白き龍を倒す旅   作:アイスラッガー

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ジンオウガ亜種の玉が出ず更新が遅れました。


バルバレの依頼

我らの団へ入団してもう一週間。この間ハンターは何をしていたかというと、ケルビの角の採取とキノコ取りと、ジャギィ3頭の討伐のみ。集会所の方からも依頼は無い。ぶっちゃけ暇だった。

お嬢が纏めた非常に癖のあるイラスト付きのモンスター帳を貸して貰い、バルバレに出るモンスターの予習をしたり。またハンターもモンスターの行動や攻撃のパターンを纏めた書類があったのでお嬢に見せたりして充実していた日々だったが、それでも暇だった。

 

「…ん?どうした、シケた顔して」

S・ソルZシリーズはフルフェイスなので表情は見えないはずだが、ハンターに覇気が無いのを気付いた団長はそう言ってきた。

「いえ、依頼が来ないので少し退屈しておりました」

それを聴いた団長はいつものように豪快に笑い飛ばして言った。

「ほう? ギルドが簡単な依頼しかよこさないって?はっは!いいかお前さん、仕事ってのは自分から取りに行くモンだぞ。」

「まあ、そうですが」

「いーや、分かってないな。まぁ仕方が無いかもしれんが、村専属ハンターは村人から依頼が沢山あったろうが、もうそうじゃない。キャラバンハンターは自分から依頼を見つけて、ギルドを通してクエストをやる。資金とか大きい有名なキャラバンとかなら依頼が来るだろうが、あいにくウチは目立ったことはしていないからな。待っているだけでは依頼は来ないぞ」

その一言にハッとするハンター。勝手に仕事が来るだろうと思っていたが、ここは多くのハンターが集まるバルバレ。古龍の襲来などの余程の問題が起こらない限り緊急クエストが来るはずが無かった。

「まあ、そんなこともあろうかと、お前さんがいない間にこんなチラシをバラまいてみた」

団長は1枚のチラシをハンターに渡した。

 

 じんそく かいけつ

 おなやみ そうだん

 

 ゆうしゅうなる 我らの団ハンターが

 あなたのもとへと いちもくさんに 

 かけつけます

 

 

チラシにはそう文章が書いてあり。ハンターのイラストなのだろうか、まつげの長く、瞳は大きくキラキラしてある人の顔が描いてあった。

 

「この絵は?」

「ああ。お嬢が描いたお前さんの似顔絵だ」

「凄ぇ、全く似てねぇ」

 

もう、別人じゃないか。髪の毛黒いし。何一つ特徴が一致していなかった。そもそもお嬢に素顔を見せたことがない。せめていつも装備しているS・ソルZ装備の方が分かりやすいと思うが。

 

「これでお前さんにクエストを依頼しようとする奴が現れるはずだ」

「……だと良いのですが」

何もしないよりマシだがすこし不安だった。

しかし大通りを通る人々達は我らの団を注目しているようだ。

 

「さて…どれどれ?依頼人は現れたかな?」

団長が当たりを見渡すと、少し離れた所にアイルーが屋台を開いていてこちらを手招きしている。

 

「お!いたぞ!あれは…屋台の料理人だ!さっそくのチラシ効果がお出ましだな!」

「マジかよ……」

効果早すぎじゃないか?イラストを見つめそう思う。しかし依頼ならば引き受けて信頼と実績を積み上げていくしか無い。ハンターは気持ちを切り替えて新しい依頼主の元へ行く。

 

「よしよし、まずは裸で語り合ってこい!」

「了解!」

団長の激励を背にハンターは駆け足で向かった。

 

「…ム?オマエがチラシのハンターニャルか?フム。どれどれニャル」

屋台の料理人をしているアイルーは手元のチラシとハンターを見比べる。

「ムウ。似顔絵見ても装備で顔が分からないニャル。これは新手のサギニャルか」

詐欺扱いされた。

「すまないな。だが、間違いなく俺は我らの団のハンターだ。困りごとなら力になろう。キノコの採取から古龍の討伐まで何でも引き受けよう」

ハンターは胸を叩いて言った。

「まあいいニャル。オマエさまに頼みがあるニャル。私、タル配達をしている知り合いが荷物を届けるのを待ってたニャル。でも、《クンチュウ》というムシのソシにあって、未だに、荷物が届かぬ思いニャルよ」

