白き龍を倒す旅   作:アイスラッガー

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ナグリ村の危機は我らの団の危機!

ネコタクに揺られてたどり着いたのは地底洞窟のベースキャンプ。

手早く支給品を回収し、携帯食料を囓りながら狩りの前のミーティングをオトモと行う。

 

「さて、今回はテツカブラの討伐。狩猟例も少ないモンスターだ。そこで今回は討伐目的では無く、捕獲しようと思う」

「捕獲ですかニャ?」

「ああ。ギルドで生態を確認して貰いたいしな」

「わかりましたニャ」

「よし行くか」

ハンター達は立ち上がり崖っぷちへと向かう。

ベースキャンプの崖を飛び込めば地底洞窟のエリア1へと降りることになる。

体を軽く動かし、重力に身を任せ地底へと飛び込んだ。

 

ハンター達は走ってエリアを越え、地底深くと潜っていく。

何度も崖を飛び降りて着いた先は最奥地のエリア。

 

湧き水で床は濡れ、エリアの向こう側から噴煙が立ちこめている。

「ここにいるかと思ったが……」

ハンターは歩いて様子を窺う。すると岩陰からジャギィが飛び出してきた。

「お前らじゃ無いんだよなぁ」

ハンターがため息を吐きながら右手をアトランティカの柄にかけた時、右側からの地面から大きな口を開け跳びかかる巨影が現れて、ジャギィを一口に飲み込んだ。そのまま慣性に従いハンターに背を向けたままゴクリと喉をならず。

「テツカブラニャー!」

オトモが叫ぶ。ハンターはその後ろ姿を観察する。

ずんぐりした赤い巨体。確かにカエルのような形だが、可愛げは無い。

そしてハンターに振り向くと満足げにげふうとアンモニアの匂いのする吐息を吐きかけた。

「臭ぇ……」

あまりの臭さにハンターは右手で仰ぐ。消臭玉を持ってくるべきだったかとハンターは考えるが、そうも言ってられない。

太刀・アトランティカを鞘から抜き放ち正眼に構える。

テツカブラは普通ならば身も竦む咆吼をあげるが、高給耳栓のスキルが発動しているハンターには効果は無い。

その隙に大きな牙に斬りつける。高圧縮された水は刃となり傷をつける。

テツカブラは後ろ足に力を込める跳躍。ハンターを大きな牙で噛み付きにかかるが、重心移動の攻防一体の型である移動斬りでこれを対処する。

距離の離れたテツカブラの間合いを縮めようとハンターは近づくが、テツカブラは大きな下顎を地面に差し込むと、巨大な岩を掘り起こし巨大な壁にした。

岩によってテツカブラの挙動が見えない。上からか右側からか、それとも左か。ハンターは僅かに迷うが、太刀を納めテツカブラの右側に廻る。

そそり立つ岩を回避してテツカブラを見ると口元には更に岩を咥えていた。

ハンターが回り込んだと知るとテツカブラは咥えた岩を噛み砕き散弾銃のように鋭い破片をばらまく。

ハンターはいくつか脇腹に破片を喰らい吹っ飛ばされる。

「ボス!」

「ゲホッ…!大丈夫だ!」

軽く咽せながらも素早く体制を整えるハンター。

テツカブラはとぼけるように頭を傾げてハンターを見つめる。

吹き飛ばされたものの、そこまでダメージは無い。

ハンターはテツカブラの攻略を脳内でシミュレーションする。

あの大きな下顎を破壊すれば、岩を使った攻撃は弱体化するのは想像できるが、その隙をどうやって作るか。

罠を使う。乗り攻撃を与えてダウンを取る。方々は多々あるが、奴の攻撃の特徴も見極めたいところ。

そう考えるとハンターは自然と体が動いていた。

「後ろ足を攻めろ!」

ハンターはオトモに指示を出して、テツカブラの顔面に太刀を振るう。オトモは武器を後ろ足に叩き込みダメージをしっかり与えていく。

テツカブラは目の前のハンターに右前足で引っ掻き吹き飛ばそうとするが、これをハンターはオトモのいる後ろ足へと流れるように回転回避をして立ち上がりと同時に鬼刃斬りをたたみ込む。

 

大回転斬りを叩き込むと甲殻が弾け、大きな傷跡が残る。テツカブラは大きく転がり倒れると、バタバタと藻掻いてる。

「ここだッ!!」

ハンターはテツカブラの頭部に攻撃を与えて練気を限界まで溜める。アトランティカに練気を纏わせ全身の力を込めて太刀を振るう。傷口からは鮮血とともに水が噴き出して、体力を奪っていく。蒼い装備が血に染まり黒に変わっていく。

