彼は火星に格好を付けに来たわけではない
奴の手の内が読めない今
(退く…!)
背中を見せるのに躊躇はしない
西上灰人には死ねない理由ができていた
それは好きな人が出来たからなどではない。
西上が応戦した『鮫』と『蛙』。
あの二体自体には特に違和感を感じなかった。(とうとうMO手術まで…)
その程度しか考えなかった。
だがあいつに対してはある疑問があった。
西上は仮にもU-NASA職員である。
乗組員の一通りの素性、そして手術ベースには目を通している
(あんな奴居なかった…いや…)
彼は一体どの『国』がゴキブリどもに『技術•生物』を『提供』したか知りたかった
所詮自己満足に変わりは無いが……
追い風。
風下。
このままでは鱗粉を避ける事ができない
いや、"鱗粉を使用しての攻撃"という確証は無かった。
(どちらにしろ…!!)
触れないに越したことは無い
彼は地面に手を突き刺し、"持ちあげる"
壁を作った。
そして同時に、砂煙が立ち上がる
「…じょうじ」
(逃げるにしろ…奴の特性を特定する必要がある)
彼は近くの岩陰に隠れていた
(まずは奴の見た目…ハッキリとは見えなかったが背中の羽が
完全に別の生物になっていた)
飛ぶ能力がゴキブリと比べ退化している可能性がある。
(耳の良さ…いや、ばれたのは一歩踏み出してからだ。もっと早く気が付いていないとおかしい…)
音で判断していた場合 、西上が奴に気づく前に、声、足音でばれていた筈
(先に気が付いたのはこっちだ…
耳で探しているなら今ここに隠れているのも移動音でばれる…)
(……冷静に、なれ)
かれは静かに深呼吸をした。
そしてここで思い出す、『左目』の事を
(……見えねぇ)
一つ失うだけで、ここまで視野が狭くなる。
左側は一切見えなかった
奴を殺す方法は有るか?
一瞬、頭の中をよぎる。その考え
(いや、逃げるべきだ)
逃げれるのか?
(逃げないとしぬ)
それでいいのか?ここで処分しないと味方に大きな被害がでる
(しったこっちゃねぇ…)
「……くそ」
視界の端に光る粉が映る
真上を飛んでいるようだ
息を殺す。
「…」
目の前に一つの鱗粉が舞う。
(大丈夫だ…も「じょうじ」
上のTFの顔がこちらを向いていた
「…やはり」
「超音波」
鱗粉
飛行
切断
音波
姿
色
『アワノメイガ』
彼は少しだけ理性を保てなくなっていた
その感情は恐怖、悲しみ、喜びなどではなく…
怒り。
何処の国も政治の事しか考えていない
「"改良"されているな」
「攻守交代だ……」
「ぶっ潰してやる」
俺自身も。
書きダメっす