「なる程、クンチュウの討伐か。俺に任せてくれ」

「…おお、その態度はやる気があるという顔ニャルね。ありがたやニャル、ありがたやニャル。私、『行く手を阻むクンチュウを狩れ』という依頼を

ギルドに出しておいたニャルよ。では、銀色のハンターよ、よろしく頼んだニャル」

「ああ」

依頼を契約したので、お嬢の元へハンターは向かう。団長がやり取りを遠目で視ていたのだろう。話しかけてきた。

 

 

「どうだ?屋台のネコの介と裸で語り合ったか?」

「そうですね、モンスターの被害に逢っているとのことでした。これから討伐に向かいます」

「よーし、進もうじゃないか、優秀なる我らの団ハンター!依頼人がお前さんを待ってるぞ!」

「では、行ってきます」

 

 

「あ、ハンターさん、聞いてください。先ほど、お鍋をかぶった料理長さんから依頼がありました」「ああ、そのクエストを受注したい」

「ふふ、ハンターさんじゃなきゃ駄目ですよ。『銀色のハンターを指名ニャル』だそうです。指名ですって。まあすてき。」

お嬢はうふふ、と笑って手を合わせた

「光栄な事だ。……所でお嬢。『クンチュウ』って何だ?」

「クンチュウは丸くなってコロコロ転がるムシです。甲殻は固くどんな武器も弾くのですが、弾いた衝撃でひっくり返るので、柔らかい腹部を攻撃すれば倒せます」

「なる程な。参考になった、それじゃ行ってくる」

「はい。気をつけていってらっしゃい」

 

筆頭オトモを引き連れ遺跡平原まで行く。

「ボス着きましたニャ」

「おう」

オトモが恭しく先回りして安全を確保する。だからボスじゃないって。

それを苦笑して見守っているのは上位の受付嬢ことジョーイちゃん。今日も狩場まで送って貰った。彼女曰く『ちゃーんと私が送りますからね』とのことだ。

何気なくこの前『別に無理に送らなくても良いよ。受付嬢の仕事もあるだろう?』と気を遣ってハンターが言ったら、『好きでやっているので、大丈夫ですよ。受付嬢は代わりがいますが、ハンター様をちゃーんと遅れるのは私独りだけですので』と譲らなかった。

本当に有り難い事なのだが、日に日に受付嬢に憧れを持っている他の男性ハンター達の嫉妬と怨念の籠もった目線が集会所に訪れる度突き刺さる。

別に狙ってないから。

むしろハンターは逆にいつ死ぬか分からない仕事に就いていて色恋沙汰に興味を持てるのが不思議だった。

 

さて、ハンター達は支給品を受け取り、携帯食料を食べて腹を満たし遺跡平原を進んでいく。大型モンスターもいないのでエリア7に着いた。ここは高低差の激しい崖があるのが特徴で、そこそこ発掘ポイントもある。シンと静まるエリアに耳を澄ませると何かが転がる音がする。

目の前から大樽より一回り小さい黄色のアルマジロのようなものがハンターに向けて転がってきた。

ハンターは回転回避で飛び越えるように回避する。

転がってきた物体はエリアの壁にぶつかりひっくり返って藻掻いている。どうやらこれが目的のクンチュウのようだった。

ハンターは太刀の柄に手を掛ける。するとアイルーが言った。

「ボス!ここは僕がやるニャ!」

「あっはい。どうぞ」

先日のリオレイアの一件から何となく気合いが入っているアイルー。先日のキノコ取りもジャギィ3頭討伐もこいつが全て片づけた。

「ニャ!ニャ!ンニャー!」

気合いを込めて武器を振るう。緑色の体液がクンチュウから飛び出し絶命した。

「おー。やるねぇ」

地面から這い出てきた他のクンチュウをアイルーは追撃する。ハンターはこっそり崖を登りクンチュウを見つけると崖下のアイルー目掛けて蹴った。

「フシャー!やったニャ!……フッ、次に行kぐえッ!」

蹴ったクンチュウは勢いよく転がり、勝ち誇ったアイルーにぶつかった。

「油断するな。『勝ち誇った時、そいつは既に敗北している』狩りをしている際それを肝に銘じとけ」

「にゃ……。わかり、ましたニャ」

ハンターは崖上から轢かれたアイルーを見ていった。決して仕事を奪われた恨みでクンチュウを蹴り飛ばしたわけでは無い。

「お前はどこか詰めが甘い。まあ良い、残りの討伐頑張れ」

ハンターは一通りクンチュウを蹴り落とすと崖っぷちに腰掛けアイルーの奮闘を見ていた。

 

クエスト終わってバルバレに戻る。

 