左右に太刀を振るい斬り込んだ後、大上段から叩き下ろすと大きな牙は鈍い音とともにへし折れた。

切り下がりで斬りつけつつ間合いを取るハンター。テツカブラは大きな咆吼1つ繰り出す。しかし高級耳栓の前ではただの隙にしかならない。

「フンッ」

ハンターは力強く踏み込み口腔内にアトランティカを突き刺した。

テツカブラは後ろに仰け反り怯むと地面に体をねじり混むように潜っていった。

気配がエリア9から消える。

 

「逃げたか」

血に赤く濡れた剣先を見つめハンターは右腕の力で太刀を振るう。水が迸り刀身から鮮血が流れ落ちる。それを確認してから鞘に納め、アイテムポーチから回復薬を取り出し胃へと流し込むと、追いかけるため崖をのぼりはじめた。

 

場所は変わってエリア8。広く暴れやすく、所々段差もあり、乗りも期待出来る。

テツカブラはハンターを見つけると、地面から岩を掘り出して咥えたまま跳びかかってくる。

それを難なく避けて構えるが、反転して再び飛んでくるためそれを回転回避で避ける。

すると角笛の暴力的な音色が響き渡る。それと同時に筋肉が少しばかり膨れ上がる。

オトモが吹いたのは鬼神笛。攻撃力が上がる術だ。

「ボス!!」

「ああ!」

3度目の跳びかかり。限界まで極めた集中はハンターの脳内にアドレナリンを出し、相手モンスターの動きはスローモーションのように見えていた。練気を纏ったアトランティカのしのぎでテツカブラの動きをいなして右後ろ足に鬼刃袈裟斬りをすれ違い様に斬り込んだ。

鬼刃の煌めきが迸るとハンターの後ろには右後ろ足に深い傷を負ったテツカブラが転がる。

ハンターはすかさず頭部に向かい鬼神斬りを叩き込む。

「ぜああああ!!!!」

獣の咆吼を解き放ち、大回転斬りの横一線で残る下顎の牙を切り落とした。

 

テツカブラの武器でもある下顎の牙を除いたら厄介な岩の壁や岩石砕きも脅威では無くなった。

ハンターは怒濤の猛攻を仕掛ける。オトモは回復笛や鬼神笛を吹き鳴らしハンターをサポートする。

最後は背中に乗りダウンを取ると、シビレ罠を仕掛けて麻痺したところを、麻酔玉で眠らせて戦いを終わらせた。

 

ハンターは切り落としたテツカブラの牙を拾いベースキャンプへともどった。

ベースキャンプに続く崖をひたすら登るのはハンターにモドリ玉を持ってくるべきだったと後悔させるのに十分だったりしたが、疲れた体に鞭打って何とか戻った。ベースキャンプには団長の伝書鳥がいて、ハンターは牙に『テツカブラ討伐完了』と書いて伝書鳥に持たせてナグリ村へと向かわせた。これで村人達も安心するだろう。ハンターはゆっくり片付けをしてしばらく休んでからナグリ村に戻った。

 

 

ナグリ村に戻ったハンターを出迎えたのは笑顔が輝くお嬢だった。

 

「あ、ハンターさん!テツカブラの狩猟おつかれさまでした!ナグリ村の皆さんがやっと元気になったんですよ。ああ、よかった」

お嬢の言葉通り、静寂に包まれていた村は一変して、加工の音や土竜族の威勢の良いかけ声で騒がしくなっていた。

 

「さあ、お船のことを村長さんに相談しましょう!」

「ああ!」

2人並んで歩いて行くと、村長の隣に団長もいてなにやら話し込んでいる。

 

「おお!待っていたぜハンターさん!アンタの帰りをな!」

ナグリ村の村長がハンターを見つけて手を振って話しかけた。先ほどまで大きな体を小さく丸めてベソを掻いていたとは思えない。

「よくやった、我らの団ハンター!見事だったな!」

団長もハンターを労う。

「ハンターさん、アンタがテツカブラを追い出してくれたんだってな。何と言っていいか!恩に着るぜ!」

「いえ、やれることをやったまで」

「ブハハイ!そうかい!……うん。この村では、火山から溶岩を引いて物作りをしているんだがな。最近、どういうわけか、火山からの溶岩が止まっちまってな。おまけに、テツカブラが出たおかげで素材の調達までパァときたもんで、みんな、すっかり弱っちまって」

