『ドクタートレーラー』と『リフトナース』の適切な処置を受けながら『リスキーキャスター』と『スコープハンター』の入手してくれた写真と映像を流しつつ、イチカ・オリムラの骨格や椅子に付着していた体液を特定させる。
…やはり、向こう側のイチカ・オリムラにも該当するためか。二人のイチカ・オリムラが画面に映し出された。逃走範囲をパラレルワールドまで伸ばした理由は捜査を撹乱するためか。『リスキーキャスター』に『シークウォーカーズ』へと識別認証データを送り込み。…ゆっくりと息を吐き出しながら振り返る。
……まだ、クロエ達は怒っているらしい。
いや、その、うん。私もバカな事をやったとは思ってるけど。未来存命の為には必要な行為だと分かってくれないかな。
「母さん、今後は…命の危険を伴う行為は止めてくださいね?第一ですね、エルゼやラウラを悲しませるのは許しませんよ?それに私達は家族です。大切な家族が怪我すると心配なんです…」
クロエの言葉を聞いた瞬間、胸の奥でチクチクとしているモノが拡大化したように突き刺さってきた。…そうだよね、子供を不安にさせるのは親失格だよね。
「…ごめんね…。お母さんが不安にさせるようなことして。お母さん、無茶しないように気を付けるから…」
三人を力強く抱き締めると抱き締め返してくれた。やっぱり、三人は良い子だね。…私みたいな科学者には勿体無いぐらい優しい子供達だよ。
「フランツェスカ!空を見ろ!!」
ドアを開けるなり、チフユ先生は変なことを言ってくる。疑問に思いつつ、窓から空を見上げると天空に投射されたイチカ・オリムラとイエルの姿が在った。
『人類諸君、私の名前はイエル。アルガ・ゼアヒルドの王にして君達の神だ。これより「A」世界と「B」世界の人類殲滅を開始する。我が友であり、お前達の主人となる織斑一夏の言葉を心して聞くと良い』
イエルは伝えることは伝えたと思ったのか。タブレット画面から姿を消していた。
『あーっ、何て言えば良いんだろうな。とりあえず千冬姉や束さん達は残すとして、他の奴らって必要なのか?よし、千冬姉!束さん!フランツェスカさん!この三人以外は殺そう!』
罪悪感すら抱いていない無垢な笑顔で告げている男を見上げ、自身とは思えないほど『織斑一夏』は憎悪を抱いている。それもそのはずだ。彼の大切な人を殺すと言われたのだ。怒らなければクズになってしまう。
「チフユ先生…私達の世界でも報道されている筈です」
「……やはりか」
「私達は、こちら側の世界を守ります。チフユ先生達は元の世界を守って下さい」
そう言いながらチフユ先生に『マッハドライバー』を手渡し、調整を終えた『ボルトストライカー』と『マッハドライバー』をエルゼに渡すと「これが…私のドライバー…」と呟いていた。
「タバネ、篠ノ之、戻るぞ。更識、ボーデヴィッヒ三姉妹、お前達はこちら側の世界を守れ…!」
「「「「「「ラジャーッ!」」」」」」