簪はブイレックスを巧みに操りながら巨大『ゼアヒルド』の口を抉じ開け、その中へと織斑先生達を吐き出すように送り込むことに成功した。
ブイレックスの頭部には簪が立っており、口元に近付けていた『V-Commander』でブイレックスに指示を送りながら『DVディフェンダー・ソードモード』を分裂して襲い掛かってくる人型『ゼアヒルド』に叩き付け、日本上陸を阻止していた。
「私の友達は、私が守るんだ!!」
本音から渡されていた『アローベクター』を逆手で切り上げるように放ち、エックスを描くように『ゼアヒルド』を斬り倒すとブイレックスに「テイルアタック」と指示を送り込み。巨大『ゼアヒルド』の頬を鋼鉄の尻尾で殴り付けて海面に叩き倒した。
……やべっ、内部に先生達が潜入してるの忘れてた。
ま、まあ。あの人達も特殊スーツを纏ってる訳だし。大丈夫だよね?等と考えながら巨大『ゼアヒルド』をブイレックスで倒れた状態のまま押さえつける。
◆◆◆◆
私達は巨大『ゼアヒルド』の急激な動きによって喉を通り越して胃の中へと落ちていた。巨大魚や難破船らしきモノも転がっている辺りを見渡しつつ、出口を探しているとボーデヴィッヒ姉妹が「あれってイボですか?」等と言いながら指差したモノを見る。
…どちらかと言えばイボよりも寄生生物の類いでは無いか?
「ゥワガナァ!!ガストリック・アルサァァ!!」
「…なんで胃潰瘍が喋るんだよ!?」
寄生生物の叫びに束がツッコミを入れていた。胃潰瘍…何故だろうか。親近感を感じてしまう。いや、しかしだな。此方も仕事で来ている訳だからな。胃に関する事は諦めよう。
「それで?お前を倒せば幽門が現れるのか?」
「ンァフフフッ、ゥワガナァ!!ソノトオォリイィ!!サァアァ!!ゥワガナァ!!タオオォシテエェミロオォ!!」
「タバネ博士、崖の下に横穴があります」
「ん。それじゃあ、行こうか!」
なんだ、胃潰瘍は無視するのか。ふむ、帰る時にでも寄って話を聞くとしよう。
「ちーちゃん、ダメだからね?」
「……なにがだ?」
束はなにかに勘付いたのか。私の手を掴みながら横穴へと飛び込んだ。胃に関する事は本人に聞けば問題ないと思ったんだがな。仕方がないな。
「おぉっとっと!!私達は脊髄に向かうんだった!お尻に場合じゃあないね!」
そう言うと十二指腸に当たる部位を切り裂き、脊髄(?)で作られたエレベーターの前に出ることが出来たが、傷付けた壁は凄まじい速度で修復された。エレベーターの前には警備するように『ゼアヒルド』が居り、その手には軍隊が用いるような剣銃一体型兵装を持ってる。
「束…お前が先導していけ。私が残って奴らの相手しよう」
「ちーちゃん……。うん、任せて」
右腰のガンナーホルスターから『ルパンガンナー』を引き抜くとマズルを押さえ付け、そのままエレベーターの前に立つ『ゼアヒルド』にわざと見付かる。
『
「さあ、大怪盗のお通りだッ!!」
銃を撃つより接近戦を仕掛けてくる『ゼアヒルド』を殴り飛ばし、空中を駆け回っている『ルパンブレード』は背後から奇襲を仕掛けようとしてきた『ゼアヒルド』を弾き飛ばしてくれ、『ルパンガンナー』を逆手に持ち変えるとスロットに自ら装填された。
『
『ゼアヒルド』を斜め下から切り裂き、エレベーターの前から遠ざける。
「今だァ!!」
怒鳴り付けるように叫び、束を先頭としてエレベーターへと駆け込む生徒達を見送る。託すと言うのは、こういう事なのだろうな。
さあ、掛かってこい。
ガラクタ共、