私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

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第32話『進むべき道はどちらなのか』

 

 

私達の変身を見物していた『ゼアヒルド』達はツルハシを振り上げると肩に柄の部分を乗せて。その体勢から野球のバッティングのようにツルハシから三日月状のエネルギー弾を放ち、闘争意欲を露にしている。

 

左手を鞘に添えて胴体を『ブレードガンナー』で隠すように構えつつ、クロエ達と死角を庇い合うように立つ回る。今現在、目視できているのは13体だけだ。横穴の中を掘り進めている『ゼアヒルド』が戻ってくれば剣を振るう幅さえ無くなり兼ねない。

 

最悪の光景を思い浮かべながら正面右側で構えていた『ゼアヒルド』に瞬時加速を用いて中段刺突を放ち、右腰の『マテリアルダガー』を引き抜きながら左側でツルハシを振り上げようとしていた『ゼアヒルド』の胸部装甲を切り裂く。

 

すでに機能停止して火花を散らす『ゼアヒルド』を蹴り飛ばしながら『ブレードガンナー』の剣身を消失させ、特殊護手(ガードナー)を胸部装甲を両手で覆い隠そうとする『ゼアヒルド』に叩き付ける。

 

殴り飛ばしたヤツの背後から奇襲を仕掛けてきた『ゼアヒルド』をクロエとラウラがエネルギー弾で吹き飛ばされ、そのまま近距離戦闘へと持ち込んでいく。

 

ラウラを殴ろうとしていたツルハシの柄を掴み取り、引き寄せながら顔面を殴り潰した瞬間、飛び散ってきた稼働用エンジンオイルを浴びてしまう。それに構うことなく出現させた剣身を振りかぶり、『ゼアヒルド』を斬り倒して進み続ける。

 

「一つ!二つ!三つ!四つ!五つうぅぅ!!」

 

ボーデヴィッヒ先生とカーティス先生に教えられた『ゼアヒルド』の運動機能を大幅に低下させる箇所──胸部装甲の内側に在る心核保護装置を切り裂き、後方で戦っているクロエ達から『ゼアヒルド』を引き離すように暴れ回り、クロエ達に向いていた『ゼアヒルド』の意識を集める。

 

「そうだ!私を見ろ!私だけを見ていろ!!」

 

EXECUTION(エグゼキューション)!!BLADE-ONE(ブレイド・ワン)!!!』

 

変身した時と同じ様にディストラクションマズルを押し込むと『ブレードガンナー』の剣身にエネルギーが集束されていき、『ブレードガンナー』を掴んでいた右手を大きく広げながら一回転するとリング状のエネルギーエッジが『ゼアヒルド』を切り裂いて爆発四散させた。

 

「ハァッ…ハァッ…!」

 

初変身の反動と必殺技を放った衝撃の余波によって強制的に変身を解除された箒は『ゼアヒルド』の持っていた剣銃一体型兵装を杖代わりにしながら立ち上がり、近付いてきていた『ゼアヒルド』を斬り付けて壁にもたれ掛かる。

 

「篠ノ之流に後退無し!!」

 

前進すると同時に『ゼアヒルド』の心核を突き砕いて回る。本来であれば歩くことすら出来ない状態の篠ノ之箒(わたし)に理解できない感情を抱いているな。

 

人間には在り、お前達に無いモノ───。

 

それは『不屈の魂』だ。色褪せぬ誇り高き武士の精神だ。行動不能寸前の者を前にして立ち竦んでいる貴様等ではラウラやクロエを倒すことなど出来るものか。震える手で掴んだ『ブレードガンナー』のディストラクションマズルを地面に押し付け、連続で押し込む。

 

ONE(ワン)!!TWO(ツー)!!THREE(スリー)!!』

 

FOUR(フォー)!!FLVE(ファイブ)!!SIX(シックス)!!』

 

SEVEN(セブン)!!EIGHT(エイト)!!NINE(ナイン)!!』

 

EXECUTION(エグゼキューション)!!OVER-TEN(オーバー・テン)!!!』

 

握り締めた『ブレードガンナー』は想定されていた以上のエネルギーを集束することは出来ず、火花を散らしながら『OVER!!OVER!!OVER!!』と同じ言葉を繰り返している。

 

絶剣(ゼッケン)天道日暈之型(テンドウヒガサノカタ)!!」

 

『ブレードガンナー』の許容範囲を越えた発熱と火花によって篠ノ之箒の姿はウサギと三足のトリのような姿が混ざり合ったように錯覚するほど燃え上がっており、気が付けば通路に溢れていた『ゼアヒルド』を焼き焦がして一掃していた。

 

「私達の邪魔を…するなッ」

 

それだけを言い終えると箒は仰向けになって倒れ伏してしまった。

 

 

 

 

 

 


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