白き龍を倒す旅   作:アイスラッガー

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奇猿狐を退けるのは我らの団

「………ス。……さい。……ボス」

「ん。………んあ?ああ、何だ?朝か?」

昼前になる頃。ハンターはオトモに起こされて覚醒した。マイハウスのベットで横になっているS・ソルZにアイルーが声を掛けるのは中々シュールでもある。

ハンターは装備の重さに慣れるため装備を外して寝ない。

「もう昼前ですニャ。団長さんがハンターさんを待っているニャ」

「団長殿が?分かったすぐ行く外で待っててくれ」

ハンターはベットから這い出ると腰に手を当て背を伸ばす。

アイルーが出てから暫くしてハンターはマイハウスから現れた。

 

「聞いてくれ!めでたしの報告がある!そう!入団希望の商人が見つかったんだ!」

団長が嬉しそうにハンターに詰め寄る。

「紹介しよう。竜人商人だ」

「我らの団でハンターをやっている者だ、宜しく。……ってあんたは」

「お?知ってるって顔だな。」

「ええ、そこ通りで以前話したことが」

団長の側にいたのは朱色の漆塗りの箪笥のような箱の上に紫の座布団を敷いて座っている竜人の老人。

ハンターが以前アイテムを何か置いていないか聞いたらモンスターによって流通経路を荒らしているため営業できないと言っていたのを覚えている。

「おお、あんたさんは。前会ったわな。」

2人の様子に団長は少し驚きながらも商人の説明を続ける。

「何だ、それなら話は早い。このジィさんは、商いをしながら《錬金》のワザを探してバルバレに来たらしい。ところが、現在は商売あがったりの状況だそうだ」

「モンスターによって流通経路を荒らされているとか」

「ああ。最近、バルバレの近くで《ケチャワチャ》というモンスターが目撃されていてな。このケチャワチャが、商人たちの流通経路を荒らしているんだ。今、ギルドではケチャワチャの狩猟を《緊急クエスト》として取りあつかっている」

「なる程、早急に討伐に向かった方が良いですね」

ハンターが頷きながら言った。

「そう!ここでお前さんの出番、というワケだ!ケチャワチャを狩って流通経路が復活したら竜人ジィさんが仲間入りしてくれるそうだ!これで次の村を目指せるぞ!」

ケチャワチャを討伐すればメンバーも揃い次の村に行けることになる。今回のクエストはなんとしてでも完遂しなければならない。ハンターの深紅の目に灯がともる。

「俺が討伐してきます。……爺さん、任せてくれ」

「いやぁ、助かった!こりゃまた助かった!まさか、あんたさんがな!実はな、もうあきらめてバルバレを出ようと思っとったんよな。行商経路が復活したあかつきには、キャラバン入りさせてもらうわな!ワッハッハ!」

「ああ、待っててくれ。……所で団長殿、次の村と言うのは?」

「ああ、火山の火口内にある村でな。《ナグリ村》といったかな?武具の生産に長けていて、ハンター達でにぎわっているらしい。溶岩の熱を使って、デカい物を作る技術もあるそうだ。船を作るのも、お手の物だぞ!」

「非常に興味深いですね、旅立ちが待ち遠しいです」

ハンターの言葉に団長は満足げに頷いた。

「アツアツの溶岩とハンター達の熱気でグラグラ煮えたぎる村か。今から熱くなってくるな!はっは!では、我らの団ハンター!ケチャワチャの狩猟を任せたぞ!俺は旅立ちの準備と新メンバーの歓迎会の宴の準備をするとしよう!」

団長が立ち去り商人とハンターの2人になった。

「団長さんの旅も先は長そうだが、ワシの旅も長そうでな。」

商人が団長の背中をみて語った。ハンターは商人に尋ねた。

「爺さん、あんたはこのバルバレで商売するために来たのかい?」

「ワシはな、とある技術を探しとるんよ。失われて久しい《錬金》の技術をな。ワシの故郷の地方では、はるか昔に栄えた技術として逸話だけが残っとるんだわな」

「錬金か。コゲ肉を生肉変えたりしたことはあったがそんなもんじゃ無いだろ?」

「それも錬金ではあるが、ワシの捜している技術は素材を別の素材に変えたりしてな、スケールが大きいものだわな。マ、探しもんてのはそう簡単に見つからんてのが相場だわな」

