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「ナンデ……!」かばんは呆然と立ち尽くしていた。黒い煙が立ち上ぼり、不快な熱波が届く。ああ、なんたることか!研究所が燃えている!サーバルたちの姿も無い。「バックパック=サン、これもオヌシの仕業か?」「そんな事するわけない!」「だろうな」とニンジャスレイヤー「……サーバル達は!?」
そこへ灰色のコートを煤だれけにしたコノハ博士が降り立つ。腕には軽い火傷の痕もある。「かばん!?何処に行っていたのですか!」「博士=サン、何があったの!?皆は!」「我々にもわからないのです……急に爆発が起きて、今は皆ガレージに避難しているのです。それにその傷は一体……」
「私はいいから、兎に角皆無事なんだね?」かばんが問いかけたその時、「アイエエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!」ガレージから悲鳴!キュルルの声だ!
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時間は少し遡る!丁度バックパックとサツバツナイトのイクサに決着が着こうとしていた頃、急性NRSで失神していたイエイヌが目を覚ました。「……ここは……キュルル=サン?ナンデ……」看病したまま眠っていたキュルルとカラカルも目を覚ます。
「イエイヌ=サン!良かった、目が覚めたんだね」「私は…確か…」「かばん=サンが倒れてたアンタをここまで運んできたのよ」「そうですか…」「大丈夫なの?じゃぱりまん食べる?」「はい、平気です。ありがとうございます。カラカル=サン」イエイヌはカラカルからじゃぱりまんを受け取り咀嚼した。
サンドスターが全身に染み渡りフレンズ回復力がブーストされて行く。「あれ、サーバルは?」キュルルが辺りを見回し、サーバルがいないことに気づいた。
「お前達、起きていますか、かばんが居なくなったのです」そこへドアを勢いよく開け放ち博士と助手が入ってくる。二人は夜行性の為、このようなウシミツ・アワーに研究をしているのだ。「そういえば、モリタ=サンは?」三人が消えたことに訝しむ五人。その時だ、「イヤーッ!」KA-BOOOM!爆発!そして熱風!窓ガラスが割れ建物が激しく揺れる!
「「「「「アイエッ!?」」」」」ブガー!ブガー!ブガー!『火災発生、火災発生、職員、並びにフレンズの皆さんは直に避難重点ドスエ』キュルルの腕に着いた携帯LB端末が警告赤色に点滅し警報を鳴らす。「火事だ!」「逃げるのです!」
五人は割れた窓ガラスから、外へと飛び出だした。ああ、なんという事か!研究所が炎上している!焼け落ちる研究所、キュルルはその陽炎の中からゆっくりと近づいて来る集団を見た。手足が震える。汗が噴き出す、炎の熱によるものでは無い。ヒトのDNAに組み込まれた本能的な恐怖による冷や汗だ。
陽炎の中の集団は何かを探している様だった。中央の影がキュルルを凝視した。体が石めいて動かなくなる。「アイエエエ……」「しっかりしなさい!」カラカルは怯えるキュルルの手を引き隣のガレージへと走った。
ガレージには防火シャッターが付いており火の手は届かない。万が一にはジャパリバスもある。実際安全であった。「私はかばん達を探して来るのです。助手、ここは任せたのですよ」「お気をつけて」そう言うとコノハはガレージから飛び立った。
「アイエエエ……そんなはず、ニンジャ……?ニンジャナンデ……」キュルルはうわ言をぶつぶつと呟いている。「ちょっと、どうしちゃったのよキュルル!」「しっかりして下さいキュルル=サン!」カラカルとイエイヌが肩を揺さぶり正気付かせようとする。その時だ、「「イヤーッ!」」
CRAAASH!シャッターを突き破りガレージへ二人のニンジャがエントリーする!「ドーモ、ホワイトリーヴズです。研究所を放火しに来ました」「ドーモ、ゴミども!ミツリョウシャです!」エントリーした二人のニンジャは同時にオジギをする。なんと丁寧なアイサツか!
「アイエエエ!ニンジャ!ニンジャナンデ!?」「キュルル!?」キュルルはDNAに刻まれた旧カラテ支配者の姿を直視し失禁!「ゴボボーッ!」恐怖のあまり嘔吐!ナムアミダブツ!「……いたぞ、奴だ、あのガキだ。生け捕りにするぞ」「ちょっと何なのよアンタ達!」カラカルが食って掛かる。
「アイサツも無しか、やはりヒトの形をしても所詮は畜生だな」白装束に猛禽フルフェイスメンポのニンジャはフレンズ達を見回し嘲笑する。「前後する以外価値のないアニマル共め」「そのガキを渡せ。今なら殺さないでやる」
「ふざけないで!アンタたちキュルルに何するつもり!?」カラカルが爪を光らせ威嚇する!「そうです!何者ですか貴方達!」イエイヌもそれに続く!
