「それじゃ行ってくる」
何時ものようにハンターさんは受付嬢の私の元へ来て、挨拶をして行きます。クエスト行く前にはモンスターの話をしてクエストに向かいます。
「行ってらっしゃい、ハンターさん」
今回は団長さんと探索に向かいますので、帰ってくる頃には日が変わっているでしょう。
今回は筆頭オトモさんは休暇と言うことで、キャラバンのマイハウスでぐっすり眠っています。
今日は月に1度のキャラバンの報告会があるので、私はお昼前に集会所に行く予定になっています。
今までは活動報告と言っても報告することがあまりなく、特に問題はありませんと一言で済んでいたのが、ハンターさんの活躍など報告しなければならないため、多くなりそうです。
新しく入った猫の料理長さんの手作り料理を加工担当さんと私で円卓に座り頂きます。
団長さんはハンターさんと一緒に探索へと向かっています。
朝一番の話題はやはり私達のハンターさんの事でした。
「………今日は、ハンターは何を狩りに行ったんだ?」
大きな肉まんを齧りつきながら加工担当さんは言いました。竜人族の彼は体が大きいので、カボチャサイズの肉まんが普通のサイズに見えます。不思議。
「ギルドの要望で『探索』に行きました」
「……そうか」
「一日かけて終えるので、明日の朝に戻ってくると思います」
「旦那も人気者ニャル」
「…………よく他の人達からハンターのことを聞かれるからな」
そうなんです。私達はキャラバン生活なのでお風呂が無く、集会所にある銭湯を利用するのですが、私達の団長さんが、男湯で良く通る声で他のキャラバンのハンターさんや他の団長さんなどに我らの団ハンターの自慢話をしています。
ましてや団長さんはハンターさんの戦いぶりを1度は熱風吹き荒れる大砂漠でバルバレを救うために。2度目は探索での青藍の狩人を相手に間近で見ています。しかもまた今回も同伴したのでまたハンターさんの戦いを見れるかもしれません。
私もみたいです。モンスターを。
団長さんの語りは分かりやすく、また聞いていて楽しいので木製の壁越しに聞こえてくる話を耳を澄ませて聞いている女湯の利用客もいたりします。
私も1度ハンターさんと空の王者・リオレウスの金色の風吹き荒れる荒野での決闘を成り行きで隠れて見ていました。ハンターさんがいたので怖くなかったです。
昨日の夜の銭湯でも盛り上がってました。
私が銭湯に行き、体を洗っていると男湯に団長さんと加工担当さんが浴室に入ってきたのでしょう。大歓声が上がってました。
「おーう。お疲れ様だな!はっは!」
「待ってたよー!待ってたよー!我らの団の団長サン!!」
「遅いぜ!!俺なんか1時間も風呂に入って待ってたぜぇ!」
男の人って集まると何でこんなにアホになるんでしょうか?
「「……いや、上がれよ」」
女湯からボソッと突っ込みがあがります。
「はーっはっは!いや、そいつは待たせたな!うーん、どこから話そうかな。今日も面白い活躍をしてくれたからな!」
「ウェェェイ!勿体ぶるなよ団長サン!!」
「…………まぁ待て、体を洗わせてくれ。……はなしはそれからだろう」
そう加工担当が言うと、他の男性客が声を上げます。
「じゃあ俺酒持ってくる!!」
「よっしゃァ!皆ァ今夜は飲むかぁ!!」
「「「イエエエエエエエイイイ!!」」」
ハンターさんがバルバレに来てキャラバンに入ってからこんな感じです。
男湯で近所迷惑になりそうな騒ぎなのに女湯からクレームが上がらず問題にならないのはやっぱり皆さんがハンターさんに興味を持っているからなのでしょうか?呆れた溜息は出ても、うるさいと否定する声が出ません。因みにハンターさんは狩りに出ているので自分の話題になっているのは気付いていません。
そんな感じで注目を浴びる我らの団が、報告会で特になしで済ませるわけにはいきません。
「……お嬢。………そんなに悩む必要は無いさ」
「えっ、そんな顔をしてましたか?」
色々と考えていると加工担当さんから言われドキッとしました。
「…………深刻な顔をしていた」
「お嬢はすぐ顔に出るニャル。分かりやすいニャルよ」
「そうですか?」
ポーカーフェイスなら自信があったんですけどね。ちょっと恥ずかしいです。
「とにかく飯を食べてひと仕事するニャル」
そう言って料理長さんはデザートを出してくれます。
「…………俺は何人か装備強化を受けていたからな。それをやりながら商人を捜すとしよう」
「はい!今日も我らの団頑張りましょう!」
ハンターさんが頑張っているんのですから私達も頑張らないといけませんね!気合い、いれて。仕事、仕事~。
食事を終えて、クエストボードの依頼を一旦整理して片付けてしまい。集会所へと向かいます。
集会所の裏側にある会議室でキャラバンの報告会を行います。
ここではどの道が危険だとか、新しい道が出来たとか、他のキャラバンに協力を求めたり、情報交換の場となっております。また、ハンターの募集だったり引き抜きも会議の後行われています。
私が不安なのはハンターさんの引き抜きです。今やバルバレ一のハンターである私達のハンターさんはどのキャラバンも欲しい人材です。
資金のあるキャラバンだとクエスト報酬の他にキャラバンからお給料が出たりします。
ウチでは出してませんし、ハンターさんがいらないとおっしゃってましたので気にしてはいませんでしたが、やはり他のキャラバンから好待遇を出されたらハンターさんも移籍してしまうのでしょうか?