「仕事熱心ですね。はい」

お嬢が苦笑しながら言う。

「それよりアンタら、船を作りてぇんだって?話した通り、今は溶岩がねぇからデケェもんが作れねぇ。オレっちが原因を探ってくるからよう、ちぃーと待っててくんねぇかい?」

「はい。……しかしハンターさん、意図して溶岩を引いたのにそれが止まるって何かしらのモンスターの影響があるんじゃ無いでしょうか?」

「テツカブラは倒したけどな。アイツは岩を動かしたり出来たから溶岩くらい止められそうだが……」

「うーん、気になりますね。しかし悩んでも仕方がありません。村長さんの調査結果を待ちましょう」

「だな」

 

溶岩が止まった理由。モンスターが関わって無ければ良いが。ハンターがふと考えると不意に団長の声が響いた。

「よしきた!ではその間に、船の設計でも進めよう!設計は、俺の相棒にまかせてくれ!得意も得意、お手のものだ!」

「おお、さすがは竜人さんだなぁ!恐れ入ったぜぃ!」

団長と村長。この2人は好奇心が強いところが似ている。話も熱く盛り上がっていた。

「ところで、団長さんよう、船を作ってどこに行くんだい?」

村長の質問に目を輝かせて団長は帽子の中から光り輝くアイテムを取り出した。

「よくぞ聞いてくれた!俺たちは、コイツの正体を探して旅をしているんだ」

村長はアイテムをまじまじと見つめ見惚れるように呟いた。

「おお!こいつは…すげえ!いいねえ…。フシギでキレイな”アイテム”だなあ…。なんだか、むかしひいじいちゃんから聞いた”フシギなモノ”のことを思い出すぜ…」

「んん?それは興味深い話だな」

村長の一言で団長の目がキラリと光った。

「ひいじいちゃんがまだ若かったころな、この村に、伝説の職人って呼ばれる竜人さんが来たことがあるらしいんだ。その職人さんが、キラキラ光るフシギなモノを持っていたんだとさ。なんでも、海を渡った場所に竜人さん達が住む村ってのがあってな。そこで手に入れたとか」

「ほう……?」

「ええと、なんて村だったっけな?確か…、《シナト村》だったっけな?」

「ほうほう、面白い話だな。そうだな、せっかく船を作ることだしなァ。よし、次はその村でも目指してみるか。もしかしたら、手がかりが見つかるかもしれないな」

団長は腕を組みハンターに向かって言った。

「そうと決まれば我らの団ハンター、ひとまず相棒の相談に乗ってやってくれないか?」

「相談ですか?」

「船の材料で必要なものがあるらしいんだ。お前さんを探していたぞ。お嬢、お前さんは相棒の依頼をクエスト化してくれるか」

「はい。それではハンターさん先に行って準備してますね」

「わかりました。お嬢たのむ」

団長とお嬢は先にキャラバンへと向かう。村長と二人きりになったハンターは村長に話しかける。

「村長さん何かあったら遠慮無く俺を使ってくれ」

「いやー、ホント面目ねぇ。オレっちみんな、作るの大好きだから、もうマイッタマイッタ。溶岩が止まっちまって、鉱物も掘れなくなったときたら、

目が回ってグルグルよ! ブハハイ!」

豪快に笑う姿は非常に様になっている。

「そんなわけで、今はデケェ船は作れそうにねぇんだ。オレっちが原因を探ってくるからよう、用事でも済ませてきてくれねぇかい?」

「ええ。船に必要な素材だと言っていたので何かしらのモンスターでしょうね」

ハンターの言葉に村長は頷き言った。

「あの竜人のニィちゃん、船の設計もやるそうじゃねぇか。かーっ! 竜人の知識には恐れ入るねぇ!ウチのムスメが張り切っていたぜ。設計の手伝いをするんだってな」

「へぇ、あの子が」

金髪の幼い人間の少女と体格の良い竜人族の加工担当。何だか兄妹のような組み合わせだ。

「ムスメにとっていい経験になるに違いねえ。コキ使ってやってくれぃ!」

「はい。……そう。お宅の娘さんについて貴方に伝えることがあります。」

ハンターが村長に伝えたことは我らの団がナグリ村に着たときに村の皆に元気になって貰えるよう、勇気を振り絞ってハンターに助けを求めたことだった。

 

「…え?オレっち全員が倒れている間、ムスメがあんたに助けを?」

「ええ。皆元気がなくなってこのままだとマズいと。ハンターの俺に泣きながらも独りで頑張って伝えてくれました。」

「…そうだったのかぃ。ムスメよ…よく1人で頑張った…」

「誇ってあげて下さい。彼女の勇気に。私は彼女の勇気に答えただけです」

村長の肩に手を添えて真っ直ぐ話すハンター。村長は目に涙を浮かべ叫んだ。

「ムスメよ…。ムスメよぉぉおおぉおおおおおおお!」

 

