私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

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第30話『友よ、なぜお前に託せるのか』

 

 

 

簪はブイレックスを巧みに操りながら巨大『ゼアヒルド』の口を抉じ開け、その中へと織斑先生達を吐き出すように送り込むことに成功した。

 

ブイレックスの頭部には簪が立っており、口元に近付けていた『V-Commander』でブイレックスに指示を送りながら『DVディフェンダー・ソードモード』を分裂して襲い掛かってくる人型『ゼアヒルド』に叩き付け、日本上陸を阻止していた。

 

「私の友達は、私が守るんだ!!」

 

本音から渡されていた『アローベクター』を逆手で切り上げるように放ち、エックスを描くように『ゼアヒルド』を斬り倒すとブイレックスに「テイルアタック」と指示を送り込み。巨大『ゼアヒルド』の頬を鋼鉄の尻尾で殴り付けて海面に叩き倒した。

 

……やべっ、内部に先生達が潜入してるの忘れてた。

 

ま、まあ。あの人達も特殊スーツを纏ってる訳だし。大丈夫だよね?等と考えながら巨大『ゼアヒルド』をブイレックスで倒れた状態のまま押さえつける。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

私達は巨大『ゼアヒルド』の急激な動きによって喉を通り越して胃の中へと落ちていた。巨大魚や難破船らしきモノも転がっている辺りを見渡しつつ、出口を探しているとボーデヴィッヒ姉妹が「あれってイボですか?」等と言いながら指差したモノを見る。

 

…どちらかと言えばイボよりも寄生生物の類いでは無いか?

 

「ゥワガナァ!!ガストリック・アルサァァ!!」

 

「…なんで胃潰瘍が喋るんだよ!?」

 

寄生生物の叫びに束がツッコミを入れていた。胃潰瘍…何故だろうか。親近感を感じてしまう。いや、しかしだな。此方も仕事で来ている訳だからな。胃に関する事は諦めよう。

 

「それで?お前を倒せば幽門が現れるのか?」

 

「ンァフフフッ、ゥワガナァ!!ソノトオォリイィ!!サァアァ!!ゥワガナァ!!タオオォシテエェミロオォ!!」

 

「タバネ博士、崖の下に横穴があります」

 

「ん。それじゃあ、行こうか!」

 

なんだ、胃潰瘍は無視するのか。ふむ、帰る時にでも寄って話を聞くとしよう。

 

「ちーちゃん、ダメだからね?」

 

「……なにがだ?」

 

束はなにかに勘付いたのか。私の手を掴みながら横穴へと飛び込んだ。胃に関する事は本人に聞けば問題ないと思ったんだがな。仕方がないな。

 

「おぉっとっと!!私達は脊髄に向かうんだった!お尻に場合じゃあないね!」

 

そう言うと十二指腸に当たる部位を切り裂き、脊髄(?)で作られたエレベーターの前に出ることが出来たが、傷付けた壁は凄まじい速度で修復された。エレベーターの前には警備するように『ゼアヒルド』が居り、その手には軍隊が用いるような剣銃一体型兵装を持ってる。

 

「束…お前が先導していけ。私が残って奴らの相手しよう」

 

「ちーちゃん……。うん、任せて」

 

右腰のガンナーホルスターから『ルパンガンナー』を引き抜くとマズルを押さえ付け、そのままエレベーターの前に立つ『ゼアヒルド』にわざと見付かる。

 

RUPIN(ルパーン)!!!

 

「さあ、大怪盗のお通りだッ!!」

 

銃を撃つより接近戦を仕掛けてくる『ゼアヒルド』を殴り飛ばし、空中を駆け回っている『ルパンブレード』は背後から奇襲を仕掛けようとしてきた『ゼアヒルド』を弾き飛ばしてくれ、『ルパンガンナー』を逆手に持ち変えるとスロットに自ら装填された。

 

TUNE(チューン)!!RUPIN-BLADE(ルパンブレード)!!!』

 

『ゼアヒルド』を斜め下から切り裂き、エレベーターの前から遠ざける。

 

「今だァ!!」

 

怒鳴り付けるように叫び、束を先頭としてエレベーターへと駆け込む生徒達を見送る。託すと言うのは、こういう事なのだろうな。

 

さあ、掛かってこい。

 

ガラクタ共、世界最強(わたし)が相手してやる。

 

 

 

 


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