「なる程。それでこれから旅に出るウチのキャラバンに来たのか」

「あんたさんがいるんなら心強いわな。バルバレ一のハンターなら安心して頼めるわな。どうかよろしゅうに」

「ああ、よろしゅうに。どれ、俺も準備するとしようか」

ハンターは商人と別れて準備を始める。

 

 

 

 

「旦那、あの竜人の商人はおもしろいニャル」

中華鍋に入っている肉と野菜を高火力で炒めながら料理長はハンターに言った。

「ほう?」

「好きなメニューを聞いたら賭け事と言っていたニャルよ」

「はは。食事より賭け事か。確かにあの爺さんは強そうだ」

料理長は炒め物を皿に移すと上から餡を掛ける。鼻腔に入る香りに誘われハンターはツバを飲み込む。

料理長はスープとサラダとご飯をお盆に載せハンターに出した。

ハンターは出された料理を次々と平らげていく。

「私も、一度勝負してみたいニャル。私の勝つ姿が、今から目に浮かぶニャル」

料理長はニヤリと不敵に笑って言った。

「こういうのを、キングターキーが棍棒ネギしょって来た、というニャルね」

「たいした自信だな」

「ニャハ、旦那がいない間はサイコロを振る練習をしているニャル。旦那も私と勝負してみるニャルか?」

「致しません。金を賭ける勝負で勝った例しがない」

ハンターは代金を置いて立ち上がる。

「命を賭ける場合は必ず勝つけどな」

「ニャハ、流石ニャル。気を付けて行ってくるニャルよ」

ハンターはクエスト受けるためお嬢の元へと向かう。

 

 

 

「ハンターさん、ついにきましたよ!緊急クエストです!《ケチャワチャ》の狩猟ですよ!」

今日もテンションが高いお嬢である。素材クエストだと「気を付けて下さいね」と一言で終わる。あまりの落差に笑ったものだ。

「ああ。所で……」

--ケチャワチャについて教えてくれ。そう聞こうと口を開くがお嬢はモンスター愛の熱が入ってしまったせいか立ちあがって叫んだ。

 

「やったーっ!私の《ハンターさんの評価を上げる会》が早速、コウをソウしたーっ!」

「ん、何だって?!」

お嬢は秘密裏に何かしていたのだろうか?ハンターが思わず聞き返すと、お嬢はハッと我に返って左右をキョロキョロ見渡し椅子に座り一枚のクエストの紙を出した。

「………はっ。ええと…なんでしたっけ?あ、緊急クエストですね。はい」

「いや、そうなんだけど。さっき何て言ったの?」

「《ハンターさんの評価を上げる会》です。ハンターさんに仕事がたくさん来るように私が結成しました」

いつの間にかスポンサーが付いていたようだ。

「因みに会員は私独りです」

「それは心強いねぇ」

なんて言って良いのか分からないが取りあえず答えた。

「ハイッ!この話はここまで!緊急クエスト、ケチャワチャですね!此方になります!」

 

「『遺跡平原』での狩猟か。何か注意することはあるか?」

「ケチャワチャは鼻から粘着質の液体を飛ばします。ウチケシの実を持って行って水属性やられを無くすように対処をお願いしますね」

「ああ、分かった。行ってくる」

「あ、そうそう。私、新しいフィールドに行けるクエストもいくつか用意してみたんです。★2の中にありますから、のぞいてみてくださいね」

「ああ、ありがとう」

お嬢はにっこり笑うと再び立ちあがって言った。

「ふーっ…よお~し!ではハンターさん!行きましょう、緊急クエスト!そして、この調子でぐいぐい上げましょう!ギルドの評価を!ぐいぐいっと!」

「ああ、俺が戻ったら皆で宴だな。待っててくれ」

「はい!その時にケチャワチャのお話を聞かせて下さいね!私いつものように待ってますから!」

ハンターは手を振るお嬢に答え、装備を整えるためにマイハウスに向かう。

 

 

場所は変わって遺跡平原。いつものようにS・ソルZシリーズに太刀は鬼哭斬波刀・真打。

水属性の攻撃と聞いて雷属性の武器を選んだ。

 

