M.A .R.S100   作:玉魂

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第二十七話「走馬灯」

 

 

 

『タガメ』

 

 

日本最大の水中昆虫。

 

食性は肉食、それも虫よりも魚、カエル等

時には爬虫類、哺乳類も対象である。

 

自分よりも大型の生物を捕まえる為に持っているのが、前脚の大きく、鋭く発達した鎌である。

 

 

 

その凶暴されから、"水中のギャング"と呼ばれる

 

絶滅危惧種である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マルコス、慶次。俺も手伝う」

 

 

祥哉はそう言うと薬を摂取し、変態する。

 

 

 

この洞窟の横幅は約6、7m

 

 

 

人三人が並ぶには十分だが戦闘には不向きだ

 

 

 

 

 

 

(どうする?)

 

 

 

 

 

TFの攻撃が直撃すれば一撃で戦闘不能である。

動けない、攻撃を受けれない。

 

 

 

(どうすればいい?)

 

 

 

 

 

(正直この場所では慶次が最も不利だ。鎌で関節を狙う可能性もあるし、ヒット&ウェイはここじゃ無理…)

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

「ペギー、こいつはおれ達に任せて道を作ってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何か…考えが?祥哉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場で最もTFを倒せる可能性を持っているのはマルコスだが…

 

 

 

 

 

 

 

「俺がやる」

 

 

 

 

 

 

 

「!…出来んのか?祥哉…」

 

 

 

 

 

マルコスの攻撃が今の所当たる気配がない上に自慢のスピードを上手く活かせない、慶次は地形で不利。

 

 

 

 

 

ならば最も"微妙"な

 

 

どの場所でもある程度対応出来る人型のクワガタが最も、この場での戦闘に向いている

 

 

 

 

 

 

「ただ…手伝っては貰うぜ…じゃないと倒せないからな」

 

 

 

 

 

何より、少しだけ自信があった。

 

 

これまでのTFの攻撃は全て"寸前"で避けてきた。

 

先ほどの鼻の先まで来ていた鎌も、井上 祥哉 自身の特化した瞬発力、反射神経で避けた

 

 

彼は最小限の力で、最小限の動きで攻撃を避ける事が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

(つっても…どうするか)

 

 

 

 

 

彼はどうしても先に動く気がしなかった

 

 

もしも失敗したらどうしよう。

 

もしも避けれなかったらどうしよう。

 

 

 

やはり自信があっても恐怖を塗りつぶす事は彼には出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じょうじ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

 

 

 

先に動いてくれてありがとう。

 

行動しなきゃ死ぬだけだ。覚悟をしなくても勝手に身体が動いてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

TFは祥哉を挟むよう両腕を開いて向かってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

(挟む気か…!)

 

 

 

 

 

 

挟まれれば終わる。

 

 

だがその分隙は非常に大きい。

 

 

 

 

 

 

 

(大丈夫、楽勝)

 

 

 

 

 

 

 

彼は攻撃の事を考えて後ろに避けるのではなく下に避ける事を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しゃがむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィン…!

 

 

 

 

 

 

鎌と鎌が叩き合った音。

 

 

 

 

 

 

 

すかさず、動きを制限するためTFの右脇腹に『右フック』

 

 

 

 

挟むための"構造"を上手く利用した攻撃。

 

 

 

 

 

 

これまでのTFはこれで戦闘不能にまで持っていける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"ノーマルタイプの硬さだったら"だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぴきっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そ、それだけ!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このTFは"非常に"硬くなっている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やはり…バグズ手術ではなく)

 

 

 

彼、ウォルフ•レッドフィールドはすでに気が付いていたようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(M.O手術…!今あのTFの甲皮はゴキブリ、ツノゼミ、タガメの三種…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

祥哉があのTFを倒すにはやはり"挟む"必要がある。

 

 

 

 

 

 

(しまった!)

