はい
「あいつは…オフィサーになれなかった男だ」
小吉がアシモフに向かって語り出す
「…何故です?総隊長」
「理由は…二つある。
単純に経験が殆ど無かったから。
「軍隊出身では無いと?」
「アシモフ…あんたなら分かるだろ。そんな目はしていない…元々はただのU-NASA職員だ、優秀な、な」
「二つ目は…あの性格…いや、目的だな」
「…?」
「……あいつはAEウイルスで家族を失ったんだ…全員な」
「…なるほどな」
「だが…あいつは、ウイルスを持ち帰ってきた俺や蛭間の事を恨んでいるような様子は無かった」
「…あいつは」
ワクチンを造りに来た訳じゃ無い。
(……)
いや、正確に言うとワクチンは"二番目"だった。
彼は、此処に何をしに来たのか…
《小町さん…俺はミッシェルと違って変わる気はないです》
《これ以上犠牲者を出さないために行くんじゃないんです…》
《俺にそんな…主人公みたいな事はできません…》
俺は決して強くない。
(敵は…二体)
一体は全身が茶色。
少しだけ、全身に毛が生え
両手両足が少し肥大化していた
もう一体は顔と脇腹の"エラ"があった
そして、両腕に分厚く布を巻いている
(魚類?と…バッタ?いや…"カエル"か…?)
(…まさか、二体とも接近戦主体の能力か…?)
ならば
「勝てる」
アネックス内で一番の腕力を持つのは彼だった
"打撃"と"持ち上げる"
それは違う力が働いている
実際。単純なパンチ力では西上は慶次に負けている。
しかし、慶次に高速脱出機を持つ事は"できない"
モンハナシャコは殴る事に特化した"構造"をしており
スカラベは持つ事に特化した"構造"である
それでも打撃力はズバ抜けて高いが
(要するに…)
接近戦では少しだけ、工夫がいる。
そして、上手く使う必要がある
(こちらから仕掛ける)
力はあるが遠距離での攻撃は不可。
無闇に近くに行くのは危険
ならば、この地面を使う
慶次も使用した方法だ
地面を掬うように抉る。
(先ずは様子見…!)
二体に向かって飛んでいく石
当たれば少しだけでもダメージが入るだろう
しかし
ヒュンッ!
バシッ
西上とTFの距離は約15m
西上は少しだけ近くに寄り始めていた
石がTFに当たるまでの距離約15m
「やばッ…!」
もう既に、攻撃の範囲内だった
エラがある方だった
いつの間にか、腕の布を取っていた。
腕が肥大化していた訳では無かった様だ
「うおッ!?」
突然"横から"襲って来たそれは
(…エラのある奴…両腕に…)
("鞭"……?)
そのエラのあるTFの両腕からはムチが生えていた。
それは薄い青と白色で構成されており。
形は先になるにつれ細くなっていた
(エラ…鞭…)
そこからのベースの特定は容易だった。
『オナガザメ』
肉食。
このサメの尾鰭はムチのように伸びており。
そのムチで海面を叩き、獲物を集め捕食する。
直接攻撃に使う訳では無いが…
(痛って……)
人間が素体では無く。
TFが素体だからこそ、厄介なのだ
人間+大型動物では攻撃面が不足しがちだが
TF+大型動物だと特徴を上手く発揮することが可能だ
(ジャレッドの奴はメロン器官と網の扱い以外足りないしな…)
(それにしても…)
右肩に掠められてしまっていた
(少し…裂傷か)
ムチによる打撃は、拳で打撃するのとは違い"防御"が無意味
(盾でもなかったらだがな…)
あくまでも慣性を使った打撃…
(対処は簡単…!)
彼は着ているコートを脱ぎ、右腕に巻き付ける
「耐えれば問題無い」
「行くぞッ‼︎」
敵に向かって走るしかなかった
片方の能力は分からないがこのままでは追い詰められるだけだ
(恐らく、片方の毛がある奴は迎撃の役割…)
(近寄ってきたところを殺る…‼︎)
地に足をつく度に足跡ができる。
足に力を入れ、向かってきたムチを右手で弾く。
その動作を5回程繰り返したとき。
「じょうっ」
「じじょじょう」
ダッ!
(来たか…!)
ブンッ!!
毛のあるTFは西上の首に向かって左足を向かわせる
それを空いた左手で砕こうとするが…
ダンッ‼︎
TFが目の前から消えていた
否、上にいた
(フェイント!?)
「クソッ…!」
毛のあるTFが飛び上がった事により、背後にいたオナガザメのTFが視界に入った
「…!」
両方のムチが薙ぎ払うように迫ってくる
防御体勢をとる。
パァアアンッ‼︎
炸裂する音。
吹き飛ぶ。
「グゥッ…‼︎」
フェイント。
どうして手術を受けたばかりであろう奴らにこんな事が出来るのか…
(疑問に思った事はある…)
手術を受けるTFはどのようにして選ばれるのか…と
適当か…あるいは特別な個体か…
(くじ引きじゃないよな……)
そんな事を思いながら彼は立ち上がる
(痛いなぁ…慣れてないのにな…)
彼は冷静に、考え直す
(…簡単じゃないか)
「これ以上振り回されんのは面倒だ…」
彼はただ立っていた。
何もせず、ムチが向かってくるのを待つ
ヒュンッ
(来た…か)
ビッッ!
脇腹に直撃。
「…ッッ‼︎」
ズザザッ!
踏ん張り。
受け止める。
「"掴んだ"‼︎」
一本のムチを両手で掴み、そして…
「叩きつけるッ!!!」
グンッ!!
自分の背後の地面まで来るように、掴んだまま
"叩き付けた"
べきょっ‼︎
「よぉ…やっと近くで顔が見れたな…」
「じぎっ…!」
ムチを逆手にとった攻撃。
「軽いぞッ!全然な!」
助けようとこちらに走ってくるもう一体の毛が生えたTF
「もう一発ッ‼︎」
グイっ
TFにTFを叩きつけ。吹っ飛ばす
ドゴッ!
ブチンッ!
「……流石に切れたか」
「謎のTF捕獲ならず…ってな…」
「じぎぎっ」
「生きてたか…毛有り」
気が付くとすぐに背後まで来ていた
そのTFは瀕死ながらも拳を向かわせて来る
「ちっ…」
それを左腕でへし折る西上
ベキンッ!
ザシュッ
「あ…?」
右胸に、TFの骨が刺さった。
いや…
「……何だ、こいつ」
骨が折れただけでここまで鋭くならない…
「ゴハッ……」
吐血。
致命傷。
『ハイリーフロッグ』
腕の中に"ナイフ"を隠し持つカエル。
ワザと腕を折り、攻撃する事がある
成体には茶色の毛が生えるカエルである
「この野郎…ッ」
彼は、経験が殆ど無かった…
実戦の、経験が。
俺は、この恨みを誰に向ければ分からなかった。
自分勝手なのは自分もじゃないか……
正直二対一で西上が勝てる?ベースがこいつらしか思いつかなかった。
「これも(べーす)地味…」
「だが西上が勝てる?相手で助かった…!」
あと、このカエルの資料が殆どないので名前すら合ってるかわかんないです。
追記・ 微調整
あー戦闘絶対もっと長い方が良かったな
付け足します