ベースキャンプで携帯食料や鬼神薬を胃に収め、オトモと狩りの前のミーティングを始める。

 

「さて、今回はケチャワチャの狩猟。こいつが流通経路を荒らしているために討伐する。団長殿が言うには、いつもは虫を食べるそうだが、人間の食料に味を占めて襲うようになったそうだ。人里近くに出没するそうだから、舐めてかかると痛い目を見ることになるだろう。気を引き締めて行こう」

「ニャ。ボスはケチャワチャと戦ったことはあるのかニャ?」

オトモはハンターに尋ねた。

「無いな。お前はあるか?」

「勿論ニャ。ケチャワチャのいる場所も何となく分かるニャ」

「そうか。お前の予想は何処にいると思う?」

ハンターは地図を広げて尋ねた。オトモはマップのエリア2を指して言った。

「恐らくここニャ。知っての通り遺跡の柱に網みたいに張った蔦せいで二重床の構造ニャ。ここはケチャワチャが得意とする場所ニャ。雲梯で遊ぶサルのように移動して爪とか鼻からの水鉄砲を駆使して来るニャ」

「そうか、攻撃が当たりにくい感じか?」

「太刀ならリーチもあって当たるにゃ。それと音爆弾とか大きな音をぶら下がっているときに聞かせると怯んで落ちるからオススメニャ」

「なるほどね。それで支給品で音爆弾があったのか」

「ボスの腕前なら大丈夫ニャ」

「嬉しいこと行ってくれるじゃ無いか。さて、そろそろ出発ニャ」

「ああ、行くか」

ハンターとオトモは立ち上がり、ベースキャンプを後にする。

 

エリア1を左に進み、難なくエリア2へと進む。

 

日は高く、ハンター頭上には細かい網のように蔦と葉っぱが覆っていた。

足を忍ばせゆっくりエリアの中央に進んでいく。目で様子をうかがい、音と匂いでモンスターの気配を探る。

気配はあるが、まだ見つけてはいない。すると背後でカサリと葉が落ちる音がして振り返る。しかしそこには何も無い。

再び音が鳴り葉が数枚落ちる。そちらの方に目を向けるが遺跡の柱でケチャワチャの姿は無い。

上から来るか?右か左か?

体の筋肉が硬化するのを目を閉じ静かに深呼吸してほぐす。カサカサと音が近づいてきた。意識をそちらに集中していると気配を真上に感じた瞬間大きく音が鳴り、葉を数枚まき散らしながらソイツは現れた。

蔦床の大きな穴から身を逆さまにぶら下げハンターの目と鼻の先にケチャワチャは頭を表した。

狐のような体毛。大きな耳。バクのような鼻。派手な色のソイツは両耳で仮面のように顔を覆う。耳の外側の模様が大きな目に見える。右左とテンポ良く耳を動かしてハンターの反応を楽しむかのように動かし、両耳を開くと鼻から水鉄砲をハンターの胴に発射した。

 

「ちっ、随分な挨拶だな!」

水鉄砲を喰らい数歩後ろによろめいて下がる。ダメージは無いが、ベタつきが酷い。アイテムポーチからウチケシの実を取り出し握りつぶして胴に振りかける。弾けるように粘着質の液体は流れ落ちた。

(お嬢の言ったとおりだな、ありがとう)

アドバイスをくれたお嬢に感謝しつつも、目の前の敵に殺意を籠めた目線を贈る。傷は無いがしかしハンターに不快感を与えるには十分だった。ハンターの反応に満足したのかケチャワチャは両腕で蔦にぶら下がると、耳で顔を覆い、咆吼を1つ。これが開戦の合図となった。

「しばくぞワレェェエーーー!!!!」

「かかって来いニャァア!!」

ハンターは怒りを込めて吠えた。オトモも負けじと叫ぶ。ハンターは抜刀、ふざけたツラを切り刻もうとするがケチャワチャは蔦床の上へと上がり攻撃を躱す。そしてガサガサと激しく音を立てて移動する。

すかさずケチャワチャはハンター達の後方に回ると頭だけ出して水鉄砲を3発発射する。

それをハンターとオトモは左右に別れて回避する。オトモは穴を掘って地中に潜り移動を開始して、ハンターは遺跡の柱に絡みついた蔦を掴み蔦床に登る。

するとケチャワチャは蔦床にぶら下がり、身を隠すように移動する。姿は見えないが、ハンターは蔦床を注視して、ぶら下がるために蔦床に引っかけている爪をみて、敵の動きを把握する。