 

 

 

 

隙をわざと作り。

敵に隙を作らせた。

 

 

 

 

TFの甲皮を破壊でき無かった分の衝撃が隙を作らせた

 

 

 

 

 

 

 

(やばい…!蹴りが来る…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

タガメが獲物を狩るために使っているのは鎌だけではない。

 

自分が水中で早く動けるように、獲物に引きずりこまれないように後ろ脚も発達してる

 

 

 

 

 

 

 

出来る事は少ない

 

 

死ぬ覚悟と死なないようにするための柔な防御だけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いや…手はダメだ…!使えなくするのはマズイ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「祥哉‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

マルコスの声

 

祥哉とマルコス達の距離は離れていた

 

 

 

慶次では当然間に合わない

 

 

 

なら、マルコスのスピード

 

 

 

 

 

 

 

「これ使えェェエェェ!」

 

 

 

 

 

9位専用武器。

 

『アラクネバスターMK2』

 

 

 

 

 

マルコス自身が助けに行ってもアシナガグモの腕力では止める事が出来ない。

 

 

 

 

 

 

投げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか祥哉の手元まで間に合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こいつで防御しろと!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直撃するよりも幾分かはマシ

 

 

 

 

それがマルコスの考えだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メ キ ィ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐッ……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

踏ん張る。

 

 

 

 

 

 

が、クワガタの脚力では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

跳ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

壁に叩きつけられれば運良く戦闘不能。

 

 

 

 

 

 

最悪死亡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「慶次!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシィ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャッチ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおおォ…死ぬかと思った」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ…ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じ…ぎぎぎ」

 

 

 

 

ちくしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな顔をしてるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か、気が楽になってきていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり難しいな…タガメ捕まえるのって…」

 

「昔、学校の帰りによく田んぼで追いかけ回してたよ。一回の捕まえられなかったけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"借りる"ぞ、マルコス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺よりカッコ良く使うなよ」

 

妙にニヤつくマルコス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

再度、距離を詰め直す祥哉

 

 

 

 

 

 

 

 

睨み合う。

 

 

 

 

 

 

TFとの距離は3mも無い

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッッ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大振り。

 

 

棒術等したことも無い。当然だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

TFはそれがダメージにならない事を知っている

 

 

 

 

 

 

今度は棒、先程よりも跳ね返される反動が大きい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右フック。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがお手本だとでも言うのか、大振りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祥哉は反動で後ろに下がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ所詮…"虫"だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度はわざと反動で隙を作った

 

 

 

 

 

 

 

 

"意識"した"予想外"は"利用"出来る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バキィ!

 

 

 

 

 

 

 

壁。

 

 

 

 

 

 

大振りは当然、動いてしまう

 

 

 

 

 

 

 

壁、分かってはいたがTFは忘れてしまっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは狭いんだぞ」

 

 

 

 

 

 

 

そのまま後ろに倒れこむ、寸前

 

 

棒で体制を立て直す

 

 

 

 

 

 

 

そのままの勢いで壁に突き刺さったTFの肘に全力で棒を打ち付けた

 

 

 

 

 

 

 

 

ボゴォ!

 

 

 

 

 

 

 

 

穴が空いたような音だった

 

 

 

 

 

 

まるで、壁の向こうが"空洞"のような…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほどまでTFがいた水溜まり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壁が薄い事は分かっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TFが壁に穴を開け、出て来た時、"一度"しか壊す音がしなかったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隙だらけだぞ……‼︎テラフォーマー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシィ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

挟む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっさと潰れろォォォォ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

べきべきベキィ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じ!じぎぎぎ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴキンッ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?直下神経か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、捕まえちまったな、タガメ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嬉しくねぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は、全身に"切り傷"を受けながらも走っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マズイ…!マズイ不味い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息を切らしながらも、全力で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"こいつ"は…俺じゃ無理だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りは、光の雨が降っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ちょっと前から考えてたのでやっぱ更新速かったです



次回から更新速度落ちます、がんばって質上げます。




追記•脱字修正。これで全てかと
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