 

「無事で何より! メンバー募集!」

バルバレに到着したハンター達を団長が迎えた。

 

「おうお前さん、聞いたぞ。屋台のネコの介の依頼を見事、いなしたんだってな」

「ええ」

「ネコの介から、お前さんに伝言だ。『ありがとニャル。オマエさまに感謝ニャル。ところで、オマエさまを信じてもう1つクエストを依頼したいニャル。後で、来てくれニャルよ。それと、あちこちでオマエさまを宣伝しといたニャル。依頼が増えるといいニャルね』お~、いい話じゃないか!素晴らしいな!」

「有り難いですね」

「他にもお嬢の元に色々相談が来ている。ハンターさんならできる!デキる!」

「そうですか、確認してみます」

「それにつけてもメンバー募集!来たれ料理人!来たれ商人!メンバーが集まったら、次はどこに行くかを考えておかないとな。フフ…旅はこの瞬間が一番面白い」

そう言って団長は豪快に笑った。

 

 

 

「シッ…!!お客さん、もしかして…、あなたが、アレですか?」

お嬢に寄せられた相談を解決するため、武具屋の若い店員まで向かったハンターに開口一番シリアスな口調で話しかけてきた。

アレって何だ?そう思いながらも、ハンターはチラシの似顔絵のことを聴いているのかと思い、我らの団のハンターだと言うことを伝える。

 

「ククク…ヤッパな。隠しても、オレにゃあ分かってんだ。」

何も隠して無いって。なんだ、話がずれている気がする。

「どうした?それに似合ってないぞその話し方」

いつもは丁寧な接客と気さくな性格な店員が秘密結社の一員のような語りをしている。

「なんだよその顔は。驚いてんじゃねえぜ。コッチがオレの顔なのさ…」

知らねぇよ。

「で、依頼は何だ?」

ハンターやってると変な依頼も来る。面倒くさいので、そう割りきって依頼を尋ねた。

「てことで、その柔腕を見込んで頼みがある…。例のモノを納品してくれたら、アンタを、アレに推薦してやるぜ。どうだ、悪い話じゃねえだろう…?」

「すまない、話が見えん。もう少し分かりやすく頼む」

『例のモノ』と『推薦』の言葉。もしかしてギルドの人間だろうか?G級ハンターの肩書きで十分なのにさらに何か押しつけようとするのか。

 

「シラバッくれんなよ、分かってんだろう…?そう、卵だよ、卵!卵の納品だ!」

「卵の納品?」

そこでようやく繋がった。ポッケ村でハンターをしているときから依頼があったが、キノコだったり、鉱石だったり何かアイテムに狂信的になっている人たちがいる。ただしモンスターがいて採取が出来ないから代わりに採ってこい。その手の類いの依頼だろう。少しばかり胸に広がっていた灰色の疑心は無くなっていた。

「頭上に抱く卵!さんさんと輝く卵!おお、オレたちの卵!もしアンタが《ガーグァの卵》を無事に納品できたら…、俺たち組織の一員に推薦してやるぜ!いいハナシじゃねーかコノヤロウ!てワケで、緑色したネェさんに『秘密の卵運搬・ガーグァ編』

って依頼を出しておいたからな」

「はぁ。分かった」

卵を納品して欲しいなら普通に言えよ。そう思いながらこれは後回しで良いなど段取りを組み立てる。

「おおッとォ…!この話は口外無用だぜ…!オレの頼みだってことは言うんじゃねーぞ!」

言わねーよ、アホらしい。

 

 

 

次にハンターが向かったのはバルバレで買い物に来ている女性。

「ああ、困っちゃった。ああ、どうしよう。ああ、大ピンチよ!」

「どうした?我らの団に相談しに来たそうだが?」

ハンターが声を掛けると、女性は嬉しそうに答えた。

 

「あ! チラシのハンターさんだ!お願い、私の悩みを聞いてー!」

「ああ、要件は何だ?」

「さっき、大事な買い物をすませて家に帰ろうと思ったんだけど…、帰り道に《ジャギィ》がいて帰れないの!」

これは早めに解決した方が良いな。

ハンターはメモを取り考える。

「ジャギィ討伐だな。」

「ひー!ハンターさん、私イヤよう!ジャギィにかじられるのだけは!いや、他のモンスターにかじられるのもイヤだけど」

「俺だって嫌だな」

「でしょう?そこでなんだけど、ジャギィの討伐をお願いしてもいい?私、看板娘さんに『ジャギィの群れを狩れ!』っていう依頼を出しておくわ!」

「分かった引き受けよう」

「お願いよー!ハンターさん!」

そこでふと気がついた。

「ジャギィだけか?」

「へっ?」

「ドスジャギィは見かけなかったか?」

「ええ、いなかったわ」

「そうか、なら良い。明日には帰れるようにするから帰る準備だけしておいてくれ」

 