ハンターは蔦床を走り、爪に向けて太刀を振り下ろす。爪に当たった刀身から、紫電が奔りケチャワチャへと伝わり筋肉を痙攣させる。堪らす葉を巻き上げハンターと同じ土俵に上がった。そこにケチャワチャの動きを待っていたかのように、蔦を泳ぐように現れたオトモは槍のような武器をランスの突進のように突っ込みケチャワチャの背中から頭までなぞるように斬りつけた。

しかし手応えは浅い。ケチャワチャはモモンガのような飛膜を羽ばたかせ跳躍。空中で小さく体を丸めて勢いよく大の字に体を広げ、飛膜を使い大気の流れを利用し滑空。ハンター目掛けて両腕の鋭い爪を叩き込んできた。

が、ハンターも歴然の狩人。難なく回転回避でこれを避け、間合いを取る。

すかさずハンターが距離を詰め斬りつけようとするが、ケチャワチャは蔦床を掴み強く揺らした。

足下が大きく揺れハンターはその場に立つのが精一杯。

その隙にケチャワチャは再び蔦床の下へと潜る。

 

(コイツやるな!)

 

お互い決定打は与えられていない。しかしハンターは挑発的な言葉を叫んだものの焦りは感じておらず冷静に対処出来ていた。むしろ相手を褒めていた。ここまでフィールドの特徴を活かしたモンスターは始めてみる。

自然と口角が上がっていた。

 

 

しかし、笑ってもいられない。不利な状況なのは変わりは無いし、このまま人を馬鹿にしたような戦いをする奴に付き合う趣味は無い。立ち回りを大きく修正する必要があった。

ハンターからすれば慣れない立体的な戦闘で先手を取るのは難しい。後の先を取る形でしっかり攻撃を与え怯んだ隙に鬼刃斬りを叩き込むしかない。また支給品の音爆弾も4個あるがもう少し温存しておきたい所。

 

罠は蔦床では設置出来ないため、罠にはめて猛攻。ダメージを与えて怒らせ、鬼刃斬りを使ったカウンター主体の戦法に流れを変えるのも、些か無理がある。

蔦床にから降りて戦うことも考えたが、上り下りで余計な体力も使いたくない。そこでハンターは蔦床を走って移動。蔦床の上にあるモンスターの巣に登りオトモに向かって叫んだ。

「アイツをこっちに追い立てろ!乗り攻撃でダウンを取る!!」

「ニャー!!」

オトモは下に降りるとブーメランを駆使してケチャワチャを攻撃。ケチャワチャは不快に思ったのか勢いよく蔦床へと躍り出た。

「デュアア!!」

それを待っていたハンターはモンスターの巣を踏み台にして大きく跳び、太刀を抜刀。狐色の背を斬りつけしがみつく。

ケチャワチャは激しく動きハンターを振り落とそうとするが離れない。動きが弱まった隙を激しく剥ぎ取りナイフで滅多刺しにする。

「!!!!」

大きく仰け反りケチャワチャは横に倒れる。ハンターはすかさず抜刀。練気を溜めるべくひと太刀ひと太刀全力で振るい溜まりきった所で解放。鬼刃大回転斬りを決めると、刀身に蒸気のような白い練気を纏う。

体制を整えたケチャワチャは顔を耳で覆い咆吼1つ。

「うるせっ!!ボケェ!!かかってこいやァ!!!」

狩りの最中、ハンターは心に住み着こうとする極限の恐怖と緊張を怒号で発散して太刀を構える。

怒りに身を任せ口元から白い息を荒々しく吐き突進をしてきた。それをハンターは右の重心移動を利用して攻防一体の移動斬りで対処する。

オトモはすかさず追撃をたたみ込む。しかし怒り狂ったケチャワチャは両腕で激しく蔦床を叩きつけ暴れ回る。その勢いでオトモは吹き飛ばされ大地へと落ちていく。直撃は避け、上手くダメージを逸らしていたため無事だと判断して、ハンターは踏み込み斬りつける。