折角出会えたのに別れるのは辛いです。
モンスターが大好き。その事を笑わないで認めてくれたハンターさんは彼だけでしたし、色々と教えてくれる方は彼だけでした。
もっとお話を聞きたいですし、いろんなモンスターの生態を笑いながら話して欲しいです。
……………………。
「……さん、ソフィアさん。君の番だよ、ホッホ」
「ヘッ?!……あっ、はい!」
ハンターさんのことを考えていたらいつの間にか私の番になってました。ギルドマスターに声を掛けて貰うまで気がつきませんでした!
私は立ち上がり教壇に移動して我らの団の活動を報告します。
会議室にいるのは大体100人ほど。ううっ一体何人に私達のハンターさんのことを引き抜きに来るのでしょうか。
弱気になった私の脳裏に私を守ってリオレウスと戦ったハンターさんの姿が過ぎりました。
『かかってこいやぁーー!!』
巨大な敵に向かって啖呵を切ったハンターさんの勇姿から勇気を貰い私は他のキャラバンの皆さんを見渡します。
(ハンターさんの帰る場所は私が守らないと!)
そう決意すると私は口火を切りました。
「まず皆さん知っていると思いますが、ハンターが一人入団しました。以前我らの団にハンターがいましたが、彼はギルドの要望で筆頭ハンターとして我らの団を抜けて活躍しています。彼が抜けた間はハンターがおらず我らの団に頼ろうとしていた方々には迷惑をかけました。彼が抜けた後、我らの団はメンバーを募集していて、料理人と商人を捜していましたが、料理人が見つかり後は商人だけ。メンバーが揃い次第に次に向けて行動を移そうと思います。バルバレを出て船を造って旅の機動力を上げるのが次の目標です。バルバレに滞在するのも残り僅かかもしれませんが、宜しく頼みます。以上です。何か質問はありますか?」
取りあえず言うことは言いました。ハンターさんが入ったこと。我らの団の今後を報告してお終いです。拍手が起きてますが質問等は無さそうです。その様子を見てギルドマスターが言いました。
「ご苦労さま。うん、ギルドからすれば貴団のハンターはバルバレに置いておきたい所だが、そうも行かない。貴団のハンターからも丁重に断られたしね。何かあれば協力して貰うとするよ、それでは良き旅を。ホッホ」
「ありがとうございます。それで断られたというのは?」
ギルドから既にハンターさんへ引き抜きがあったのでしょうか?不思議に思ってギルドマスターに聞いてみました。
「うん。この前ね、筆頭ハンターとして活動したら良いのじゃないかなと聞いてみたんだがね。我らの団と旅をしたいと言われて断られたのさ。だから」
ギルドマスターは他の皆さんに向けてハッキリと言いました。
「我らの団のハンターを引き抜きは彼にとって迷惑な話だから辞めてね。ホッホホ」
そう言ってギルドマスターはパイプをふかしました。
会議室は軽く響めきが起こりました。ハンターの移籍などを扱っているのはギルドガールの階級でもトップクラスの人間しか就くことの出来ない銅鑼姉ちゃん。またはその上司であるギルドマスターくらいの物です。そのギルドマスターが直にハンターの移籍交渉を禁ずるのは前例がありません。
その事に驚くよりも、ハンターさんがギルドのお誘いを断ることに感激しました。
ギルドのハンターになることはハンター冥利につくお話です。前いたハンターさんは団長さんの友人で筆頭ハンターのお誘いがあったとき我らの団に抜けるのを迷ってましたが、団長さんが『ハンターとして誇りある事だから行ってこい』と送り出しました。ハンターならば1度は言われてみたい言葉を言われそれを蹴ってまで我らの団にいてくれる事に嬉しくて涙が出そうです。
………と言うか、ハンターさんを守るとか決意してましたけど、既にハンターさんに守られていたのでは無いのでしょうか?