ハンターはそう言うと次の依頼主の元へ向かった。

 

 

 

 

「ハァ…なんだいサギかい。チラシのハンターはアンタだったのかい」

「詐欺って言われてもな」

場所は変わってバルバレの雑貨屋の女将の元へ。お嬢の描いたイラストで詐欺扱いされる。なんだかバルバレに来てからいらない設定が増えている気がしてならない。

 

 

「そりゃあね、チラシの似顔絵はどこのやんごとなきお方か、ってぐらいまつ毛の長い、ぱっちりお目々だったよ。まるで別人じゃないか!期待しちまったよ!何に期待したかは聞くんじゃないよ!」

女将の手元のチラシをみる。お嬢のイラストは女将の好みのタイプだったらしい。

「期待させて悪かったな。いつも世話になっているからな、俺がやれることはやろう」

ハンターがそう言うと女将はニッと笑って言った。

「まあいいさ、アンタなら話が早そうだね。早速なんだけど、頼まれてくれないかい?《サシミウオ》の納品をさ」

「釣りか、良いだろう」

「今、港にねえさんの狩猟船が来ていてさ。ねえさんは、モガって村で漁港を仕切っているんだけどね。ところが、シケのせい不漁でさ。サシミウオが足りないらしいんだ。怖い依頼人に怒られちまうって、船長がピーピー泣いてるんだよ。かわいそうだろ?てことで、ギルドに『新鮮なサシミウオを求めて』って依頼を出しておいたからね。それじゃ、よろしく頼むよ!」

「ああ、任された」

ハンターはマイハウへと向かう。下位の新人ハンターなら一つ一つやっていくが、いちいちバルバレから遺跡平原まで往復していたら時間がかかる。纏めて片づけた方が良い。

 

アイテムポーチにサシミダンゴを入れ、卵を運ぶため競争薬も2つほど入れた。サシミダンゴは釣りフィーバエとムシの死骸で調合し作った。

ペイントボールとシビレ罠とドスジャギィが現れても良いように手配する。

 

オトモを引き連れ遺跡平原へ向かった。

 

 

ベースキャンプに到着して支給品を受け取り、携帯食料をかじりながらオトモとミーティングを始める。

「よし、依頼の確認に入る。準備は良いか?」

「ニャ」

1人と一匹のベースキャンプに緊張が入る。

「まずは、ジャギィの討伐。買い物客がジャギィに襲われ帰れない事件が勃発。依頼はジャギィだが、群れのリーダー争いか縄張り争いの影響が原因と考えられる。なので、ジャギィだけ討伐してもまた被害が出ることが考えられるだろうから群れ1つ完全に潰す。午前中に終わらせるのがノルマだ。そうしないとガーグァが警戒して出てこない。卵回収のためにも早く終わらせる」

「ニャ。サシミウオはジャギィ殲滅後に回収で宜しいですかにゃ?」

「ああ、アイルーの巣に池があってそこで穫れるそうだ。さて、行くか」

ハンターは立ち上がり鬼神薬と強走薬を飲みベースキャンプを飛び出した。

 

ガシャガシャと装備の音が激しくなるほど全力で黄金色の草原を駆けていく。赤茶色の段差を飛び越え見えるのは4匹のジャギィ。ハンターが太刀を引き抜き踏み込んで大上段から振り下ろし一閃。鮮血が飛び散り辺りを濡らす。

そのまま勢いをつけて他のジャギィの胴体を突き刺す。剣先は性格に心臓を貫き鼓動を止めた。胴体から太刀を引き抜き、下段から鋭い切り上げで更にもう一体の命を刈り取る。

残った一体は逃げようとするがアイルーに切り裂かれ倒れた。

走りながら納刀して次のエリアに向かう。そこからは討伐というより虐殺と言った方が良いだろうか。会ったジャギィは容赦なく殺し、大地を紅に染めていく。ジャギィノスも屠っていく。

ギャッ、グェッ、ギャァア。

モンスターの悲鳴とハンターの怒号が飛び交い、暖かな草原は凄惨な戦場へと変わっていった。

 

