私の名前は『クロエ・ボーデヴィッヒ』と言います。ドイツ軍に在籍していた科学者の遺伝子から作られた試験管ベビーです。
しかし、あの人は私達を娘として受け入れてくれた。その人が、私の戦いを見てくれる。そう思うと胸の奥がジンジンと熱くなってきます。織斑一夏より先に戦うとは言えど。手の内を見せる必要はありません。しかし、手加減するつもりもありません。
ドライバーを腰に押し付け、スロットにシグナルバイクを装填する。
『
『
「レッツ──変身!」
警戒な電子音と共にパワードスーツが展開され、真っ白なマフラーを靡かせる『仮面ライダーマッハ』の登場です。タバネ博士の作り上げた『IS』を攻撃する事には気が引けますけど。あのパツキンはボコります。
「さあ、踊りなさい!」
4機の浮遊型ビット砲を向けてきた瞬間、早撃ちのようにゼンリンシューターから放たれたエネルギー弾はビット砲の
「…どうしました?整備不調ですか?」
マスク越しにニヤニヤとしている表情を読み取ったのか。顔を真っ赤に染め上げてビット砲を撹乱するように撃ってくるが、本体が動いていない。やはり、停止状態でないと動かすことが出来ないんですね。
一応の対策として過去の試合を観ましたが、動いてませんでしたからね。直列から三角形等の隊列を組み換えながら放ってきた光弾は『バルドヴィーノ』によって防がれ、そのまま飛行ユニットで飛び上がるとパツキンの顔面にゼンリンシューターを叩き付ける。ノコギリみたいに削り取る事も出来ます。
「くうぅっ…!ティアーズは6機有ってよ!」
「えぇ、予習済みです」
『
ホイール部分を回転させながら向けられたビット砲の砲身を叩き斬り、『バルドヴィーノ』によって後押しされた強烈なキックがパツキンの顔面をボールのように蹴り飛ばそうとした瞬間、背後から急接近してきた織斑一夏によって弾き飛ばされました。…意味が分かりませんね。
「テメェ…何やってんだよ!!」
『それは此方の台詞だ。織斑、貴様は競い合う様に戦う者の行為を侮辱するのか?』
織斑一夏の姉である織斑千冬の声によって停止しましたが、此方を睨んでからブツブツと小言を吐き捨てて戻っていきました。
「はぁ…。オルコットさん、今後は気を付けてくださいね」
「……申し訳ありません。その、敗けを認めます」
『勝者、クロエ・ボーデヴィッヒ』
何とも釈然としない勝利でしたが。まあ、良いとしましょう。パツキンに手を貸しながらアリーナ・ピットへと戻る。パツキンの出てきた方角のですよ?自陣に連れて帰るのはダメな気がするので。
「ボーデヴィッヒさん、貴女は強いですわね」
「…そうですか?私なんて妹にも勝てませんよ?」
「え?」
「ですが…。私の母親は天才ですので、私の身体にフィットしたモノを作ってくれるんです」
ちょっとした自慢を挟みつつ、自陣に帰ると親の仇を見るような目で睨まれました。
「一夏…流石にお前が悪いぞ?」
「なっ、箒はコイツの肩を持つのかよ!?」
「肩を持つではない。人として有り得ないのだ。例えばだ。お前の試合を、私が妨害したとしよう。どう思う?」
「……『なんで、そんなことするんだよ』って思う。あと、人の思いを傷付けてる」
「それが、今のお前だ。さっさと謝ってボーデヴィッヒ妹と戦ってこい」
成る程、タバネ博士の妹は寛大な心の持ち主のようですね。安心しました。…しかし、そのソワソワとした動きはなんです?怖いですよ。