私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

13 / 49
第12話『母親はだれのために焦るのか』

 

 

『IS学園最深部』に在る車庫型秘密基地『ドライブピット』にて投射型ディスプレイを操作するフランツェスカとタバネはドイツで発生した『謎の周波数』を調査していた。

 

「フーちゃん、周波数の原因みたいなヤツを見付けたよ」

 

「本当ですか!?」

 

ドライブピット中央部に投射された映像には超高速で動き回る『機械人間』が映し出されていた。スーパースロー映像だと言うのに目視できるのはフォルムや停止した瞬間だけだった。

 

しかし、この形状の『機械人間』には覚えがある。私と共にドイツ軍で科学班に勤めていた男の製作していた物と酷似している。

 

そして何より私の遺伝子と結合された。言わば二人の『父親』に当たる男のモノだ。ドイツへ戻って安否を確認する?軍に電話して調べる?どうする、どうすれば良い。

 

「フーちゃん、落ち着いて…。何を焦ってるのか、知らないけど。慌てるよりも情報を集めよう」

 

「…はい…」

 

そうだ。落ち着かないと見落とす可能性だってあるんだ。クロエやラウラにも話していない。

 

いや、遠ざけていた問題なんだ。タバネ博士と向かい合うように座り直し、覚えている内容を伝えると驚愕したような表情を浮かべながら「え?!うそ、旦那さん!?」等と騒がれてしまった。やっぱり、話すと恥ずかしくなる。

 

「クーちゃん達は知ってるの?」

 

「すいません、教えるタイミングを失ってました」

 

「うわぁ…。そりゃあ、無いんじゃない?向こうだって知ってるんだからさ。会いたかったんじゃない?」

 

「そう、ですよね…」

 

タバネ博士の言う正論に頷くことしか出来なかった。ゆっくりとタバネ博士を向くように顔を上げ、クロエ達の待っている教員寮へと向かう。保証人としてタバネ博士も連れていく。

 

 

クロエやラウラは父親が居たことに驚いていたが。それよりも父親の作ったモノが暴れていることに不安を感じていた。

 

「母さん…。お父さんの名前を教えてくれますか?」

 

「彼の名前は『ウィリアム・カーティス』…。誰よりも誠実で一生懸命な人でね?私の作っていた『男女共有型』のプロトタイプに志願してくれた人なの」

 

そこから自慢するようにウィリアムの話を続けているとタバネ博士がコーヒーを飲み始めていた。クロエとラウラは顔を真っ赤に染めながら話を聞いていた。恥ずかしい話じゃないと思うんだけど。

 

まだまだ、話足りなかったけど。タバネ博士に止められた。それから「今後は旦那の話は持ち出さないこと」と言われた。…変なことは言っていない筈なんですけどね?

 

そんなことを考えているとドイツ軍から「ウィリアム・カーティス生存確認」の報告を受けた。ハッとして隣を見るとタバネ博士がニヤニヤと笑っていた。むぅ…。弱味を握られてしまった。

 

「タバネ博士、日本のナノマシン技術は他国より発展してますよね?」

 

「え?うん、束さんが直々に提供したからね。他よりは凄いよ?」

 

「ウィリアムを呼んでも良いですか?」

 

「「呼びましょう!」」

 

クロエとラウラが賛同してくれた。はぁ…ッと溜め息を吐きながらタバネ博士が「総理大臣に許可を取る」と言ってくれました。国のトップと対等に話せる人はタバネ博士ぐらいですよ。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。