私はフランツェスカ・ボーデヴィッヒです。   作:SUN'S

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第36話『彼女はなぜ求め続けるのか』

 

 

 

昨日の巨大『ゼアヒルド』襲撃事件は世界各国で報道されており、防衛省へと「市民を守れ」や「ISで倒してこい」等の苦情や非難の声が殺到していた。

 

タバネ博士やチフユ先生は悲観するよりも行動を起こすべきだと言っていたが、女性権利派団体の独断行動によって行われた『ゼアヒルド』殲滅作戦は被害拡大の引き金となってしまった。

 

その問題を幹部連中は権利派の会長へと罪を擦り付け、消息不明と発表された。チフユ先生は、色々と裏側の事情に首を突っ込んでいたツケを払うことになったのだろうと言っていた。

 

そんなことを考えている時だった。病室へと入ってきたクロエ達は、流れ作業のように巨大『ゼアヒルド』を操縦していたと思わしき少女に歩み寄ると、一人ずつ一撃を加えて満足したのか。

 

少女へと見舞品を手渡していき、クロエとラウラとウィリアムは「ニューファミリー」と書かれたプラカード付きの花束を手渡していた。

 

…少女は困惑しつつも花束を受け取り、チラチラと此方に目線を向けては外すを繰り返していた。

 

直ぐ様、白衣の内側に隠していたプラカードを取り出して少女に手渡す。すると、ポロポロと涙を流しながらプラカードを抱き締め始めた。

 

クロエ達からもブーブーと非難されそうになるが「違うんだ。ただ…。本当に嬉しかっただけなんだ」とフォローを加えてくれた。

 

「これから宜しく頼むぞ。我が妹『エルゼ・ボーデヴィッヒ』よ!!」

 

「これからは一緒に過ごしましょうね」

 

ラウラのドヤ顔と共に放たれた言葉に答えるように頷きながら、エルゼはクロエとラウラの二人から力強く抱き締められていた。

 

まだ、身体に染み付いていた薬品が抜け切ってないから暴れるような行動は控えてほしいけど。まあ、今回は黙っておくとしよう。

 

「我が家の三姉妹だな」

 

「そうねぇ…」

 

「フランツェスカ、配偶者や娘を持つ一人前の女性としてのアドバイスを頼みたい」

 

「え?なにそれ束さんも聞きたい!?」

 

実は、この二人…。四日後に控えているデートに向けて情報を集めようと目論んでいるのだ。マーヤ先生はサカキバラ先生に聞いているらしいが、間違いなく人選ミスであると断言することが出来てしまう。

 

ウィリアムと共にデートで必要不可欠な「相手に与える気楽さ」「愛らしさ」「男のグッと来る仕草」「雄が本能として欲する条件」を教える。すると、後ろで控えていたナースや入院中の未婚者達もメモを取っていた。

 

そこまで勝算は無いと思うが、人の考え方は個々で違っているからね。使い所を間違えれば痛い人になってしまうな。等と考えているとチフユ先生は無理矢理にでも退院すると言い始めた。と言うよりも普通に考えても気合いで胃潰瘍を治せる訳が無いでしょうが。

 

……ああ、もう一つだけ。チフユ先生達に報告することを思い出した。サラシキさん達『タイムレンジャー』を日本政府は正式組織として認めたのだ。

 

 

 

 


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