私が不安に思った事はハンターさんに取っ払って貰っているような?
…………本当に凄い人です。
さて、私の仕事はこれでお終い。私は特に何もしていませんが後はキャラバンに戻ってハンターさん達を待つだけです。
キャラバンに戻った私は椅子に座って本を読みながら、太ももにメモ帳を置いて待ってます。
加工担当さんは他のハンターさんの武器を強化してます。料理長さんは美味しい料理を振る舞っています。
団長さんがいれば笑いながらお酒を飲んでいることでしょう。
この風景が何時までもずうっと続けば良いなと思っています。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「準備はいいか、我らの団ハンター!気合いで調査を開始するぞ!」
探索2回目。今回も団長がハンターに付き添いで未知の樹海のベースキャンプに立っていた。
「ええ、やりましょうか」
ハンターも装備や道具を手早く確認し、立ちあがる。
「さてと、いよいよだな。ようやくここからが
本格的な探索の始まりだ。前回の調査では調査終了地点の荷車に辿り着くのを目標にしてみたが、今回は、大型モンスターに会うまで頑張って進んでみよう!力尽きて倒れてもスタート地点に戻されるだけだが、油断するなよ、我らの団ハンター!」
そう、探索はクエストと違い、何回も倒れてもクエスト失敗にはならない。極端な話が、100回力尽きてもギルドのアイルーが倒れたハンターを回収し、ベースキャンプに戻す。まぁ、それも戻せたらの話だが。
「ええ、今回は大型モンスターの調査もあります。団長殿は無理をせず逃げるなり隠れるなりして下さい」
「ああ!それと前回来た時とは地形も違っているからな!気を付けろよ!はっは!」
探索はギルドの指示された場所を調査するため地形もマップも全く違う。2人は遺跡の柱や生い茂る樹木によって形成された迷路のような細い道が続くエリアを抜けると広く開けたエリアに出た。
ハンターが先に進み様子を見る。するとクンチュウが数体ハンターを見つけると正面に集まり体を持ち上げカサカサと前ビレをこすり合わせて威嚇行動をとる。
ハンターがクンチュウを蹴り飛ばし丸めた隙に次に進もうかと考えていると、大きな気配が風を切って此方へと向かっているのに気がついた。
クンチュウ達も気配に気づき、体を丸め防御を固めるか、あるいは地中へと潜っていった。
ハンターは団長を連れて近くの岩陰に隠れる。
すると赤い甲殻、青い翼膜。特徴的な大きな嘴。
怪鳥・イャンクックが滑空してハンターに、いや、正確にはハンターの近くにいるクンチュウへと風圧を叩き込みながら飛来した。
イャンクックは岩陰に隠れているハンターには気がついていないようで、丸まったクンチュウを嘴でコンコンと突っつき、また転がし何かを確認するように様子を見ると、がぱりと口を大きく開き、丸まったクンチュウを1度咥えると、そのまま胃袋へと飲み込んだ。
イャンクックはそのまま次々とクンチュウを捕食すると、少し離れた場所で丸まっているクンチュウを見つけ、翼を広げてコミカルな動きでハンターに背を向けパタパタと駆けていった。
「いたぞ!《イャンクック》だ!こいつはすごいな!もし、イャンクックを狩猟できれば、高い評価を得るかもしれないぞ!」
団長は興奮しながら声を潜め言う。
「ならここで狩りましょう。ギルドの大型モンスターの報告はイャンクックのことかと」
ハンターは岩陰から飛び出そうとするところを団長が腕を掴み阻止する。
「そうそう、お前さんには調査対象のモンスターによる評価の差について教えておこう」
「お願いします」
「モンスターの狩猟や落し物の入手によって得られるギルドの評価だが…、モンスターによって評価の高さが違うんだ。もちろん、より強いモンスターのほうが評価は高くなる。もしお前さんがより高いギルドクエストの受注許可を狙っているのなら、より強いモンスターを調査をして狩猟、または落とし物を入手するのが一番だぞ!」
「なるほど、なら逃げるより戦った方が良いのですね」
「せっかくの機会だ、イャンクックの落し物でも
拾って帰りたい所だな!はっは!」
