私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

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第22話『武士はなにを獲るのか』

 

 

「クッ、打鉄では堪えきれんか!?」

 

箒は近接用ブレードで未確認『IS』の攻撃を受け流しながら火花を散らしている右腕装甲を睨み付けていたが、短刀型近接用ブレードを呼び出して逆手に構える。

 

「篠ノ之流に死角無し!!」

 

瞬時加速の反動を利用して飛び上がり、短刀型近接用ブレードを未確認『IS』肩関節接続部分に突き立てると、そのまま短刀型近接用ブレードを蹴り込んで腕を切り落とした。

 

「やはり、遠隔操作型『IS』だったか。姉さんの『IS』を遊戯の駒のように扱うとは…。一切の加減を捨てて斬り倒すッ!!」

 

近接用ブレードを肩に担ぐように構えて突進する。狙うは頭部だけだ。被弾を恐れるな。生き残るには最速の一歩を踏み出すのみ!!

 

抜剣(バッケン)日華紅焔之型(ニッカコウエンノカタ)!!」

 

音の壁を越えた速度で駆けることで機体は赤熱化していき、太陽のような光を放ちながら未確認『IS』を真っ二つに切り裂いてアリーナの壁に激突した。ガラガラと岩石が崩れ落ち、深々と箒の乗っていた『打鉄』は壁に突き刺さっていた。

 

「……軌道修正を視野に入れるか」

 

刀身の熔解している近接用ブレードを持ち上げて爆発している未確認『IS』へと視線を移す。すると『ゼアヒルド』とラウラに呼ばれていた機械人間が未確認『IS』の残骸を取り込んで武士のような形状へと変化した。『打鉄』を待機形態へと変化させ、人のサイズに作り直した二振りの『IS』用ブレードの片割れを『ゼアヒルド』に投げ渡して構える。

 

「姉さんや学友が戦っているのだ。早々には倒れんぞ?」

 

「イザ、マイルッ!!」

 

「来いっ!」

 

正面打突を受け流しながら近接用ブレードの柄頭を『ゼアヒルド』の肩口へと叩き落としたが、そのまま身体を叩き付けられて後方へと吹き飛ばされる。ガッガガッとブレードをアリーナの地面に突き立てて衝撃を分散させると、軽量化された鉄鞘を呼び出して近接用ブレードを納刀する。

 

秘剣(ヒケン)烈日落暉之型(レツジツラッキノカタ)!!」

 

箒は超低空で滑り込むように駆け出し、急停止を掛けながら高速回転と抜刀を同時に行うことで遠心力を加えた力で『ゼアヒルド』の持つ近接用ブレードごと首を斬り飛ばした。次の瞬間、地面を跳ねながらアリーナの端まで転がっていった。

 

「ブハッ?!ハァッ……ハァッ…。流石に大技の連続はキツいなッ!!」

 

ブルブルと震えている身体を叩き起こし、アリーナを見渡すとラウラ達も勝利している光景が見えた。安堵しつつ、罅だらけの近接用ブレードを鞘に納めてラウラ達の元へと歩いていく。

 

 

 

 


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