源流『柳韻式篠ノ之流』は一撃必殺を重んずる五つの型で構成されている。
壱之型『雷鼓』は対象の防ぎを無視して押し通す膂力と突進力を用いて行う。警察機関の使用する強化盾を一刀両断して見せてくれた。父曰く「如何なる手段や策略を用いようと斬れば終わる」と教えられた。弐之型『地雷』は例えるならば『連鎖剣撃』だな。これは『雷鼓』のような見た目だが威力は低い。
しかし、地面を足で掴んだ状態のまま何度も振り落とす剣撃の嵐に耐えることは出来ないな。私は五撃目で竹刀を弾き落とされた。
参之型『雷響』は抜刀術だな。この型を使えば必ず刀身は粉々に砕ける。そう、名刀や鈍刀だろうとな…。肆之型『迅雷』は無形の構えから放つ剣撃だと聞いたが、巌なとして見せることを拒まれた。父曰く「この型は目の良いお前では恐ろしく醜く見えてしまう」と言われた。そんなことは無いと言いたかったが、あの頃の私は父の言葉を聞いて怖くなり泣いていたな。
そして、伍之型『雷火』は刀身を焼き焦がす程の速度で振るわれる絶対の剣撃だ。試しに我が家に伝わっていた十二本の名刀を束ねたモノを草を刈り取る様に斬っていた。この技は一撃必殺を重んずる『柳韻式』とは変わっており、鋭さを極めたモノに見えた。しかし、父は「お前にも分かる日が来る」としか教えてくれなかった。
まあ、厳格な父のことだ。色々と考えての行動だったんだろうな。
次は、私の型を教えよう。
『箒式篠ノ之流』は速さを重んずる剣撃だ。
抜剣『日華紅焔之型』は全筋肉を正面へと突進するためだけに稼働させて放つ。「突進斬り」と言えば簡単に分かるな。
秘剣『烈日落暉之型』は突進力+急停止を掛けながら回転する事によって遠心力を加えた回転式抜刀術であり、私としては筋肉断裂覚悟の技だな。
絶剣『天道日暈之型』は『ブレードガンナー』のオーバーエネルギーを全身に纏わせて放つ剣撃であり、父の『雷鼓』の影響を受けている技でもあるな。
ちなみに、あの場所で思い付いた即興の技だ。
その時の姿を見ていたラウラとクロエは『ウサギと不死鳥』が混ざったようなエネルギーを纏っていたと言われた。ウサギは姉さんのことだろうな。不死鳥は生きる意思の現れというモノなのだろうか。
「以上、私達の使う『篠ノ之流』の大まかな説明だ」
「ふむ、箒の使っていた『霧襖』は初歩の技だったとは知らずに使っていたぞ」
「初歩ではなく歩法だな。『摺り足』『開き足』『継ぎ足』等を連続で行っているだけなんだがな?それはそうとラウラの型は決まってきたのか?」
「私の技は強さと速さを兼ね備えたモノにしたいんだが、どうすれば良いと思う?」
「人の意見も大事だが、己の事を知っているのは己だけだぞ?」