私の目の前に篠ノ之箒が座っており、その手には「タッグ申請書」の紙が置かれていた。
「ラウラ、私と一緒に頂点を狙ってくれないか?」
「フッ、当然の判断だな。私とお前が組めば負けなど有り得ない」
「フフッ、そうだな。お前は私の不得手も得手も知っているからな」
「箒も私の得意な戦略や戦い方を知っているだろ?」
ニヤリと笑い合うと握手してからチフユ殿の言っていた申請書を収集する為のボックスへと『ラウラ・ボーデヴィッヒ』『篠ノ之箒』と書かれた申請書を投下する。これで私達は名実ともに相棒の関係だな。
「「それでは…訓練へと向かうか?」」
互いの言葉を先読みして話し掛ける。すでに『先の先』を見通す『観の目』は会得しているのだ。箒よ、お前とならば更なる高みへと行ける気がするぞ。食器の乗ったトレイを持ち上げ、食堂婦人に「ごちそうさま」と告げてから自習訓練へと向かう。
◆◆◆◆
織斑一夏は、私の目の前で土下座している。何度も頼まれましたけど。他人に『専用機』を提供するなんて聞いたこともありません。第一、今から簪さんと『専用機』持ちの記録を確認する約束が控えてるんです。
聞いている暇はありません。『バルドヴィーノ』に拘束された織斑一夏を放置して簪さんの待っている整備室に入室すると、甘いお菓子を抱えた本音さんも来ていました。
ふむ、本音さんは整備士を目指している人ですね。私は科学者を目指しているので接点を持っておいた方が良さそうですね。
「クロエ、そろそろ鳳&オルコットの訓練が始まる」
「セッシーとリンリンだね~っ」
先日のセシリアさんと鳳さんとは打って代わり、同時進行でライフルを放つセシリアさんの姿と『龍砲』と双天牙月を織り混ぜながら中距離で戦う鳳さんの姿がスクリーンに投射されている。
「…開始から見てますが。どの角度を攻めてもビット砲を振り切る事は出来ませんね」
「うん。織斑先生達の圧勝だって聞いてたけど。実力の差を実感させられる。この二人は、今の私よりも強い」
「簪さん、自己評価が低いのが…貴女のダメなところです。貴女と二人には広がるような差はありません。貴女は『IS学園』のヒーローなんですよ?」
「そうだ。私は『タイムレンジャー』の司令官なんだ。正義の味方は必ず勝利する!自分より強くても特訓で補えばいいんだ!」
簪さんはやる気になっており、本音さんは「巧みな~話術~!」と驚いていますが、自信を付けさせるためには必要な行動です。簪さんの自己評価の低さは改善しなければダメなんです。それにしても『バルドヴィーノ』とは優秀ですね。織斑一夏を織斑先生に引き渡してくるとは。