルリウムを操り一人のニンジャの顔を浮かび上がらせる。それはイチロー・モリタの顔だ!フシギ!

 

「その顔は知っているようだな」デュプリケイターは笑った。「奴は私にとってとても邪魔な存在だ、もし、殺してくれればそれ相応の対価を払うことを約束しよう」「乗ると思ってるんですか……そんな誘いに……!」かばんは言葉を口から押し出した。

 

「君の望むものは何でも"再現"してやる。何でもな」デュプリケイターはニヤニヤと笑った。

「そうだな、例えば無くした記憶……とか」「やめろ」かばんは遮った。しかしデュプリケイターは続ける。「……サーバルキャット、だったか?随分とあの娘を気にかけているようだが何かあったのかね?バックパック=サン?」

 

「やめろ!」「君はあの娘に自分を思い出して欲しいんだろう……」「やめろ!!」「私の力があればそれが出来る」「そんなこと」かばんは呆然とした。「そんなこと出来る筈がない」「私のソウルの力をもってすればそれも容易い、信用できないのなら見せてあげよう。私のジツを」

 

デュプリケイターは手のひらからセルリウムを溢れさせ形を練る。そしてそれは数秒のうちにヒトガタになり、そして……!「アイエエエ……ここはいったい……!?ニンジャナンデ!アイエエエ!」

 

「なっ……!?」かばんは目を丸くした。ナムサン!現れたのはヒトである。間違いない、あれほど探し求めたヒトを、本物のヒトを、このニンジャはセルリウムの沼から産み出したのだ!これはウツシ・ニンジャの得意とするブンシン・ジツの応用である。オヒガンとリンクし、コトダマ内のデータを引き出し、セルリウムを触媒に物理世界に出力したのだ!なんたる超自然の力か!

 

「どうかね?この通り私のウツス・ジツはあらゆるものを創造出来る。物理的なものだけではない、記憶もそっくりそのままだ」

かばんは沈黙した。長い沈黙であった。やがてかばんは口を開いた。「…サーバルやフレンズの皆には手を出さないと約束できますか、デュプリケイター=サン」「ハハハ!勿論だとも、約束しよう。期待しているぞ?バックパック=サン」そう言い終えると、デュプリケイターの身体が溶け、消え去った。後には意識を失い倒れたイエイヌと、握りしめた己の拳を見つめるかばんだけが残された。その眼差しはジゴクめいた殺意に燃え上がっていた。

 

◆の◆の◆の◆の◆の◆

 

……深夜。普段は夜行性のサーバル達もかばんは連れてきたイエイヌの看病に疲れたのか泥めいて眠っている。フジキドはザゼンを解き、静かに立ち上がった。ポータル転送時の傷も癒えた。これ以上の滞在は許されない。一刻も早くニンジャを見つけ、殺さなくては。荷物を纏めて研究所から去ろうとするフジキド、ふいに背後のドアが開いた、彼は振り返った。

 

「……」かばんであった。黒いジャケット、羽飾りのついたサファリハット、大きなリュック、その目は爛々と輝き、フジキドを無言で見据えている。凄惨な表情であった。

 

「かばん=サン?」フジキド問うた。己のニンジャ第六感が、彼女の剥き出しの殺意と悲哀を感じ取っていた。かばんは答えた。「イクサをしましょう。モリタ=サン。いや、ニンジャスレイヤー=サン」「……」「場所を変えましょう、一対一で」フジキドは頷いた。「……よかろう」彼はかばんの過去を、そして今を思い、振り捨てた。何があったかは知らぬが、彼女は己のニンジャソウルの闇に呑まれたのだと。ニンジャ殺すべし、慈悲はない。

 

ーーーーーーー

 

研究所から数百メートル離れた地点。時刻はウシミツ・アワー。フレンズ達も皆寝静まっている。かばんはあらかじめセルリアンの大量発生という偽の情報を伝えフレンズがこのサツバツ・フィールドに近づかぬようにしている。邪魔をするものはいない。

 

二者の姿は既にニンジャ装束に変わっており、一人は地獄めいた赤黒の装束に、「忍」「殺」のレリーフが刻まれたメンポ、もう一人は羽飾りのついたサファリハットに鮮血めいた赤い装束の上に黒いジャケット、背中には大きなリュックを背負っている。メンポには「獣」「友」のショドー。

 

両者はタタミ十枚分の距離をとりアイサツをした。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。バックパックです」「ドーモ、バックパック=サン。ニンジャスレイヤーです」空気が張り詰める。ニンジャスレイヤーは問うた。「一つ聞こう、バックパック=サン。動機は何だ?」

 

「ニンジャに取引を持ち掛けられたんです……あなたを殺せばサーバルの記憶を再現してやると……。私は貴方を殺して"サーバルちゃん"を取り戻す。そして今度こそ…!」「くだらぬ」ニンジャスレイヤーは一蹴した。

 

「邪悪なニンジャが本気でそのような約束に応じるとでも?目を覚ませバックパック=サン」「黙れ、私は"サーバルちゃん"の為なら私はどんなことだってできる!やっと希望が見えたんだ!もうこれしか無い!」バックパックは怒りに震える手でボーを握りしめた。ニンジャスレイヤーは息を吐いた。

 

「見下げ果てたぞバックパック=サン、そのような口車にまんまと乗せられるとはな。口を開けばサーバル、サーバルと、オヌシはもはやヒトでもアニマルでもない。ただの邪悪なニンジャだ。貴様のような者が愛したサーバルちゃんとやらもどうせろくでもないものに違いない!」「黙れ!」シンラツ!ここまで言われる謂れは無い!しかしニンジャのイクサにおいて、このように相手を貶し、カラテを乱すのは常套手段なのだ!

 

「……来い」ニンジャスレイヤーは手招きする。

風が吹き、木々を揺らす。次の瞬間、

「「イヤーッ!!」」両者は色つきの風となり、同時にステップ・インした!

 

【ブライトネス・オブ・ア・ニンジャ・アンド・フレンズ】#6終わり#7へつづく

 

 

 

 

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