「そうですか、どうします?落とし物だけ取りますか?」
「お前さんなら俺がいても討伐も可能じゃないか?……とは言うものの、もちろん無理は禁物だぞ。調子が出ない時は荷車を目指し、無理せず帰還しよう!」
「分かりました」
「よし、説明はこんな所だな。どうする我らの団ハンター!」
「討伐します。団長殿は安全な場所へ隠れてて下さい」
イャンクックはクンチュウを飲み込み、テクテクと歩いている。ハンターは立ち上がり、闘志を漲らせて団長の問いに答えた。
「気合いの入れどころだ、我らの団ハンター!お前さんなら、できるできる!」
団長は真っ直ぐハンターの目を見て言った。
「行ってまいります」
ハンターはそう言うと悠々とイャンクックの元へと進んでいく。
--さて、狩りの時間だ。
「久しぶりだな。『先生』?」
ハンターは歩いてイャンクックに近づく。アイテムポーチからペイントボールを取り出し投げつける。
イャンクックはハンターに気付いて振り返った。
--先生、か。
ハンターがまだハンター資格を取ってない頃、教習所でハンター試験の相手がイャンクックだった。
産まれも育ちも普通じゃ無かったハンターは、教習所に放り込まれると、基本的な採取や肉焼きの授業の課程をすっ飛ばし、いきなりハンター資格試験を受けさせられた。
片手剣を預けられ闘技場で戦ったが、片手剣の使い勝手がどうも苦手だったため、盾を放り投げ身軽になり、剥ぎ取りナイフ1本でひたすら切り刻み討伐したのを覚えている。そうしてハンター資格を取った彼はその驚異的な戦闘力の高さを認められて、試験翌日にリオレウス亜種のクエストに行くことになったのは良い思い出だ。
「さて、手合わせ願おうか!」
昔を振り返るのは一瞬。今を生きるため、ハンターは太刀を引き抜きイャンクックに肉薄する。
(う~む、流石だな。やはり只者じゃない)
団長はハンターの戦いぶりを観て心の中で賞賛を贈る。ハンターの戦いを見るのは3度目。回避は最小限、攻撃は最大限。ハンターが理想とする動き方をそのまま体現したような戦いぶりだった。
突進を回避してイャンクックの背後からの攻撃。切り下がりで間合いを取り、弧を描く軌道のブレスを吐き出させ、それを躱しその隙を突き足下に小タル爆弾を起き起爆させる。
(そうか!落とし物を取りに行くつもりか!)
物陰に身を潜ませる団長は思わず膝を叩いた。
イャンクックは大きな音に弱い。音爆弾やモンスターのバインドボイスなどで大きく怯むと落とし物をすることがある。
普通ならば猛攻を与えるチャンスであるが、足下に落ちたイャンクックの落とし物を拾い取る。
(これでギルドに証明できるが、ハンターさんはどうする!?)
団長は岩陰からハンターの次の行動を見逃さんと目を見開いて様子を見る。
音爆弾の衝撃から意識を戻したイャンクックは怒り口から火炎を零し翼を広げてその場で飛び跳ね激しく頭を振る。
しかしその隙にハンターは落とし穴を仕掛けていた。
「今だぁ!!ハンターさん!!」
「おおらああああ!!」
ハンターの天に響く咆吼とともにS・ソルZメイルの両目から紅蓮の闘志の光が鈍く輝くとハンターの体躯から練気が爆発。すっぽりと穴に嵌まったイャンクックに突きと切り上げを織り交ぜつつ鬼刃斬りを叩き込み、刀身にありったけの力と練気を伝わらせて、鬼刃大回転斬りの遠心力でさらに威力をかち上げ一閃。すると、ハンターの脳内にアドレナリンが噴出し、深紅の刀身がイャンクックの頭部を切り込むと飛び散る鮮血の一粒一粒がハッキリと見える。太刀の勢いそのままに振り抜き鞘に刀身を鞘に納め振り返る。落とし穴から抜け出したイャンクックを見ると大きな耳がズタボロに割かれ破壊されていた。
イャンクックは翼を羽ばたかせ飛び立とうとするが、ハンターは閃光玉をイャンクックに叩き込み墜落させる。
横になり藻掻くイャンクックの足に向かって踏み込み、大上段から太刀を落とす。突き、切り上げと連撃を与え後方に切り下がりをしながら、立ちあがるイャンクックから間合いを取った瞬間練気を解放。体を回転させ左下段からの鬼刃斬りを鋭く切り込むと、左右に太刀を振るい再び大上段から鬼刃斬りを振り落とす。
「ぜえああああ!!!」