「答える必要はない、私も知らん。たがボスはそいつを欲しがっている。だから渡せ」キュルルを囲むように立ちはだかる二人に迫るホワイトリーヴズ。
「イヤーッ!」その時、背後から音もなくトヒゲリアンブッシュを仕掛けたのはワシミミズクだ!彼女のフレンズ野伏力、フレンズ隠密性はトップクラスであり、カラテのワザマエも確かだ。実際、音もなく近づき相手を仕留めることが出来る。しかしナムサン、相手は半神的存在、ニンジャなのだ。
「バカめ!気づかぬとでも思ったか!イヤーッ!」「ンアーッ!?」ニンジャはブリッジで蹴りをかわすと彼女の後頭部を掴み床へと叩きつけた!「黙って渡せば良いものを、やれ!ミツリョウシャ=サン!」ワシミミズクの頭を踏みつけながらホワイトリーヴズはミツリョウシャに攻撃の合図を出す!
「ヒャハー……!あのガキ以外はファックして良いんだよなァ!」「好きにしろ、だがガキは絶対に傷付けるな」「……洒落の分からねェ奴だなァ、わかッてるよ、イヤーッ!」ミツリョウシャが両手をかざすと掌から超自然の炎が噴き出す!「カトン!」
「「イヤーッ!」」彼女らは紙一重で炎をかわす。フレンズ達はヒトの形をしているが元は単なる野生動物。本能的に火を恐れてしまい近づく事が出来ない。あのワシミミズクすらも一撃で戦闘不能にしてしまった。セルリアン共とは格が違う。キュルルは無力なバイオミニ水牛めいて震えている。
「……カラカル=サン。私が時間を稼ぎますからキュルル=サンを連れて逃げて下さい」「アンタまさか……!」ナムサン。イエイヌは自分の命と引き換えに二人を逃がすつもりだ!彼女とて昏睡状態から目覚めたばかり、フラッシュバックするニンジャへの恐怖を歯を食い縛り押さえ込む。
ミツリョウシャはイエイヌを見てヘラヘラとせせら笑う。「オイオイ、まさかそこまでバカとは思わなかったぜ、自分からファックされに来るとはなァ」ミツリョウシャが両手をかざしカトンを放とうとする。「イヤーッ!」「グワーッ!?」
ミツリョウシャにタックルを仕掛けたのはサファリハットのニンジャだ!アイサツ前のアンブッシュは一度のみ許される!「ドーモ、バックパックです」「Wasshoi!」続けてガレージへとエントリーしたのはコノハ博士とサーバル、そして赤黒のニンジャ!「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。やはりオヌシらか」
「グワーッ……!ドーモ、バックパック=サン、ニンジャスレイヤー=サン。ミツリョウシャです」「ドーモ、ホワイトリーヴズです。やはり来たか。全開は不覚を取ったがこちらには人質がいる。この娘がどうなっても……」「イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーはスリケンを投擲!
スリケンが肩に突き刺さり、怯んだホワイトリーヴズに向かってニンジャスレイヤーは地を蹴り、渾身のドロップキックを放つ!ドラゴン・トビゲリ!「ヌゥーッ!」ホワイトリーヴズは辛うじて防御するが後方へと弾き飛ばされる!拘束を逃れたワシミミズクは直ぐ様飛び立ちその場を離れた。「バカな、人質がいるんだぞ!」
「オヌシらの用な手合いが約束を守る筈が無かろう。時間の無駄だ。故に、速やかに殺す」「き、貴様ッ!」ニンジャスレイヤーは連続側転でキュルル達の前に立ち、ジュー・ジツの構えをとる。「おのれ狂人め!」ホワイトリーヴズはサイバネ翼を広げ、飛んだ!「イヤーッ!」
ホワイトリーヴズは天井近くまで飛ぶと一回転し、両足に装備された鉤爪で蹴りかかる!モズ・ニンジャクランのヒサツ・ワザ、モズ・ダイブキックだ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはブリッジ回避。着々したホワイトリーヴズはそのまま後ろ回し蹴り!サツバツナイトはブレーサーで受け止める!
「その声は……アンタもしかしてモリタなの!?」「オヌシらは離れておれ」ニンジャスレイヤーはカラカル達に外に逃げるように促す。「逃がすものか!」「イヤーッ!」「グワーッ!」飛び上がり追いかけようとするホワイトリーヴズの右足にフックロープを巻き付ける!
「オヌシの相手は私だ」「チィッ!」ホワイトリーヴズはスリケンを投擲しながらサイバネ翼の出力を上げ、サツバツナイトもろとも天井を突き破り外へと飛び出す!「グワーッ!」
一方、バックパックは手負いの体を押してボーを振り回す。「イヤーッ!」「グワーッ!」ボーがミツリョウシャの側頭部を捉えた!しかし腕を掴まれ反撃のボディブロー!「イヤーッ!」「ンアーッ!」バックパックの体が松明めいて燃え上がる!