 

 

 

村長と別れたハンターは加工担当の所まで向かうと、そこには村長の娘も一緒になって何やら話し込んでいた。

「やったー!おとうちゃんもあんちゃん達も、みーんな元気になったよ!ハンターさん、ありがとう!ほんとうにありがとう!ぎゅー!」

「ああ、どう致しまして」

女の子はハンターに満面な笑みで感謝を伝えるとハンターに抱きついた。

 

「お礼にこれあげる!水光原珠っていって、《装飾品》を作るのに必要なの!」

「ああ。頂こうか。しかしこんなのよく持ってたな」

水光原株を手で持って眺めながらハンターは言った。

 

 

「私ね、母ちゃんから装飾品の作り方を昔から教えてもらっていたんだ!ハンターさん、装飾品は私にまかせて!丸ごとぜ~んぶ、ハデにデコったげる!」

「ソイツは凄いな……!頼りにするぜ」

水光原珠をポーチに受け取り加工担当と話をする。

 

「よう…テツカブラの狩猟…見事だったぞ。お前がテツカブラを狩ったとたん…ナグリ村の皆が…嬉々として採掘に出かけたんだ」

「そうですか」

「いよいよ船作りだ…楽しみだな。船の設計は…俺にまかせろ」

「ええ、お願いします」

「お前には…《ゲリョス》の狩猟を…頼みたい」

「ゲリョスですか」

「船を作るには…ゲリョスの素材が…必要だ。お嬢に…『ゲリョスを狩猟せよ!』という依頼を頼んでおいた。お前がゲリョスを狩れば…市場に素材が出回るだろう。それを商人の爺さんに買い取って貰って船の素材に使う手筈だ。……頼んだぞ」

「わかりました。そうそう、団長殿が言ってましたが、船を造ったらシナト村に向かう予定です。何でもここの村長さんの曾祖父さんがあのアイテムを見たことがあるらしく、その際シナト村の名前を聞いたそうで」

ハンターがそう言うと、加工担当は何か考えるように黙り込んだ。

「どうかしました?」

「そうか…シナト村か。実はな、シナト村は…俺のじいさんの…故郷なんだ。じいさんは故郷のことを…いっさい語りはしなかった…俺が知っているのは、村の名だけだ。なぜ語らなかったのかは分からない…きっと何か…思う所があったのだろう」

そこまで語るとフッと笑って。

「まさかこんな所で…その村の名を聞くとは…思わなかったがな」

苦笑交じりに語った。

「んで、娘ッ子は設計の手伝いか?」

「うん!色々と加工のお兄さんから教えてもらうんだー!」

「ナグリ村の小さな娘が…船の設計を…手伝ってくれているんだ。なかなか面白い娘だな…時々驚くほど…鋭いことを言う。いつかナグリ村を出て…どこまでも行くのが…夢だと言っていた。彼女の才能は俺が…保障しよう。間違いなく天才だ」

「だってさ。俺は設計とか出来ないからな、頼りにするぜ娘ッ子」

ハンターは少女の頭を優しくなでる。

「えへへっ、ハンターさん! 私も手伝う!手伝うったら手伝う!船の設計、お手伝いするんだから!だめだって言っても勝手に手伝っちゃうもんねーっ!………えーと、えへへえ。がんばるから、お手伝いさせてほしいな。うんとがんばるから」

「ああ。任せた」

 

 

ハンターはゲリョス討伐のクエストを受けるためにクエストボードの元まで向かう。

「ナグリ村の皆さん、元気になりましたね。ふーっ、いいコトしたあとは気持ちがいい」

お嬢がニコニコとクエストの書類を分別して纏めたファイルから1枚のクエスト用紙を取り出す。

 

「とにかく今は、溶岩が止まってしまった原因を

調べてもらうのみ…ですね。そうそう、加工屋さんからクエストの依頼をあずかりましたよ。お船を作るための材料集めを引き受けてほしいんですって。これです。《ゲリョスを狩猟せよ!》。あのゴム質の皮が、防水に最適なんだとか。まあすごい」

「色々と役立つ素材だからな。……ほい、しばらく休んでから行くとするよ」

ハンターはサインを書いてお嬢に渡す。それにお嬢はズタン!とスタンプを押してクエスト受注の手続きは完了。後は狩猟するだけである。

 