赤い練気を渦潮の如くまき散らして鬼刃大回転斬りをイャンクックの右側面をなぞるように斬りつける。鮮やかな赤い甲殻が鮮血に染まり、ドス黒い破片となって飛び散った。
イャンクックは大きく仰け反り低く唸ると、力なく地に伏した。最後の大回転斬りが致命傷だったのだろう。パックリと傷口が開いていた。
「はぁ、はぁ、……ふぅ。終わったな」
ハンターは呼吸を整えながら右手で太刀を振るい刀身に着いた血を落とし、ゆっくりと鞘に収めた。
「ふう…!けがはないか、我らの団ハンター?」
団長は岩陰から飛び出しハンターの元へと駆け寄る。
「ええ、大丈夫です。これで大型モンスターの調査は終わりですね」
「はっは!そうだな!いや、見事だったぞ我らの団ハンター!!」
「それでは荷車目差して行きましょう」
「ああ!他にもモンスターがいるかもしれないから気を付けて行こうか!」
2人は肩を並べて進んでいく。すると遺跡の内部に入るとボロボロの木箱が何個か半分地面に埋まる形で点在していた。
モンスターの気配は無い。が明らかに人がいた痕跡がある。
「それにしても、ここはめずらしいエリアだな。せっかくの機会だ、くまなく調べてみよう!何か面白いものが発掘できるかもしれないぞ!」
団長が木箱を無理矢理こじ開け中を見る。砥石だったり携帯食料など様々だ。ハンターが別な木箱を調べると土に濡れた鎧が出てきた。
「これは一体……?」
「おお、珍しいものを発掘したな!ふむ、どれ…。
これは《発掘装備》と呼ばれている遺物の1つだな」
「発掘…装備?」
ハンターが聞き慣れない単語に首を傾げると団長が腕を組みながら説明する。
「この地域では手に入らない素材で作られた珍しい武具なんだ。残念だが、このままでは古くて装備できない。うまく研磨して、使えるようにできればいいのだが…。まあ、とても珍しいものだからな。大事に持っておいて損はないぞ!はっは!」
「そう、ですか」
ハンターは発掘装備をまじまじと見る。土に汚れ、一部は苔が生えていたりと確かに使えそうでは無い。よく見ると装飾品もつけてあったようだ。
「この辺りでは良くある物なのですか?」
「たまーに出てくる物だな。それと武器も出てくるな。それを使うハンターもいたりするぞ」
「そうなのですか。……よく使えますね」
モンスターが跋扈するフィールドから防具が出てくる。前の持ち主はどうなったのだろうか?これはある意味曰く付き装備なのでは無いのだろうか?
そんなことを考えていると団長が聞いてきた。
「うん?ハンターさんは余り興味が無いか?」
「ええ、他人が使った武器は自分の手には馴染みません」
「ああ、そうか。いや、確かにハンターさんのような思いもあって使わないハンターもいるが、ハンターになった新人とか今より強い武器防具を揃えられない人達からすれば欲しい一品ではあるな。」
「なる程、需要はあるのですね」
「ああ、発掘装備で身を固めてクエストに行くハンターもバルバレにいるからな!」
「そうですか」
ハンターは、俺には不要な物だな。と思いつつ発掘装備をネットに包むと肩に引っさげて立ちあがる。装備を研磨する技術は気になっていた。
途中でハチミツやマンドラゴラなど採取しながら大型モンスターに会うこと無く荷車まで無事たどり着いた。
「よし!着いたぞ!今回もお疲れさまだったな、我らの団ハンター!そこの荷車に乗り込めば帰還することができるぞ。出会ったモンスターが手に負えなかったら、とにかくこの荷車に辿り着き、帰還することを覚えておいてくれ!荷車で帰還した場合にかぎり、ギルドからボーナスが贈られるから、できれば、荷車まで頑張ってたどり着きたい所だな。さて、と。今回もよく頑張ったな!我らの団ハンター!」
「お疲れ様です団長殿。戻りましょうか」
2人は荷車に乗り込むと料理長や加工担当。そしてお嬢の待つバルバレに向かって帰路に就く。
探索も無事完了。満点の星空が我らの団を祝福するかの如く輝いていた。
旅団の看板娘ことお嬢ですが、公式でソフィアとなっているので出しました。
登場人物設定とか書こうかなと思ったりして書いたりするのですが辞めたりの繰り返ししています。
次回の話でバルバレの物語は終わる予定。