母上より姉上と同系統の『シンゴウアックス』という装備を貰った。『仮面ライダーチェイサー』専用装備だと言っていたが、『ブレイクガンナー』も同時に使えるのだ。『打鉄』を纏った箒と戦ったが篠ノ之流剣術は鋭く疾い剣法のようだ。
しかし、最後まで箒の多用していた『キリブスマ』を視覚として捉えることは叶わなかったがな。一応、原理としては『対象の死角から死角へと移動する』という物らしく。肉眼だろうと機械だろうと捉えるには『観の目』を鍛えろと言われた。箒よ、観の目とはなんだ?
「しかし、ボーデヴィッヒは中距離戦闘での戦い方が巧いな。危うく戦斧の一撃を貰うところだったぞ?」
「むぅ…っ。私は当てるつもりだったのだがな」
「待て、あんな凶器を頭部に叩き付けられたら死ぬぞ?」
雑談していると屑男がアリーナへと飛び降りて駆け寄ってきた。また、面倒事を引き起こすつもりなのか?
「ボーデヴィッヒ!!お前の『IS』を寄越せ!!俺が使えば正しいんだ!!」
この屑男、反省という言葉を知らないのか?等と考えながら箒と共にピットへと向かう。追い掛けてきたがピットは高所に在るからな。よじ登ることは出来ない。
しかし、あの屑男には『白式』と呼ばれる『IS』が提供されていた筈なんだが没収されたのか?まあ、私には関係無いことだな。
「箒、お前の剣技を教えてくれないか?」
「私の剣術をか?」
「ダメか?」
「…別に構わないが。私の場合は『先の先』を読み取る『観の目』を利用しているからな。常人では追い付けんぞ?」
「困難とは乗り越えるものだ」
胸を張りながら言うとクスクスと笑われた。むぅ…っ。変なことは言っていない筈だが?
「基礎は教える。そこからアレンジを加えてみろ」
「宜しく頼む!」
「私の剣が姉さんに届くまで研ぎ澄まさねばな…」
「成る程、箒の目標はタバネ殿を越えることなのか」
感心しつつ、自分の目標を立てる『打倒姉上』である。あの人を倒さなければ母上に到達することは出来ないだろうからな。
姉上は精密射撃も近距離戦闘も遥か先で鍛えている。だからこそ隣に並び立つまで鍛えなければな。まずは『シンゴウアックス』を使いこなせるようにならなければな。図書室の戦術書を読み漁ってみるか。
しかし、思い返してみると『ゼンリンシューター』の威力は凄まじかったな。クラス代表を決める試合では軽く吹き飛ばされたしな。あの『ゼンリンシューター』と『ブレイクガンナー』が同出力とは思えないのだが…。母上に内緒で改造しているのか?
いや、しかしな。姉上は母上と同じように科学者の端くれだからな。自分に適したモノへと作り替えることなど容易いはずだ。……考えても仕方が無いな。帰ったら姉上に直接聞くとしよう。
「ボーデヴィッヒ、そろそろ閉めるぞ?」
「む?ああ、すまないな」
それにしても考えが纏まらんな。姉上は一瞬で答えを導き出せるのだがな。う~ん、う~ん。大変だ、考えすぎて頭が痛くなってきた。母上に膝枕を要求しなければ!