「うらああああ!!!!」

ハンターは隙だらけの左脇腹向けて連撃を叩き込む。鬼刃斬りで斬撃を叩き込んでいると、怯んだケチャワチャは蔦床にずっぽりと下半身が嵌まり身動きが取れない。

「まだまだぁー!!」

切り下がりからの鬼刃大回転斬り。確かな手応えを感じ確認すると、鋭い爪が弾け飛んでいた。刀身が朱に染まり赤い稲妻が迸る。戦いの流れがハンターに流れているのを確信した瞬間ケチャワチャの姿が消えていた。何があったと目を見開いてよく見ると、すると蔦床に穴が空きその下の大地へと落下していた。

ハンターも飛び降り落下しながら攻撃を与える。

オトモも合流するがケチャワチャは素早く姿勢を立て直し咆吼。そして硬直して動きが止まったハンターを腕の力で吹き飛ばし、飛膜を羽ばたかせて飛んでいった。

 

「ボス!!」

「痛たた。いやぁ、いいの貰ったな」

ハンターは左腕を摩りつつ立ち上がる。

「大丈夫かニャ?」

「ああ、大丈夫。お前こそ無事か?」

「ニャ、何ともないですニャ」

「そうか。よし、一旦休憩。砥石とか回復したあと奴を追いかける」

ハンターはその場にしゃがむと太刀を砥石で研ぎ始めた。

オトモも回復薬を飲んでいる。

「アイツなかなかやるな」

ハンターはポツンと呟いた。

「ボス?」

「いやぁ地形を活かしてくるモンスターは初めてだからさ。感心してしまった」

「ボスくらいなものだニャ。そんな感想言うのは」

「ははは、かもな。さて。第二ラウンド行くか」

「ニャッ」

お互いダメージを回復してエリア移動をする。

場所はエリア4。赤茶色の段差のある場所はハンターにとっても好都合だった。

耳で顔を覆う姿はお祭の仮面舞踏会に使うかぶり物にも見えなくは無い。耳の先端の棘が牙のようにも見えていて中々迫力がある。

ハンターは余裕を持って太刀の切っ先を向ける。

ケチャワチャの突進。難なく躱す。右左と腕を叩きつけ両腕で更に叩きつけるがこれもハンターは回避する。ケチャワチャはバク転をしてその勢いで低滑空の突進をするが、ハンターは練気のカウンターを叩き込む。

予想外の攻撃によって体制を崩したケチャワチャは大地に派手に転がった。

藻掻いているケチャワチャの顔面に紫電の煌めきが襲い掛かる。オトモはブーメランを利用して中距離から攻撃する。

大きな耳に裂け目が入った。

ハンターは切り下がり、武器を収めアイテムポーチから音爆弾を取り出す。

ケチャワチャはオトモに滑空攻撃を仕掛けようと空中で翼を広げた瞬間、ハンターから投げ出された音爆弾モロに喰らいバランスを失い墜落する。

 

落下したケチャワチャはハンターを見ながら後ろ足を引きずるように逃げていく。

 

 

 

トドメを刺すときが来た。ハンターはそう思うと、ケチャワチャを追いかける。するとそこで気がついた。ケチャワチャの先にに仁王立ちになる小さな相棒の姿を。

ハンターは抜きかけた太刀をパチンと戻す。

「何処行くのニャ?」

オトモは武器を構えてケチャワチャに問いかける。

「クォォオオアア!!!」

邪魔するな!と言わんばかりに鋭く吠えると右の鉤爪でオトモを切り裂きにかかる。

オトモはブーメランを投げつけ襲い来る爪を弾き飛ばす。

「さっきはよくも吹っ飛ばしてくれたニャ!」

オトモは叫ぶと、ケチャワチャの脳天目掛けて飛び込んだ。

鮮血が飛び散り奇猿狐は地に伏す。

 

「筆頭オトモの名は伊達では無いのニャ」

動かなくなったケチャワチャにそんな言葉を落とす。

 

「美味しいとこ持って行きやがって」

少し恨めしそうにハンターは言う。その姿にオトモはワタワタと慌てる。

「ニャッ。そんな訳では……」

「ふはは、まぁいい。胸を張れ、良くやった。バルバレに戻るぞ」

「ニャっす」

ハンターはオトモを労うと、ベースキャンプに向かっていく。

 

 

 

