イエルは、ラウラの鋭く重い拳打を受けてながら平然とした態度を取り続けている。ラウラを押し退けてギザギザとしたフォルムが特徴的な黒い『アルガ・ゼアヒルド』はイエルの操作している『ゼアヒルド』の胸部装甲に六連続の衝撃を放つ右拳を叩き付け、僅かだがイエルを仰け反らせた。
ラウラは射線内に居る『アルガ・ゼアヒルド』を避けるようにイエルの側面へと回り込み。ブレイクガンナーからエネルギー光弾を連射する。イエルのボディは激しい火花を散らしながら炸裂したようにモノを見せた。次の瞬間、真っ白なエネルギーの余波を放出させ、ラウラの動きを鈍足なカメのように変えてしまった。しかし、アルガ・ゼアヒルドの動きは鈍足には為らず。力任せにイエルを殴り付けていた。
「ぬああぁぁッ!!!」
重くなっている腕をマッハドライバー上部のスイッチを叩く為に力を込める。スイッチを叩くとガチガチガチ!!という軽快な音が鳴り響く。
『
イエル達の速度と同等のスピードを引き出す。いや、ラウラのスピードは僅かに二人の速度を上回っている。ブレイクガンナーを乱雑に叩き付けると打ち上げるように拳を振り上げ、イエルを弾き飛ばす。すると、先程の重苦しかった余波は消えており、通常の軽さに戻っていた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ、気合と根性だけで乗り切るなんて…驚いたわ」
「家族を守るためだ!」
「…そう、じゃあ。もっと速度を上げるわよ」
「望むところだ!!」
アルガ・ゼアヒルドはラウラへと活を入れるような言葉を吐きつつ、向かってくるイエルの私兵と化したゼアヒルドを一撃で葬り去る。ラウラも負けるつもりはないのか。エネルギーを集束させた拳をゼアヒルドの胸部装甲を突き破り、ゼアヒルドのコアを粉々に破壊して見せる。
『有り得ん!カノーネの攻撃力なら…いざ知らず。チェイサーの総合数値ではゼロの方が上の筈だ!?』
イエルは自問自答を繰り返しており、ゼアヒルドを盾にして逃げ出した。
「逃がすかァ!!」
ラウラはマッハドライバーのレバーを押し上げ、ドライバー上部のスイッチを押し込んでからレバーを押し戻した。
『
『
大空へと飛び上がり、太陽を背にして虹色のエネルギーを集束させた右足をイエルに向かって突き出す。
「だあぁぁぁぁっ!!」
『来るなぁあぁ!?』
『
イエルは近くに居たゼアヒルドをラウラへと投げ付けて爆炎の中を逃げていき、ラウラ達は完全に姿を見失ってしまった。地面に着地するとアルガ・ゼアヒルド──否、人間態に変化したカノーネが歩み寄ってきた。
「絶好の機会を逃がすなんて…」
「…あの様子では完全に勝てると分かるまで姿を見せることは無くなってしまった。その、すまない」
「ティガ達が待ってるわ。謝る暇が有るなら走りなさい」
「…了解した、カノーネ」
「……ふん、貴女には名前で呼ばれたくないわね」