「オーゥ、オゥオゥオゥ!」

ハンターの狙い通り、群れを攻撃されドスジャギィが現れた。群れを攻撃する敵を倒すため招集をかける。エリアの端にある小さな洞穴からジャギィが次々と出てきてハンター達を囲もうとする。油断すれば囲まれ体制を崩されたら最後、鋭い牙で啄まれ、生きたまま喰われることになる。そんな死に方はするつもりもないし、生きる残るのはこちらの方だ。

「いざ参る!!」

狩場が居場所。ハンターは生きるか死ぬかの瀬戸際で自分の人生を感じることが出来る。己の奥底にある強い破壊衝動が込み上げ体を突き動かせる。

ジャギィが噛み付きやジャギィノスのタックルなど激しい攻撃が始まるが、ハンターは斬り下がりと鬼刃斬りのカウンターなど駆使し、回避はせず真っ正面から立ち向かい次々と斬り捌いていく。

アイルーはハンターの背中を護るように陣取り武器を振るう。ブーメランで中距離から牽制をかけ相手の攻撃を乱し、隙を突き一体一体倒していく。

「グァァア!!」

咆吼1つあげドスジャギィが大きな体躯を駆使しタックルをぶちかますがハンターに躱されアイルーにはガードされ決定打にはならない。

群れのジャギィ達は次々と倒されて戦力はどんどん失っていく。

ドスジャギィの攻撃パターンは噛み付きや跳びかかり。尻尾を使った薙ぎ払い程度。銀色の装備を鮮血で塗らし、修羅と化したG級ハンターの実力の前で身体能力のみでしか戦えないドスジャギィは圧倒的不利の状況だった。

銀火竜の素材で出来た飛竜刀【銀】の刀身から吹き荒れる業火は最高まで練り上げた練気と混ざり、辺りの空間を陽炎に歪ませ、ドスジャギィの肌を焼き斬っていく。

シビレ罠にかかった相手に鬼刃斬りが決まり、大きく振り下ろした爆炎のひと太刀がドスジャギィの頭部に炸裂。王者の襟巻きは吹き飛び、ドスジャギィを大きく仰け反らせ、がら空きになった喉笛に鬼刃大回転斬りが一閃。赤い刀身と迸る白炎が煌めいた瞬間ドスジャギィは後ろにぶっ飛び立ち上がること無く地に伏した。

 

ジャギィ38体、ジャギィノス29体、ドスジャギィ1頭の群れはハンターのノルマ通りに午前中に壊滅した。

 

横たわるドスジャギィに腰掛け太刀を砥石で研ぎ直し、携帯食料を食べる。

「お前大丈夫か?疲れてないか、怪我してないか?」

「ニャー。思いきっり暴れることが出来て満足ニャ」

ハンターはアイルーの様子を窺う。戦っている最中は敵のことしか考えられないのでアイルーの様子は分からなかった。しかし、少しばかり息が乱れる程度で大きな怪我も無く、しかも暴れられて満足と大口をたたいた姿に感嘆する。

今回の討伐でハンターはアイルーの評価を更に上げた。

正直オトモアイルーを見下していたが、自分の狩りに弱音を吐く事無くしっかり付いてきたことに驚いていた。

今まで他のハンターとクエストに同行したことは何度かあるが、ハンターは型破りな攻撃をするので誰も付いてくることができなかった。

 

「正直お前を見くびっていたよ。すまなかったな、これからも頼む」

「ニャ、恥ずかしいニャ。ボスの戦う姿は僕の目標ニャ」

「あんまりマネされても困るがな。さてサシミウオをとりつつ休憩するか」

ハンター達は立ち上がり、サシミウオが穫れると言われるアイルーの巣に向かった。

 

互いに釣り竿を垂らしのんびり釣りをするハンター達。アイルーの巣に血塗れのハンターとオトモアイルーが現れたときはちょっとした騒ぎになったが、事情を説明してアイルー達に納得して貰い、釣りをさせてもらっている。ドスジャギィの群れにはアイルー達も困っていたようで、むしろ感謝された。

