私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

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第31話『ゼアヒルドを止めるのはだれなのか』

 

 

 

私達は織斑先生を残してエレベーターへと乗り込みながら心臓へと続いている血管を探す。脊髄の中には数え切れない程の管が並んでおり、その中には脊髄と連結しているモノが在り。一本一本を探していくとなると織斑先生や巨大『ゼアヒルド』と戦っている更識にも負担が掛かってしまう。等の事を考えているとチーンという階層到達音が鳴り響き、エレベーターの外に出る。

 

律儀にも『脳髄手前』と書いた看板を建てられている。奴らは高性能介護用ロボットだと聞き及んでいる。其れなりの知識や人体への労りは忘れていない様子だが、武装していることは前提なのだな。

 

ゆっくりと姉さんとボーデヴィッヒ先生の作ってくれた『ブレードガンナー』をホルスターから引き抜き。『IS』を用いずに瞬時加速を行う。

 

この瞬時加速だが、『IS』初心者は剣道の摺り足をイメージしてしまうらしい。大まかに言えば大股で相手との間合いを一気に詰めるようなモノだ。尤も『IS』は背部等の加速装置を使用している。そんなモノは人間には着いていないからな。

 

織斑先生は人間でも出来るような方法だと仰っていたが、私では4回若しくは5回で筋肉断裂を起こすだろうな。

 

近付いていた私の気配を感じ取ったのか。『ゼアヒルド』は振り向こうとした瞬間、零距離でトリガーを引き絞った。ドチュン!という軽快な音と共にエネルギー弾が『ゼアヒルド』の背中を貫通してコアを撃ち抜いた。

 

この距離であれば銃器の使用経験皆無だろうと外すことは無い。寝かせるように放り捨てた『ゼアヒルド』から銃剣一体型兵装を奪い取ると剣身部分を取り外し、引き千切った学生服の袖を柄の代わりに巻き付ける。今、思えば銃と戦斧で戦うラウラと同じ様な構え方だな。

 

「姉さんと布仏達は、この巨大『ゼアヒルド』を操縦している奴を止めてください。私達は救出へ向かいます」

 

姉さん達の立っているエレベーターへと振り返り、そう告げると一瞬だけ戸惑っていたが。直ぐ様、いつもと変わらない表情を見せてくれた。次の瞬間、閉じていくエレベーターの扉を潜り抜けてラウラとクロエが飛び出してきた。

 

二人の行動に驚きつつ、不謹慎ではあるが自然と笑みが溢れてしまった。

 

「箒よ、一人ではキツいだろ?」

 

「私達もお手伝いします」

 

二人は戻るつもりは無いらしい。私よりも小柄な女の子だと言うのに、なんとも頼もしいな。そんな事を考えながら『心臓直結通路』と書かれた看板の示す方へと向かって走っていると掘削作業を行っている『ゼアヒルド』を見付けた。

 

やはり、律儀に『工事中』の立て札を置いている。迂回すると時間が掛かるな。私の後ろで待機していたクロエとラウラに視線を移すと頷いてからドライバーを取り出した。

 

『『SIGNAL-BIKE(シグナルバイク)!!』』

 

ラウラとクロエの二人は『マッハドライバー』のレバーを押し上げ、スロットの中へと『シグナルマッハ』と『シグナルチェイサー』を装填するとレバーを押し倒した。

 

RIDER-CHASER(ライダー・チェイサー)!!!』

 

RIDER-MACH(ライダー・マッハ)!!!』

 

二人を包み込む様に現れたホログラムは『シグナルバイク』の中に保管されていたパワードスーツであり、『IS』の量子化して保存する特殊データ領域を利用した瞬時兵装展開装置の役目を果たしている。

 

二人の前に立ち、ゆっくりと『ブレードガンナー』を胸の前まで持っていき、ディストラクションマズルを押し込む。

 

BLADE-UP(ブレイド・アップ)!!!』

 

私の提案した日本甲冑を彷彿とさせるホログラムが展開され、特殊データ領域から弾き出された装甲を打ち付けるように纏う。

 

頬当は鬼を模しており、左腰には片刃短剣型副兵装『マテリアルダガー』が装着されている。

 

「差詰、魔進『ツルギ』だな…」

 

「姉上、モノノフですよ!」

 

「武将という奴ですね」

 

二人は興奮しながらベタベタと触ってくる。それは敵前で行う事では無いだろう。等と考えていると作業を止めて見物していた『ゼアヒルド』と目が合った。敵対している相手の変身を待っていたのか。変身を妨害すれば勝てたというのに、そういうところも律儀なのだな。

 

TUNE(チューン)!!BLADE-EDGE(ブレイドエッジ)!!!』

 

シフトホルダーから『エッジバイラルコア』を抜き取り、バイラルライディングパネルに装填すると『淡い緋色の片刃剣』が特殊データ領域から引き抜かれた。

 

 

 

 


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