「それではハンターさん、ゲリョスの狩猟、開始~」

「ああ、その前に一眠りするさ」

「はい、お休みなさいハンターさん」

 

 

ハンターは四時間ほどマイハウスのベッドで眠ると装備を整えて、部屋を出る。メンテナンスを受け綺麗になったSソル・Zに身を包み、飛竜刀【椿】を背負い、料理長お手製の食事を取っていた。ナグリ村の村人達も食事しているので非常に賑わっている。

料理長も忙しそうに鍋を振るい、食材を煮込んでいる。

オトモは今回は連れて行かない。ナグリ村での手伝いを任せている。兄貴分なアイツは張り切って仕事をしている。

久しぶりのソロハントに心躍らせているそんなハンターの元にナグリ村の少女が横に座った。

「お疲れ、飯食うか?奢るぜ」

「ううん、さっき食べたからいいよ」

「そうか。どうした?」

ハンターは箸を置き、少女に体を向ける。少女はしばらく俯いたが、ハンターの目を見て尋ねた。

 

「ねえ、ハンターさん達は、船を作ってどこに行くの?」

「とりあえず海の向こう側にあるシナト村を目差す予定だ」

「え? 海の向こうに?うわあ、いいなあ…!」

「ああ。竜人族が住む村らしい。シキ国って言ってな、俺の使っている太刀の製法がそこから伝わったて言われている地方でな、俺もそこそこ興味があるし」

「私ね、この村から出たことないんだ。外に修行に行きたいって言ったら、おとうちゃんがダメだーって」

「そうか、そうだろうな。『ムスメヨォォオ』って叫ぶのが想像できるな」

ハンターは村長に出会って一日しか経ってないが、彼の性格は何となくわかっていた。

「あははっ、やっぱり?そうだよね……」

少女は少し俯きながら言った。その様子にハンターは言葉をポツリと呟いた。

「出てみたいのか?」

「えっ?」

「村。出てみたいのか?」

その答えにしばらく黙る少女。触れれば壊れるような表情でハンターに尋ねた。

「もし。……もし私がハンターさん達と一緒に行きたいと言ったら連れてってくれる?」

ジッとハンターの目を見て言う少女の答えにしばらくしてからハンターは言った。

「良いよ。来なよ。団長殿の許可が必要だと思うけど、あの人なら笑って迎えてくれるさ」

「本当?!」

「ああ、来る者拒まずが我らの団だからな。モンスターの心配なら気にすんな。俺がいる。飯の心配も無い。美味いだろ、うちの飯は」

「うん!」

「君の能力も加工屋のお兄さんのお墨付きだ。誰も文句は言わないさ、後は勇気だけだ」

「勇気?」

「村長さんに、親父さんに断って説得しな。黙って出て行くのは子供のすること。家出じゃ無いんだ、自分で決めた道は胸張って歩かないと駄目だぜ」

「……うん!ありがとうハンターさん!」

「ああ。……駄目だって村長さんに言われたらどうするんだ?」

ハンターの問いに少女は笑顔で言った。

「でもいいもんねー!おとうちゃんのばかーっ!そう言ってハンターさんについていく!」

「やれやれ」

ハンターは少女の言い分に苦笑しながらグラスの酒を煽った。

 

 

少女と別れ、ネコタクを村の外で待っていると団長が見送りに来た。

「火山から溶岩が流れてこない…か。こりゃ一大事だぞ、我らの団ハンター。村長が原因を調べてくれるらしい。あせらず、果報は飲んで待つとするか。」

「飲むって……酒?」

「ああ、酒」

2人は笑い合う。

「お前さんは、相棒の頼みでも聞いてやってくれ。確か、ゲリョスの狩猟だったか?」

「ええ、これからサクッと捕獲してきます」

「そうか、それなら気をつけてな。うちの相棒は、乗り物の設計もお手の物なんだ。長年のつき合いだが、竜人の知識と技術には、毎度驚かされる。加工屋のムスメっこも、相棒にずいぶんとなついているようだな。面白い組み合わせじゃないか。はっは!」

「ええ。兄妹のような感じで見ていて微笑ましいですね」

「ああ、しかもあの子の才能は光る物があるな。それを知ってか口数少ない相棒も珍しく話し込んでるしな」

「ええ、彼も楽しそうに話しています」

「はっは!全くだ!」

しばらく話していると、ネコタクがやってきた。ハンターは荷台に乗り込み団長に話しかける。

「行ってきます!」

「おう!行ってこい我らの団ハンター!何度も言おう!お前さんなら出来る!出来る!」

団長は去って行くハンターに向かっていつもの言葉を投げかけた。

 

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