会議室のドアを開けるとスーツ姿のイチカ・オリムラと『電子造形像』で構築された顔だけが映し出された『タブレット』を持ちながら座っていた。
「……俺…だよな?」
「ああ、そうだぜ?」
向こう側のイチカ・オリムラが驚いていると、こちら側のイチカ・オリムラの手には『真っ赤なバイラルコア』が握られていた。
「避けなさい!!」
咄嗟の判断で向こう側のイチカ・オリムラを突き飛ばした。次の瞬間、私の身体は後ろへと仰け反るようにして吹き飛んだ。…やっぱり、『織斑一夏』と同化しようとしたんだ。血の滲む白衣越しに肩を押さえながら立ち上がり、イチカ・オリムラと『イエル』を睨み付ける。
『フランツェスカ・ボーデヴィッヒ。やはり、お前の存在は計画の邪魔だな』
「フランツェスカさん、俺と来ませんか?今ならイエルとも話せますよ?」
「ハンッ、青臭いガキが。そんなセリフじゃあ、子持ちのオバサンを口説けないわよ?」
白衣の中へと血濡れた左手を入れると27機の『ヘルプダイバーズ』を発進させ、私を除いた全員を絶対防御のシールドバリアの中に閉じ込める。左手を後ろ腰に忍ばせていた『スイッチ』に伸ばして見せびらかすようにボタンを押した。
次の瞬間、会議室の壁を突き破って『ラビットタンカー』と『ラビットカー』が現れた。
私の身体に小石や木片が突き刺さる最中、悔しそうに顔を歪めるイチカ・オリムラへと『リスキーキャスター』と『スコープハンター』を飛ばして写真や映像を撮ることに成功した。絶対防御のシールドバリア内では飛ばすことは出来なかった。突然の行動に巻き込んだ事は、謝罪するとしてイエルを破壊する絶好のチャンスだ。
試作段階のドラッグバイクを模した『ボルトストライカー』をタブレットに向かって突進させる。僅かに射線が外れてしまい。取り逃がしてしまった。
……あとで速度調整機能を付け足さないと、ダメね。
クロエ達が叫んでるけど。想定していた量より多く流した所為で気が遠くなってる。…ちょっとだけ、眠ろうかな。
「寝るなぁ!!」
「へぼぅえ!?」
チフユ先生の強烈なビンタで叩き起こされた。こっちは怪我人なんだけどな。等と思いつつ、見上げるとクロエ達が半泣きで抱き着いてきた。……まあ、あのまま眠ってたら変な雰囲気になりそうだったからね。問題無いと思うことしよう。
「フーちゃん、死んでも蘇生してあげるからね!」
「フランツェスカ、死んでも叩き起こしてやる」
「安らかに眠るという選択肢は?」
「「あるわけないだろ?」」
そうですよね。死なせてくれるとな思ってませんでしたけど。過激な起こし方は控えてほしいです。