「ボス、相談があるニャ」

「どうした?」

釣りをしているハンターにアイルーが横から語りかける。

「僕には夢があるニャ」

「夢?」

突然の相談に少し驚くが、面白そうなので続けさせる。

「ボクは将来、コブンであるサブオトモを増やすという、イダイなる【野望】をイダいているニャ!フィールドを放浪しているノラオトモを雇って増やせるニャ」

「可愛い野望じゃないか。それで増やしてどうするのさ」

「ボスをサポートするのニャ!必要なアイテムとか調達したり、情報を集めたり色々やってみたいのニャ」

ハンターは少し考えるが、断る理由もないし好きにさせることにした。

「好きにすれば良いさ。ただキャラバンにはそんなに住まわせることは出来ないだろうし、俺が全部面倒見れるわけでは無いぞ」

「僕が責任もって面倒見るニャ。場所も何処か拠点を作ってやろうと思うニャ。だからボスは狩りに連れてってくれれば良いニャ」

「分かった、お前に任せるよ」

ハンターは釣り上げたサシミウオを見ながらそういった。

 

日も傾き、ベースキャンプに戻る途中に遺跡平原からジャギィの群れがいなくなったため逃げ隠れていたガーグァが戻ってきていた。

尻を蹴飛ばして卵を出させてベースキャンプに向かう。

ジャギィの討伐。サシミウオの納品。ガーグァの卵の納品と終わらせてバルバレに戻る。

 

 

1度に3つのクエストを解決した事により、我らの団の評価は口コミで上がっていった。

解決が早く、料金もそこまで取られない。むしろ平均より安い方。

次々と依頼が舞い込んできてお嬢の仕事も増え、忙しくなった。

「はい、それではハンターさんにお伝えしますね。宜しくお願いします。……次の方どうぞ~。どのようなご相談ですか?」

 

その様子を見て団長は満足げに頷いた。

 

連絡船にハンターと出会ってから団長の多比も大きく流れが変わってきた。連絡船でのハンターとの出会い、ダレン・モーランの撃退。

仕組まれていたように上手く廻ってきている。

この調子だと捜している料理人と商人もみつかるだろう。

(ハンターさんは我らの団の羅針盤だな)

最高の出会いに団長は天に感謝をした。

 

 

 

「ぐう。困ったニャル。タル配達のアイツが、まだ来ないニャル」

ハンターは後日料理人のアイルーの元へと向かった。すると未だに悩んでいる姿が。ハンターは声をかけた。

「どうした?まだなにかあるのか?」

「おお、そこにおわすは銀色のハンター。オマエのおかげさまで、タル配達のアイツがタルの回転を開始したニャルよ」

一礼して感謝を伝えるがすぐに表情が曇る。

 

 

「でもシカシ、今度は、《アルセルタス》という

ムシのソシにあってるニャルね。ああ、どこかにムシのソシをソシしてくれるハンターはいないものニャルか」

どうやらまたモンスター妨害に遭っているようだ。

「なら俺が行こう」

「…おお、その顔はやる気があるという顔ニャルね。ありがたやニャル、ありがたやニャル。私、【アルセルタス、突撃!】という依頼を

ギルドに出しておいたニャル。これを達成したら、

《食材》のレベルが上がるニャル。いいコトだらけニャルね。では、銀色のハンターよ、よろしく頼んだニャル」

「ああ、任せてくれ。所で1つ聞きたいのだが、俺たちのキャラバンで料理人と商人を捜しているんだ。料理人を紹介してもらえるような場所を知ってないか?」

ハンターはふと聞いてみた。折角知り合ったんだ、何か情報の1つや2つ得たいところ。

 

「ム? 帽子の団長は料理人を探しているニャルか?それは大変けしからんニャル」

「やっぱり駄目かね?」

やはりあちこちに旅をするキャラバンに専属で就く料理人はいないのだろうかとハンターは思うが、猫の料理人は予想と違う答えを出した

「ここに、こんなに素晴らしい私がいるというニャルに。なぜ私を誘わないニャルか」

「何?我らの団に来てくれるのか?」

「行っても良いニャル。その代わり旦那がクエストをクリアしたらの話ニャル」

「そ、そうか。それならうちの団長殿に声を掛けてくれないか?詳しい話もあるだろう」

「分かったニャル。旦那は気を付けて行くニャルよ」

 

ハンターは離れ、クエストを確認しにお嬢の元へ向かう。

「お嬢、料理人からのクエストを受けたい」

「はい、こちらですね。アルセルタスはご存じですか?」

「虫のモンスター位しか知らないな」

「徹甲虫と呼ばれていて、空中から素早い動きで敵を攻撃してきます。頭の槍みたいな突起を使った突進に注意です!でも勢い余って壁に突き刺さったりするそうなのでチャンスはあると思います!」

「ふむ、非常に興味深いな。ありがとう、行ってくる」

「はい。お気をつけて~」

お嬢は手を振ってハンターを見送った。

 

 

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