タバネ博士との会話を楽しんでいると物陰から武装した女性集団が現れた。
「シノノノ博士、我々と来ていただけますか?」
「は?やだよ、誰がお前達なんかに着いていくもんか」
「仕方無い…。貴女方を殺させて貰います」
撃ち出された弾丸を転がりながら避けたタバネ博士は、私の手を掴むと『ラビットカー』のアクセルを踏み付けて急発進させた。ブリッジのような体勢になりながら姿勢を正しつつ、シートベルトを装着する。
「フーちゃん、ごめんね。巻き込んじゃった…」
「平気です…。娘達は心配ですけど」
「それは大丈夫だよ?私が安全な場所に避難させておいたからね!」
安全な場所?と首を傾げながら考えていると後ろから『IS』を展開した女の人達が銃を乱射してきたが、この『ラビットカー』には『ドーム型完全防御強化硝子』を搭載している。銃火器では壊せないのだ。
「タバネ博士、この『飛行形態』起動しますね」
「うん、任せるよっ!私はアイツ等を撃ち落とす!」
白衣の右ポケットから『スピーディーラビット』とは違う黄色のシグナルバイクを取り出すと『前腕装着型シグナルチャージャー』に装填した。
『
『
タバネ博士の右手から放たれたエネルギー弾は『ウサギ型オバケ』となり、女の人の顔の横で「ウキャキャキャキャッ!!」という声を上げて狂い笑っている。我ながら変なモノを作ってしまったな。一応、爆弾としても使えるけど。タバネ博士は使わなかった。
そりゃあ、人を殺すことに抵抗の無い人間なんて存在しないだろう。居るとすれば頭のネジが外れた狂人とかだ。
「お、おぉう…。ヘンテコなウサギが飛び出てっちゃったよ」
「タバネ博士、此方も使ってください」
今度は渡し損ねていた赤色のシグナルバイクをタバネ博士に手渡す。もう、犯罪者と呼ばれようと関係無いですね。
『
『
エネルギー弾を受けた『IS』は後ろ向きに急発進していき、そのまま展開したであろう場所まで戻っていった。
「おぉ~ッ、中々のバックリレーだったよ!フーちゃん、運転変わるからさ。周りの警戒とかお願いね!」
タバネ博士の言い付けを守るように単眼鏡にて周囲を警戒していると、見慣れぬ人工島まで来ていた。よく見ると海岸沿いにクロエとラウラが手を振りながら誘導してくれていた。……指示に従いながら着陸すると、二人に抱き着かれて砂浜に倒れてしまった。
「束さんも混ざる~!」
「「「ギャアァァアァッ!!」」」
プレスされて悲鳴を上げつつ、視線を動かすと此方に歩いてくるスーツ姿の『織斑千冬』が私達を見下ろしていた。
「ちーちゃん、この人達だよ!束さんの新しい宝物はっ!」
「……フッ、そうか。それは良かったな」
「うん!『フーちゃん』こと『フランツェスカ・ボーデヴィッヒ』とその娘達だよ!」
「はじめまして、クロエ・ボーデヴィッヒです」
「ラウラ・ボーデヴィッヒであります!」
もしかして、原作に関わることになりそうな感じですか?等と考えているとタバネ博士に引き起こされた。一瞬とは言えど凄まじい瞬発力を秘めた肉体ですね。
「束…。この人達を保護する名目で連れて来たとは聞かされたが、何を仕出かしたんだ?」
「フーちゃんのおかげで『男性用IS』製作に成功した!イェーイ!」
「まさか、本当に、そうなのか?」
流石の織斑千冬でも狼狽えることはあるんだね。等と考えているとラウラが『ブレイクガンナー』を構えた。待て、待ってくれ。なぜ、バトルしようとしてるんだ?
「『日本では戦えば友達』とクラリッサから教えられた!」
「「あのアホ女…次に会ったら顎を叩き割ってやる」」
クロエと声を重ねながら海の向こう側に居るであろう。人物へと呪詛の念を送り込もうとした瞬間、クロエも『ゼンリンシューター』を構えていた。
「あれですよ!?一応の処置として『私も友達を作るだけです!!』」
成る程、クロエも友達が欲しかったのね。