 

 

 

「無事で何より!さすがは我らの団ハンター!見事、緊急クエストを達成したな!お前さんのおかげで、商人達の流通経路が安全になったぞ!竜人ジィさんも大喜びだ!」

団長と商人はは戻ってきたハンター達を出迎えた。ハンターはオトモの頭を軽く叩いて言った。

「今回はコイツがトドメを刺して活躍しました」

「おおっ、そうか!やるなネコ太郎!!流石だな!」

「ニャッ、そんなたいしたことはしてないニャ」

「はっは!胸を張ればいいのさ!」

褒められて恥ずかしがるオトモの姿が可笑しくてついハンターも笑ってしまう。

「それで商人の爺さんは?」

「さっそく仲間入りして、《竜人問屋》という店を開いてくれた。さあさあ、挨拶しておいてくれ!皆ともすっかり仲良くなっていたぞ!」

「ソイツは良かった。爺さん改めて宜しく頼む」

商人はくしゃくしゃの皺だらけの笑顔で言った。

「よろしくさん、お1ついかが。いらないモノも、いるモノも、あっという間に増やしてみせるわな」

「ああ、ところで爺さんの店はどういうアイテムを取り扱っているんだ?」

「ワシの店《竜人問屋》では、それはそれは手広い商売をしとるんだわな」

「と言うと?」

「日替わり商品の販売はもちろんのこと…、《アイテムを増やす》で、あんたさんから預かったアイテムを増やしたり…、《素材を交換する》で、この地方にはいないモンスターの素材を物々交換なんかもできるわな」

「ソイツは凄いな」

山菜爺さんからチケットと交換で素材は貰ったことはあるが、それ以上だった。

「あんたさん、狩りではいろんなアイテムが要り用になるわな?」

「そうだなぁ」

「よしきた!そんな時こそ、ワシの出番だわな!ワシにアイテムを預けてくれたら、狩りに行っとる間にぐんと増やしておくわな!『狩りに行く前、竜人問屋!」』…と覚えておくれな。ワッハッハ!」

「ふふ。頼りにしている」

2人は固い握手を交わすと団長か声を掛けた。

「改めてやったな、我らの団ハンター!緊急クエストの達成、見事だったぞ!お前さんのおかげで商人達の流通経路が安全になった!バルバレの皆が大喜びだ!もちろん、竜人ジィさんもこの通り大喜びだ!はっは!」

「ええ。これで、メンバーも揃いました。我らの団結成完了ですね」

「ああ。さて、と。竜人ジィさんも仲間入りしたし、次の地を目指すとするか!さあ、溶岩でアツアツの《ナグリ村》に船を作りに行くぞ!その前に宴会だ!!さぁさぁ今宵は飲んで食って、騒ごうでは無いか!!」

団長は料理長の下へと足を運ぶ。円卓には沢山の料理と酒が所狭しと置いてあった。

「あっ、ハンターさん!お帰りなさい!!」

お嬢はニコニコとメモ帳を抱えて笑って迎えた。

「ただいま、お嬢」

ハンターはお嬢の隣に座る。すると反対側に加工担当が席に着いた。

「…………よう、戻ったか」

「お待たせしました」

「……怪我もなく良かった」

無口な加工担当はフッと笑みを浮かべた。

「帰ってきたニャルか。さて、飯にするニャル」

料理長も調理場を片付け席に座る。

「ああ、暴れて腹が減ったよ」

「ほぅ。これまた豪勢な食事だわな。これなら秘蔵の1本出すしかないわな」

「はーっはっはっは!爺さん、太っ腹だねぇ!」

商人はぬるりとどこからか瓶を取り出して、団長が早速自分のグラスに注いでいる。、

「なら俺もあとでポッケ村の酒を出しましょう。お前は猫だから……あった、これだ。マタタビジュースだな」

「ニャ。ボス、嬉しいニャ」

オトモはハンターの膝に座っている。

「はっは!そうだな、ネコ太郎も飲め飲め!」

こうして仲間も揃った我らの団の賑やかな宴は日が沈み、夜が更けても続いていった。

 

 

----バルバレでも小さなキャラバンだった我らの団は、こうして各分野のプロフェッショナルが集まり、旅立ちの風に吹かれて物語のページは進んでいくことになる。

 

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