ミツリョウシャが得意とするのはカトン・ジツの一種、両手から炎を放ち、殴った相手を燃やして殺す残虐な暗殺技だ!コワイ!「ンアーッ!」火だるまと化したバックパックは地面を転がり炎を鎮火させる。腹には拳型の焦げ痕が出来ていた。
「ハァーッ……!ハァーッ……!」立ち上がるバックパックに更に前蹴り!「イヤーッ!」「ンアーッ!」「死ね!バックパック=サン!死ね!」ミツリョウシャがトドメのカトン・パンチを放つ!モハヤコレマデか!?
「ウミャーッ!」間一髪、サーバルがインターラプトしバックパックを米俵めいて担ぎ跳躍!熱波が脚を掠める!空中で一回転し着地すると振り向かずに走り、ガレージから脱出!
「チッ!」ミツリョウシャは舌打ちし追いかける!
一方、ホワイトリーヴズにフックロープを巻き付け飛び出したニンジャスレイヤーはどうか!?「イヤーッ!」ホワイトリーヴズはオナタカミ社製のサイバネ翼のブースターから青白い炎を吹き上げ加速!ニンジャスレイヤーを振り落とさんとする!さながら彗星めいて青白い光を放ちながらキリモミ回転!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはフックロープの巻き上げ機構のスイッチを入れた!「イヤーッ!」ロープが巻き戻されバネ仕掛けめいてホワイトリーヴズへと肉薄する!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ホワイトリーヴズはクナイを投擲!ニンジャスレイヤーは身体を捻り回避する!そして、
「イヤーッ!」「グワーッ!」チョップを振り抜き右翼を粉砕!青白い火花が散る!バランスを崩したホワイトリーヴズは制御を失い、落下を始める。ニンジャスレイヤーはその体をガッチリと掴みそのままキリモミ回転しながら垂直落下を始めた!「イィィヤァァーーッ!」「グワーッ!」
ニンジャ近代史をご存知の方ならばお分かりだろう。この技は、かつてテキサス独立戦争で暗躍した闇のニンジャがアラバマの大地に敵の脳天を打ち付け皆殺しにしたというアバンダンド・ダークサイド・オブ・ヒストリーの片鱗を漂わせる伝説の暗黒カラテ技、「アラバマオトシ」!
「イィイヤァアアアーーーッ!」「グワーッ!」必死にもがくがニンジャスレイヤーは決して離さない!キリモミ回転しながら流星めいて落下する両者。そのまま頭部をジャパリパークの大地に突き立てられホワイトリーヴズは爆発四……否、無事である!何故!?
それには皆様方のニンジャ千里眼があれば見えたであろう。「イヤーッ!」「グワーッ!?」死角から突如、ワニめいた口を持つ触手が現れニンジャスレイヤーに食らいつく!拘束がほんの一瞬緩んだその隙にホワイトリーヴズは脱出!ニンジャスレイヤーを蹴り片翼で巧みにバランスをとりながら着地した。ニンジャスレイヤーは激痛に耐え、チョップで触手を切断。ウケミをとり地面へ落下!
「ヌゥーッ…!」サツバツナイトは唸った。恐るべきカラテの持ち主が近づいている……!腰に付けられたヌンチャクを掴み、構える。「スゥーッ…!ハァーッ…!」チャドーの呼吸をし、カラテをヌンチャクに込める……!
おお、見よ、研究所の中からアンコクトンめいた黒い液体がフジキドの足下まで流れ出してゆく。これに触れるのは危険だと彼のニンジャ第六感が告げる!サツバツナイトは連続側転で直ぐ様その場を離れた!
一方、サーバルに抱えられ外に飛び出したバックパックはこの液体の正体を知っていた……!「セルリウム……!」バックパックはサーバルの手を振り払い、彼女達の前に達ボーを構える。
「もうやめてかばんちゃん!死んじゃうよ!」「スゥーッ!フゥーッ!」チャドーめいた呼吸で最低限のサンドスターとカラテを僅かに回復させる。……まだ戦える。その隣へサツバツナイトが連続側転で並び立った。「来るぞ」
「ンッハハハハ」不気味な笑い声と共に溢れだしたセルリウムの中心から人影が現れる。人影が一歩踏み出す。体に液体がまとわりつきオブシダンめいた光沢のあるニンジャ装束を作り出し、メンポが装着される。更に一歩、両手を握り、開いたとき、その手にはブレーサーが装着され、超自然のオーラを放つ。
更に彼は二歩前に出た。誰よりも先に、彼はアイサツをした。「ドーモ、デュプリケイターです」
【ブライトネス・オブ・ア・ニンジャ・アンド・フレンズ】#8おわり#9へつづく